国税庁が査察?

 新聞やテレビなどは、「○○会社に国税庁の査察が入った。」などと平気で言っています。しかし、この表現、正確ではありません。なぜなら、東京・霞が関にある「国税庁」というところには査察に入る人がいないからです。

 国税庁にも査察課はありますが、実際の査察は、各「国税局」の査察部が行います。映画マルサの女で有名になったアレです。ちなみに、国税局査察部の仕事は「情報」と「実施(ガサ)」の2つに分かれています。情報は脱税情報の収集が仕事ですし、ガサはいわゆるガサ入れ部隊です。

  それはともかく、税務署というと、すぐ「マルサだ。マルサだ。」と大騒ぎする人がいますが、これは映画の見過ぎです。大きくわけて、国税当局の調査には2つの種類があります。1つは税務調査で、これは納税者の任意・協力によることを前提としています。今ひとつが査察調査ですが、こちらは査察官が裁判所の令状を持っていますから、強制調査です。査察対象者は調査を拒否できません。

 ややこしいのが、この2つの丁度中間に「特別調査」というのがあることです。これはどういうことかといいますと、通常の税務調査(任意)は税務署の調査官が大体2人1組で行いますが、申告漏れ額が大きいとか複数の税務署にまたがっている事案とかに対しては、国税局の資料調査課というところが指揮を執ります。人数も大人数ですから、マルサと勘違いしますが、これも任意調査です。裁判所の令状を持っているかどうかこれがポイントです。

 税務署の調査にもこれだけ種類があります。何でもかんでも「マルサだ」と思わないことです。“国税庁の査察が入った”などと言っているメディアの情報は眉に唾をつけて聞きましょう。

2001.12.12 ビジネスメールUP! 235号より )

 

 
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