減資による外形標準課税回避は課税上問題なし
事業税にも“タックス・プランニング”の余地
平成15年度改正で、16年度から「資本金1億円超」の大法人に対し外形標準課税が導入されることになったが、このほど本誌取材で、外形標準課税を回避するために資本金を1億円以下に減資したり、あるいは増・減資により従来の事業税課税との有利選択を行うことは、課税上問題とならないことが確認された。これにより、今後は、事業税においてもタックス・プランニングを検討する余地が出てくる。
ただし、その際には、株主総会の手続きや、増資の際の登録免許税を考慮する必要があるほか、このほど行われた商法施行規則の改正により、「決算公告」を行っていない企業は、そもそも減資ができないおそれがあるので十分注意したい。
外形標準課税選択が有利なケースも
本誌の取材によると、従来の事業税課税との有利選択をする目的での増・減資は、課税上問題とはなりえないということが確認されている。
減資に際しては、商法上、株主総会の特別決議が必要となるが(商法375条)、外形標準課税のボーダーである「資本金1億円」前後には同族企業が多く、特別決議をクリアすることはさほど難しくないと思われることから、今後は、外形標準課税を回避するために減資を行う企業の出現が予想される。
逆に、黒字企業等にあっては、従来の所得をベースとした事業税よりも、むしろ外形標準課税を選択した方が税額が小さくなることも考えられる。この場合、増資により資本金を1億円超とし、外形標準課税の適用を選択することも検討の余地がある。ただし、増資に際しては、譲渡制限会社の場合、商法280条ノ5ノ2の規定により特別決議が必要となる場合もあるほか、増加した資本の金額の1,000分の7の登録免許税が課される点も考慮する必要がある(減資の場合は一律3万円)。
減資ができないおそれも
もう一点、要注意なのは、このほど改正が行われた商法施行規則の規定。
改正商法施行規則195条には、減資等の際の「債権者異議の公告」は、「決算公告」を行っている媒体で行うべきことが規定された。しかし、現実には一部の大企業を除くほとんどの企業が決算公告を行っておらず、このままでは、これらの企業は債権者異議の公告が行えずに、減資等ができないおそれがある。外形標準課税を回避するための減資を検討する企業はこの点を認識し、早期に決算公告を検討する必要がある。
(この点については、近く詳細記事を掲載予定)
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(週刊「T&A master」012号(2003.3.24)「最重要ニュース」より転載)
(分類:税務・商法 2003.5.28 ビジネスメールUP!
433号より
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