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交際費「5,000円基準」の波紋

 

 去る15日に公表された与党の「平成18年度税制改正大綱」、19日公表の「平成18年度税制改正の大綱」(財務省)で、来年度の税制改正の骨格が明らかになった。様々な重要改正項目がある中で、ひときわ注目されるのが「1人当たり5,000円以下の飲食費を交際費等の範囲から除外する措置」である。
 この措置、「損金不算入となる交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の一定の飲食費を除外したうえ、…」と記載されているのみだが、実務上のインパクトは大きい。(詳細はUP!789にも掲載)
 税務調査でも、とかく問題となる「交際費等」の範囲について、明確な金額基準ができたことを喜ぶ向きもあるようだが、話はそう簡単ではない。従来、交際費等であるかどうかは、その実態から判断されており、別の意味でそのメリットも存在していた。このメリットを「5000円形式基準」がなくしてしまうのではないかと危惧されているのである。

逆に交際費認定のデメリットも…
 例えば、会議費として損金算入可能な打合せがあったとしよう(飲食代が1人当たり6,000円)。
 従来の取扱いに従えば、その会議は交際・接待等の範囲外のものであるから、その飲食費についての損金算入ができた。ところが、これに「1人当たり5,000円以下の一定の飲食費」という形式基準が導入されるとどうなるだろう。飲食費ということであるから、6,000円はアウトである。また、この措置は「5,000円(会議費)+1,000円(交際費等)」という区分処理はできないことになっている。5,000円を1円でも上回れば、根っこから交際費認定である。
 もちろん、法案作成前の現段階では、詳細は未定だが、飲食という範囲において、「5,000円」 という安全地帯を作ったことは、単純に朗報ではなく、逆に、それ以外の部分が「危険」となるのである。

領収証の分割が横行する!?
 他にも、5000円基準の波紋は広がりそうだ。今回の措置を受けて、飲食店の「5,000円セット商品」などは追い風を受けるだろうし、料理飲食業界は潤うかもしれない。ただ、一方で、5000円という基準ばかりが強調され、「領収証の分割」、「人数の水増し」などの苦肉の策も出るだろう。領収証の不正は、従来以上に税務調査の重点チェック項目になる可能性が大きい。
 形式基準の導入で不正が横行し、それにあわせて当局の実態把握が更に困難・繁雑になるとすると、形式基準導入の効果はどれほどあると言えるのだろうか。金額基準さえ作れば交際費と非交際費の峻別ができると考えがちだが、現実はそれほど単純ではない。波紋は広がるばかりである。
なお、今回の「5,000円基準」は資本金1億円以下の中小企業のためだけの措置である、との一部報道があるが、これは間違いである。会社の大小にかかわらず、「5,000円基準」は適用されるので注意していただきたい。

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  キーワード 「飲食」
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(分類:税制改正 2005.12.21 ビジネスメールUP! 791号より )

 

 
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