令和7年度税制改正大綱

 

令和6年12月20日
自 由 民 主 党
公 明 党

目 次


第一 令和7年度税制改正の基本的考え方--------------------1
第二 令和7年度税制改正の具体的内容---------------------20
 一 個人所得課税-----------------------------20
 二 資産課税------------------------------38
 三 法人課税--------------------------------53
 四 消費課税--------------------------------77
 五 国際課税-------------------------------83
 六 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置----------------96
 七 納税環境整備-----------------------------100
 八 関税---------------------------------104
第三 検討事項-------------------------------106

第一 令和7年度税制改正の基本的考え方

 「税は国家なり」。税体系のあり方は国家運営の根幹を形成する。時代に適さぬものを改め、維持すべきものを護り、国際的責務を果たす国家にふさわしい税制を目指し、丁寧な対話を通じて国民の納得と共感が得られるよう努めるなど、弛まぬ政治的努力を重ねていかなければならない。そして、日本経済の成長の歩みを確実に進め、若者や現役世代にも光を当てつつ「将来に夢や希望と安心を持てる、公正で活力ある社会を目指すための税制」を構築することを基本として、徒に過去の制度に囚われることなく惰性を排さなければならない。こうした基本的視点に立ち、下記の3点を踏まえ、税制のあり方を不断に見直すことが求められている。
1.持続的な経済成長を目指し、活力ある社会を構築するための環境整備を図ること。(設備投資の促進等)
2.若者や現役世代を含め誰もが豊かさを実感できる、質の高い国民生活を実現すること。(所得向上、社会インフラの整備等)
3.わが国を取り巻く厳しい国際環境や国際的要請を踏まえ、いわゆる安全保障及び経済安全保障の強化や地球温暖化対策等に取り組むこと。

 わが国経済は、ようやく長きにわたるデフレからの脱却が見えてきた。その間、税制の世界においても、経済成長の底上げ、少子高齢化、働き方の多様化等に対応した様々な改正を行ってきた。足元の経済状況を見れば、産業ごと、地域ごとにまだら模様となっているものの、全体としては、令和6年の春季労使交渉では、賃上げ率が33年ぶりの高水準となったほか、企業収益は過去最高、設備投資額も過去最大規模を記録しており、わが国経済には着実に明るい兆しが現れている。
 今後、物価に負けない賃上げを定着させることで、賃上げに支えられた消費の増加が企業収益を押し上げ、さらには家計への還元につながるという「賃金と物価の好循環」を安定的に実現していくためには、生産性の向上が不可欠である。特に、雇用の7割の受け皿になっている中小企業では、収益力が弱い企業は賃上げも困難な状況にあり、適切な価格転嫁に加えデジタル化等の投資を促進していく必要がある。そして、国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で豊かさを実感できるよう、前向きな動きを全国津々浦々に浸透させていかなければならない。このように、更なる経済成長を実現するためには、供給側の強化とともに、企業収益及び個人所得を向上させ、需要(消費)を拡大していくことが重要である。
 また、わが国は、少子高齢化や人口減少が深刻な状況にあるが、女性や高齢者の就労増加に伴い、近年、労働力人口は微増の傾向にある。今後、働きたい人が働きやすい環境をつくり、年齢や働き方に中立で、負担能力等を踏まえた公平な税制の構築が求められている。
 「基幹産業」としてわが国経済を牽引する自動車産業は、技術面や国際環境など、大きな変化を迎えている。こうした中、自動車関係諸税の見直しについて、わが国の技術的優位性を踏まえた「マルチパスウェイ」等の自動車戦略や国・地方の安定的な財源確保、カーボンニュートラル目標等を踏まえ、今後、車体課税・燃料課税を含む総合的な観点から検討し、産業の成長と財政健全化の好循環の形成につなげていく。
 そして、わが国を取り巻く安全保障環境に鑑みれば、防衛力の抜本的強化、それに伴う防衛費を安定的に確保する必要があるが、今般の税制改正について、国民の理解を得るべく、与党として説明責任を果たしていくことは言うまでもない。

 こうした認識の下、令和7年度税制改正では、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行に対応し、またそれを更に発展させていくための税制改正を最重点事項とした。
 物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除等の見直しを行うとともに、就業調整対策の観点から、大学生年代の子等に係る新たな控除(特定扶養控除と同額の63万円)を創設する。また、エンジェル税制の見直しによりスタートアップへの投資促進を図るほか、NISAの利便性向上等を行い「資産運用立国」の実現に向けた環境整備を図る。今後の法人税については、これまで現預金を大きく積み上げてきた大企業を中心に企業が国内設備投資や賃上げに積極的に取り組むよう、メリハリある法人税体系を構築していく。
 地域の活力なくして日本全体の活性化はない。石破内閣では、新たな地方創生施策(「地方創生2.0」)の展開を政策の柱としており、税制面でも地方創生や活力ある地域経済の実現に向けた取組みが求められている。
 このため、令和7年度税制改正においては、中小企業税制について、売上高100億円超を目指す、成長意欲の高い中小企業の設備投資に対して、更なる税制上の措置を講じ、地域経済の好循環を生み出していく。
 また、住民生活に密着した行政サービスを支える地方公共団体の税収をしっかり確保するとともに、経済社会の構造変化に対応し、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組む。
 さらに、少子高齢化、働き方やライフコースの多様化、経済活動のグローバル化・デジタル化といった経済社会の様々な構造変化に対応し、適正・公平な課税の実現を図る観点から、税制の見直しを行う。
 令和7年度税制改正においては、老後に向けた資産形成を促進する観点からiDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額の引上げ等を行う。また、経済のグローバル化・デジタル化の進展に対応し、企業間の公平な競争条件を確保するため、国際合意に沿ってグローバル・ミニマム課税の法制化を進める。加えて、消費税の外国人旅行者向け免税制度について、不正を排除しつつインバウンド消費を拡大する観点からリファンド方式へ見直すとともに、国境を越えた物品販売に係る電子商取引の消費課税のあり方について検討を進める。
 税制改正に当たっては、現下の経済情勢への機動的な対応が重要である。他方、税制は社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、不断の見直しを行わなければならない。あわせて、「経済あっての財政」との考え方の下、経済を立て直し、そして財政健全化に向けて取り組む中で、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を築き、危機に対して強靭な経済・財政の実現を目指す必要がある。

 なお、衆議院における令和6年度補正予算の採決に当たり、令和6年12月11日に自由民主党、公明党及び国民民主党の幹事長間で、以下の合意がなされた。
「一、いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる。
 一、いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する。
 上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める。」
 自由民主党・公明党としては、引き続き、真摯に協議を行っていく。

 以下、令和7年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を述べる。

1.成長型経済への移行
(1)物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応
 所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題がある。
 わが国経済は長きにわたり、デフレの状態が続いてきたため、こうした問題が顕在化することはなかったが、足元では物価が上昇傾向にある。一般に指標とされる消費者物価指数(総合)は、最後に基礎控除の引上げが行われた平成7年から令和5年にかけて10%程度上昇し、令和6年も10月までに3%程度上昇しており、今後も一定の上昇が見込まれる。また、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価は平成7年から令和5年にかけて20%程度上昇している。こうした物価動向を踏まえ、所得税の基礎控除の額を現行の最高48万円から最高58万円に10万円、20%程度引き上げる。
 給与所得控除については、給与収入に対する割合に基づき計算される控除であり、物価の上昇とともに賃金が上昇すれば、控除額も増加する。しかしながら、最低保障額が適用される収入である場合、収入が増えても控除額は増加しない構造であるため、物価上昇への対応とともに、就業調整にも対応するとの観点から、最低保障額を現行の55万円から65万円に10万円引き上げる。
 また、現下の厳しい人手不足の状況において、特に大学生のアルバイトの就業調整について、税制が一因となっているとの指摘がある。このため、19歳から22歳までの大学生年代の子等の合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは、親等が特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除を受けられ、また、大学生年代の子等の合計所得金額が85万円を超えた場合でも親等が受けられる控除の額が段階的に逓減する仕組みを導入する。
 さらに、扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額に係る要件について、現行の基礎控除と同額の48万円を、基礎控除の引上げを踏まえ、58万円とする。
 以上については、源泉徴収義務者の負担にも配慮しつつ、令和7年から適用する。
 個人住民税については、「地域社会の会費」的な性格を踏まえ、所得税の諸控除の見直しのほか、地方税財源への影響や税務手続の簡素化の観点等を総合的に勘案し、給与所得控除の見直し、大学生年代の子等に関する特別控除の創設並びに扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額に係る要件の引上げについて対応することとし、令和8年度分の個人住民税から適用する。
 上記の所得税及び個人住民税の見直しについては、デフレからの脱却局面に鑑み、基礎控除や給与所得控除の最低保障額が定額であることに対して物価調整を行うものであることを踏まえて、特段の財源確保措置を要しないものと整理する。仮に今後、これを超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分については、歳入・歳出両面の取組みにより、必要な安定財源を追加的に確保するための措置を講ずるものとする。
 従来、給付や負担の決定にあたって所得税及び個人住民税の所得・税額を参照してきた各種制度について、見直し後の給付や負担の決定基準のあり方については、負担能力に応じて支え合う全世代型社会保障の考え方や給付と負担のバランスの安定性確保の重要性等も踏まえ、所管省庁において検討し、その結果を踏まえ、必要な対応を行う。
 自動車通勤を行う者への通勤手当については、客観的な指標として、人事院勧告の前提となる民間企業の通勤手当の支給実態に関する調査の結果等を踏まえ、非課税限度額を定めてきた。エネルギー価格が上昇する中、人事院による新たな調査が行われる際には、その結果に基づき、通勤手当の非課税限度額について、迅速に見直しを行う。

(2)スタートアップへの投資促進や「資産運用立国」の実現に向けた環境整備
 イノベーションを牽引するスタートアップの創出により経済成長を加速するため、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化していく必要がある。
 令和5年度税制改正で大幅に拡充したエンジェル税制について、スタートアップへの再投資をより促進する観点から、譲渡益発生年の翌年にスタートアップ投資を行った場合に、譲渡益発生年に遡って投資額に相当する金額を譲渡益から控除する繰戻し還付制度を創設し、再投資期間を延長する。他方、所得税の暦年課税の例外となる極めて異例な措置であることも踏まえ、制度の健全な利用促進を図る必要があることから、再投資非課税措置については、株式を取得した年の翌年末までに当該株式を売却した場合には課税を行うこととする。
 スタートアップの人材確保を支援するストックオプション税制について、信託等を利用することで本税制の要件を満たさずに同じ税優遇効果を生むスキームに対して、適正化の措置を講ずる。今後同様のスキームが創出された場合にも迅速に対応する。
 NISAの口座数が2,000万口座を超え、貯蓄から投資への流れが加速している。後述のiDeCoの拠出限度額の引上げ等と併せて、この流れを一層着実なものとし、「資産運用立国」の取組みを後押しする。
 具体的には、例えば、NISAのつみたて投資枠について、上場投資信託(ETF)の最小取引単位の見直しを通じ、投資初心者に適した指数連動型のETFを購入しやすい環境を整備する。その他、金融機関変更時の即日買付を可能とするなど、NISAの更なる利便性向上のための取組みを進める。また、NISA口座の開設後10年経過時等に金融機関が行う顧客の所在地等の確認については、金融機関の負担にも配慮しつつ、資格のない者による取引が行われないよう実効性のある代替策の検討を含め、そのあり方の検討を行う。

(3)今後の法人税のあり方
 わが国では、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、2010年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を図るため、法人税率を23.2%まで引き下げた(国・地方の実効税率は29.74%)。この間、経済界には、法人税改革の趣旨を踏まえ、国内投資の拡大や賃上げを求めてきたが、企業部門では、収益が拡大したにもかかわらず、現預金等が積み上がり続けた。
 今般、EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の観点からデータ分析等を行い、法人税改革の成果について議論を行った。設備投資については、法人税改革以降、海外投資等が増加したのに対し、大企業を中心に国内投資は低水準で推移した。賃上げについても、諸外国と比較して、長年低迷してきた。他方、企業の利益が現預金として社内にとどまる傾向が一層強まってきた。
 海外の先行研究を見ても、法人税率が設備投資や賃金に与える影響は限定的であるとの分析や、わが国の法人税改革が国内投資の増加に効果的でなかったとの分析が示されている。また、政策対応を検討する際には、企業の国際競争力等にも一定の配慮が求められるが、この10年間で、企業を取り巻く経済環境やそれに応じた企業行動は大きく変化したことにも留意が必要である。
 こうした振り返りを踏まえれば、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税のあり方を転換していかなければならない。これまで現預金を大きく積み上げてきた大企業を中心に企業が国内投資や賃上げに機動的に取り組むよう、減税措置の実効性を高める観点からも、レベニュー・ニュートラルの観点からも、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系を構築していく。税制のみならず、予算や制度改正等の様々な政策手段を総動員して国内投資を促し、持続的な経済成長に向けた動きを取引先の中小企業も含め広く経済社会全体に波及させていく。

(4)その他考慮すべき課題
 租税特別措置等は、特定の政策目的の実現に有効な政策手段となりうる一方で、税負担の歪みを生じさせる面があり、税制の「公平・中立・簡素」の基本原則に鑑み、真に必要なものに限定していくことが極めて重要である。このため、租税特別措置等の創設や拡充を行う場合は、財源の確保に加え、全体の項目数の抑制に配意すべきである。具体的には、毎年度、期限が到来するものを中心に、各措置の適用実態を検証し、政策効果や必要性を見極めた上で、廃止を含めたゼロベースで見直す。また、存置するものも、各措置の政策意義、効果、性質等に応じて適切な適用期間を設定する。
 政策の実効性を高めるためには、抽象的なイメージや単なる期待ではなく、確立されたロジックやデータを用いた分析に基づく議論が求められる。とりわけ、対象者に特定の行動変容を促す、いわゆるインセンティブ措置については、その効果が厳格に立証されなければならない。そのためには、政策効果の検証が不可欠であり、EBPMについて、要望省庁は当然に、税制当局においても不断の取組みが求められる。

2.地方創生や活力ある地域経済の実現
(1)地域経済を支える中小企業の取組みを後押しする税制等
 中小企業は、雇用の7割を抱える、わが国にとって重要な経済主体であり、その健全な成長が地域経済の維持・発展のために不可欠であるが、小規模事業者やスタートアップ企業、さらには地域経済を牽引する企業や大きな成長力を有する企業など様々な態様がある。その中でも、売上高100億円を超えるような中小企業は、輸出や海外展開等により域外需要を獲得するとともに、域内調達により新たな需要を創出する地域の中核となる存在であり、そうした企業を育成することで、地域経済に好循環を生み出していくことが鍵となる。
 そのため、売上高100億円超を目指す、成長意欲の高い中小企業が思い切った設備投資を行うことができるよう、中小企業経営強化税制を拡充し、対象設備に建物を加える。また、食品等事業者がワンストップで同税制を活用できる仕組みを構築する。同税制は、EBPM等の観点を踏まえ、適用要件等の見直しを行った上で、中小企業投資促進税制とともに適用期限を2年延長する。
 中小企業の800万円までの所得に適用される軽減税率の特例は、リーマン・ショックの際の経済対策として講じられた時限措置である。今般、賃上げや物価高への対応に直面している中小企業の状況を踏まえ、適用期限を2年延長するが、極めて所得が高い中小企業等については一定の見直しを行うとともに、特例税率が設けられた経緯等を踏まえ、次の適用期限の到来時に改めて検討する。
 今回の特例税率の見直しの対象となる極めて所得が高い中小企業等の多数は、一定の要件の下で、中小企業経営強化税制の拡充措置を活用することができ、その場合、特例税率の見直しを大きく上回るメリットを受けることができる。こうした税制面での対応により、地域経済における前向きな投資を後押しする。
 地域の特性や魅力を生かした地域社会の創出に向け、地域未来投資促進税制については、各地方自治体が設定する重点分野への設備投資を後押しするため、「高成長投資枠」に対する新たな類型の追加等を行った上で、適用期限を3年延長する。
 法人版事業承継税制の特例措置における役員就任要件について見直しを行う。なお、本措置は、中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上という待ったなしの課題を解決するための極めて異例の時限措置であることを踏まえ、適用期限は今後とも延長しない。あわせて、個人版事業承継税制における事業従事要件についても見直しを行う。事業承継による世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念も踏まえ、事業承継のあり方については今後も検討する。
 あわせて、生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、賃上げを後押しするよう見直しを行った上、その適用期限を2年に限り延長する。

(2)企業版ふるさと納税
 地方経済が、人口減少・過疎化や地域産業の衰退等の課題に直面する中、官民が連携してそれらを成長のエンジンへと転換することが求められている。そのため、地方への資金の流れの創出・拡大や地方への人材還流を促す地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の適用期限を延長する。地域再生計画の認定が取り消される不適切事案も発生していることを踏まえ、寄附活用事業に係る執行上のチェック機能の強化や活用状況の透明化等の制度の健全な発展に向けて必要な見直しを行い、その効果検証を行うため、延長期間は3年とする。

(3)都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
 地方経済の活性化及び地方の生活環境の改善に向けた基盤づくりとして、地方税の充実確保を図る。また、東京一極集中が続く中、既に地方に居住している人の流出を防止するとともに、都市部から地方への移住を拡大する観点から、「若者・女性にも選ばれる地方」をつくることが重要である。このため、行政サービスの地域間格差が顕在化する中、拡大しつつある地方公共団体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因・課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組む。
 特に、住所地課税の例外となっている道府県民税利子割については、インターネット銀行の伸長等の経済社会の構造変化により、あるべき税収帰属との乖離が拡大していることから、金融機関等の事務負担に配慮するとともに、地方公共団体の意見を踏まえつつ、税収帰属の適正化のための抜本的な方策を検討し、令和8年度税制改正において結論を得る。

(4)屋外分煙施設等の整備の促進
 望まない受動喫煙対策の推進や今後の地方たばこ税の継続的かつ安定的な確保の観点から、駅前・商店街・公園等の場所における屋外分煙施設等の整備について、地方公共団体がその重要性を認識し、地方たばこ税の活用を含め、民間事業者への助成制度の創設その他の必要な予算措置を講ずるなど積極的に取り組むよう、各地方公共団体の整備方針や実施状況等の把握を行いつつ、より一層促すこととする。

3.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
(1)個人所得課税のあり方
① 私的年金等に関する公平な税制のあり方
 働き方やライフコースが多様化する中で、税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組みとしていくことが、豊かな老後生活に向けた安定的な資産形成の助けとなると考えられる。
 こうした考えの下、勤務先の企業が企業年金を設けているかどうか、企業年金の形態がどうであるかといった違いにかかわらず、継続的に、かつ、平等に資産形成をできる環境の整備を進めるため、iDeCoの拠出限度額について、「穴埋め型」による引上げを行う。
 さらに、豊かな老後生活に向けて、公的年金を補完し、老後に向けた資産形成を支援するという私的年金の役割を踏まえ、賃金上昇の状況を勘案し、確定拠出年金の拠出限度額について7,000円の引上げを行う。また、公的年金による保障が相対的に限定的な個人事業主のiDeCo等の拠出限度額についても、同額の引上げを行う。確定拠出年金については、加入率が3分の1以下にとどまる、拠出限度額の近くまで拠出している者の割合が低い、高所得者ほど利用者が多く拠出額も多いといった実態もある。今後、こうした実態を踏まえ、拠出限度額の考え方について、各国の制度も参照しながら、次期年金制度改革までに検討し、結論を得る。
 包括的所得課税の下では、拠出時に所得控除の対象とされる、私的年金を含む年金については、給付時において相応の課税がなされることが原則と考えられる。しかしながら、現行の年金課税や退職所得課税の下では、私的年金の給付時課税が限定的となっており、給付時課税のあり方を検討する必要がある。
 また、退職金や私的年金等の給付に係る課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないといった指摘がある。
 退職所得課税については、勤続年数が20年を超えると1年あたりの退職所得控除額が増加する仕組みが転職の増加等の働き方の多様化に対応していないといった指摘もある。
 退職金や私的年金等のあり方は、個人の生活設計にも密接に関係すること等を十分に踏まえながら、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しが求められる。例えば、各種私的年金の共通の非課税拠出枠や従業員それぞれに私的年金等を管理する個人退職年金勘定を設けるといった議論も参考にしながら、あるべき方向性や全体像の共有を深め、具体的な案の検討を進めていく。

② 公的年金等に関する公平な税制のあり方
 年金課税については、公的年金等控除が給与所得を得ている年金受給者にも適用されるため、給与所得控除と公的年金等控除の両方の適用により、同じ収入額でも給与収入のみの者と、給与収入と公的年金等を有する者の間で税負担が異なることについて、公平性の観点から指摘がなされてきた。
 年金制度改革の中で在職老齢年金制度の見直しが検討されているが、在職老齢年金支給停止調整額の引上げが行われると、給与収入を得つつより多くの年金を受け取る者が増えることが想定され、税負担の公平性の問題がより大きく顕在化する。
 こうした状況を踏まえ、公平性の確保に向けた第一歩として、公的年金について、在職老齢年金制度の見直しが行われた場合には、公的年金収入が増加する者にはその年金収入の増加と併せて手取りが減少しない範囲で、また、見直しによって年金収入に変化がない者については影響が生じない形で、税負担額の調整を行う。具体的には、給与所得控除と公的年金等控除の合計額の上限を280万円とすることとし、在職老齢年金制度の見直しの帰趨を踏まえ、令和8年度税制改正において法制化を行う。

③ 人的控除をはじめとする各種控除の見直し
 個人所得課税については、わが国の経済社会の構造変化を踏まえ、引き続き、格差の是正及び所得再分配機能の適切な発揮、働き方に対する中立性の確保、子育て世帯の負担への配慮といった観点から、歳出面を含めた政策全体での対応も踏まえつつ、人的控除をはじめとする各種控除のあり方について検討を行う。
 また、高校生年代の扶養控除及びひとり親控除については、令和8年分の所得税及び令和9年度分の個人住民税は現行制度を維持し、その見直しについては、児童手当をはじめとする子育て関連施策との関係、所得税の所得再分配機能等の観点や令和6年度税制改正大綱で示した考え方を踏まえつつ、令和8年度以降の税制改正において、各種控除のあり方の一環として検討し、結論を得る。

④ 記帳水準の向上等
 記帳水準の向上は、適正な税務申告の確保のみならず、経営状態を可視化し、経営の対応力を向上させる上でも重要である。加えて、売上や資産・負債等の状況が適切に記録されていれば、中小・小規模事業者による迅速な給付金の受給や融資につながる。しかしながら、小規模事業者の約4割が帳簿を手書きで作成しており、個人事業主の場合、正規の簿記の原則に従った記帳を行っている者は約3割にとどまっている。また、個人の青色申告における簡易簿記は複式簿記に移行するための準備的な段階としての位置付けであるが、簡易簿記申告者の3分の1超が10年以上簡易簿記による記帳を続けている。
 近年、会計ソフトを活用することにより、小規模事業者であっても大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことができる環境が整ってきている。複式簿記による記帳を更に普及・一般化させるため、納税者側での事務負担や対応可能性も十分踏まえつつ、所得税の青色申告制度の見直しを含めた個人事業主の記帳水準の向上等に向けた検討を行う。

(2)子育て世帯への支援
① 子育て支援に関する政策税制
 令和6年度税制改正大綱において高校生年代の扶養控除の見直しと併せて行うものとした以下のイからハの子育て支援税制については、上記(1)③の高校生年代の扶養控除の取扱いを踏まえてそのあり方を検討することとなるが、今般、1年間の時限的な措置として対応する。
イ 子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
 令和6年限りの措置として対応した上乗せ措置について、令和7年限りの措置として講ずる。
 所得税額から控除しきれない額は、現行制度と同様に個人住民税額から控除し、個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
ロ 子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
 令和6年限りの措置として対応した特例措置について、令和7年限りの措置として講ずる。
ハ 子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
 令和8年分所得税において、生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)について、23歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずる。
 なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額については、現行の12万円から変更しない。
 一時払生命保険については、2万円の上乗せ措置を時限的に講じている間は控除の適用対象から除外しないこととする。

② 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、令和5年度税制改正大綱で「制度の廃止も含め、改めて検討する」とされた後も、利用件数が低迷する等の状況にあり、関係省庁において、子育てを巡る給付と負担のあり方や真に必要な対応策について改めて検討すべきである。他方、現在、「こども未来戦略」の集中取組期間(令和8年度まで)の最中にあり、こども・子育て政策を総動員する時期にある。このため、本措置は、特に集中取組期間であることを勘案し、適用期限を2年延長する。

(3)経済のグローバル化・デジタル化への対応
① 新たな国際課税ルールへの対応
 BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトの立上げ時から国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきたわが国にとって、令和3年10月にOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」で取りまとめられた、経済のデジタル化に伴う課税上の課題への解決策に関する国際合意(「2本の柱」の解決策)の実施に向けた取組みを進めることは重要である。
 このうち、グローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)については、わが国企業の国際競争力の維持及び向上につながるものであり、令和7年度税制改正においても国際合意に則り、軽課税所得ルール(UTPR:Undertaxed Profits Rule)及び国内ミニマム課税(QDMTT:Qualified Domestic Minimum Top-up Tax)の法制化を行う。適用開始時期は、対象企業の準備期間を確保する観点等から、いずれも令和8年4月以後に開始する対象会計年度とする。あわせて、OECDにより発出されたガイダンスの内容等を踏まえ、制度の明確化等の観点から所要の見直しを行う。引き続き令和8年度以降の税制改正において、今後発出されるガイダンスの内容等を踏まえた見直しを検討するとともに、「第2の柱」との関係を踏まえて適正な課税を確保する観点から既存の税制について必要な検討を行う。
 外国子会社合算税制については、国際的なルールにおいても「第2の柱」と併存するものとされており、「第2の柱」の導入以降も、外国子会社を通じた租税回避を抑制するための措置としてその重要性は変わらない。他方、「第2の柱」の導入により対象企業に追加的な事務負担が生じること等を踏まえ、令和7年度税制改正においても引き続き見直しを行う。令和8年度以降の税制改正においては、「第2の柱」の実施等に伴う環境の変化を踏まえつつ、国際的な経済活動により生じる課税上の問題に適正に対処する観点等から必要な検討を行う。
 「2本の柱」の解決策のうち「第1の柱」については、市場国への新たな課税権の配分等に関する多数国間条約の早期署名に向けて、引き続き国際的な議論に積極的に貢献することが重要である。今後策定される多数国間条約等の規定を基に、わが国が市場国として新たに配分される課税権に係る課税のあり方、地方公共団体に対して課税権が認められることとなる場合の課税のあり方、条約上求められる二重課税除去のあり方等について、国・地方の法人課税制度を念頭に置いて検討する。移転価格税制の適用に係る簡素化・合理化については、今後、国際的な議論及び各国の動向を踏まえて対応を検討することとし、当面は実施しない。他国が本簡素化・合理化を実施する場合については、現行法令及び租税条約の下、国際合意に沿って対応する。
 さらに、経済活動のグローバル化やデジタル化による国境を越えたビジネスや人の往来の一層の拡大等も踏まえて、非居住者の給与課税のあり方について、今後とも検討を行っていく。あわせて、国際課税制度が大きな変革を迎える中、国内法制・租税条約の整備及び着実な執行等について適時に十全な対応ができるよう、国税当局の体制強化を行う。

② 外国人旅行者向け免税制度の見直し
 消費税の外国人旅行者向け免税制度については、不正利用を排除し、免税店が不正の排除のために負担を負うことのない制度とするため、令和6年度税制改正大綱で示された方針を踏まえ、出国時に持ち出しが確認された場合に免税販売が成立する制度とし、確認後に免税店から外国人旅行者に消費税相当額を返金するリファンド方式に見直す。
 その上で、本免税制度を引き続きインバウンド消費の拡大に向けた重要な政策ツールとして活用するため、外国人旅行者の利便性向上や免税店の事務負担軽減の観点から、一般物品と消耗品の区分や消耗品の購入上限額及び特殊包装を廃止するとともに、免税店が販売する際に「通常生活の用に供するもの」であるか否かの判断を不要とする等の措置を講ずる。また、新方式の施行に当たっては、空港等の混雑防止確保の観点から必要な環境整備等を行うほか、関係省庁において、業界団体等とも連携しつつ周知・広報を行う。

③ 国境を越えた電子商取引に係る消費税の適正化
 近年、物品販売に係る国境を越えた電子商取引の市場は急速に拡大しているが、国外事業者による消費税の無申告や少額輸入貨物に対する免税により、適正な課税や国内外の事業者間の競争上の公平性の確保に課題が生じている。
 こうした課題に対応するため、諸外国における制度・執行両面での対応を参考としつつ、事業者間の公平性や通関実務への影響等を考慮の上、国境を越えた電子商取引に係る適正な消費課税のあり方について検討を行う。

4.自動車関係諸税の総合的な見直し
(1)見直しに当たっての基本的考え方
 自動車関係諸税については、日本の自動車戦略やインフラ整備の長期展望等を踏まえるとともに、「2050年カーボンニュートラル」目標の実現に積極的に貢献するものでなければならない。その上で、
① CASEに代表される環境変化にも対応するためのインフラの維持管理・機能強化の必要性、地域公共交通のニーズの高まり等を踏まえつつ、自動車関係諸税全体として、国・地方を通じた安定的な財源を確保することを前提とする
② わが国のマルチパスウェイ戦略の下で、多様な動力源(パワートレイン)が併存していくことを踏まえた税制とする
また、わが国の自動車産業を取り巻く国際環境の変化を踏まえ、補助金等も活用しつつ、市場活性化や産業基盤の維持発展に配慮するとともに、電費改善等のイノベーションを促し、質の高い電気自動車等の普及に資する税制とする
③ 二酸化炭素排出量抑制により、脱炭素化に向けた取組みに積極的に貢献するものとする
④ 自動車関係諸税を負担する自動車ユーザーの理解にも資するよう、受益者負担・原因者負担といった課税の考え方や、これまでの沿革等を踏まえつつ、使途の明確化を図るとともに、受益と負担の対応関係を分かりやすく説明していく
 その際、中長期的には、データの利活用による新たなモビリティサービスの発展等、自動車の枠を超えたモビリティ産業の発展に伴う経済的・社会的な受益者の広がりや保有から利用への移行等も踏まえる
との考え方を踏まえつつ、公平・中立・簡素な課税のあり方について、中長期的な視点から、車体課税・燃料課税を含め総合的に検討し、見直しを行う。

(2)車体課税の見直し
 車体課税については、カーボンニュートラルの実現に積極的に貢献するものとすべく、国・地方の税収中立の下で、取得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る。

(3)利用に応じた負担の適正化に向けた課税の枠組み
 異なるパワートレイン間の税負担の公平性や将来に向けた安定的な財源確保、ユーザーの納得感の観点から、利用に応じた負担について、使途、執行・関係技術等を踏まえ検討し、課税の枠組みについて、令和8年度税制改正において結論を得る。

5.防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
 わが国の防衛力の抜本的な強化を行うために安定的な財源を確保するという観点から、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について、令和5年度税制改正大綱等の基本的方向性により検討した結果、以下の措置等を講ずる。
① 法人税
 法人税額に対し、税率4%の新たな付加税として、防衛特別法人税(仮称)を課す。防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から500万円を控除する。
② 所得税
 所得税については、令和5年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ、いわゆる「103万円の壁」の引上げ等の影響も勘案しながら、引き続き検討する。
 令和7年度税制改正後も、令和5年度税制改正大綱に明記したとおり、東日本大震災からの復旧・復興に要する財源については、引き続き責任を持って確保する。
③ たばこ税
 加熱式たばこについて、紙巻たばことの間の税負担差を解消するため、課税方式の適正化を行う。具体的には、価格要素を廃止し、重量のみに応じて紙巻たばこに換算する方式とするほか、軽量化による税負担の不公平が生じないよう、一定の重量以下のものは紙巻たばこ1本として課税する仕組みとする。こうした見直しは、消費者への影響に鑑み、2段階で、令和8年4月及び同年10月に実施する。
 その上で、国のたばこ税率を、3段階で、令和9年4月、令和10年4月及び令和11年4月にそれぞれ0.5円/1本ずつ引き上げる。
上記について必要な法制上の措置は、令和7年度税制改正法と一体として措置する。

6.円滑・適正な納税のための環境整備
(1)税務手続のデジタル化による利便性の向上
 経済社会のデジタル化に伴い、事業経営や取引・財務に関する情報処理、決済の分野でもデジタル化が進展しており、納税者が簡便かつ適正に申告・納付を行うことができるよう、税務手続のデジタル化を推進する必要がある。このため、取引に係るやり取りから会計・税務までのデジタル化に対応する観点から、電子取引データに関連する重加算税の加重を適用しない措置等を講ずる。
 また、デジタル技術を活用して、事業者の取引に係るやり取りから会計・税務までがシームレスにデジタルデータで処理されるという方向性を事業者や関係機関と共有しつつ、証憑及び帳簿の両方を通じた、取引の段階から誤りが生じにくい仕組みやトレーサビリティが確保された帳簿書類の普及・一般化に向けて、引き続き検討する。
 地方税においても、更なる税務手続のデジタル化に向け、地方税関係通知のうち納税通知書等について、eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)を経由して電子的に副本を送付する仕組みを導入する。

(2)課税・徴収手続等の整備・適正化
 誠実に納税を行う納税者の税制に対する公平感を損なうことがないよう、近年見られる新たな事例に対応していく必要がある。
 税務調査の際に、国税当局が求める資料等が提示・提出されず正確な事実関係を確認することができない事例が把握されていることを踏まえ、納税者に協力を促すための措置について検討する。
 また、税務調査における資料の提示・提出の求めを正当な理由なく拒否する行為や第三者による納税者の不正への加担行為について、引き続き中期的に対応を検討する。
 物納許可限度額等の計算方法について、納税者の支払能力を的確に勘案した物納制度となるよう見直しを行う。あわせて、本制度や今般の見直しについて納税者への丁寧な説明を行うとともに、物納申請等への適切な対応を行う。

第二 令和7年度税制改正の具体的内容
一 個人所得課税

1 物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応
(国 税)
(1)基礎控除
① 基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額を10万円引き上げる。
② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
イ 合計所得金額が2,350万円以下である個人 58万円
ロ 合計所得金額が2,350万円を超え2,400万円以下である個人 48万円
ハ 合計所得金額が2,400万円を超え2,450万円以下である個人 32万円
ニ 合計所得金額が2,450万円を超え2,500 万円以下である個人 16万円
③ 上記①の見直しに伴い、公的年金等に係る源泉徴収税額の見直し等の所要の措置を講ずる。
(注1)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。なお、給与等及び公的年金等の源泉徴収については、令和8年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について適用する。
(注2)上記の改正に伴い生ずる公的年金等につき源泉徴収された所得税の額に係る超過額について、当該公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除く。)の支払者から還付等をするための措置を講ずる。
(2)給与所得控除
① 給与所得控除について、55万円の最低保障額を65万円に引き上げる。
② 上記①の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。なお、上記②の給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)及び賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の改正については、令和8年1月1日以後に支払うべき給与等について適用する。
(3)特定親族特別控除(仮称)
① 居住者が生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(その居住者の配偶者及び青色事業専従者等を除くものとし、合計所得金額が123万円以下であるものに限る。)で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額等から次のとおりの控除額を控除する。

親族等の合計所得金額 控 除 額
58万円超85万円以下
85万円超90万円以下
90万円超95万円以下
95万円超100万円以下
100万円超105万円以下
105万円超110万円以下
110万円超115万円以下
115万円超120万円以下
120万円超123万円以下
63万円
61万円
51万円
41万円
31万円
21万円
11万円
6万円
3万円

② 上記①の控除については、控除額が一定額以上の場合には、給与等及び公的年金等の源泉徴収の際に適用できることとする。
③ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記①の改正は令和7年分以後の所得税について、上記②の改正は令和8年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について、それぞれ適用する。なお、給与所得者については令和7年分の年末調整において適用できることとするほか、所要の経過措置を講ずる。
(4)上記(1)から(3)までの見直しに伴う所要の措置
① 同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。
② ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。
③ 勤労学生の合計所得金額要件を85万円以下(現行:75万円以下)に引き上げる。
④ 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を65万円(現行:55万円)に引き上げる。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。
(地方税)
(1)給与所得控除
給与所得控除について、55万円の最低保障額を65万円に引き上げる。
(2)特定親族特別控除(仮称)
① 所得割の納税義務者が生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(その納税義務者の配偶者及び青色事業専従者等を除くものとし、前年の合計所得金額が123万円以下であるものに限る。)で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合には、その納税義務者の前年の総所得金額等から次のとおりの控除額を控除する。

親族等の合計所得金額 控 除 額
58万円超95万円以下
95万円超100万円以下
100万円超105万円以下
105万円超110万円以下
110万円超115万円以下
115万円超120万円以下
120万円超123万円以下
45万円
41万円
31万円
21万円
11万円
6万円
3万円

② その他所要の措置を講ずる。
(3)所得税における(2)から(4)までの見直しに伴う所要の措置
① 同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。
② ひとり親の生計を一にする子の前年の総所得金額等の合計額の要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。
③ 勤労学生の前年の合計所得金額要件を85万円以下(現行:75万円以下)に引き上げる。
④ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和8年度分以後の個人住民税について適用する。
2 金融・証券税制
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等、特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等並びに特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例について、次の措置を講ずる。
① 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等、特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等について、次の措置を講ずる。
イ 令和8年1月1日以後に特定株式を払込みにより取得をした居住者等は、その年において生じた特定株式控除未済額がある場合には、所轄税務署長に対し、その年の前年分の所得税額のうち当該特定株式控除未済額に対応する部分の金額の還付を請求することができることとする。この場合において、その取得をした特定株式の取得価額は、その年分の所得税について特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等の適用を受けた金額(ロにおいて「適用額」という。)と本措置の適用を受けた特定株式控除未済額(ロにおいて「適用特定株式控除未済額」という。)との合計額(当該特定株式が特例控除対象特定株式に該当するものである場合には、当該合計額のうち20億円を超える部分の金額)をその取得に要した金額から控除した金額とする。
(注1)上記の「特定株式控除未済額」とは、その年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額と上場株式等に係る譲渡所得等の金額との合計額が、その年中に払込みにより取得をした特定株式に係る控除対象特定株式の取得に要した金額の合計額に満たない場合におけるその満たない部分の金額のうち、特定新規中小企業者に該当する株式会社等により発行される特定株式に係る控除対象特定株式の取得に要した金額の合計額に相当する金額をいう。
(注2)上記の措置は、その年の前年分の確定申告書に、特定新規中小企業者に該当する株式会社等により発行される特定株式をその年中に払込みにより取得をする見込みである旨その他の事項を記載した書類を添付して、その提出期限までに提出している等の要件を満たす場合に限り、適用できることとする。
ロ 令和8年1月1日以後に特例適用控除対象特定株式を払込みにより取得をした居住者等は、その取得をした年の翌年中に当該特例適用控除対象特定株式の譲渡をした場合(その譲渡が当該特例適用控除対象特定株式に係る上場等の日以後に行われたものである場合その他一定の場合を除く。)には、当該特例適用控除対象特定株式の取得価額は、当該特例適用控除対象特定株式に係る適用額と適用特定株式控除未済額との合計額(20億円を超える場合には、20億円)をその取得に要した金額(当該適用額と当該適用特定株式控除未済額との合計額が20億円を超える場合には、当該金額から当該超える部分の金額を控除した金額)から控除した金額とする。
ハ 特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等について、上記イ及びロと同様の措置を講ずる。
② 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等並びに特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長する。
③ その他所要の措置を講ずる。
(2)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
① 廃止通知の提出等により、開設される非課税口座又は非課税口座に設けられる特定累積投資勘定等について、次の措置を講ずる。
イ 廃止通知の提出等により非課税口座に設けられる特定累積投資勘定については、当該廃止通知の提出等があった日(その勘定を設定しようとする年の1月1日前に当該提出等があった場合には、同日)において設けられることとする。
ロ 非課税口座開設届出書(勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の添付等がされているものに限る。)の提出により開設された口座につき、その提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長が所轄税務署長から非課税口座の開設ができない旨の提供を受けた場合には、その開設された口座は、その開設の時から非課税口座に該当しないこととする。
ハ 勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の提出等により非課税口座に設けられた勘定につき、その提出等を受けた金融商品取引業者等の営業所の長が所轄税務署長から特定累積投資勘定の設定ができない旨の提供を受けた場合には、その設けられた勘定は、その設定の時から特定累積投資勘定及び特定非課税管理勘定に該当しないこととする。
② 特定累積投資勘定に受け入れることができる上場株式投資信託の受益権について、次の措置を講ずる。
イ 累積投資上場株式等の要件のうち上場株式投資信託の受益権の取得対価の額に係る要件について、次の措置を講ずる。
(イ)当該取得対価の額を1口(取得する受益権が共有持分の割合である場合には、1単位)当たり1万円以下(現行:1,000円以下)に引き上げる。
(ロ)下記ロにより、累積投資契約により取得する上場株式投資信託の受益権に含むこととされた上場株式投資信託の受益権については、当該受益権の取得対価の額に係る要件を次に掲げる要件とする。
a 対象商品届出書を提出する日前1月間の公表最終価格の平均が1万円以下であること。
b 対象商品届出書を提出する日の前日の公表最終価格が1万円以下であること。
c 一定の場合を除き、対象商品届出書を提出した日以後において公表最終価格が3万円以下であること。
(注)上記の「公表最終価格」とは、金融商品取引所において公表されたその日における当該上場株式投資信託の受益権の最終の売買の価格等に相当する金額をその一単位当たりの価額として計算した金額をいう。
ロ 対象となる累積投資契約により取得する上場株式投資信託の受益権には、一定額をもって取得することができる上場株式投資信託の受益権(その口数のうち最も多い口数のものに限る。)につき定期かつ継続的な方法による買付けの委託等により取得するものを含むこととする。
③ その他所要の措置を講ずる。
(3)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)について、居住者等が次に掲げる日のいずれか遅い日において未成年者口座を開設している場合には、同日において当該居住者等が、当該未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に未成年者口座廃止届出書の提出をしたものとみなすこととする。
① 当該居住者等の未成年者口座に設けられる非課税管理勘定のうち最も新しい年分の勘定に係る非課税期間終了の日(当該勘定が設けられた日の属する年の1月1日から5年を経過する日をいう。)の翌日又は継続管理勘定に係る非課税期間終了の日(当該居住者等がその年1月1日において18歳である年の前年12月31日をいう。)の翌日のいずれか遅い日
② 令和8年1月1日
(4)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、次に掲げる上場株式等を加える。
① 居住者等が金融商品取引業者等の営業所の長に対し非課税口座開設届出書(勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の添付等がされているものに限る。)の提出をしたことにより開設された口座でその開設の時から非課税口座に該当しないこととされたものにおいて管理されている上場株式等で、その該当しないこととされた日にその金融商品取引業者等の営業所に開設されている特定口座に一定の方法により移管されるもの
② 居住者等が金融商品取引業者等の営業所の長に対し勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の提出等をしたことにより非課税口座に設けられた勘定でその設定の時から特定累積投資勘定及び特定非課税管理勘定に該当しないこととされたものに係る上場株式等で、その該当しないこととされた日にその金融商品取引業者等の営業所に開設されている特定口座に一定の方法により移管されるもの
(5)告知制度について、次の措置を講ずる。
① 次に掲げる告知又は告知書の提出(以下「告知等」という。)をする個人が当該告知等を受ける者に対して当該個人の個人番号の告知又は告知書への記載を要しないこととする措置について、当該告知等を受ける者が、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律(以下「口座管理法」という。)に基づき預金保険機構から当該個人の本人特定事項及び個人番号の通知を受けて当該個人の氏名、住所及び個人番号その他の事項を記載した帳簿を備えている場合には、当該個人は、本措置の適用を受けることができることとする。
イ 利子、配当等の受領者の告知
ロ 無記名公社債の利子等に係る告知書の提出
ハ 譲渡性預金の譲渡等に関する告知書の提出
ニ 株式等の譲渡の対価の受領者の告知
ホ 交付金銭等の受領者の告知
へ 償還金等の受領者の告知
ト 信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知
チ 先物取引の差金等決済をする者の告知
リ 金地金等の譲渡の対価の受領者の告知
ヌ 特定口座開設届出書の提出をする者の告知
ル 非課税口座開設届出書等の提出をする者の告知
ヲ 国外送金等をする者の告知書の提出
ワ 国外証券移管等をする者の告知書の提出
カ 国外電子決済手段移転等をする者の告知書の提出
② 次に掲げる告知書の提出をする個人が当該告知書の提出の際に必要な本人確認書類の提示等を要しないこととする措置について、当該告知書の提出を受ける者が、口座管理法に基づき預金保険機構から当該個人の本人特定事項及び個人番号の通知を受けて当該個人の氏名、住所及び個人番号その他の事項を記載した帳簿を備えている場合には、当該個人は、本措置の適用を受けることができることとする。
イ 国外送金等をする者の告知書の提出
ロ 国外証券移管等をする者の告知書の提出
ハ 国外電子決済手段移転等をする者の告知書の提出
③ その他所要の措置を講ずる。
(6)勤労者財産形成住宅貯蓄非課税制度について、その利子所得等が非課税とされる適格払出しの範囲に、床面積が40㎡以上50㎡未満の認定住宅等(認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいう。)のうち令和7年12月31日までに建築確認を受けたものの新築等に係る費用の支払のための払出しを加える。
(地方税)
 個人住民税について、所得税における〔延長・拡充等〕(1)から(4)まで及び(6)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
3 子育て支援に関する政策税制
(国 税)
(1)生命保険料控除について、次の見直しを行う。
① 新生命保険料に係る一般生命保険料控除について、居住者が年齢23歳未満の扶養親族を有する場合には、令和8年分における当該一般生命保険料控除の控除額の計算を次のとおりとする。

年間の新生命保険料 控 除 額
30,000円以下 新生命保険料の全額
30,000円超60,000円以下 新生命保険料×1/2+15,000円
60,000円超120,000円以下 新生命保険料×1/4+30,000円
120,000円超 一律60,000円

② 旧生命保険料及び上記①の適用がある新生命保険料を支払った場合には、一般生命保険料控除の適用限度額は6万円(現行:4万円)とする。
③ 上記①の見直しに伴い、給与所得者の保険料控除申告書等についてその記載事項の見直しを行う。
④ その他所要の措置を講ずる。
(注)一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額は12万円とする(現行と同じ。)。
(2)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、次の措置を講ずる。
① 特例対象個人が、認定住宅等の新築若しくは認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得又は買取再販認定住宅等の取得(以下「認定住宅等の新築等」という。)をして令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとして本特例の適用ができることとする。

住宅の区分 借入限度額
認定住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円

② 認定住宅等の新築又は認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得に係る床面積要件の緩和措置について、令和7年12月31日以前に建築確認を受けた家屋について適用できることとする。
(注1)「特例対象個人」とは、個人で、年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいう。以下同じ。
(注2)「認定住宅等」とは、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいい、「認定住宅」とは、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう。以下同じ。
(注3)「買取再販認定住宅等」とは、認定住宅等である既存住宅のうち宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われたものをいう。
(注4)上記について、その他の要件等は、現行の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除と同様とする。
(3)東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例について、次の措置を講ずる。
① 特例対象個人である住宅被災者が、認定住宅等の新築等をして令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合の再建住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとして本特例の適用ができることとする。

住宅の区分 借入限度額
認定住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅

② 上記(2)②と同様の措置を講ずる。
(注)上記について、その他の要件等は、現行の東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例と同様とする。
(4)既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除について、特例対象個人が、その者の所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事をして、当該居住用の家屋を令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合を適用対象に追加し、その子育て対応改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除できることとする。
(注)上記について、一定の場合には連年適用ができないことその他の要件等は、現行の既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除と同様とする。
(地方税)
 個人住民税について、所得税における(2)及び(3)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
4 土地税制
(国 税)
〔廃止〕
 帰還・移住等環境整備推進法人に対する土地等の譲渡に係る次に掲げる特例は、令和7年3月31日をもって廃止する(次の(2)の特例は、法人税についても同様とする。)。
(1)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
(2)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除
(地方税)
 個人住民税について、所得税における〔廃止〕(1)及び(2)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
5 租税特別措置等
(国 税)
〔延長・拡充〕
(1)公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税措置について、次の措置を講ずる。
① 申請書の提出があった日から1月以内に国税庁長官の承認をしないことの決定がなかった場合にその承認があったものとみなす特例(以下「承認に係る特例」という。)について、次の措置を講ずる。
イ 対象範囲に、次に掲げる贈与又は遺贈(以下「贈与等」という。)を加える。
(イ)国立健康危機管理研究機構法の施行に伴い同法に基づき設立される国立健康危機管理研究機構(以下「機構」という。)に対する贈与等で、その贈与等に係る財産が一定の手続の下で機構の行う研究開発の実施等の業務に充てるための基金に組み入れられるもの
(ロ)準学校法人に対する贈与等で当該準学校法人の理事、監事、評議員その他これらの者に準ずるもの(その親族等を含む。以下「役員等」という。)以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が当該準学校法人の基本金に組み入れられるもの
(ハ)新たな公益信託制度における公益信託(以下「公益信託」という。)の受託者に対するその信託財産とするための贈与等で当該公益信託の受託者及び信託管理人(これらの者の理事等を含む。)並びにこれらの者の親族等以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が一定の手続の下で当該公益信託の受託者の行う公益信託事務に充てるための基金に組み入れられるもの
ロ 私立学校法の改正に伴い、全ての学校法人に対する贈与等で当該学校法人の役員等以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が当該学校法人の基本金に組み入れられるものについて、承認に係る特例の対象とする。
② 贈与等に係る財産を公益目的事業の用に直接供した日から2年以内に買い換える場合であっても、当該財産が上記①の基金又は基本金に組み入れる方法により管理されている等の要件を満たすときは、当該財産の譲渡収入の全部に相当する金額をもって取得した資産を当該方法により管理する等の一定の要件の下で非課税措置の継続適用を受けることができることとする。
③ 特定一般法人が他の公益法人等に非課税承認を受けた財産を贈与した場合における非課税の継続適用措置について、適用対象に、特定一般法人が公益目的支出計画に基づき当該財産を公益信託の信託財産とする場合を加える。
④ 機構に対する財産の贈与等については、国税庁長官の承認の要件について当該贈与等に係る財産がその贈与等があった日から2年を経過する日までの期間内に、機構のその贈与等に係る公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであることを要件とする。
⑤ 公益法人等が贈与等に係る財産をその公益目的事業の用に直接供しなくなった場合において、当該公益法人等が、その旨その他の事項を記載した届出書に当該財産を当該公益目的事業の用に直接供しなくなったことを明らかにする書類を添付して、これを国税庁長官に提出したときは、国税庁長官は当該財産の贈与等に係る非課税承認を取り消すことができることとする。
⑥ 非課税承認の取消しにより公益信託の受託者に対して所得税を課税する場合には、当該取消しにより生じた信託財産に係る所得について、当該受託者の固有財産に係る所得等とは区別して課税することとするほか、所要の措置を講ずる。
⑦ その他所要の措置を講ずる。
(2)債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例の適用期限を3年延長する。
(3)被災した法人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例の適用期限を3年延長する。
(4)児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業による金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、引き続き所得税を課さないこととする。
(5)ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の住宅支援資金貸付けによる金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、その事業内容の見直し後も引き続き所得税を課さないこととする。
(6)公益法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除制度について、適用対象となる学校法人及び準学校法人が閲覧対象とすべき書類の範囲に、会計監査報告その他一定の書類を加える。
(地方税)
 個人住民税について、所得税における〔延長・拡充〕(1)から(5)までの見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
6 その他
(国 税)
(1)確定拠出年金法等の改正を前提に、確定拠出年金制度等について次の見直しが行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
① 企業型確定拠出年金制度におけるマッチング拠出について、企業型年金加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えることができないとする要件を廃止する。
② 企業型確定拠出年金の拠出限度額を次のとおりとする。
イ 確定給付企業年金制度に加入していない者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)
ロ 確定給付企業年金制度の加入者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額
③ 個人型確定拠出年金制度について、60歳以上70歳未満であって現行の個人型確定拠出年金に加入できない者のうち、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であった者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移換できる者であって、老齢基礎年金及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給していない者を新たに制度の対象とすることとし、その拠出限度額を月額6.2万円とする。
④ 個人型確定拠出年金の拠出限度額を次のとおりとする。
イ 第一号被保険者 月額7.5万円(現行:月額6.8万円)
ロ 企業年金加入者 月額6.2万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(現行:月額2.0万円)
ハ 企業年金に未加入の者(第一号被保険者及び第三号被保険者を除く。) 月額6.2万円(現行:月額2.3万円)
⑤ 国民年金基金の掛金額の上限を月額7.5万円(現行:月額6.8万円)とする。
⑥ その他所要の措置を講ずる。
(2)受益者等の存しない信託である法人課税信託に受益者等が存することとなった場合の所得の金額の計算について、次の見直しを行う。
① 受益者等の存しない信託である法人課税信託が、受益者等が存することとなったことにより法人課税信託に該当しないこととなった場合において、当該法人課税信託が特定法人課税信託であるときは、その信託財産に属する特定株式については、当該特定株式をその該当しないこととなった時における価額により取得したものとみなして、当該受益者等の各年分の各種所得の金額を計算するものとし、当該特定株式のその時の直前の帳簿価額に相当する金額は、当該受益者等のその取得した日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととする。
(注1)上記の「特定法人課税信託」とは、その信託財産に属する特定株式に係る発行法人等が委託者となる受益者等の存しない信託である法人課税信託で、当該特定株式の発行法人の役員等の勤続年数等を勘案して当該役員等が受益者等として指定されるものをいう。
(注2)上記の「特定株式」とは、一定の譲渡制限付株式以外の株式をいう。
(注3)上記(注1)の「発行法人等」とは、特定株式の発行法人、当該発行法人の役員等又は当該役員等と特殊の関係のある個人及び法人をいう。
② その他所要の措置を講ずる。
(3)所得税法及び租税特別措置法等の規定による本人確認の方法について、署名用電子証明書を送信する方法に代えて、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に規定するカード代替電磁的記録を送信する方法によることができることとする。
(4)退職手当等(老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金をいう。以下同じ。)を除く。)の支払を受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払を受けている場合には、当該老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とするほか、老齢一時金に係る退職所得の受給に関する申告書の保存期間を10年(現行:7年)とする。
(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払を受けている場合であって、同日以後に支払を受けるべき退職手当等について適用する。
(5)小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除又は地震保険料控除の適用を受ける者は、現行の次に掲げる書類(以下「控除証明書」という。)の添付又は提示に代えて、当該控除証明書の記載事項を記載した明細書を確定申告書の提出の際に添付できることとする。この場合において、税務署長は、確定申告期限等から5年間、当該控除証明書の提示又は提出を求めることができることとし、当該求めがあったときは、その適用を受ける者は、当該控除証明書の提示又は提出をしなければならない。
① 小規模企業共済等掛金控除の証明書
② 生命保険料控除の証明書
③ 地震保険料控除の証明書
(注)上記の改正は、令和8年分以後の確定申告書を令和9年1月1日以後に提出する場合について適用する。
(6)退職手当等の支払をする者は、退職手当等の支払を受ける全ての居住者(現行:退職手当等の支払をする法人の役員である居住者)に係る退職所得の源泉徴収票を税務署長に提出しなければならないこととするほか、当該源泉徴収票の記載事項について所要の見直しを行う。
(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の源泉徴収票について適用する。
(7)社会医療法人制度における認定要件について、関係法令の改正により次の見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
① 社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加えるとともに、計算の基礎となる全収入金額を医療保健業務による収入金額(補助金等に係る収入金額を含むものとし、経常的なものに限る。)とする。
② 医療診療による収入金額が患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であることとの要件について、現行の医療診療による収入金額及び患者のために直接必要な経費の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、当該収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加える。
③ 本来業務に係る費用の額が経常費用の額の100分の60を超えることとの要件について、現行の本来業務に係る費用の額及び経常費用の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、下限となる割合を100分の63とする。
(注1)上記の「補助金等に係る収入金額」とは、国又は地方公共団体(以下「国等」という。)から交付される補助金その他相当の反対給付を伴わない給付金(固定資産の取得に充てるためのものを除くものとし、国等に代わってその交付に係る事務を行う者から交付されるものを含む。)に係る収入金額及び国等からの委託(国等に代わってその委託に係る事務を行う者からの委託を含む。)を受けて行う事業に係る収入金額であって、医療保健業務(上記②にあっては、本来業務)に係るものをいう。
(注2)上記の「医療保健業務」とは、社会医療法人の本来業務及び附帯業務(医業及びこれに類する業務、介護サービスに係る業務並びに障害福祉サービスに係る業務に限る。)をいう。
(8)社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(9)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正を前提に、先端技術研究成果活用機構(仮称)を公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(10)独立行政法人男女共同参画機構法(仮称)の制定を前提に、独立行政法人男女共同参画機構(仮称)を公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(11)土地改良法の改正により土地改良区、土地改良区連合及び土地改良事業団体連合会の解散時の財産処分に係る見直し等が行われた後も、引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(12)日本学術会議法(仮称)の制定を前提に、日本学術会議の法人化により新たに設立される法人を公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(13)厚生年金保険法の遺族厚生年金等について、厚生年金保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(14)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により引き続き支給されることとなる特別弔慰金について、次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(15)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
③ 障害年金を受けている者等を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(地方税)
〈個人住民税〉
(1)退職手当等(老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金をいう。以下同じ。)を除く。)の支払を受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払を受けている場合には、当該老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とするほか、老齢一時金に係る退職所得申告書の保存期間を10年(現行:7年)とする。
(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払を受けている場合であって、同日以後に支払を受けるべき退職手当等について適用する。
(2)個人住民税の申告において、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除又は地震保険料控除の適用を受ける者は、現行の次に掲げる書類(以下「控除証明書」という。)の添付又は提示に代えて、当該控除証明書の記載事項を記載した明細書を個人住民税の申告書の提出の際に添付できることとする。この場合において、市町村長は、法定納期限の翌日から5年間、当該控除証明書の提示又は提出を求めることができることとし、当該求めがあったときは、その適用を受ける者は、当該控除証明書の提示又は提出をしなければならない。
① 小規模企業共済等掛金控除の証明書
② 生命保険料控除の証明書
③ 地震保険料控除の証明書
(注)上記の改正は、令和9年度分以後の個人住民税の申告書を令和9年1月1日以後に提出する場合について適用する。
(3)退職手当等の支払をする者は、退職手当等の支払を受ける全ての納税義務者(現行:退職手当等の支払をする法人の役員である納税義務者)に係る退職所得の特別徴収票を市町村長に提出しなければならないこととするほか、当該特別徴収票の記載事項について所要の見直しを行う。
(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の特別徴収票について適用する。
(4)個人住民税について、所得税における(1)から(3)まで、(10)及び(13)から(15)までの見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(5)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
〈国民健康保険税〉
(6)国民健康保険税の基礎課税額等に係る課税限度額について、次のとおりとする。
① 基礎課税額に係る課税限度額を66万円(現行:65万円)に引き上げる。
② 後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を26万円(現行:24万円)に引き上げる。
(7)国民健康保険税の減額の対象となる所得の基準について、次のとおりとする。
① 5割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者等の数に乗ずべき金額を30.5万円(現行:29.5万円)に引き上げる。
② 2割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者等の数に乗ずべき金額を56万円(現行:54.5万円)に引き上げる。

二 資産課税
1 租税特別措置等
(国 税)
〔延長・拡充等〕
〈相続税・贈与税〉
(1)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(2)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度における営農困難時貸付け及び山林に係る相続税の納税猶予制度における特例山林の経営委託の適用を受けることができる事由に、介護医療院へ入所したことを加える。
(3)個人の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度における事業従事要件について、贈与の直前において(現行:贈与の日まで引き続き3年以上)特定事業用資産に係る事業に従事していたこととする。
(4)非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例制度における役員就任要件について、贈与の直前において(現行:贈与の日まで引き続き3年以上)特例認定贈与承継会社の役員等であることとする。
(注)上記(3)及び(4)の改正は、令和7年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。
〈登録免許税〉
(5)信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を1,000分の2(現行:1,000分の1.5)に引き上げた上、その適用期限を3年延長する。
(6)農業信用基金協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を1,000分の2(現行:1,000分の1.5)に引き上げた上、その適用期限を3年延長する。
(7)日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を1,000分の2(現行:1,000分の1.5)に引き上げた上、その適用期限を3年延長する。
(8)食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律の改正を前提に、産業競争力強化法の事業再編計画の認定があったものとみなされる改正後の食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律の認定を受けた持続的供給事業活動計画(仮称)に基づき行う合併の登記等について、産業競争力強化法の認定事業再編計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の対象とする。
(9)特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(10)特例事業者等が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が不動産の取得後に新築等又は特定増築等に着手するまでの期間に係る要件を、不動産の取得後3年以内(現行:2年以内)とする。
② 特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が取得する建替え又は特定増築等をすることが必要な建築物の築年数要件を、新築の日から15年(現行:10年)を経過したこととする。
(11)相続に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を2年延長する。
〈印紙税〉
(12)特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を3年延長する。
〔廃止〕
〈登録免許税〉
 帰還・移住等環境整備推進法人が取得をした不動産に係る所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(地方税)
〔新設〕
〈固定資産税〉
 鉄軌道事業者が豪雨対策のために取得した一定の償却資産(次の線区に存するものに限る。)に係る固定資産税について、課税標準を最初の5年間価格の3分の2(一定の鉄軌道事業者については4分の3)とする特例措置を令和9年3月31日まで講ずる。
① 1日当たりの片道断面輸送量が1万人未満の線区
② 1日当たりの片道断面輸送量が1万人以上15万人未満の線区(一定の鉄軌道事業者の線区を除く。)
③ 1日当たりの片道断面輸送量が15万人以上の線区であって、貨物運送を行う列車又は運賃のほかに特別の料金の定めがある旅客運送を行う列車が運行する線区(一定の鉄軌道事業者の線区を除く。)
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)中小企業等経営強化法に規定する先端設備等導入計画に基づき、中小事業者等が取得する生産性向上や賃上げに資する一定の機械・装置等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 対象資産を雇用者給与等支給額の引上げの方針を位置づけた同計画に基づき取得する一定の機械・装置等に限定する。
② 当該機械・装置等に係る課税標準を、次のとおり(現行:最初の3年間価格の2分の1(雇用者給与等支給額を1.5%以上引き上げる方針を同計画に位置づけた場合は、令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に取得されるものは最初の5年間価格の3分の1、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に取得されるものは最初の4年間価格の3分の1))とする。
イ 雇用者給与等支給額を1.5%以上引き上げる方針を同計画に位置づけた場合 最初の3年間価格の2分の1
ロ 雇用者給与等支給額を3%以上引き上げる方針を同計画に位置づけた場合 最初の5年間価格の4分の1
(2)令和2年7月豪雨により滅失・損壊した償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間に取得等をした償却資産に係る固定資産税については、被災代替償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を引き続き適用できることとする。
(3)令和7年度分及び令和8年度分の令和2年7月豪雨による被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税については、被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置を引き続き適用できることとする。
(4)令和2年7月豪雨により滅失・損壊した家屋に代わるものとして一定の被災地域内で令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間に取得等をした家屋に係る固定資産税及び都市計画税については、被災代替家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置を引き続き適用できることとする。
(5)港湾法の改正を前提に、南海トラフ地震防災対策推進地域、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域及び首都直下地震緊急対策区域において、国の無利子資金の貸付けを受けて改良された同法に規定する特別特定技術基準対象施設である護岸、岸壁及び物揚場に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
① 対象地域を全国(現行:南海トラフ地震防災対策推進地域、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域及び首都直下地震緊急対策区域)に拡大する。
② 対象資産を政府の補助を受けて同法に規定する協働防護計画(仮称)が作成された国際戦略港湾、国際拠点港湾又は重要港湾において新たに取得され、又は改良された協定特定港湾施設(仮称)であって国土交通大臣が認めた護岸、岸壁、物揚場、防潮堤、堤防及び胸壁(現行:国の無利子資金の貸付けを受けて改良された同法に規定する特別特定技術基準対象施設である護岸、岸壁及び物揚場)とする。
(6)公害防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象資産に資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律に規定する廃棄物処理施設又は設備を加える。
(7)社会福祉事業の用に供する一定の固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、対象に妊婦等包括相談支援事業及び乳児等通園支援事業の用に供する固定資産を加える。
(8)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づき、国又は地方公共団体により選定された選定事業者が、選定事業により整備する公共施設のうち公共代替性が高く、民間競合のおそれのない施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(9)特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律に規定する認定導入計画に基づき、電波法の規定によりローカル5G無線局に係る免許を受けた者が、新たに取得した一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、適用対象となるシステムをその主たる用途が住宅用のインターネットサービスの提供であるものとする等の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(10)公益社団法人又は公益財団法人が文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する土地及び家屋に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(11)農業協同組合等が農業近代化資金等の貸付けを受けて取得した農林漁業者等の共同利用に供する機械及び装置に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(12)所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域福利増進事業を実施する者が当該事業の用に供する一定の土地及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(13)都市再開発法に規定する市街地再開発事業の施行に伴い従前の権利者が取得した一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(14)特定都市河川浸水被害対策法に規定する貯留機能保全区域の指定を受けた土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(15)自転車活用推進法に規定する市町村自転車活用推進計画に基づくシェアサイクル事業のうち、都市再生特別措置法に規定する立地適正化計画の都市機能誘導区域内において新たに取得した一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(16)密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得した一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(17)長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額措置について、マンション管理組合の管理者等から市町村長に必要書類等の提出があり、減額措置の要件に該当すると認められるときは、当該マンションの区分所有者から減額措置に係る申告書の提出がなかった場合においても、当該減額措置を適用することができることとした上、その適用期限を2年延長する。
(18)鉄軌道事業者が政府の補助を受けて取得した車両の運行の安全性の向上に資する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(19)鉄軌道事業者が取得した新造車両で高齢者、障害者等の移動等の円滑化に資する一定の構造を有する車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(20)都市鉄道等利便増進法に規定する都市鉄道利便増進事業により取得した鉄道施設に対して、次の措置を講ずる。
① 鉄軌道事業者又は一定の第三セクター若しくは独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が取得した駅施設の用に供する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
② 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が整備した線路設備等のうち市街化区域のトンネルに係る固定資産税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(21)地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する鉄道事業再構築事業を実施する路線において政府の補助を受けて取得した一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(22)鉄道事業者等がその事業の用に供する鉄道施設等を高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する公共交通移動等円滑化基準に適合させるために実施する一定の鉄道駅等の改良工事により取得した一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(23)国際戦略港湾及び一定の要件を満たす国際拠点港湾において、港湾運営会社が、国の無利子資金の貸付け又は補助を受けて取得した一定の荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(24)特定貨物輸入拠点港湾において、特定貨物取扱埠頭の整備を図るため、港湾管理者が作成する特定利用推進計画の一定の事業を実施する者が、政府の補助を受けて取得した荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(25)防災上重要な道路等における無電柱化のため、道路の地下に埋設するために新設した電線等に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(26)政府の補助を受けて新築された一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(27)鉄軌道事業者が首都直下地震・南海トラフ地震に備えた鉄道施設等の耐震補強工事によって新たに取得した一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(28)農地等の生前一括贈与に係る不動産取得税の徴収猶予制度について、営農困難時貸付けの適用を受けることができる事由に、農業に従事することが困難な故障として介護医療院への入所を加える。
(29)中小事業者等が中小企業等経営強化法に規定する認定経営力向上計画に従って行う事業の譲受けにより取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、適用対象に企業グループ内の法人間で行われる一定の事業の譲受けにより取得した場合を加える。
(30)不動産特定共同事業法に規定する特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が不動産の取得後に新築等又は特定増築等に着手するまでの期間に係る要件を、不動産の取得後3年以内(現行:2年以内)とする。
② 特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が取得する建替え又は特定増築等をすることが必要な建築物の築年数要件を、新築の日から15年(現行:10年)を経過したこととする。
(31)社会福祉事業の用に供する一定の不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に妊婦等包括相談支援事業及び乳児等通園支援事業の用に供する不動産を加える。
(32)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づき、国又は地方公共団体により選定された選定事業者が、選定事業により整備する公共施設のうち公共代替性が高く、民間競合のおそれのない施設の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(33)預金保険法に規定する協定銀行が協定の定めにより内閣総理大臣のあっせんを受けて行う破綻金融機関等の事業の譲受け又は預金保険機構の委託を受けて行う資産の買取りにより取得した不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(34)保険業法に規定する協定銀行が協定の定めにより保険契約者保護機構の委託を受けて行う破綻保険会社等の資産の買取りにより取得した不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(35)公益社団法人又は公益財団法人が取得した文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(36)農地中間管理事業の推進に関する法律の規定による公告があった農用地利用集積等促進計画等に基づき取得した農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(37)農業協同組合等が農業近代化資金等の貸付けを受けて取得した農林漁業経営の近代化又は合理化のための共同利用施設に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(38)都市再生特別措置法の規定による公告があった居住誘導区域等権利設定等促進計画に基づく移転により取得した不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(39)宅地建物取引業者が取得した既存住宅及び当該既存住宅の用に供する土地について、一定の増改築等を行った上、取得の日から2年以内に耐震基準適合要件を満たすもの等として個人に販売し、自己の居住の用に供された場合に係る不動産取得税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(40)特定目的会社が資産流動化計画に基づき取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(41)信託会社等が投資信託により取得した一定の不動産及び投資法人が取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(42)政府の補助を受けて新築された一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置及び当該住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置の適用期限を2年延長する。
〈事業所税〉
(43)民間都市開発推進機構が参加業務として行う不動産販売業及び不動産貸付業について、都市再生特別措置法の改正後も引き続き収益事業から除外される事業として、事業所税を非課税とする措置を講ずる。
(44)社会福祉事業の用に供する施設に係る事業所税の非課税措置について、対象に妊婦等包括相談支援事業及び乳児等通園支援事業の用に供する施設を加える。
(45)沖縄振興特別措置法に規定する観光地形成促進地域における特定民間観光関連施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(46)沖縄振興特別措置法に規定する情報通信産業振興地域における一定の情報通信産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(47)沖縄振興特別措置法に規定する産業イノベーション促進地域における一定の産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(48)沖縄振興特別措置法に規定する国際物流拠点産業集積地域における一定の産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)政府の補助を受けて取得した一定の燃料電池自動車用水素充塡設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象となる燃料電池自動車用水素充塡設備の取得価額要件を3億円以上(現行:1億5,000万円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(2)都市緑地法に規定する緑地保全・緑化推進法人が同法に規定する認定計画に基づき設置した市民緑地の用に供する土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、市民緑地が設置される前と比して緑化施設の面積が増加すること等の要件を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(3)鉄軌道事業者が取得した新造車両等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 一定の鉄軌道事業者が取得した改良車両に係る固定資産税について、課税標準を最初の5年間価格の4分の3(現行:3分の2)とする。
② 一定の鉄軌道事業者について、適用対象となる改良車両に一定の環境性能要件を加える。
(4)平成28年熊本地震による被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止する。
(5)平成28年熊本地震により滅失・損壊した家屋に代わるものとして一定の被災地域内で取得等をした家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置を廃止する。
(6)平成30年7月豪雨により滅失・損壊した償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で取得等をした償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止する。
(7)平成30年7月豪雨による被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止する。
(8)平成30年7月豪雨により滅失・損壊した家屋に代わるものとして一定の被災地域内で取得等をした家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置を廃止する。
(9)福島復興再生特別措置法に規定する帰還・移住等環境整備推進法人が同法に規定する帰還・移住等環境整備事業計画に基づき一定の事業の用に供する土地及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止する。
〈不動産取得税〉
(10)福島復興再生特別措置法に規定する帰還・移住等環境整備推進法人が同法に規定する帰還・移住等環境整備事業計画に基づき取得した一定の土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止する。
〈事業所税〉
(11)子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた者が設置する一定の保育施設において行う事業に係る事業所税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じた上、廃止する。
2 その他
(国 税)
(1)相続税の物納制度における物納許可限度額等について、物納許可限度額の計算の基礎となる延納年数は納期限等における申請者の平均余命の年数を上限とする等の見直しを行う。
(2)関係法令の改正を前提に、医療法人の移行計画の認定要件について次の見直しが行われた後も、その見直し後の認定医療法人について、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等を適用する。
① 社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加えるとともに、計算の基礎となる全収入金額を医療保健業務による収入金額(補助金等に係る収入金額を含むものとし、経常的なものに限る。)とする。
② 医療診療による収入金額が患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であることとの要件について、現行の医療診療による収入金額及び患者のために直接必要な経費の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、当該収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加える。
(注1)上記の「補助金等に係る収入金額」とは、国又は地方公共団体(以下「国等」という。)から交付される補助金その他相当の反対給付を伴わない給付金(固定資産の取得に充てるためのものを除くものとし、国等に代わってその交付に係る事務を行う者から交付されるものを含む。)に係る収入金額及び国等からの委託(国等に代わってその委託に係る事務を行う者からの委託を含む。)を受けて行う事業に係る収入金額であって、医療保健業務(上記②にあっては、本来業務)に係るものをいう。
(注2)上記の「医療保健業務」とは、医療法人の本来業務及び附帯業務(医業及びこれに類する業務、介護サービスに係る業務並びに障害福祉サービスに係る業務に限る。)をいう。
(3)農業経営基盤強化促進法の改正に伴い、農地所有適格法人について、議決権要件の特例が措置された後も、現行の農地所有適格法人に講じられている農用地利用集積等促進計画に基づき農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置等を適用する。
(4)土地改良法の改正を前提に、改正後の土地改良事業について、土地改良事業の施行のため必要な土地又は建物に関する登記に対する登録免許税の非課税措置を引き続き適用する。
(5)独立行政法人男女共同参画機構法(仮称)の制定を前提に、独立行政法人男女共同参画機構(仮称)を非課税法人(登録免許税法別表第二、印紙税法別表第二)とする。
(6)関係法律の改正を前提に、国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、引き続き登録免許税法別表第三(登録免許税の非課税登記等)掲名法人とする。
(7)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正を前提に、先端技術研究成果活用機構(仮称)が業務の用に供する建物の所有権の取得登記に対する登録免許税を非課税とする措置(登録免許税法別表第三)を講ずる。
(8)地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律に規定する生物多様性維持協定が締結された一定の土地の相続税等における評価方法について、同協定が締結されていないものとして評価した価額から、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除して評価することを明確化する。
(9)独立行政法人日本学生支援機構法に基づき独立行政法人日本学生支援機構等が行う学資の支給に係る業務に関する文書で同機構等が作成するものについては、印紙税を課さないこととする。
(10)社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、同基金が作成する一定の業務に関する文書については、引き続き印紙税を課さないこととする。
(11)健康増進法の改正を前提に、国民健康保険団体連合会が市町村からの委託を受けて行う検診等に係る業務に関する文書で同連合会が作成するものについては、印紙税を課さないこととする。
(12)予防接種法の改正に伴い、国民健康保険団体連合会が市町村長又は都道府県知事からの委託を受けて行う定期の予防接種等の実施事務等に係る業務に関する文書で同連合会が作成するものについては、印紙税を課さないこととする。
(13)母子保健法の改正に伴い、国民健康保険団体連合会が市町村からの委託を受けて行う健康診査等に係る業務に関する文書で同連合会が作成するものについては、印紙税を課さないこととする。
(14)日本学術会議法(仮称)の制定を前提に、日本学術会議の法人化により新たに設立される法人を非課税法人(印紙税法別表第二)とする。
(15)新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を令和7年8月31日まで延長する。
(16)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により引き続き支給されることとなる特別弔慰金について、特別弔慰金に関する書類及び特別弔慰金国債を担保とする金銭の貸借に関する書類には、印紙税を課さないこととする。
(17)土地改良法の改正を前提に、土地改良事業に係る見直し等が行われた後も、土地改良区等を引き続き印紙税の非課税法人とする。
(地方税)
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)関係法令の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
(2)関係法令の改正を前提に、農地所有適格法人がアグリビジネス投資育成株式会社から過半出資を受けることが可能になった後も、現行制度と同様に、中小企業等経営強化法に規定する先端設備等導入計画に基づき、中小事業者等が取得する生産性向上や賃上げに資する一定の機械・装置等に係る固定資産税の課税標準の特例措置を講ずる。
(3)土地改良法の改正を前提に、改正後の土地改良区、土地改良区連合及び土地改良事業団体連合会について、現行制度と同様の措置を講ずる。
〈不動産取得税〉
(4)関係法令の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
(5)農業経営基盤強化促進法の改正により新たに措置された議決権要件の特例の適用を受ける農地所有適格法人についても、現行制度と同様の措置を講ずる。
(6)土地改良法の改正を前提に、改正後の土地改良区、土地改良区連合及び土地改良事業団体連合会について、現行制度と同様の措置を講ずる。
〈事業所税〉
(7)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① マンション除却組合(仮称)を公益法人等とみなして、収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
② マンション建替組合及びマンション敷地売却組合のマンション再生組合(仮称)及びマンション等売却組合(仮称)への改組後も、引き続き公益法人等とみなして、収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
③ 敷地分割組合の業務範囲の見直し後も、引き続き公益法人等とみなして、収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(8)社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、同基金が行う事業に係る事業所税について、引き続き非課税とする措置を講ずる。
(9)日本学術会議法(仮称)の制定を前提に、日本学術会議の法人化により新たに設立される法人が行う収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(10)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正を前提に、先端技術研究成果活用機構(仮称)が行う収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(11)関係法令の改正を前提に、公益法人等の収益事業から除外される医療保健業の要件の見直し及び社会医療法人制度における認定要件の見直しが行われた後も、社会医療法人、福祉病院事業法人、オープン病院事業法人及び公的医療機関に該当する病院等を設置する農業協同組合連合会が行う収益事業以外の事業に係る事業所税について、引き続き非課税とする措置を講ずる。
(12)土地改良法の改正により次の法人の解散時の財産処分に係る見直し等が行われた後も、引き続き次の措置を講ずる。
① 土地改良区又は土地改良区連合が行う事業に対する事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
② 土地改良事業団体連合会が行う収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。

三 法人課税
1 地方創生や活力ある地域経済の実現
(国 税)
(1)中小企業者等の法人税の軽減税率の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 所得の金額が年10億円を超える事業年度について、所得の金額のうち年800万円以下の金額に適用される税率を17%(現行:15%)に引き上げる。
② 適用対象法人の範囲から通算法人を除外する。
(2)中小企業投資促進税制について、関係法令の改正を前提にみなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から、その判定対象である法人が農地法に規定する農地所有適格法人である場合で、かつ、一定の承認会社がその農地所有適格法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその株式又は出資を除外した上、その適用期限を2年延長する(適用期限の延長は、所得税についても同様とする。)。
(注)上記の「一定の承認会社」とは、農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法に規定する承認会社のうち地方公共団体、農業協同組合、農業協同組合連合会、農林中央金庫又は株式会社日本政策金融公庫がその総株主の議決権の過半数を有しているものをいう。
(3)中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する(次の①の措置及び④の措置を除き、所得税についても同様とする。)。
① 関係法令の改正を前提に、次の措置を講ずる。
イ 特定経営力向上設備等に、その投資計画における年平均の投資利益率が7%以上となることが見込まれるものであること及び経営規模の拡大を行うものとして経済産業大臣が定める要件に適合することにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備(機械装置、工具、器具備品、建物及びその附属設備並びにソフトウエアで、一定の規模以上のもの)を追加する。
(注1)経済産業大臣が定める要件は、次の要件とする。
(イ)売上向上のための施策及び設備投資時期を示した行程表(ロードマップ)を作成していること。
(ロ)基準事業年度の売上高が10億円超90億円未満であること。
(注)上記の「基準事業年度」とは、経営力向上計画の認定を申請する事業年度の直前の事業年度をいう。
(ハ)売上高100億円超を目指すための事業基盤、財務基盤及び組織基盤が整っていること。
(ニ)売上高100億円超及び年平均10%以上の売上高成長率を目指す投資計画であること。
(ホ)次の要件を満たす設備投資を行う投資計画であること。
a 導入予定の設備が、売上高の増加に貢献するものであること。
b 経営力向上計画の認定を受けた日から2年以内に導入予定の設備の取得価額の合計額が、1億円と基準事業年度の売上高の5%相当額とのいずれか高い金額以上であること。
c 生産性の向上に資する設備の導入に伴い建物及びその附属設備の新設又は増設をするものであること。
(へ)投資計画の計画期間中において、給与等の支給額を増加させるものであること。
(ト)上記のほか、売上高100億円超を目指すために必要とされる要件を満たすこと。
(注2)上記の設備には、医療保健業を行う事業者が取得等をするもの及び発電の用に供する設備で主として電気の販売を行うために取得等をするものを含まないこととする。
(注3)上記の「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいう((イ)、(ロ)及び(ニ)の設備については、現行の特定経営力向上設備等と同様とする。)。
(イ)機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
(ロ)工具及び器具備品 それぞれ1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
(ハ)建物及びその附属設備 一の建物及びその附属設備の取得価額の合計額が1,000万円以上のもの
(ニ)ソフトウエア 一の取得価額が70万円以上のもの
ロ 上記イの設備について、普通償却限度額との合計でその取得価額まで(建物及びその附属設備については、その取得価額の15%又は25%)の特別償却とその取得価額の7%(建物及びその附属設備については、1%又は2%)の税額控除との選択適用ができることとする。なお、一定の中小企業者等が取得等をする上記イの設備(建物及びその附属設備を除く。)の税額控除率は10%とする。ただし、上記イの設備の取得価額の合計額のうち本制度の対象となる金額は60億円を限度とする。
(注1)建物及びその附属設備の特別償却率又は税額控除率は、その建物及びその附属設備を事業の用に供する事業年度(以下「供用年度」という。)の給与増加割合が2.5%以上である場合には、それぞれ15%又は1%とし、供用年度の給与増加割合が5%以上である場合には、それぞれ25%又は2%とする。ただし、供用年度の給与増加割合が2.5%未満の場合又は上記イの投資計画に記載された供用年度の給与増加割合が2.5%未満の場合には、建物及びその附属設備については、特別償却及び税額控除は適用できないこととする。
(注2)上記の「給与増加割合」とは、その事業年度における雇用者給与等支給額からその事業年度の前事業年度における雇用者給与等支給額を控除した金額のその事業年度の前事業年度における雇用者給与等支給額に対する割合をいう。
(注3)上記の「雇用者給与等支給額」とは、法人の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内の事業所に勤務する雇用者に対する給与等の支給額をいう。
(注4)上記の「一定の中小企業者等」とは、中小企業者等のうち、資本金の額又は出資金の額が3,000万円を超える法人(農業協同組合等及び商店街振興組合を除く。)以外の法人をいう。
ハ 上記イの経済産業大臣の確認を受けた中小企業者等は、その確認を受けた投資計画の計画期間中は、中小企業投資促進税制及び中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用を受けることができないこととする。
② 関係法令の改正を前提に、特定経営力向上設備等について、上記①イのほか、次の見直しを行う。
イ 一定の時期に発売された設備で、旧モデル比で経営力の向上の指標が年平均1%以上向上するものであるものの経営力の向上の指標について、単位時間当たり生産量、歩留まり率又は投入コスト削減率のいずれかにより評価することとする。
ロ その投資計画における年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれるものであることにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備の投資利益率を7%に引き上げる。
ハ 次の設備を除外する。
(イ)遠隔操作、可視化又は自動制御化に関する投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備(デジタル化設備)
(ロ)暗号資産マイニング業の用に供する設備
③ 食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律の改正を前提に、中小企業者等が、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定があったものとみなされる改正後の食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律の認定を受けた持続的供給事業活動計画(仮称)に記載された経営力向上設備等の取得等をする場合のその経営力向上設備等について、改正後の本制度の対象とする。
④ 関係法令の改正を前提に、みなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から、その判定対象である法人が農地法に規定する農地所有適格法人である場合で、かつ、一定の承認会社がその農地所有適格法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の50%を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその株式又は出資を除外する。
(4)地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 特別償却率を50%に、税額控除率を5%に、それぞれ引き上げる措置について、次の措置を講ずる。
イ 本措置の対象に、次の要件の全てを満たす場合を加える。
(イ)その承認地域経済牽引事業者のその承認地域経済牽引事業が、その承認の際に適合すると認められた地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律に規定する同意基本計画において次の要件を満たすものとして指定された業種(以下「指定業種」という。)に該当すること又は指定業種に該当する事業を行う事業者と直接の取引関係を有する一定の事業に該当すること。
a その地方公共団体におけるその業種の付加価値額の増加率又はその付加価値額のその県内総付加価値額に占める割合が全国平均に比して一定水準以上であること。
b その地方公共団体におけるその業種の売上高の総額、就業者の総数又は給与の総額のいずれかについて、直近5年間の伸び率が10%以上であること。
c その地方公共団体において、その業種の振興に関する具体的な目標等を定めており、予算措置等の具体的な取組が実施されていること。
(ロ)その承認地域経済牽引事業計画に定められた施設又は設備を構成する減価償却資産の取得予定価額の合計額が10億円以上であること。
(ハ)その承認地域経済牽引事業が1億円以上の付加価値額を創出すると見込まれるものであること。
(ニ)その承認地域経済牽引事業について、労働生産性の伸び率及び投資収益率が一定水準以上となることが見込まれること。
ロ 本措置の対象である直前事業年度における付加価値額の増加率が8%以上である場合について、その要件にその承認地域経済牽引事業が1億円以上の付加価値額を創出すると見込まれるものであることを加える。
ハ 労働生産性の伸び率が4%以上となることが見込まれることとの要件におけるその対象である中小企業者の範囲について、所要の措置を講ずる。
② 機械装置及び器具備品の特別償却率を35%(現行:40%)に引き下げる。
③ 特定地域経済牽引事業施設等に係る投資規模要件を1億円以上(現行:2,000万円以上)に引き上げる。
④ 承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件について、次の見直しを行う。
イ 対象となる事業類型からサプライチェーンの強じん化に資する類型を除外する。
ロ 要件に、労働生産性の伸び率又は投資収益率が一定水準以上となることが見込まれることとの要件を加える。
ハ 先進性に係る要件について、次の運用の改善を行う。
(イ)労働生産性の伸び率又は投資収益率が一定水準以上となることが見込まれることの確認を不要とする。
(ロ)先進性が認められない事業の明確化その他の評価委員の評価精度の向上に向けた措置を講ずる。
ニ 減価償却資産の取得予定価額の合計額に係る規模要件を1億円以上(現行:2,000万円以上)に引き上げる。
ホ 対象事業を行う承認地域経済牽引事業者(以下「対象事業者」という。)が取得する予定の減価償却資産の取得予定価額がその対象事業者の前事業年度における減価償却費の額の20%以上の額であることとの要件について、次の見直しを行う。
(イ)前事業年度における減価償却費の額について、会社法の適用のない法人からの出資が過半数である場合の算出方法を明確化する。
(ロ)前事業年度における減価償却費の額に乗ずる割合を25%に引き上げる。
(5)認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除制度について、関係法令等が改正され、次の措置が講じられることを前提に、その適用期限を3年延長する。
① まち・ひと・しごと創生寄附活用事業(以下「寄附活用事業」という。)を実施した認定地方公共団体は、寄附活用事業の完了の時及び各会計年度終了の時に、寄附活用事業を適切に実施していることを確認した書面(以下「確認書面」という。)を内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。ただし、次のいずれかに該当する場合には、それぞれ次の日以後速やかに内閣総理大臣に確認書面を提出しなければならないこととする。
イ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者とその寄附活用事業に関連する寄附金を支出した法人又はその法人の関係会社(以下「寄附法人等」という。)との間に取引等の関係があるとき その寄附金を支出した法人からその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した日
ロ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者がその寄附活用事業に係る事業の契約の相手方となったとき その契約の締結の日
ハ 寄附活用事業に係る事業の歳出予算がその認定地方公共団体の議会において議決される前にその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合 その寄附金を受領した日
② 認定地方公共団体が、その実施する寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合において、その寄附活用事業に係る契約等が次のいずれかに該当するときは、その認定地方公共団体は内閣総理大臣にその寄附金を支出した法人の名称を報告するとともに、その寄附金を支出した法人の名称を公表することとする。ただし、寄附金を支出した法人がその名称の公表を希望しない場合であって、その公表を希望しない理由が正当であることについて、その寄附金を受領した認定地方公共団体が第三者を含む審議会等の確認を受けたときは、公表しないことができることとする。
イ その寄附活用事業に係る事業の入札において応札者が一の者又は一の者とその者の関係者のみであり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合
ロ その寄附活用事業に係る事業に関する契約が随意契約(少額のものを除く。)であり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合
ハ その寄附活用事業に係る補助金の交付申請者が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その補助金の交付先等が寄附法人等である場合
ニ その寄附活用事業に係る負担金の拠出先が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その負担金の拠出先等が寄附法人等である場合
③ 上記②の報告を受けた内閣総理大臣は、その報告を受けた寄附活用事業及び寄附金を支出した法人の名称(その名称を公表しない場合は、その理由)を公表することとする。
④ 認定地方公共団体は、寄附活用事業に係る事業について、一般競争入札、指名競争入札又は随意契約(少額のものを除く。)により契約の相手方を選定した場合には、その寄附活用事業に係る契約の相手方を公表することとする。
⑤ 地域再生計画の認定の取消しを受けた地方公共団体は、その取消しの日から起算して2年を経過するまでは、地域再生計画の認定を受けることができないこととする。ただし、地方公共団体が自ら認定の取消しを申し出たことにより地域再生計画の認定が取り消された場合(地域再生計画の認定が取り消されることを予見して申し出た場合を除く。)は、この限りでない。
⑥ その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)国税(2)の見直し及び延長に伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を法人住民税に適用する。
(2)国税(3)の見直し及び延長に伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を法人住民税に適用する。
(3)国税(4)の見直し及び延長に伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
(4)認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人住民税法人税割額及び法人事業税額の特別控除制度について、関係法令等が改正され、次の措置が講じられることを前提に、その適用期限を3年延長する。
① まち・ひと・しごと創生寄附活用事業(以下「寄附活用事業」という。)を実施した認定地方公共団体は、寄附活用事業の完了の時及び各会計年度終了の時に、寄附活用事業を適切に実施していることを確認した書面(以下「確認書面」という。)を内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。ただし、次のいずれかに該当する場合には、それぞれ次の日以後速やかに内閣総理大臣に確認書面を提出しなければならないこととする。
イ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者とその寄附活用事業に関連する寄附金を支出した法人又はその法人の関係会社(以下「寄附法人等」という。)との間に取引等の関係があるとき その寄附金を支出した法人からその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した日
ロ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者がその寄附活用事業に係る事業の契約の相手方となったとき その契約の締結の日
ハ 寄附活用事業に係る事業の歳出予算がその認定地方公共団体の議会において議決される前にその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合 その寄附金を受領した日
② 認定地方公共団体が、その実施する寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合において、その寄附活用事業に係る契約等が次のいずれかに該当するときは、その認定地方公共団体は内閣総理大臣にその寄附金を支出した法人の名称を報告するとともに、その寄附金を支出した法人の名称を公表することとする。ただし、寄附金を支出した法人がその名称の公表を希望しない場合であって、その公表を希望しない理由が正当であることについて、その寄附金を受領した認定地方公共団体が第三者を含む審議会等の確認を受けたときは、公表しないことができることとする。
イ その寄附活用事業に係る事業の入札において応札者が一の者又は一の者とその者の関係者のみであり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合
ロ その寄附活用事業に係る事業に関する契約が随意契約(少額のものを除く。)であり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合
ハ その寄附活用事業に係る補助金の交付申請者が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その補助金の交付先等が寄附法人等である場合
ニ その寄附活用事業に係る負担金の拠出先が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その負担金の拠出先等が寄附法人等である場合
③ 上記②の報告を受けた内閣総理大臣は、その報告を受けた寄附活用事業及び寄附金を支出した法人の名称(その名称を公表しない場合は、その理由)を公表することとする。
④ 認定地方公共団体は、寄附活用事業に係る事業について、一般競争入札、指名競争入札又は随意契約(少額のものを除く。)により契約の相手方を選定した場合には、その寄附活用事業に係る契約の相手方を公表することとする。
⑤ 地域再生計画の認定の取消しを受けた地方公共団体は、その取消しの日から起算して2年を経過するまでは、地域再生計画の認定を受けることができないこととする。ただし、地方公共団体が自ら認定の取消しを申し出たことにより地域再生計画の認定が取り消された場合(地域再生計画の認定が取り消されることを予見して申し出た場合を除く。)は、この限りでない。
⑥ その他所要の措置を講ずる。
2 円滑・適正な納税のための環境整備
(国 税)
 非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の算定方法等について、次の見直しを行う。
(1)一定の資産評定により移転を受ける資産及び負債の価値が等しくなる場合等においてその対価がないときの調整勘定の算定方法を明確化する。
(2)いわゆる対価省略型の非適格合併等が行われた場合において移転を受ける資産等が資産超過であり、かつ、一定の資産評定を行っていないとき等における処理の方法を適正化する。
3 その他の租税特別措置等
(国 税)
〔新設〕
 青色申告書を提出する法人で資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律の高度再資源化事業計画又は高度分離・回収事業計画の認定を受けたものが、同法の施行の日から令和10年3月31日までの間に、再資源化事業等高度化設備の取得等をして、その法人の高度再資源化事業又は高度分離・回収事業の用に供した場合には、その取得価額の35%の特別償却ができることとする。
(注1)上記の「再資源化事業等高度化設備」とは、認定高度再資源化事業計画又は認定高度分離・回収事業計画に記載された廃棄物処理施設を構成する機械装置及び器具備品のうち、再資源化事業等の高度化に著しく資する設備として環境大臣が財務大臣と協議して指定するもので、一定の規模以上のものをいう。
(注2)上記の「一定の規模以上のもの」とは、1台又は1基の取得価額がそれぞれ次の金額以上のものをいう。
(1)機械装置 2,000万円
(2)器具備品 200万円
(注3)対象資産の取得価額の合計額のうち本制度の対象となる金額は20億円を限度とする。
〔拡充等〕
(1)沖縄関連税制のうち次の措置について、主務大臣の確認要件に係る措置期間につき適正化を図った上、それぞれ次の措置を講ずる(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
① 沖縄の観光地形成促進地域において特定民間観光関連施設を取得した場合の法人税額の特別控除制度について、対象施設から国際健康管理・増進施設を除外した上、その適用期限を2年延長する。
② 沖縄の情報通信産業振興地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度について、対象事業からパッケージソフトウェア業を除外した上、その適用期限を2年延長する。
③ 沖縄の産業イノベーション促進地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、対象事業からデザイン業を除外した上、その適用期限を2年延長する。
④ 沖縄の国際物流拠点産業集積地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、対象となる国際物流拠点産業集積地域につき次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
イ 津嘉山地区、照屋地区及び神里地区(南風原町)並びに友寄地区(八重瀬町)を加える。
ロ その全域が対象である那覇市、浦添市、豊見城市、宜野湾市及び糸満市の区域につき国際物流拠点産業の集積が見込まれる地区に限定する。
(注)上記の措置について、認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の廃止に伴う所要の整備を行う。
(2)食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律の改正を前提に、産業競争力強化法の事業適応計画(エネルギー利用環境負荷低減事業適応に関するものに限る。)の認定があったものとみなされる改正後の食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律の認定を受けた環境負荷低減事業活動計画(仮称)に従って行うエネルギー利用環境負荷低減事業適応のための措置として導入する生産工程効率化等設備の取得等をする場合のその生産工程効率化等設備について、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の対象とする(所得税についても同様とする。)。
(3)保険会社等の異常危険準備金制度について、次の見直しを行う。
① 異常災害損失に係る保険の種類について火災保険等、動産総合保険等及び賠償責任保険を同一の区分とした上、その区分に係る異常災害損失率を55%(現行:火災保険等、動産総合保険等及び賠償責任保険の区分ごとに50%)とする。
(注1)上記の「火災保険等」とは、火災保険及び風水害保険をいう。
(注2)上記の「動産総合保険等」とは、動産総合保険、建設工事保険、貨物保険及び運送保険をいう。
② 前事業年度から繰り越された異常危険準備金の金額の計算及び洗替保証限度額の計算に係る保険の種類について、火災保険等、動産総合保険等及び賠償責任保険を同一の区分とする。
③ 火災保険等及び動産総合保険等に係る特例積立率について、対象事業年度を火災保険等、動産総合保険等及び賠償責任保険に係る異常危険準備金の残高がこれらの保険の正味収入保険料の30%以下の事業年度とした上、その適用期限を3年延長する。
④ 火災共済に係る特例積立率の適用期限を3年延長する。
(4)探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する(探鉱準備金制度は、所得税についても同様とする。)。
① 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度の積立限度額について、当該事業年度開始の日前5年以内に開始した各事業年度における新鉱床探鉱費の額又は国外にある鉱物に係る新鉱床探鉱費の額の合計額が零である場合には、現行の積立限度額から、次のイの金額からロの金額を控除した残額(現行の積立限度額に25%を乗じて計算した金額を限度とする。)を控除することとする。
イ 当該事業年度における次の金額の合計額
(イ)積立て後5年を経過した探鉱準備金又は海外探鉱準備金の取崩しにより益金の額に算入される金額
(ロ)探鉱準備金又は海外探鉱準備金の任意の取崩しにより益金の額に算入される金額
ロ 当該事業年度における新鉱床探鉱費の額及び探鉱用機械設備の償却額の合計額又は国外にある鉱物に係る新鉱床探鉱費の額及び海外探鉱用機械設備の償却額の合計額
(注)上記の改正は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
② 海外探鉱準備金制度における国内鉱業者に準ずる法人の要件のうち「その法人の有する議決権割合が50%以上である外国法人にその法人の役員及びその法人又はその子会社の技術者が派遣されていること」との要件について、役員に重要な使用人を加えるとともに、技術者から重要な使用人を除外する。
(5)沖縄の国際物流拠点産業集積地域における認定法人の所得控除制度について、対象となる国際物流拠点産業集積地域につき次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 津嘉山地区、照屋地区及び神里地区(南風原町)並びに友寄地区(八重瀬町)を加える。
② その全域が対象である那覇市、浦添市、豊見城市、宜野湾市及び糸満市の区域につき国際物流拠点産業の集積が見込まれる地区に限定する。
(6)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、次の見直しを行った上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 農業経営基盤強化準備金制度の積立限度額の計算の基礎となる金額のうち農用地の取得に充てるための金額について、農用地のうち農業経営基盤強化促進法に規定する地域計画の区域においてその法人の利用が見込まれるものの取得に充てるための金額(現行:農用地の取得に充てるための金額)に限定する。
(注)上記の改正は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
② 農用地等を取得した場合の課税の特例の対象となる農用地について、農業経営基盤強化促進法に規定する認定計画の定めるところにより取得をする農用地で同法に規定する地域計画にその法人が利用するものとして定められたもの(現行:認定計画の定めるところにより取得をする農用地)に限定する。
(注)上記の改正は、令和8年4月1日以後に取得をする農用地について適用する。
③ 確定申告書等に添付することとされている農林水産大臣の証明書について、その証明書の原本の添付のほか、その写しの添付を可能とする。
(7)特定の医療法人の法人税率の特例における承認要件について、次の見直しを行う。
① 社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加えるとともに、計算の基礎となる全収入金額を医療保健業務による収入金額(補助金等に係る収入金額を含むものとし、経常的なものに限る。)とする。
② 医療診療による収入金額が患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であることとの要件について、現行の医療診療による収入金額及び患者のために直接必要な経費の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、当該収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加える。
(注1)上記の「補助金等に係る収入金額」とは、国又は地方公共団体(以下「国等」という。)から交付される補助金その他相当の反対給付を伴わない給付金(固定資産の取得に充てるためのものを除くものとし、国等に代わってその交付に係る事務を行う者から交付されるものを含む。)に係る収入金額及び国等からの委託(国等に代わってその委託に係る事務を行う者からの委託を含む。)を受けて行う事業に係る収入金額であって、医療保健業務(上記②にあっては、本来業務)に係るものをいう。
(注2)上記の「医療保健業務」とは、特定の医療法人の本来業務及び附帯業務(医業及びこれに類する業務、介護サービスに係る業務並びに障害福祉サービスに係る業務に限る。)をいう。
〔延長〕
(1)沖縄の経済金融活性化特別地区において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
(注)上記の措置について、認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の廃止に伴う所要の整備を行う。
(2)沖縄の離島の地域において旅館業用建物等を取得した場合の特別償却制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(3)沖縄の経済金融活性化特別地区における認定法人の所得控除制度の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(2)デジタルトランスフォーメーション投資促進税制は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(3)関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、施設規模要件を4億5,000万円以上(現行:4億円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(4)特定事業継続力強化設備等の特別償却制度について、対象資産から感染症の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有する減価償却資産(サーモグラフィ装置)を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(5)共同利用施設の特別償却制度について、建物の取得価額要件を650万円以上(現行:600万円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(6)特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち次の措置について、対象事業から、コールセンター及び市場等に関する調査の業務並びにその業務により得られた情報の整理等の業務に係る事業を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。ただし、次の①の措置は、半島振興法の期限の延長を前提とする。
① 半島振興対策実施地域に係る措置
② 離島振興対策実施地域に係る措置
(7)医療用機器等の特別償却制度について、医療用機器に係る措置の対象機器の見直しを行った上、制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(8)沖縄の情報通信産業特別地区における認定法人の所得控除制度について、対象事業からパッケージソフトウェア業を除外した上、その適用期限を2年延長する。
(9)特定の公共施設等運営権の設定に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例は、廃止する。なお、令和7年4月1日前にした特定空港運営事業に係る公共施設等運営権の設定については、現行の延払基準の方法により収益の額及び費用の額を計算することができる経過措置を講ずる。
(10)農業協同組合等の合併に係る課税の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
(11)関係法令の改正を前提に、特定目的信託に係る受託法人の課税の特例について、超過分配事業年度における金銭の分配の額が分配可能利益の額の90%を超えていることとする要件における分配可能額の計算上加算される超過分配額を、金銭の分配の額が受託法人の当該事業年度終了の時における純資産価額から元本の額及び評価・換算差額等の額の合計額を控除した金額(現行:純資産価額から元本の額を控除した金額)を上回る場合におけるその上回る部分の金額とする。
(12)帰還・移住等環境整備推進法人に対する土地等の譲渡に係る法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)は、令和7年3月31日をもって廃止する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
(1)国税〔拡充等〕(1)の見直し及び延長に伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を法人住民税に適用する。
(2)国税〔拡充等〕(2)の見直しに伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
(3)国税〔延長〕(1)の延長に伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を法人住民税に適用する。
(4)一般送配電事業者又は配電事業者の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、当該一般送配電事業者が原子力損害の賠償に要する金銭に相当する金額及び原子力発電工作物の廃止に要する金銭に相当する金額(以下「賠償負担金相当金額等」という。)を原子力発電事業者に対し交付する場合又は当該配電事業者が賠償負担金相当金額等を一定の一般送配電事業者に対し交付する場合における当該賠償負担金相当金額等に相当する収入金額をそれぞれ追加する課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(5)ガス供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、他のガス供給業を行う法人から託送供給を受けてガスの供給を行う場合の当該供給に係る収入金額のうち、ガスの供給に係る託送供給の料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
〔廃止〕
(1)国税〔廃止・縮減等〕(1)の廃止に伴い、法人住民税及び法人事業税について、国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(2)国税〔廃止・縮減等〕(2)の廃止に伴い、法人住民税及び法人事業税について、国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
4 その他
(国 税)
(1)非営利型法人の要件のうち「その定款に解散したときはその残余財産が公益社団法人等に帰属する旨の定めがあること」及び「その定款に解散したときはその残余財産が特定の個人又は団体(公益社団法人等を除く。)に帰属する旨の定めがないこと」との要件について、その残余財産の帰属先として認められるものの範囲に、公益信託制度改革により創設される新たな公益信託制度における公益信託の信託財産を加える。
(2)共同で事業を行うための合併又は分割型分割であって、特別の法律により設立された法人のうちその組合員である事業者又は消費者の相互扶助その他これに類する目的を有する一定のもの(以下「対象組合」という。)のみが当事者となるものに係る適格要件について、次の見直しを行う。
① その合併については、事業規模比5倍以内要件及び特定役員引継要件(その合併の直前にその合併に係る被合併法人の全てについて他の者との間に当該他の者による支配関係がない場合等には、株式継続保有要件を含む。)を除外する。
② その分割型分割については、事業規模比5倍以内要件及び特定役員引継要件(その分割型分割の直前にその分割型分割に係る分割法人の全てについて他の者との間に当該他の者による支配関係がない場合には、株式継続保有要件を含む。)を除外する。
(注)上記の「対象組合」とは、次の法人をいう。
① 公益法人等(法人税法別表第二)のうち、漁業共済組合、漁業共済組合連合会、漁船保険組合、酒造組合、酒造組合中央会、酒造組合連合会、酒販組合、酒販組合中央会、酒販組合連合会、商工組合、商工組合連合会、農業共済組合、農業共済組合連合会、公的医療機関に該当する病院等を設置する農業協同組合連合会、輸出組合及び輸入組合
② 協同組合等(法人税法別表第三)のうち、次のもの以外のもの
イ 漁業生産組合
ロ 生活衛生同業組合
ハ 生活衛生同業組合連合会
ニ 生産森林組合
ホ 農事組合法人(農業の経営(その行う農業に関連する一定の事業及び農業と併せ行う林業の経営を含む。)を行うものに限る。)
③ 特例農業協同組合中央会
(3)公益法人等の収益事業に係る課税について、次の見直しを行う。
① 収益事業から除外される民間都市開発推進機構が参加業務として行う不動産販売業及び不動産貸付業に、都市再生特別措置法に規定する認定整備事業計画に記載された緑地等管理効率化設備及び再生可能エネルギー発電設備等の整備に要する費用の一部を負担して行うものを加える。
② 次の収益事業から除外される医療保健業の各要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加えるとともに、計算の基礎となる全収入金額又は事業収益の額を医療保健業務による収入金額(補助金等に係る収入金額を含むものとし、経常的なものに限る。)とする。
イ 医師会法人等がその開設する病院又は診療所において行う医療保健業の要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の60を超えることとの要件
ロ 公的医療機関に該当する病院等を設置する農業協同組合連合会が行う医療保健業の要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が事業収益の額の100分の80を超えることとの要件
ハ 無料又は低額な料金による診療事業等を行う公益法人等が行う医療保健業の要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件
(注1)上記の「補助金等に係る収入金額」とは、国又は地方公共団体(以下「国等」という。)から交付される補助金その他相当の反対給付を伴わない給付金(固定資産の取得に充てるためのものを除くものとし、国等に代わってその交付に係る事務を行う者から交付されるものを含む。)に係る収入金額及び国等からの委託(国等に代わってその委託に係る事務を行う者からの委託を含む。)を受けて行う事業に係る収入金額であって、医療保健業務に係るものをいう。
(注2)上記の「医療保健業務」とは、上記イからハまでの法人のそれぞれの本来業務及び附帯業務(医業及びこれに類する業務、介護サービスに係る業務並びに障害福祉サービスに係る業務に限る。)をいう。ただし、上記ロの法人の附帯業務にあっては、障害福祉サービスに係る業務を除く。
(4)通算法人の行った株式分配に係るみなし配当の額の計算の基礎となる分配資本金額等及び資本金等の額から減算する金額並びに通算法人の株主がその通算法人の行った株式分配により完全子法人の株式等の交付を受けた場合の所有株式の譲渡損益の計算の基礎となる完全子法人株式対応帳簿価額について、株式分配の直前のその通算法人の資本金等の額及び株式分配の直前の所有株式の帳簿価額に乗ずる割合につき次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
① 割合の分子の金額について、その完全子法人の株式の投資簿価修正前の帳簿価額に簿価修正相当額を加減算した金額とする。
② 割合の分母の金額について、株式分配の直前の時において上記の通算法人の有する完全子法人の株式に係る簿価修正相当額を加減算する。
(注1)上記の「簿価修正相当額」とは、離脱法人の株式を有する通算法人の株式分配の日の属する事業年度の前事業年度終了の時(以下「前期期末時」という。)においてその離脱法人が有する資産の帳簿価額の合計額及び負債の帳簿価額の合計額を株式分配の直前においてその離脱法人が有する資産の帳簿価額の合計額及び負債の帳簿価額の合計額とみなして投資簿価修正の規定を適用した場合の簿価純資産不足額又は簿価純資産超過額に相当する金額をいう。
(注2)上記(注1)の「離脱法人」とは、他の通算法人(初年度離脱通算子法人及び通算親法人を除く。)のうち上記の株式分配に起因して通算終了事由が生ずるものをいう。
(注3)上記(注1)の前事業年度終了の時は、上記(注1)の通算法人が株式分配の日以前6月以内に仮決算による中間申告をしていた場合には、その中間申告に係る期間終了の時とする。
(注4)前期期末時から株式分配の直前の時までの間に上記(注1)の離脱法人の資本金等の額又は利益積立金額(所得の金額及び投資簿価修正に係る金額を除く。)の増減がある場合には前期期末時においてその離脱法人が有する資産の帳簿価額の合計額及び負債の帳簿価額の合計額にその増減額を加減算し、株式分配の直前の時において上記(注1)の離脱法人が有する資産に他の離脱法人の株式がある場合には前期期末時においてその離脱法人が有する資産の帳簿価額の合計額及び負債の帳簿価額の合計額に他の離脱法人の株式の簿価修正相当額を加減算する。
(注5)通算法人の行った適格株式分配に係る資本金等の額から減算する金額並びに通算法人の行った分割型分割に係るみなし配当の額の計算の基礎となる分割資本金額等及び資本金等の額から減算する金額並びに通算法人の株主がその通算法人の行った分割型分割により分割承継法人の株式等の交付を受けた場合の所有株式の譲渡損益の計算の基礎となる分割純資産対応帳簿価額についての分割型分割の直前のその通算法人の資本金等の額及び分割型分割の直前の所有株式の帳簿価額に乗ずる割合の計算上含まれる通算子法人の株式の帳簿価額についても、同様とする。
(5)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度の対象となる国庫補助金等の範囲について、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく次の補助金等を加える(所得税についても同様とする。)。
① 鉱工業技術に関する研究開発の成果の企業化に必要な事業活動に要する資金に充てるための補助金
② デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業等に係る助成金
(6)スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律の施行に伴い、同法の課徴金制度における課徴金及び延滞金について、損金算入しないこととする(所得税についても同様とする。)。
(7)受益証券発行信託に関する会計の見直しを前提に、法人が有する特定受益証券発行信託の受益権(以下「所有受益権」という。)につき元本の払戻しとして金銭の交付を受けた場合における所有受益権の譲渡損益の計算について、その譲渡原価を所有受益権の帳簿価額に元本減少割合を乗じて計算した金額とするほか、所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の「元本減少割合」とは、特定受益証券発行信託の元本の払戻しの直前の元本の額のうちに元本の払戻しにより減少した特定受益証券発行信託の元本の額の占める割合をいう。
(注2)上記の改正は、令和8年4月1日以後に行われる元本の払戻しについて適用する。
(8)リースに関する取引について、次のとおり整備を行う。
① 法人が各事業年度にオペレーティング・リース取引によりその取引の目的となる資産の賃借を行った場合において、その取引に係る契約に基づきその法人が支払う金額があるときは、その金額のうち債務の確定した部分の金額は、その確定した日の属する事業年度に損金算入する。
(注1)上記の「オペレーティング・リース取引」とは、資産の賃貸借のうちリース取引(ファイナンス・リース取引)以外のものをいう。
(注2)上記の支払う金額には、その資産の賃借のために要する費用の額及びその資産を事業の用に供するために直接要する費用の額を含むものとし、当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額、固定資産の取得に要した金額とされるべき費用の額及び繰延資産となる費用の額を除く。
② リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例は、廃止する。なお、令和7年4月1日前にリース譲渡を行った法人の令和9年3月31日以前に開始する事業年度において行ったリース譲渡について、延払基準の方法(同日後に開始する事業年度にあっては、リース譲渡に係る利息相当額のみを同日後に開始する各事業年度の収益の額とする方法に限る。)により収益の額及び費用の額を計算することができることとするとともに、令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度において延払基準の適用をやめた場合の繰延リース利益額を5年均等で収益計上する等の経過措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
③ 令和9年4月1日以後に締結された所有権移転外リース取引に係る契約に係るリース資産の減価償却について、リース期間定額法の計算において取得価額に含まれている残価保証額を控除しないこととし、リース期間経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることとする(所得税についても同様とする。)。
(注)令和9年3月31日までに締結された所有権移転外リース取引に係る契約に係るリース資産(その取得価額に残価保証額が含まれているものに限る。)については、令和7年4月1日以後に開始する事業年度の償却方法につき改正後のリース期間定額法により償却できることとする経過措置を講ずる。
④ その他所要の措置を講ずる。
(9)社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、引き続き公共法人(法人税法別表第一)とする。
(10)土地改良法の改正により次の法人の解散時の財産処分に係る見直し等が行われた後も、引き続き次の措置を講ずる。
① 土地改良区及び土地改良区連合を公共法人(法人税法別表第一)とする。
② 土地改良事業団体連合会を公益法人等(法人税法別表第二)とする。
(11)独立行政法人男女共同参画機構法(仮称)の制定を前提に、独立行政法人男女共同参画機構(仮称)を公共法人(法人税法別表第一)とする。
(12)日本学術会議法(仮称)の制定を前提に、日本学術会議の法人化により新たに設立される法人を公益法人等(法人税法別表第二)とする。
(13)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正を前提に、先端技術研究成果活用機構(仮称)を公益法人等(法人税法別表第二)とする。
(14)社会医療法人制度における認定要件について、関係法令の改正により次の見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等(法人税法別表第二)とする。
① 社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加えるとともに、計算の基礎となる全収入金額を医療保健業務による収入金額(補助金等に係る収入金額を含むものとし、経常的なものに限る。)とする。
② 医療診療による収入金額が患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であることとの要件について、現行の医療診療による収入金額及び患者のために直接必要な経費の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、当該収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加える。
③ 本来業務に係る費用の額が経常費用の額の100分の60を超えることとの要件について、現行の本来業務に係る費用の額及び経常費用の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、下限となる割合を100分の63とする。
(注1)上記の「補助金等に係る収入金額」とは、国又は地方公共団体(以下「国等」という。)から交付される補助金その他相当の反対給付を伴わない給付金(固定資産の取得に充てるためのものを除くものとし、国等に代わってその交付に係る事務を行う者から交付されるものを含む。)に係る収入金額及び国等からの委託(国等に代わってその委託に係る事務を行う者からの委託を含む。)を受けて行う事業に係る収入金額であって、医療保健業務(上記②にあっては、本来業務)に係るものをいう。
(注2)上記の「医療保健業務」とは、社会医療法人の本来業務及び附帯業務(医業及びこれに類する業務、介護サービスに係る業務並びに障害福祉サービスに係る業務に限る。)をいう。
(15)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① マンション除却組合(仮称)を公益法人等とみなして、収益事業から生じた所得以外の所得について非課税とする。
② マンション建替組合及びマンション敷地売却組合のマンション再生組合(仮称)及びマンション等売却組合(仮称)への改組後も、引き続き公益法人等とみなす。
③ 敷地分割組合の業務範囲の見直し後も、引き続き公益法人等とみなす。
(16)農業経営基盤強化促進法の改正に伴い、農地所有適格法人について、議決権要件の特例が措置された後も、引き続き現行の措置を適用する。
(地方税)
(1)リースに関する取引について、次のとおり整備を行う。
① 事業税付加価値割の課税標準の算定について、法人が各事業年度にオペレーティング・リース取引によりその取引の目的となる土地又は家屋の賃借を行った場合において、その取引に係る契約に基づきその法人が賃借権等の対価として支払う金額があるときは、その金額のうち法人税の所得の計算上損金の額に算入される部分の金額は、その損金の額に算入される事業年度の支払賃借料とするほか、所要の措置を講ずる。
(注)上記の「オペレーティング・リース取引」とは、資産の賃貸借のうちリース取引(ファイナンス・リース取引)以外のものをいう。
② 国税(8)の見直しに準じて、法人住民税及び法人事業税について所要の措置を講ずる。
(2)土地改良法の改正により土地改良区及び土地改良区連合の解散時の財産処分に係る見直し等が行われた後も、その見直し後の各法人について、引き続き法人住民税及び法人事業税を非課税とする措置を講ずる。
(3)独立行政法人男女共同参画機構法(仮称)の制定を前提に、独立行政法人男女共同参画機構(仮称)を非課税独立行政法人とする(非課税独立行政法人の規定があるその他の全ての税目についても同様とする。)。
(4)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。

四 消費課税
1 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し
(国 税)
 外国人旅行者向け消費税免税制度について、次の見直しを行う。
(1)免税方式の見直し
① 輸出物品販売場を経営する事業者が、免税購入対象者に対して免税対象物品を譲渡した場合であって、その免税購入対象者がその購入した日から90日以内に出港地の税関長による確認を受けたときは、その確認をした旨の情報(以下「税関確認情報」という。)を輸出物品販売場を経営する事業者において保存することを要件として、その免税対象物品の譲渡について、消費税を免除する。
(注)上記の改正に伴い、実務上、消費税相当額を含めた価格で販売し、出国時に持出しが確認された場合に輸出物品販売場を経営する事業者から免税購入対象者に対し消費税相当額を返金する「リファンド方式」となる。
② 免税購入対象者は、購入した免税対象物品について、出国時に旅券等を提示して税関長の確認を受けるものとし、その確認を受けた免税対象物品を国外に持ち出さなければならないこととする。
③ 税関長は、輸出物品販売場を経営する事業者(承認送信事業者を含む。)に対し、購入記録情報ごとに、国税庁の免税販売管理システムを通じて税関確認情報を提供するものとする。
(2)免税対象物品の範囲の見直し
① 消耗品について免税購入対象者の同一店舗一日当たりの購入上限額(50万円)及び特殊包装を廃止するとともに、一般物品と消耗品の区分を廃止する。
② 免税販売の対象外とされている通常生活の用に供しないものの要件を廃止するとともに、金地金等の不正の目的で購入されるおそれが高い物品については、免税販売の対象外とされる物品として個別に定める仕組みとする。
(3)免税販売手続の見直し
① 船舶観光上陸許可等により上陸する者の免税販売手続においては、上陸許可書及び旅券の提示を求めることとし、輸出物品販売場を経営する事業者は、旅券番号に基づき購入記録情報を提供するものとする。
② 日本国籍を有する免税購入対象者が国内に2年以上住所等を有しないことの証明書類に個人番号カードを追加することとし、現行の証明書類については本籍の地番の記載を不要とする。また、輸出物品販売場を経営する事業者は、証明書類の種類及び国外転出等をした日を購入記録情報として送信することとし、その証明書類の保存を不要とする。
③ 100万円(税抜き)以上の免税対象物品については、購入記録情報の送信事項にその免税対象物品を特定するための情報(シリアルナンバー等)を加える。
④ 免税購入対象者が輸出物品販売場で運送契約を締結し、かつ、その場で物品を運送事業者へ引き渡す、いわゆる「直送」による免税販売方式については、従来の方式に代えて消費税法第7条の輸出免税制度により消費税を免除することができることとする。
⑤ 免税購入対象者が輸出物品販売場で購入した免税対象物品について、その免税購入対象者が別途国外へ配送する、いわゆる「別送」をしたことにより出国時に携帯していない場合に、その免税対象物品の配送等に係る書類により輸出したことを確認する取扱いを廃止する。
(4)輸出物品販売場の許可要件の見直し
① 一般型輸出物品販売場と手続委託型輸出物品販売場の許可の区分を廃止するとともに、次の見直しを行う。
イ 輸出物品販売場の許可については、適切に購入記録情報及び税関確認情報を授受できることを要件とする。
ロ 上記イの許可を受けた輸出物品販売場を経営する事業者は、承認免税手続事業者に免税販売手続を代理させることができることとする。
ハ 免税手続カウンターを設置する承認免税手続事業者に免税販売手続を代理させる場合の免税手続カウンターの設置場所については、特定商業施設の要件に代えて、免税対象物品を販売した日と同一の日に免税販売手続ができることを要件とする。
② 輸出物品販売場の許可の取消要件に、購入記録情報の提供状況等が税関長の確認に支障があると認められる場合を加える。
(5)基地内輸出物品販売場制度を廃止する。
(6)免税購入対象者に対する即時徴収及び罰則について所要の整備を行うほか、外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(注1)上記((3)⑤を除く。)の改正は、令和8年11月1日以後に行われる免税対象物品の譲渡等について適用することとし、上記(3)⑤の取扱いは、令和7年3月31日をもって廃止する。
(注2)上記の改正に伴い、輸出酒類販売場制度における免税方式、免税対象酒類の範囲、免税販売手続及び許可要件並びに免税購入対象者に対する即時徴収及び罰則等について、所要の措置を講ずる。
(地方税)
 外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しに伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和8年11月1日から施行する。
2 租税特別措置等
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
(2)新車新規登録から13・18年を経過した検査自動車に係る自動車重量税率の特例措置について、車検制度の見直しに伴う規定の整備を行う。
(地方税)
〔新設〕
〈軽自動車税種別割〉
 原動機付自転車のうち、二輪のもので、総排気量が125cc以下かつ最高出力が4.0kW以下のものに係る軽自動車税種別割の税率を2,000円とする。
〔延長・拡充〕
〈自動車税環境性能割〉
(1)都道府県の条例で定める路線の運行の用に供する一般乗合用のバスに係る自動車税環境性能割の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(2)公共交通移動等円滑化基準に適合したノンステップバス及びリフト付きバス並びにユニバーサルデザインタクシー(新車に限る。)に係る自動車税環境性能割の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長するとともに、期限延長に伴う所要の措置を講ずる。
(3)バス等及び車両総重量が3.5tを超えるトラック(トレーラーを除く。)で歩行者検知機能付き衝突被害軽減制動制御装置を装備したもの(新車に限る。)に係る自動車税環境性能割の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈軽油引取税〉
(4)船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、我が国と我が国以外の締約国との間の物品又は役務の相互の提供に関する条約その他の国際約束に基づき、当該締約国の軍隊の船舶の動力源に供するため行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、日伊物品役務相互提供協定の締結を前提に、同協定に基づきイタリア共和国の軍隊の船舶の動力源に供するため譲渡する場合を対象に加える。
3 その他
(国 税)
(1)リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例は、廃止する。なお、令和7年4月1日前にリース譲渡に該当する資産の譲渡等を行った事業者の令和12年3月31日以前に開始する年又は事業年度について延払基準の方法により資産の譲渡等の対価の額を計算することができることとするとともに、令和7年4月1日以後に開始する年又は事業年度において延払基準の適用をやめた場合の賦払金の残金を10年均等で資産の譲渡等の対価の額とする等の経過措置を講ずる。
(2)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正を前提に、先端技術研究成果活用機構(仮称)を消費税法別表第三法人とする。
(3)日本学術会議法(仮称)の制定を前提に、日本学術会議の法人化により新たに設立される法人を消費税法別表第三法人とする。
(4)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① マンション除却組合(仮称)を消費税法別表第三法人とみなす。
② マンション建替組合及びマンション敷地売却組合のマンション再生組合(仮称)及びマンション等売却組合(仮称)への改組後も、引き続き消費税法別表第三法人とみなす。
③ 敷地分割組合の業務範囲の見直し後も、引き続き消費税法別表第三法人とみなす。
(5)資産の譲渡等の範囲に、放送法の一部を改正する法律による改正後の放送法に規定する配信で、法律により受信者がその締結を行わなければならないこととされている契約に基づき受信料を徴収して行われるものを加える。
(6)金又は白金の地金の課税仕入れに係る仕入税額控除の要件として保存することとされている消費税法上の本人確認書類の範囲に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に規定するカード代替電磁的記録を加える。
(7)関係法令の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、引き続き消費税法別表第三法人とする。
(8)社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、引き続き消費税法別表第三法人とする。
(9)土地改良法の改正を前提に、土地改良事業に係る見直し等が行われた後も、土地改良区等を引き続き消費税法別表第三法人とする。
(10)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付に係る医療について、所要の法令改正を前提に、引き続き消費税を非課税とする。
(11)他国との間で部隊間協力円滑化協定が締結されることを前提に、訪問部隊が同協定に基づき輸入する公用品等及び国内において航空機に積み込む航空機燃料については、既存の同種の協定において認められる範囲内でこれらの物品に係る内国消費税及び航空機燃料税を免除する。
(12)農地所有適格法人の組合員等である特定農業者について、農業経営基盤強化法の改正に伴い、農地所有適格法人の議決権要件の特例が措置された後も、引き続き現行の構造改革特別区域法に規定する酒税法の特例を適用する。
(地方税)
〈自動車税・軽自動車税〉
(1)他国との間で部隊間協力円滑化協定が締結されることを前提に、訪問部隊が同協定に基づき取得し、又は所有する自動車等に係る自動車税及び軽自動車税については、既存の同種の協定において認められる範囲内で非課税とする等の所要の措置を講ずる。
〈軽油引取税〉
(2)他国との間で部隊間協力円滑化協定が締結されることを前提に、訪問部隊が同協定に基づき軽油の輸入をする場合及び国内において軽油の引取りを行う場合については、既存の同種の協定において認められる範囲内で軽油引取税を免除するほか、所要の措置を講ずる。
(3)免税軽油を使用する鉄道事業又は軌道事業を営む者(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律に基づき国土交通大臣が指定する特定旅客輸送事業者等に限る。)が、非化石エネルギーへの転換のための措置として、鉄道用車両又は軌道用車両の燃料タンクにバイオディーゼル燃料等を給油し、当該鉄道用車両又は当該軌道用車両の動力源の燃料として消費する場合について、次の措置を講ずる。
① 製造の承認を受ける義務を免除する。
② 軽油引取税のみなす課税を適用しないこととする。
③ その他所要の措置を講ずる。

五 国際課税
1 グローバル・ミニマム課税への対応
(国 税)
(1)軽課税所得ルールに対応するため、次の措置を講ずる。
① 各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税(仮称)の創設
イ 納税義務者
(イ)内国法人は、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税を納める義務がある。
(ロ)外国法人は、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等(その所在地国がわが国であるものに限る。(1)において同じ。)を有する構成会社等である場合に、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税を納める義務がある。
ロ 課税の範囲
 次に掲げる法人に対して、各対象会計年度の国際最低課税残余額について、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税を課する。
(イ)特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人
(ロ)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人
ハ 国際最低課税残余額
(イ)内国法人に係る国際最低課税残余額
 内国法人に係る国際最低課税残余額は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人の各対象会計年度に係る国内グループ国際最低課税残余額に、次に掲げる割合(その特定多国籍企業グループ等に属する各種投資会社等又は導管会社等がある場合にあっては、一定の調整を加えて計算した割合)を合計した割合を乗じて計算した金額とする。
a わが国を所在地国とする構成会社等の従業員等の数の合計数のうちにその内国法人(その所在地国がわが国であるものに限る。bにおいて同じ。)の従業員等の数が占める割合に50%を乗じて計算した割合
b わが国を所在地国とする構成会社等の有形資産の額の合計額のうちにその内国法人の有形資産の額が占める割合に50%を乗じて計算した割合
(注)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人に係る国際最低課税残余額についても同様とする。
(ロ)国内グループ国際最低課税残余額
 国内グループ国際最低課税残余額は、各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税残余額に、次に掲げる割合(その特定多国籍企業グループ等に属する各種投資会社等又は導管会社等がある場合にあっては、一定の調整を加えて計算した割合)を合計した割合を乗じて計算した金額とする。
a わが国又は各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税に相当する税を課することとされている一定の国若しくは地域を所在地国とする構成会社等の従業員等の数の合計数のうちにわが国を所在地国とする構成会社等の従業員等の数の合計数が占める割合に50%を乗じて計算した割合
b わが国又は各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税に相当する税を課することとされている一定の国若しくは地域を所在地国とする構成会社等の有形資産の額の合計額のうちにわが国を所在地国とする構成会社等の有形資産の額の合計額が占める割合に50%を乗じて計算した割合
(ハ)グループ国際最低課税残余額
 グループ国際最低課税残余額は、各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額から、その特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等に係る国際最低課税額等及びその特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等に係る国際最低課税額等その他一定の金額を控除した残額とする。
(ニ)適用免除基準
 特定多国籍企業グループ等の判定対象会計年度が、特定多国籍企業グループ等に該当することとなった最初の対象会計年度開始の日以後5年以内に開始し、かつ、国際的な事業活動の初期の段階にあるものとされる対象会計年度に該当する場合等には、その判定対象会計年度に係るグループ国際最低課税残余額は、零とする。
ニ 税額の計算
 各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税の額は、各対象会計年度の国際最低課税残余額(課税標準)に100分の90.7の税率を乗じて計算した金額とする。
ホ 申告及び納付等
(イ)各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行う。ただし、当該対象会計年度の国際最低課税残余額(課税標準)がない場合は、その申告を要しない。
(ロ)電子申告の特例等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
へ その他
 各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税は、青色申告制度の対象外とする。ただし、更正の理由付記の対象とし、推計課税の対象外とする。
 また、質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
② 特定基準法人税額に対する地方法人税の見直し
イ 課税の対象
 特定基準法人税額に対する地方法人税について、その課税の対象に特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である法人の各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税の額(附帯税の額を除く。)を加え、その名称を国際最低課税額等に係る特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)に改める。
ロ その他
 税額の計算、申告、納付、質問検査、罰則等については、現行の特定基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
③ 特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度の見直し
イ 提供義務者
 提供義務者の範囲に、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人を加える。
ロ グループ国際最低課税額等報告事項等
 本制度により提供すべき事項の範囲に、国際最低課税残余額に関する一定の事項を加える。
ハ その他所要の措置を講ずる。
④ 上記の改正に伴い、所要の措置を講ずる。
⑤ 適用関係
イ 各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用する。
ロ 上記②の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する課税対象会計年度の国際最低課税額等に係る特定基準法人税額に対する地方法人税について適用する。
ハ 上記③の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度に係るグループ国際最低課税額等報告事項等について適用する。
ニ 上記④の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税について適用する。
(2)国内ミニマム課税に対応するため、次の措置を講ずる。
① 各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税(仮称)の創設
イ 納税義務者
(イ)内国法人は、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税を納める義務がある。
(ロ)外国法人は、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等(その所在地国がわが国であるものに限る。(2)において同じ。)を有する構成会社等である場合又は特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である場合に、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税を納める義務がある。
ロ 課税の範囲
 次に掲げる法人に対して、各対象会計年度の国内最低課税額について、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税を課する。
(イ)特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人又は特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等である内国法人
(ロ)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人又は特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である外国法人
ハ 国内最低課税額
 国内最低課税額は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)である内国法人又は過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては「構成会社等に係る国内最低課税額」(注1)とし、特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)である内国法人又は過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその共同支配会社等でないものにあっては「共同支配会社等に係る国内最低課税額」(注2)とする。
(注1)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人等にあっては構成会社等の恒久的施設等に係る国内最低課税額とし、「構成会社等に係る国内最低課税額」に準じて計算する。
(注2)特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である外国法人等にあっては共同支配会社等の恒久的施設等に係る国内最低課税額とし、「共同支配会社等に係る国内最低課税額」に準じて計算する。
(イ)構成会社等に係る国内最低課税額
 構成会社等に係る国内最低課税額は、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額とする。
a 特定多国籍企業グループ等に係る国内実効税率が基準税率(15%をいう。以下同じ。)を下回り、かつ、その特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がある場合 次に掲げる金額の合計額(過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては、(b)に掲げる金額)
(注1)上記の「国内実効税率」とは、(a)に掲げる金額が(b)に掲げる金額のうちに占める割合をいう。
(a)国内グループ調整後対象租税額(わが国を所在地国とする全ての構成会社等の国内調整後対象租税額の合計額をいう。以下同じ。)
(b)国内グループ純所得の金額
(注2)上記の「国内グループ純所得の金額」とは、わが国を所在地国とする全ての構成会社等に係る個別計算所得金額の合計額からわが国を所在地国とする全ての構成会社等に係る個別計算損失金額の合計額を控除した残額をいう。
(a)当期グループ国内最低課税額(国内グループ純所得の金額からわが国に係る実質ベースの所得除外額を控除した残額に基準税率から国内実効税率を控除した割合を乗じて計算した金額をいう。(b)において同じ。)に、その当期グループ国内最低課税額が算出されることとなった内国法人の寄与の程度を勘案して計算される割合を乗じて計算した金額
(b)過去対象会計年度ごとの再計算グループ国内最低課税額(過去対象会計年度の当期グループ国内最低課税額につき再計算を行うことが求められる場合において、その過去対象会計年度の当期グループ国内最低課税額に満たない金額として計算される金額をいう。以下同じ。)に過去帰属割合(再計算グループ国内最低課税額が算出されることとなった内国法人の寄与の程度を勘案して計算される割合をいう。以下同じ。)を乗じて計算した金額
(c)内国法人(各種投資会社等に限る。)に係る未分配所得国内最低課税額(その内国法人に係る個別計算所得金額のうち他の構成会社等に分配されなかった部分に対応する国内最低課税額として計算される金額をいう。以下同じ。)
b 特定多国籍企業グループ等に係る国内実効税率が基準税率以上であり、かつ、その特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がある場合 次に掲げる金額の合計額(過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては、(a)に掲げる金額)
(a)過去対象会計年度ごとの再計算グループ国内最低課税額に過去帰属割合を乗じて計算した金額
(b)内国法人(各種投資会社等に限る。)に係る未分配所得国内最低課税額
c 特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がない場合 (a)及び(b)に掲げる金額の合計額(国内グループ調整後対象租税額が零を下回る場合のその下回る額がわが国に係る特定国別調整後対象租税額を超える場合にあっては次に掲げる金額の合計額とし、過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては(a)に掲げる金額とする。)
(a)過去対象会計年度ごとの再計算グループ国内最低課税額に過去帰属割合を乗じて計算した金額
(b)内国法人(各種投資会社等に限る。)に係る未分配所得国内最低課税額
(c)永久差異調整に係るグループ国内最低課税額(国内グループ調整後対象租税額が零を下回る場合のその下回る額からわが国に係る特定国別調整後対象租税額を控除した残額をいう。)に、その永久差異調整に係るグループ国内最低課税額が算出されることとなった内国法人の寄与の程度を勘案して計算される割合を乗じて計算した金額
(ロ)特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)であった内国法人が過去対象会計年度において合併により解散した場合又は過去対象会計年度においてその内国法人の残余財産が確定した場合において、各対象会計年度における上記(イ)a(b)、b(a)又はc(a)に掲げる金額があるときは、これらの金額は、再計算グループ国内最低課税額に係る過去対象会計年度における構成会社等に係る国内最低課税額に含む。
(ハ)その他
 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税と同様に、収入金額等に関する適用免除基準、一定の国別報告事項における記載事項等を用いた経過的な適用免除基準その他の特例を設ける。また、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税と同様に、国際的な事業活動の初期の段階における適用免除基準を設ける。
(ニ)共同支配会社等に係る国内最低課税額
 共同支配会社等に係る国内最低課税額は、基本的に構成会社等に係る国内最低課税額と同様に計算した金額とする。
ニ 税額の計算
 各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の額は、各対象会計年度の国内最低課税額(課税標準)に100分の75.3の税率を乗じて計算した金額とする。
ホ 申告及び納付等
(イ)各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行う。ただし、当該対象会計年度の国内最低課税額(課税標準)がない場合は、その申告を要しない。
(ロ)電子申告の特例等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
へ その他
 各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税は、青色申告制度の対象外とする。ただし、更正の理由付記の対象とし、推計課税の対象外とする。
 また、質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
② 国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の創設
イ 課税の対象
 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である法人又は特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等である法人の各課税対象会計年度の国内最低課税額に係る特定基準法人税額には、国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税を課する。
ロ 税額の計算
(イ)国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税の額は、各課税対象会計年度の国内最低課税額に係る特定基準法人税額(課税標準)に753分の247の税率を乗じて計算した金額とする。
(ロ)国内最低課税額に係る特定基準法人税額は、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の額とする。ただし、附帯税の額を除く。
ハ 申告及び納付等
(イ)国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税の申告及び納付は、各課税対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行う。
(ロ)電子申告の特例等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
ニ その他
 質問検査、罰則等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
③ グループ国内最低課税額報告事項等の提供制度の創設
イ グループ国内最低課税額報告事項等の提供
 グループ国内最低課税額報告対象法人は、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の名称、その特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の所在地国の名称、その特定多国籍企業グループ等に係る国内最低課税額に関する事項その他必要な事項及び収入金額等に関する適用免除基準の適用を受けようとする旨等(以下「グループ国内最低課税額報告事項等」という。)を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、納税地の所轄税務署長に提供しなければならない。
(注)上記の「グループ国内最低課税額報告対象法人」とは、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)である内国法人、特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等(その所在地国がわが国であるものに限る。)である内国法人、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人、特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である外国法人又は過去対象会計年度において特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等若しくは特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等であった一定の法人をいう。
ロ 提供義務の免除
 特定多国籍企業グループ等の最終親会社等(指定提供会社等を指定した場合には、指定提供会社等)の所在地国の税務当局がその特定多国籍企業グループ等に係るグループ国内最低課税額報告事項等の提供をわが国に対して行うことができると認められるときは、そのグループ国内最低課税額報告事項等の提供義務者である法人の提供義務を免除する。
ハ その他
 グループ国内最低課税額報告事項等の提供義務者が複数ある場合の提供義務の免除、最終親会社等届出事項の提供、罰則等については、現行の特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度と同様とする。
④ 上記の改正に伴い、所要の措置を講ずる。
⑤ 適用関係
イ 各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用する。
ロ 国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税は、法人の令和8年4月1日以後に開始する課税対象会計年度から適用する。
ハ 上記③の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度に係るグループ国内最低課税額報告事項等について適用する。
ニ 上記④の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税について適用する。
(3)各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税等について、次の見直しを行う。
① 構成会社等の当期純損益金額に係る対象租税の額のうち外国子会社合算税制等の対象とされる他の構成会社等に係る調整後対象租税額に含まれる金額等の計算について、その対象に法人税等調整額を加える。
② 再計算国別国際最低課税額の計算を行う場合において、過去対象会計年度において計上された繰延税金負債に係る調整後対象租税額のうちにその過去対象会計年度の5対象会計年度後の対象会計年度終了の日までに取り崩されなかった繰延税金負債に係る部分の金額を減額することとされる措置について、その繰延税金負債の取崩しの方法に係る特例を設ける。
③ 税引後当期純損益金額の計算において、構成会社等と所在地国が異なる他の構成会社等との間で取引が行われた場合に、その取引に係る金額につき独立企業間価格で行われたものとみなす調整措置について、共同支配会社等との間で行われた取引等をその対象に加える。
④ 税引後当期純損益金額の計算において、構成会社等と所在地国が同一である他の構成会社等との間で資産の販売が行われた場合に、その販売を行った構成会社等の取引に係る金額につき独立企業間価格相当額で行われたものとみなす調整措置について、その取引においてその資産の購入を行った構成会社等をその対象に加える。
⑤ 被分配会社等と対象導管会社等との間に他の導管会社等が介在する場合における導管会社等に係る当期純損益金額の特例の適用に当たっては、被分配会社等の所在地国における法令において他の導管会社等及び対象導管会社等の収入等がその構成員の収入として取り扱われることを要件とする。
⑥ その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
 法人住民税の計算の基礎となる法人税額に各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税(仮称)及び各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税(仮称)の額を含まないこととするほか、所要の措置を講ずる。
2 外国子会社合算税制等の見直し
(国 税)
 内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(外国子会社合算税制)等について、次の見直しを行う。
(1)内国法人に係る外国関係会社の各事業年度に係る課税対象金額等に相当する金額は、その内国法人の収益の額とみなして、その事業年度終了の日の翌日から4月(現行:2月)を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
(2)申告書に添付又は保存をすることとされている外国関係会社に関する書類の範囲から次に掲げるものを除外する。
① 株主資本等変動計算書及び損益金の処分に関する計算書
② 貸借対照表及び損益計算書に係る勘定科目内訳明細書
(3)居住者に係る外国子会社合算税制及び特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例等の関連制度につき、上記(1)及び(2)と同様の見直しを行う。
(注1)上記の改正は、内国法人の令和7年4月1日以後に開始する事業年度に係る外国関係会社の課税対象金額等(その外国関係会社の同年2月1日以後に終了する事業年度に係るものに限る。)について適用する。
(注2)内国法人の令和7年4月1日前に開始した事業年度に係る外国関係会社の課税対象金額等(その外国関係会社の令和6年12月1日から令和7年1月31日までの間に終了する事業年度に係るものに限る。)について、その外国関係会社の事業年度終了の日の翌日から4月を経過する日を含むその内国法人の同年4月1日以後に開始する事業年度において外国子会社合算税制の適用を受けることができる経過措置を講ずる。
(地方税)
 個人住民税、法人住民税及び事業税について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(外国子会社合算税制)等の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
3 その他
(国 税)
 令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者等に係る課税の特例を次のとおり創設する。
(1)令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者及びその公式参加者の博覧会関連業務(2027年国際園芸博覧会の準備又は運営に関する業務をいう。)を行う一定の外国法人(以下「公式参加者等」という。)並びに博覧会国際事務局の一定の恒久的施設帰属所得等については、法人税を課さない。
(注)上記の「公式参加者」とは、日本国政府からの2027年国際園芸博覧会への参加の公式の招請を受け入れた国又は国際機関(外国法人に限る。)をいう。
(2)公式参加者等に勤務する非居住者等及び博覧会国際事務局の事務局長等である非居住者の一定の給与については、所得税を課さない。
(3)上記(1)の公式参加者等又は博覧会国際事務局の法人税の課税対象とされる国内源泉所得に係る所得の金額の全部につき法人税が非課税とされる場合に確定申告書等の提出を不要とする等の所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者等に係る課税の特例を次のとおり創設する。
① 令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者及びその公式参加者の博覧会関連業務(2027年国際園芸博覧会の準備又は運営に関する業務をいう。以下同じ。)を行う一定の外国法人(以下「公式参加者等」という。)並びに博覧会国際事務局のうち、一定の博覧会関係業務のみを行う恒久的施設以外の恒久的施設を有さない者に対しては、法人住民税及び法人事業税を課さない等の所要の措置を講ずる。
(注)上記の「公式参加者」とは、日本国政府からの2027年国際園芸博覧会への参加の公式の招請を受け入れた国又は国際機関(外国法人に限る。)をいう。
② 公式参加者等又は博覧会国際事務局のうち上記①の適用を受け法人住民税及び法人事業税が非課税とされる場合に確定申告書等の提出を不要とする等の所要の措置を講ずる。
③ 公式参加者等若しくは博覧会国際事務局、公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会、同協会との間に博覧会への出展参加契約を締結した者(公式参加者等を除く。以下同じ。)又は家屋貸与者が博覧会関連業務の用に供するために取得した一定の家屋に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
④ 公式参加者等若しくは博覧会国際事務局又は公式参加者等に勤務する非居住者等若しくは博覧会国際事務局の事務局長等である非居住者が取得し、又は所有する一定の自動車等に係る自動車税及び軽自動車税について、非課税とする措置を講ずる。
⑤ 公式参加者等若しくは博覧会国際事務局、公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会、同協会との間に博覧会への出展参加契約を締結した者又は家屋等貸与者が博覧会関連業務の用に供する一定の固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
⑥ 公式参加者等若しくは博覧会国際事務局又は公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会との間に博覧会への出展参加契約を締結した者が行う博覧会関連業務の用に供する施設に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
⑦ 国又は地方公共団体が公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会に対して無償で貸し付け、又は使用させている土地で博覧会関連業務の用に供するものについて、国有資産等所在市町村交付金の交付対象から除外する措置を講ずる。
(2)個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

六 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
1 防衛特別法人税(仮称)の創設
(1)納税義務者
 各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、防衛特別法人税を納める義務がある。
(注)法人には、人格のない社団等及び法人課税信託の引受けを行う個人を含む。
(2)課税の範囲
 法人の各課税事業年度の基準法人税額について、当分の間、防衛特別法人税を課する。
(3)税額の計算
① 防衛特別法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額(課税標準)に4%の税率を乗じて計算した金額とする。
② 課税標準法人税額は、基準法人税額から基礎控除額を控除した金額とする。
③ 基準法人税額は、次の制度を適用しないで計算した各事業年度の所得に対する法人税の額とする。ただし、附帯税の額を除く。
イ 所得税額の控除
ロ 外国税額の控除
ハ 分配時調整外国税相当額の控除
ニ 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除
ホ 戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置の税額控除及び同措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算
へ 控除対象所得税額等相当額の控除
④ 基礎控除額は、年500万円とする。なお、通算法人の基礎控除額は、年500万円を各通算法人の基準法人税額の比で配分した金額とする。
(注)上記の配分は、通算法人の基準法人税額が期限内申告における基準法人税額と異なる場合には、原則として期限内申告における基準法人税額により配分する。
⑤ 次の税額控除を行うこととする。
イ 外国税額の控除
ロ 分配時調整外国税相当額の控除
ハ 控除対象所得税額等相当額の控除
ニ 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除
(4)申告及び納付等
① 各事業年度の所得に対する法人税の中間申告書を提出すべき法人は、防衛特別法人税の中間申告書を提出しなければならない。
(注)上記の防衛特別法人税の中間申告書の提出は、令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用する。
② 防衛特別法人税の申告期限及びその申告に係る防衛特別法人税の納期限は、各事業年度の所得に対する法人税の申告期限及び納期限と同一とする。
③ 電子申告の特例については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とする。
④ 防衛特別法人税中間申告書を提出した法人からその防衛特別法人税中間申告書に係る課税事業年度の防衛特別法人税確定申告書の提出があった場合において、その防衛特別法人税確定申告書に中間納付額で防衛特別法人税の額の計算上控除しきれなかった金額の記載があるときは、その金額に相当する中間納付額を還付する。
⑤ 各事業年度の所得に対する法人税につき欠損金の繰戻しによる法人税の還付の請求書を提出した法人に対して還付所得事業年度に該当する課税事業年度に係る法人税を還付する場合には、その課税事業年度の防衛特別法人税の額でその還付の時に確定しているもののうち、法人税の還付金の額に4%を乗じて計算した金額にその課税事業年度の課税標準法人税額を乗じてこれをその課税事業年度の基準法人税額で除して計算した金額に相当する金額を併せて還付する。
(5)その他
 質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
(6)適用関係
 防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
2 たばこ税
(1)加熱式たばこの課税方式の見直し
① 加熱式たばこに係る国及び地方のたばこ税の課税標準について、当分の間、次に掲げる加熱式たばこの区分に応じ、それぞれ次に定める方法により換算した紙巻たばこの本数とする。
イ 紙その他これに類する材料のもので巻いた加熱式たばこ 当該加熱式たばこの重量の0.35gをもって紙巻たばこの1本に換算する方法
(注)1本当たりの重量が0.35g未満のものについては、当該加熱式たばこの1本をもって紙巻たばこの1本に換算することとする。ロ 上記イ以外の加熱式たばこ 当該加熱式たばこの重量の0.2gをもって
紙巻たばこの1本に換算する方法
(注1)品目ごとの1個当たりの重量が4g未満のものについては、当該加熱式たばこの品目ごとの1個をもって紙巻たばこ20本に換算することとする。
(注2)製造たばことみなされる加熱式たばこの喫煙用具で、上記イに掲げる加熱式たばこと併せて喫煙の用に供されることが明らかなもの等については、(注1)を適用しない。
② 上記①の改正は、令和8年4月1日から実施するが、激変緩和等の観点から、その実施時期について次のとおり経過措置を講ずる。
イ 第一段階 令和8年4月1日
ロ 第二段階 令和8年10月1日
③ 上記①の改正に係る上記②の実施時期における加熱式たばこの具体的な課税標準は、次のとおり、現行の換算方法により計算した紙巻たばこの本数(③において「現行の換算本数」という。)及び改正後の換算方法により計算した紙巻たばこの本数(③において「新換算本数」という。)のそれぞれに一定の率を乗じて計算した本数の合計本数とする。

  現行の換算方法 改正後の換算方法
現 行 現行の換算本数×1.0
改正案 第一段階 現行の換算本数×0.5 新換算本数×0.5
第二段階 新換算本数×1.0

④ 加熱式たばこの課税標準の算定において、重量から除外されるものの範囲を明確化する。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(2)たばこ税の税率の特例
① 国のたばこ税の税率を、当分の間、1,000本につき8,302円(本則税率:6,802円)とする。
(注)上記のほか、特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係るたばこ税の税率については、1,000本につき15,924円(本則税率:14,424円)とする。
② 上記①の改正は、令和9年4月1日から実施するが、激変緩和等の観点や予見可能性への配慮から、税率改正の実施時期について次のとおり経過措置を講ずる。
イ 第一段階 令和9年4月1日
ロ 第二段階 令和10年4月1日
ハ 第三段階 令和11年4月1日
③ 上記②による税率改正の実施時期における具体的なたばこ税の税率は、1,000本につき、次のとおりとする。
イ 第一段階 7,302円(本則税率:6,802円)
ロ 第二段階 7,802円
ハ 第三段階 8,302円
(注)上記のほか、特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係るたばこ税の税率を、1,000本につき、第一段階で14,924円(本則税率:14,424円)に、第二段階で15,424円に、第三段階で15,924円に引き上げる。
④ 手持品課税を実施する。
⑤ その他所要の措置を講ずる。

七 納税環境整備
1 電子帳簿等保存制度の見直し
(国 税)
 電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。以下同じ。)の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、次の見直しを行う。
(1)申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録に記録された事項に関し、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき期限後申告等があった場合におけるその記録された事項に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税の割合を10%加重する措置(以下「電磁的記録に係る重加算税の加重措置」という。)の対象から、特定電磁的記録であって、その保存が次に掲げる要件を満たしている場合(あらかじめ、その特定電磁的記録について届出書を提出している場合に限る。)におけるその特定電磁的記録を除外するほか、所要の措置を講ずる。
① その電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができる特定電子計算機処理システム(訂正又は削除を行うことができないものを含む。)を使用してその電磁的記録の授受及び保存を行うこと。
② その電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項(金額に係るものに限る。)を訂正又は削除を行った上で国税関係帳簿に係る電磁的記録等に記録した場合には、その訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができる特定電子計算機処理システム(訂正又は削除を行った上で国税関係帳簿に係る電磁的記録等に記録することができないものを含む。)を使用してその電磁的記録の授受及び保存を行うこと。
③ その電子取引の取引情報(請求書・納品書等の重要書類に通常記載される事項に限る。)に係る電磁的記録の記録事項とその取引情報に関連する国税関係帳簿に係る電磁的記録等の記録事項との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこと。
④ 上記①及び②の特定電子計算機処理システムを使用してその電子取引の取引情報に係る電磁的記録の授受及び保存を行ったことを確認することができるようにしておくこと。
(2)上記(1)の改正に伴い、所得税の青色申告特別控除の控除額65万円の適用要件について、仕訳帳等につき国税の納税義務の適正な履行に資するものとして一定の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っていることに代えて、特定電子計算機処理システムを使用するとともに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録(特定電磁的記録に限る。)のうちその保存が当該特定電子計算機処理システムを使用して上記(1)の要件(上記(1)の届出書に係る要件を含む。)を満たすことができるものは当該要件に従って保存を行っていることとすることを可能とするほか、所要の措置を講ずる。
(注1)上記(1)の改正は令和9年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について、上記(2)の改正は令和9年分以後の所得税について、それぞれ適用する。
(注2)上記の「特定電磁的記録」とは、次に掲げる電磁的記録をいう。
① 保存要件に従って保存が行われている電子取引の取引情報に係る電磁的記録
② 災害その他やむを得ない事情により、保存要件に従って電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合又は納税地等の所轄税務署長が保存要件に従ってその電磁的記録の保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認めた一定の場合に、保存要件にかかわらず保存が行われているその電磁的記録
(注3)上記の「特定電子計算機処理システム」とは、国税庁長官の定める基準に適合する電子計算機処理システムをいう。
(注4)上記(注3)の「国税庁長官の定める基準」は、次に掲げるいずれかの電磁的記録(特定電磁的記録に限る。)を上記(1)に掲げる要件に従って保存を行うことができる機能を有していることとする。
① 仕入明細書又は適格請求書に記載すべき事項に係る電磁的記録の仕様としてデジタル庁が管理するものに従って提供された電子取引の取引情報に係る電磁的記録
② 金融機関等のいずれかに預金口座又は貯金口座を開設している預金者又は貯金者の委託を受けて、その金融機関等が行うこれらの口座に係る資金を移動させる為替取引の取引情報に係る電磁的記録
(注5)上記(1)の電磁的記録に係る重加算税の加重措置について、適用対象を明確化する運用上の対応を行う。
2 納税通知書等に係るeLTAX経由での送付
(地方税)
 地方税関係通知のうち、固定資産税、都市計画税、自動車税種別割及び軽自動車税種別割の納税通知書等について、電子的に副本を送付することができるよう、次の措置を講ずる。
(1)納税通知書等を受けた者が電磁的方法による提供を希望する旨の申出をしたときは、地方公共団体は、当該納税通知書等により通知した事項を、eLTAXを経由し、当該申出をした者に提供することができることとする。
(2)過去に上記(1)の申出をした者に対して、同種の納税通知書等を送達するときは、地方公共団体は、当該納税通知書等により通知する事項を、eLTAXを経由し、当該者に提供することができることとする。
(3)その他所要の措置を講ずる。
(注1)電子的に副本を送付することができる地方税関係通知の範囲は、上記4税目の納税通知書(課税明細書、更正決定通知書及び税額変更通知書を含む。)及び納付書等のこれに附属する通知とする。
(注2)上記の改正は、法人に対して送達する納税通知書等については令和9年4月1日以後に送達するものから、個人に対して送達する納税通知書等については令和10年4月1日以後に送達するものから、それぞれ適用する。
3 その他
(国 税)
(1)添付書面等記載事項等のスキャナ読取り等の要件の見直し等によるe-Taxの利便性の向上
 電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、申請書面等に記載すべき事項及び添付書面等に記載されている事項又は記載すべき事項を、スキャナによる読取り等により作成した電磁的記録(いわゆる「イメージデータ」)を送信する場合等の要件について、次の措置を講ずる。
① その読取り等の要件を白色から黒色までの階調が256階調以上であること(現行:赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上であること)とする。
② そのファイル形式にJPEG(JPG)形式を加える。
(注1)上記②の改正は、令和10年1月1日から施行する。
(注2)上記の改正に伴い、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により申請等を行う際の送信可能なデータ容量を拡大する等のシステム改修を行う。
(注3)令和6年度税制改正で措置することとされた「GビズIDとの連携によるe-Taxの利便性の向上」について、GビズIDメンバーを活用して、企業の内部統制を担保しつつ、e-Taxの利便性の更なる向上に向けたシステム改修を行う。
(2)刑事手続のデジタル化との一体性に配慮した国税犯則調査手続の見直し
刑事手続のデジタル化の実現のための法整備を前提として、令和8年度税制改正において、刑事手続のデジタル化との一体性に配慮しつつ、国税犯則調査手続のデジタル化に対応するための制度の詳細について結論を得る。
(地方税)
(1)法人税に関して閲覧等できる関係書類の範囲の拡大
 令和6年度税制改正により、外形標準課税の適用対象法人が見直されたことに伴い、地方公共団体が法人事業税の賦課徴収において閲覧等できる法人税に関する関係書類の範囲に、国内に恒久的施設を持たない外国法人であって事業税の納税義務者との間に完全支配関係があると認められる者に係る関係書類を追加する。
(注)上記の改正は、令和8年4月1日から施行する。
(2)軽油引取税の課税標準に係る規定の整備
 特約業者及び元売業者以外の者が製造した軽油を自ら消費し、又は他の者に譲渡した場合や、特約業者又は元売業者が軽油を自ら消費した場合における軽油引取税の課税について、課税標準から既に軽油引取税等が課された軽油等の数量を控除することを法令上明確化する。
(3)刑事手続のデジタル化との一体性に配慮した地方税犯則調査手続の見直し
 刑事手続のデジタル化の実現のための法整備を前提として、令和8年度税制改正において、刑事手続のデジタル化との一体性に配慮しつつ、地方税犯則調査手続のデジタル化に対応するための制度の詳細について結論を得る。

八 関税
1 暫定税率等の適用期限の延長等
(1)令和7年3月31日に適用期限の到来する暫定税率(411品目)及び特別緊急関税制度について、令和8年3月31日まで適用期限の延長を行う。
(2)加糖調製品(5品目)について、国内産糖への支援の原資となる調整金の拡大のため、次のとおり暫定税率の引下げを行う。

関税率表番号 主な品名 現行 改正案
1806.10-1 ココア粉 20.4% 19.0%
1806.20-2-(1)-B ココアの調製品 20.9% 19.9%
1901.90-2-(1)-A-(b)  ミルクの調製品 22.3% 21.2%
2106.10-2-(1)-B たんぱく質濃縮物 7.7% 5.8%
2106.90-2-(2)-E-(a)-ハ-(ロ)-Ⅲ-(Ⅰ) 乳糖を含有する調製食料品 22.3% 21.2%

(3)令和7年3月31日に適用期限の到来する沖縄に係る特例措置(選択課税制度等)について、令和9年3月31日まで適用期限の延長を行う。
(4)児童福祉法上に新設される乳児等通園支援事業について、給食用脱脂粉乳に対する関税軽減措置(暫定無税)の対象に追加する。
(5)後発開発途上国(LDC)に対する特別特恵関税について、適用対象外となるまでの期間をLDC卒業後1年以内(現行)から3年以内に延長する。
2 個別品目の関税率の見直し
(1)リチウム=ビス(オキサラト)ボラートについて、暫定税率を無税とする。
(2)シクロヘキシル(エチル)(ジメチル)アンモニウム=ブロミド、シクロヘキシル(エチル)(ジメチル)アンモニウム=ヒドロキシド及び1,6-ヘキサンジオールについて、基本税率を無税とする。
3 その他
 納税環境整備に係る内国税の規定を踏まえた所要の措置を講ずる。

第三 検討事項
1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバランス、貯蓄・投資商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意するとともに、平成30年度税制改正の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性、諸外国の例も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。

2 デリバティブ取引に係る金融所得課税の更なる一体化については、意図的な租税回避行為を防止するための方策等に関するこれまでの検討の成果を踏まえ、総合的に検討する。

3 暗号資産取引に係る課税については、一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として業法の中で位置づけ、上場株式等をはじめとした課税の特例が設けられている他の金融商品と同等の投資家保護のための説明義務や適合性等の規制などの必要な法整備をするとともに、取引業者等による取引内容の税務当局への報告義務の整備等をすることを前提に、その見直しを検討する。

4 小規模企業等に係る税制のあり方については、働き方の多様化や、同族会社や給与所得者との課税のバランスを踏まえ、個人事業主の勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、正規の簿記による青色申告の普及を含め、記帳水準の向上を図りながら、引き続き、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討を進める。

5 原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。

6 事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。

7 電気供給業及びガス供給業に係る収入金額による外形標準課税については、地方税体系全体における位置付けや個々の地方公共団体の税収に与える影響等も考慮しつつ、事業環境や競争状況の変化を踏まえて、その課税のあり方について、引き続き検討する。

8 新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置については、社会経済の情勢等を踏まえ、安全安心な住まいの実現など住生活の安定の確保及び向上の促進に向け国として推進すべき住宅政策との整合性を確保する観点から、地方税収の安定的な確保を前提に、そのあり方について検討する。