平成23年度税制改正大綱


平成22年12月16日

目 次
はじめに

第1章 基本的な考え方
1.税制改革の視点
2.平成23年度税制改正の基本的な考え方
3.税制抜本改革に向けて~社会保障と税制の一体改革~

第2章 各主要課題の平成23年度での取組み
1.納税環境整備
(1)納税者権利憲章の策定
(2)租税教育の充実
(3)税務調査手続
(4)更正の請求
(5)理由附記
(6)国税不服審判所の改革
(7)社会保障・税に関わる番号制度
2.個人所得課税
(1)所得税
(2)個人住民税
3.資産課税
(1)相続税
(2)贈与税
(3)固定資産税
4.法人課税
(1)基本的な考え方
(2)改革の取組み
5.消費課税
(1)消費税
(2)地方消費税
(3)たばこ税・酒税
6.環境関連税制
(1)地球温暖化対策のための税の導入
(2)揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税
(3)森林吸収源対策
(4)地球温暖化対策に関する地方の財源確保
7.市民公益税制
(1)基本的な考え方
(2)改革の取組み
8.国際課税
(1)基本的な考え方
(2)今後の改革の方向性
(3)国際連帯税
9.地域主権改革と地方税制
(1)地方税の充実
(2)住民自治の確立に向けた地方税制度改革

第3章 平成23年度税制改正
1.納税環境整備
(1)納税者権利憲章の策定
(2)税務調査手続
(3)更正の請求
(4)理由附記
(5)地方税に関する税務調査手続等の見直し
(6)租税罰則の見直し
(7)その他
2.個人所得課税
(1)給与所得控除の見直し
(2)退職所得課税の見直し
(3)成年扶養控除の見直し
(4)金融証券税制
(5)租税特別措置等
(6)その他
3.資産課税
(1)相続税・贈与税の見直し
(2)租税特別措置等
(3)その他
4.法人課税
(1)法人税制
(2)中小企業税制
(3)雇用促進税制
(4)環境関連投資促進税制
(5)総合特区制度、アジア拠点化推進のための税制
(6)その他の租税特別措置等
(7)その他
5.消費課税
(1)地球温暖化対策のための税
(2)租税特別措置等
(3)その他
6.市民公益税制
7.国際課税
(1)外国税額控除制度の見直し
(2)移転価格税制の見直し
(3)租税特別措置
(4)その他
8.関税
9.検討事項
別紙1 当初申告要件を廃止する措置
別紙2 控除額の制限を見直す措置
別紙3 租税罰則(国税関係)の見直し
別紙4 租税罰則(地方税関係)の見直し
別紙5 特恵関税制度の適用期限の延長及び見直し

はじめに

 税制調査会は、昨年の政権交代を機に、政府において権限と責任を有する政治家が我が国の税制を決定する透明な仕組みとして新たに設置されました。新体制において最初にとりまとめられた「平成22年度税制改正大綱」では、納税者の立場に立って「公平・透明・納得」の三原則を常に基本とすることをはじめとして、税制改革に向けての基本的な考え方をお示ししました。これを踏まえ、以下に示す様々な検討の場において、主要課題について更に検討を深めてきました。
 本年1月末には、市民公益税制プロジェクトチーム(PT)及び控除廃止の影響に係るPTを設置しました。市民公益税制PTは、寄附税制及び公益活動を担う法人に係る税制に関する「中間報告書」を4月にとりまとめ、控除廃止の影響に係るPTにおいては、所得税・個人住民税の控除見直しに伴い影響が生じる諸制度に関する適切な措置について、10月に報告書をとりまとめました。
 また、同じく本年1月末に、学識経験者による専門家委員会を設置し、「80年代以降の内外の税制改革の総括」をテーマに、税制抜本改革に関する総論的な議論を行い、本年6月に「議論の中間的な整理」が税制調査会に報告されました。また、9月に「納税環境整備に関する論点整理」、11月に「国際課税に関する論点整理」がとりまとめられました。
 本年10月には、平成23年度税制改正に向けて、税制調査会本体会合を再開するとともに、納税環境整備PT、雇用促進税制等PT、租税特別措置・税負担軽減措置等の見直し及び課税ベースの拡大等の検討に関するPTを設置し、市民公益税制PTを含めた4つのPTにおいて、それぞれのテーマについて集中的に検討を行うこととしました。また、専門家委員会においても、税制抜本改革に向けた税目毎の論点の深掘りが行われ、12月に「『税目ごとの論点の深掘り』に関する議論の中間報告」として税制調査会に報告がなされました。
 他方、政府・与党においては、10月に、社会保障改革とその財源確保について一体的に検討する場として、「政府・与党社会保障改革検討本部」が設置され、12月には今後の改革の基本方針を定める決定がなされています。
 以下に示す「平成23年度税制改正大綱」は、税制調査会を中心とするこのような議論の積み重ねの集大成であり、支え合う社会の実現に必要な財源を確保し、経済・社会の構造変化に適応した税制を構築するための改革を進めるものです。今後、本大綱に基づいて、平成23年度税制改正を速やかに実施に移していく必要があります。

第1章 基本的な考え方

1.税制改革の視点

 我が国は、人口減少と高齢化の同時進行、グローバル化の急速な進展、国内での格差拡大、資源制約の問題、気候変動をはじめとする環境問題など、内外の経済・社会構造の激しい変化に直面し、様々な問題を抱えています。また、現下の経済動向を見ると、景気は足踏み状態にあり、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあります。このような中で、我が国財政は、少子高齢化の進行による社会保障関係費の増大、度重なる減税と景気低迷に伴う税収減などが相まって危機的状況にあり、税収力の回復が喫緊の課題となっています。

《抜本改革に向けた基本的方向性》
 こうした我が国の経済・社会の構造変化に対応し、成長と雇用の実現、社会保障改革とその財源確保といった我が国の喫緊の課題に応えるために、税制の抜本的な改革を果断に進める必要があります。改革に当たっては、平成22年度税制改正大綱でお示しした以下の5つの視点や改革の方向性を踏まえ、納税者の理解・納得を得ながら、所得課税、消費課税、資産課税全般について改革を進めていきます。この改革を通じて、セーフティネットの確立、経済活性化、財政健全化の好循環を促していきます。
・納税者の立場に立ち「公平・透明・納得」の税制を築くこと
・「支え合い」のために必要な費用を分かち合うこと
・税制改革と社会保障制度改革を一体的にとらえること
・グローバル化に対応できる税制を考えること
・地域主権改革を推進するための税制を構築すること

2.平成23年度税制改正の基本的な考え方

 このような税制改革の視点に立って、平成23年度税制改正においては特に、デフレ脱却と雇用のための経済活性化、格差拡大とその固定化の是正、納税者・生活者の視点からの改革、地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革、の4つを柱として、税制抜本改革に向けた基本的方向性や政府の財政運営方針との整合性を確保しつつ、所得課税、資産課税、消費課税全般にわたる改正を行うこととします。

(1)デフレ脱却と雇用のための経済活性化
 デフレから脱却し、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくため、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資を拡大する必要があります。このため、新成長戦略の一環として、平成23年度税制改正において、課税ベースの拡大等と併せて、法人実効税率を5%引き下げます。中小法人に対する軽減税率についても3%引き下げます。デフレ脱却と雇用拡大を最優先して、「ペイアズユーゴー原則」1との関係では今回の税制改正による財源の確保は十分でありませんが、思い切った引下げ措置を講ずることにします。また、雇用促進、環境関連投資、総合特区制度・アジア拠点化等を推進するための政策税制措置等を講じます。さらに、贈与税を見直し、高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促進します。

1

財政運営戦略(平成22年6月22日閣議決定)等


(2)格差拡大とその固定化の是正
 国民が安心して暮らせる「支え合いと活気がある社会」を実現するためには、格差の拡大とその固定化を食い止めることが重要な課題であり、そのために、社会保障制度と併せて、税制における再分配機能の回復を図る必要があります。平成23年度税制改正では、所得税における諸控除の見直しや相続税における控除や税率構造の見直しにより、税制の累進構造の回復を図ります。

(3)納税者・生活者の視点からの改革
 平成23年度税制改正ではまた、これまでの政権では取組みが不十分だった納税者・生活者の視点からの問題意識や、「新しい公共」の観点からの改革に取組み、「納税者権利憲章」の制定等の納税環境整備の推進や、寄附金税制の拡充等を行います。また、地球温暖化問題という人類共通の課題に取り組み、住みやすい環境を将来世代に残していくため、地球温暖化対策のための税を導入します。

(4)地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革
 地域主権改革を推進する中で、地方がその役割を十分に果たすため、地方税を充実し、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築していきます。平成23年度税制改正では、個人住民税の諸控除や税負担軽減措置等の見直しを行います。また、地方税制度を「自主的な判断」と「執行の責任」を拡大する方向で抜本的に改革していくこととし、成案を得たものから速やかに実施します。
 このように、平成23年度税制改正においては、所得・消費・資産等にわたる抜本改革の実現に向けて、経済活性化と財政健全化を一体として推進するという枠組みの下で、特に、現下の厳しい経済状況や雇用情勢に対応して、経済活性化や税の再分配機能の回復、地球温暖化対策などの課題に優先的に取り組むとともに、納税者・生活者の視点などに立った改革に取り組み、全体として、税制抜本改革の一環をなす、緊要性の高い改革を実施します。

3.税制抜本改革に向けて~社会保障と税制の一体改革~

 社会保障は、財政の最大支出項目であり、更なる高齢化により今後も歳出の増大が見込まれるとともに、極めて重要な成長分野です。同時に、信頼できる社会保障制度が確立されることで、国民は安心して消費を拡大することが可能となります。
 このような観点から、社会保障改革とその財源確保について、消費税を含む税制全体の議論を一体的に行うことが不可欠であり、そのため、本年10月28日に、「政府・与党社会保障改革検討本部」が設置されました。
 12月10日に本部決定され、同14日に閣議決定された「社会保障改革の推進について」では、今後の社会保障改革について、民主党「税と社会保障の抜本改革調査会中間整理」や「社会保障改革に関する有識者検討会報告~安心と活力への社会保障ビジョン〜」に示された内容を尊重し、社会保障の安定・強化のための具体的な制度改革案とその必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進め、その実現に向けた工程表とあわせ、平成23年半ばまでに成案を得、国民的な合意を得た上でその実現を図ることが決定されました。
 今後、税制調査会では、この決定を踏まえた政府・与党内の検討と緊密に連携しながら、早急に税制抜本改革の具体的内容について検討を行っていきます。

第2章 各主要課題の平成23年度での取組み

 平成22年度税制改正大綱の第3章において、各主要課題の改革の方向性を示したところであり、改革の第一歩として、平成22年度税制改正では、「控除から手当へ」等の観点からの扶養控除の見直し、国民の健康の観点を明確にしたたばこ税の税率引上げ、「新しい公共」を支える市民公益税制の拡充、納税者の視点に立った租税特別措置等の見直し等の措置を一体として講じました。平成23年度税制改正においては、平成22年度税制改正大綱の改革の方向性を承継し、以下の改革に取り組みます。

1.納税環境整備
 納税者の立場に立って納税者権利憲章を策定するとともに、税務調査手続の明確化、更正の請求期間の延長、処分の理由附記の実施等の措置を講じることとし、国税通則法について昭和37年の制定以来、最大の見直しを行います。
 国税不服審判所の改革については、納税者の簡易・迅速な権利救済を図り、審理の中立性・公正性を高める観点から、行政不服審査制度全体の見直しの方向を勘案しつつ、不服申立ての手続、審判所の組織や人事のあり方について見直しを進めていきます。
 社会保障・税に関わる番号制度については、早期の制度導入に向け、「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」を中心に速やかに検討を進めるとともに、税務面においても積極的な検討を行います。

(1)納税者権利憲章の策定
 納税者の立場に立って納税者権利憲章(以下「憲章」といいます。)を策定します。
 憲章については、複雑な税務手続を納税者の目から見て分かり易い形でお知らせするため、①納税者が受けられるサービス、②納税者が求めることのできる内容、③納税者に求められる内容、④納税者に気をつけていただきたいことを一連の税務手続に沿って、一覧性のある形で、平易な言葉で簡潔・明瞭に示すとの考え方に沿って策定します。
 これを踏まえ、税務当局も納税者からより一層信頼される税務行政に向け、取り組むものとします。
 また、国税通則法について、第一条の目的規定を改正し、税務行政において納税者の権利利益の保護を図る趣旨を明確にします。さらに、憲章の策定を法律上義務付けることとし、その策定根拠、憲章に記載すべき事項を法定するとともに、各種税務手続の明確化等に関する規定を同法に集約します。同法の法律名が改正後の法律の内容をよく表すものとなるよう、題名を変更します。

(2)租税教育の充実
 国民が租税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解し、社会の構成員として、社会のあり方を主体的に考えることは、納税に対する納得感の醸成と民主国家の維持・発展にとって重要です。
 こうした健全な納税者意識を養うことを目的として、国税庁では、次代を担う児童・生徒に対し、租税教育の充実に向けた各種の支援を実施しています。また、税理士・税理士会においても、納税者又は国民への社会貢献事業の一環として、租税教育を通じて申告納税制度の維持発展に寄与するため、小中学校への講師派遣等を積極的に実施しています。
 本来、租税教育は、社会全体で取り組むべきものであり、健全な納税者意識のより一層の向上に向け、今後とも官民が協力して租税教育の更なる充実を目指す必要があります。特に、小中学校段階だけでなく、社会人となる手前の高等学校や大学等の段階における租税教育の充実や、租税教育を担う教員等に対する意識啓発について検討し、関係省庁及び民間団体が連携して取り組むこととします。

(3)税務調査手続
 調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実・発展に資する観点から、税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行うことを法律上明確化します。ただし、悪質な納税者の課税逃れを助長することのないよう、課税の公平確保の観点を踏まえ、一定の場合には事前通知を行わないこととします。
 また、調査終了時の手続について、課税庁の納税者に対する説明責任を強化する観点から、法律上明確化します。
 なお、現行の調査実務上行われている物件の預かり・返還等に関する規定を法律上明確化します。

(4)更正の請求
 納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」については、法定外の手続により非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化を図る観点から、更正の請求を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長し、併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)を5年に延長します。
 これにより、基本的に、納税者による修正申告・更正の請求、課税庁による増額更正・減額更正の期間を全て一致させることとします。
 また、当初申告時に選択した場合に限り適用が可能な「当初申告要件が設けられている措置」については、事後的な適用を認めても問題がないものも含まれていることを踏まえ、更正の請求を認める範囲を拡大します。

(5)理由附記
 処分の適正化と納税者の予見可能性の確保の観点から、全ての処分について、理由附記を実施します。ただし、個人の白色申告者に対する更正等に係る理由附記については、記帳・帳簿等保存義務の拡大と併せて実施することとします。

 なお、個人の白色申告者に記帳が義務化されることに伴い、以下の点について今後検討を行います。
①白色申告者の記帳義務化に伴い、必要経費を概算で控除する租税特別措置についてどのように考えるか。
②白色申告者に記帳が義務化されることを踏まえ、今後、正しい記帳を行わない者の必要経費についてどのように考えるか。
③白色申告者の記帳水準が向上した場合には、現在、白色申告者に認められている専従者控除について、その専従の実態等を勘案し、どのような見直しが可能か検討してはどうか。

(6)国税不服審判所の改革
(争訟手続)
 国税の不服申立手続の見直しについては、基本的には、現在、内閣府の行政救済制度検討チームで行われている、①「行政不服審査法の見直し」(審査請求への原則一元化、独立して職権行使を行う「審理官」の創設、証拠書類の閲覧・謄写のあり方、不服申立期間のあり方等)や、②「不服申立前置の見直し」の方向性を踏まえて検討を行う必要があります。
 内閣府・行政救済制度検討チームの議論が来年以降本格化することを踏まえ、不服申立期間、証拠書類の閲覧・謄写の範囲、対審制、不服申立前置の仕組みのあり方については、同検討チームの結論を踏まえて改めて検討した上、所要の見直しを図ることとします。
 なお、
① 不服申立期間については現行の期間制限(2月)を延長する方向で、証拠書類の閲覧・謄写の範囲については審査請求人と処分庁とのバランスを踏まえつつ拡大する方向で、それぞれ検討を行うこととします。
② 不服申立前置のあり方については、納税者の利便性向上を図ることが求められていることから、争訟手続における納税者の選択の自由度を増やすことを基本に、以下の点にも留意しつつ、原則として2段階となっている現行の仕組みを抜本的に見直す方向で検討を行うこととします。
 イ 現在、審判所における審査請求を含め、国税の不服申立手続が一定の争点整理機能を発揮しており、裁判所の負担軽減に役立っていること
 ロ 税制調査会専門家委員会「納税環境整備に関する論点整理」(平成22年9月14日)の指摘にもあるように、引き続き納税者の簡易・迅速な救済を図る必要があること
 ハ 行政に対し自律的に迅速かつ統一的に運用の見直しを図る機会を付与する必要があること
 ニ 主要諸外国においても、訴訟に先立ち、租税行政庁への不服申立てが前置されていること

(争訟機関)
 国税不服審判所における審理の中立性・公正性を向上させる観点から、今後、国税審判官への外部登用を以下のとおり拡大することとし、その方針及び工程表を公表します。
① 民間からの公募により、年15名程度採用します。
② 3年後の平成25年までに50名程度を民間から任用することにより、事件を担当する国税審判官の半数程度を外部登用者とします。

 さらに、国税不服審判所については、内閣府・行政救済制度検討チームの検討状況を勘案しつつ、簡易・迅速な行政救済を図るとの観点も踏まえ、審理の中立性・公正性に配意して審判所の所管を含めた組織のあり方や人事のあり方の見直しについて検討を行うこととします。

(7)社会保障・税に関わる番号制度
 社会保障・税に関わる番号制度(以下「番号制度」といいます。)は、主として給付のための制度であり、①真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障の充実とその効率化を図りつつ、②国民の負担の公正性を担保し、制度に対する国民の信頼を確保するとともに、③国民の利便性の更なる向上を図るために不可欠なインフラとして可能な限り早期に導入することが望ましいものと考えます。

 本制度については、「政府・与党社会保障改革検討本部」の下に設けられた「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」の「中間整理」(平成22年12月3日)において、①幅広い行政分野での利用を視野に入れつつ、まずは税と社会保障分野から利用を開始する、②住民基本台帳ネットワークを活用した新たな番号を使用する、③データベースの管理方式については分散管理方式を前提に検討し、番号の管理方式については一元管理又は分散管理とすべき具体的分野について今後検討を進める、④付番機関については、社会保障制度や税制の改革の方向性に照らして「歳入庁の創設」の検討を進めるとともに、「まずはどの既存省庁の下に設置すべきか」について、他の論点の方向性に鑑みつつ、検討を進める、⑤個人情報保護の徹底については、最低限、「自己情報へのアクセス記録の確認」、「第三者機関の設置」、「目的外利用防止に係る具体的法原則明示」、「関係法令の罰則強化」を実施する方向で検討する、という目指すべき方向性を明らかにしたところです。また、スケジュールについては、「社会保障改革の推進について」(平成22年12月14日閣議決定)に基づき、来年1月を目途に基本方針をとりまとめ、さらに国民的な議論を経て、来秋以降、可能な限り早期に関連法案を国会に提出できるよう取り組むこととしています。今後、このような方針に即し、早期の制度導入に向け、実務検討会を中心に速やかに検討を進めます。

 税務面において番号制度を活用するには、①各種の取引に際して、納税者が取引の相手方に番号を「告知」すること、②取引の相手方が税務当局に提出する法定調書及び納税者が税務当局に提出する納税申告書に番号を「記載」すること、が必要となります。これにより税務当局は、法定調書と納税申告書の情報を、番号をキーとして名寄せ・突合することが可能となります。
 その前提として、番号は、少なくとも、①国民一人一人に一つの番号が付与されていること、②納税者が取引の相手方に告知できるよう、民-民-官の関係で利用でき、また、目で見て確認できること、③常に最新の住所情報と関連付けられていること、という条件を満たす必要があります。
 税務面において、番号制度がこのような役割を果たしていけるよう、実務検討会での議論と並行して、①法定調書の拡充、②税務当局への提出資料の電子データでの提出の義務付け、③税務行政における電子化の推進と情報連携の効率化、等の課題について積極的に検討を進めます。また、制度全体についての議論の進捗状況を踏まえ、①法定調書への正確な番号記載の確保策、②税務情報についてのプライバシー保護の徹底策、といった課題についても検討を進めます。
 なお、検討に当たっては、番号を利用しても事業所得や海外資産・取引情報の把握には限界があることについて、国民の理解を得ていく必要があります。

2.個人所得課税

(1)所得税
①基本的な考え方
 所得税については、累次の改正により累進緩和や各種控除の拡充が行われてきました。一方、給与収入階層の分布を見ると、平成9年まで平均給与は上昇し、高所得者の割合も増加してきましたが、その後、これらは低下し、平成20年は平成2年と同程度の水準に戻っています。このため、同じ税率構造の下では、インフレ等により名目賃金が上昇すれば全体としての累進性が高まるはずのところ、逆に累進性が低下する現象が生じ、所得再分配機能と財源調達機能が大きく低下しています。格差社会に対応するためにも、累進構造を基本とする所得税については、雇用形態や就業構造の変化も踏まえながら、所得再分配機能等を回復するための改革を進める必要があります。
 そのため、税率構造の見直しはもとより、高所得者に対して結果的に有利になっている所得控除の見直しなどによる課税ベースの拡大、さらには、所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へという改革を進めます。
 また、所得税については、本来、全ての所得を合算して課税する「総合課税」が理想ですが、金融証券税制については、金融資産の流動化や個人金融資産の有効活用による経済活性化の必要性にかんがみ、可能なところから、金融所得課税の一体化に向けた取組みを進めます。
②改革の取組み
 イ 給与所得控除の見直し
 給与所得控除については、「勤務費用の概算控除」と「他の所得との負担調整のための特別控除」(以下「他の所得との負担調整」といいます。)の二つの性格を有しているものとされています。
 しかし、就業者に占める給与所得者の割合が約9割となっている現状で、「他の所得との負担調整」を認める必要性は薄れてきているのではないかと考えられます。
 また、現在の給与所得控除については、マクロ的に見ると、給与収入総額の3割程度が控除されている一方、給与所得者の必要経費ではないかと指摘される支出は給与収入の約6%であるとの試算もあり、主要国との比較においても全体的に高い水準となっています。
 このため、給与所得控除の二つの性格について、各々2分の1であることを明確化した上で、格差是正、所得再分配機能の回復の観点から、過大となっている控除を適正化するための見直しを行います。

(イ)給与所得控除の上限設定
 現在の給与所得控除は、給与収入に応じて逓増的に控除が増加していく仕組みとなっており、上限はありません。しかし、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて必ずしも増加するとは考えられないこと、また、主要国においても定額又は上限があること等から、給与収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限を設けることとします。

(ロ)役員給与等に係る給与所得控除の見直し
 法人役員については、一般従業員に比べ、勤務態様が必ずしも従属的でないと考えられることや、給与の自己決定度合いが高いこと等を踏まえると、特に、高額な役員給与については、給与所得控除の性格のうち「他の所得との負担調整」部分が過大となっていると考えられます。
 このため、役員給与に係る給与所得控除を見直し、4,000万円超という特別に高額な役員給与については、「勤務費用の概算控除」部分である、給与所得控除額の2分の1の額を上限とします。なお、2,000万円を超え4,000万円までの間では、「他の所得との負担調整」部分の一部を認め、控除額の上限を4分の3とする部分も含め、調整的に徐々に控除額を縮減します。
 この給与所得控除の縮減措置は、役員給与のほか、いわゆる指定職等の国家公務員等やそれと同様の職位の地方公務員等の給与にも適用されるようにします。

(ハ)特定支出控除の見直し
 今般、給与所得控除に上限を設けることに併せ、特定支出控除を使いやすくする観点から、特定支出の範囲を拡大するとともに、特定支出控除の適用判定の基準を見直すこととします。
 具体的には、就労の多様化等を踏まえ、現在、特定支出の範囲から除外されている弁護士、公認会計士、税理士など、法令の規定に基づいてその資格を有する者に限って特定の業務を営むことができる資格の取得費を特定支出の範囲に追加します。
 また、図書費、衣服費、交際費及び職業上の団体の経費(以下「勤務必要経費」といいます。)も、特定支出の範囲に追加します。なお、この勤務必要経費については、高額なものを購入できる高額所得者を過度に優遇するといった不公平が生じないよう、上限を設けることとします。
 さらに、特定支出控除の適用判定の基準となる控除額については、「勤務費用の概算控除」部分、すなわち給与所得控除額の2分の1の額とし、給与所得者の実額控除の機会を拡大します。

ロ 退職所得課税の見直し
 退職所得については、長期間にわたる勤務の対価(給与)が一時期にまとめて後払いされるものであることや、退職後の生活保障的な所得であること等を考慮し、退職所得控除額を控除した残額の2分の1を所得金額とする累進緩和措置(以下「2分の1課税」といいます。)が採られています。
 一般的に、短期間勤務の結果支給される退職金については、退職所得控除により課税が生じることは少ないと考えられますが、2分の1課税を前提に、短期間のみ在職することが当初から予定されている法人役員等が、給与の受取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、税負担を回避するといった事例が指摘されています。
 このように、一般従業員の退職金とは相当に異なる事情にあることを踏まえ、勤続年数5年以内の法人役員等の退職所得について、2分の1課税を廃止します。

ハ 成年扶養控除の見直し
 現行制度では、23歳から69歳までの成年を控除対象とする扶養控除(以下「成年扶養控除」といいます。)は、被扶養者が一定の年齢であれば一律に適用されています。しかしながら、本来、成年者は基本的に独立して生計を立てるべき存在であること等を踏まえれば、成年者を担税力の面で配慮が必要な存在として一律に扶養控除の対象に位置付ける必要性は乏しいと考えられます。このため、成年扶養控除の対象を見直すこととします。
 まず、障害者、要介護認定者その他心身の状態等により就労が困難な扶養親族、65歳以上の高齢者、学生については、独立して生計を立てることが困難な状況にある人が少なくないと考えられることから、引き続き成年扶養控除の対象とします。
 また、合計所得金額が400万円(給与収入568万円)以下の納税者(扶養者)については、扶養による担税力の減殺に配慮し、被扶養者の事情にかかわらず、引き続き成年扶養控除が適用できることとします。なお、合計所得金額400万円を境目として税負担が急増しないよう、調整措置を講じます。
 以上のように、担税力の減殺に配慮すべき世帯については負担増にならないよう措置した上で、上記以外の場合については、控除を廃止することとします。

ニ 配偶者控除
 配偶者控除については、夫婦が生活の基本的単位である点を重視する考え方等から、その見直しに慎重な意見もありますが、雇用機会均等の理念から、制度が働き方の選択に対してできる限り中立的で公正なものとなるように見直すべきではないか、また、配偶者の家事労働には納税者本人にとっての経済的価値があり、配偶者の存在を担税力の減殺要因と捉えることは必ずしも適当ではないのではないか、という見直しに積極的な意見があります。
 このような配偶者控除を巡る様々な議論、課税単位の議論、社会経済状況の変化等を踏まえながら、配偶者控除については、平成24年度税制改正以降、抜本的に見直す方向で検討します。

ホ 金融証券税制
 金融証券税制については、個人金融資産を有効に活用し、我が国経済を活性化させるためにも、金融所得間の課税方式の均衡化と損益通算の範囲拡大を柱とする金融所得課税の一体化に向けた取組みを進める必要があります。
 現行の上場株式等の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率は、公平性や金融商品間の中立性の観点から、20%本則税率とすべきですが、景気回復に万全を期すため、2年延長し、平成26年1月から20%本則税率とします。これに伴い、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(いわゆる「日本版ISA」)の導入時期については、平成26年1月からとします。これらの措置については、経済金融情勢が急変しない限り、確実に実施することとします。
 現在、店頭金融デリバティブ取引に係る所得については、総合課税としていますが、金融商品間の課税の中立性を高める観点から、市場金融デリバティブ取引に係る所得と同様に、20%申告分離課税とした上で、両者の通算及び損失額の3年間の繰越控除を可能とします。
 現行の会社法における少数株主権の制度との整合性及び所得再分配機能の回復の観点から、事業参加的側面が強いことを勘案して総合課税の対象としている大口株主等が支払を受ける上場株式等に係る配当等の要件について、発行済株式等の総数等に占める保有割合を、現行の5%から3%に引き下げます。

(2)個人住民税
①基本的な考え方
 個人住民税は「地域社会の会費」として、住民がその能力に応じて広く負担を分かち合うという性格を有しています。そのため、所得税と異なる、次のような特徴を有しています。
 ・税率構造は、10%比例税率を基本とし、応益性を明確化
 ・所得控除は控除項目・金額ともに所得税の範囲内
 ・税額控除は課税技術上の控除が中心で、政策的な控除は極めて限定的
 地域主権改革を進めていく観点からは、地方税源を充実することが必要であり、そのための方策の一つとして、個人住民税の充実強化を検討することは、地方消費税と並ぶ重要な課題です。
 個人住民税の「地域社会の会費」的性格をより明確化する観点から、所得税における諸控除の見直しや低所得者への影響にも留意しつつ、個人住民税の諸控除の見直しについて検討を進めます。
②改革の取組み
 個人住民税の諸控除について次の措置を講じます。
 ・所得税において、成年扶養控除の見直しが行われることを踏まえ、税体系上の整合性の観点等から、個人住民税の成年扶養控除についても、所得税と同様に見直します。
 ・退職所得に係る個人住民税(所得割)の額から税額の10%を控除する仕組みについては、廃止します。
※所得税における給与所得控除、退職所得の2分の1課税の見直しは、個人住民税に自動影響。
 上場株式等の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率(うち個人住民税3%)など、金融証券税制については、個人住民税も所得税と同様に対応します。
 個人住民税の所得割は前年所得を基準に課税しているため、収入が前年より大きく減少した人にとっては金銭的負担感が過重になります。納税者、特別徴収義務者、地方自治体の事務負担を踏まえつつ、現年課税化についても検討を行います。

3.資産課税

(1)相続税
①基本的な考え方
 相続税は格差是正・富の再分配の観点から、重要な税です。相続税の基礎控除は、バブル期の地価急騰による相続財産の価格上昇に対応した負担調整を行うために引き上げられてきました。しかしながら、その後、地価は下落を続けているにもかかわらず、基礎控除の水準は据え置かれてきました。そのため、相続税は、亡くなられた方の数に対する課税件数の割合が4パーセント程度に低下しており、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、相続税の再分配機能が低下しています。
 地価動向等を踏まえた基礎控除の水準調整をはじめとする課税ベースの拡大を図るとともに、税率構造について見直しを図ることにより、相続税の再分配機能を回復し、格差の固定化を防止する必要があります。

②改革の取組み
イ 基礎控除及び税率構造
 格差固定化の防止、相続税の再分配機能・財源調達機能の回復等の観点から、基礎控除を「3,000万円+600万円×法定相続人数」へ引き下げるとともに、高額の遺産取得者を中心に負担を求める観点から最高税率を55%へ引き上げるなど税率構造を見直します。
ロ 死亡保険金の非課税措置
 死亡保険金の非課税措置については、「相続人の生活安定」という制度趣旨の徹底の必要性や他の金融商品との間の課税の中立性確保の要請等を踏まえ、算定の基礎となる法定相続人の範囲を縮減します。
ハ 未成年者控除・障害者控除
 相続税額から一定額を差し引く未成年者控除・障害者控除については、控除額が長年にわたって据え置かれてきており、物価動向や今般の相続税の基礎控除等の見直しを踏まえ、引き上げます。

(2)贈与税
①基本的な考え方
 贈与税は、相続税と同様、贈与という無償の財産取得に担税力を見出して課税するものであり、相続税の回避を防止するという意味で、相続税を補完する役割を果たしています。
 過去累次の相続税・贈与税改正においては、こうした「相続税の回避防止」の観点から、相続税に比べ贈与税の税率構造は相対的に厳しいものとされてきました。加えて、近年、被相続人のみならず相続人自身の高齢化が進んでいることとも相まって、若年世代への資産移転が進みにくい状況となっています。贈与税の見直しを通じ、高齢者層が保有する資産をより早期に現役世代に移転させ、その有効活用を通じて経済社会の活性化を図ることが必要です。一方で、見直しに当たっては、資産格差が世代を超えて固定化してしまうとの懸念にも配慮する必要があります。

②改革の取組み
 相続税について、課税ベースの拡大・税率構造の見直しを図れば、死亡時点まで資産を保有することに伴う税負担が高まるため、そのこと自体によっても生前贈与を促す効果があります。こうした相続税の負担の適正化と併せて贈与税を緩和すれば、そうした生前贈与はより一層促進されることになります。こうした観点から、子や孫などが受贈者となる場合の贈与税の税率構造の緩和、受贈者に孫を加えるなど相続時精算課税制度の対象範囲の拡大を行い、高齢者の保有資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大や経済活性化を図ります。

(3)固定資産税
 固定資産税は、課税客体である固定資産がどの市町村にも広く存在しており、税源の偏りも小さく、地域主権改革の観点からも市町村税としてふさわしい基幹税目です。市町村が住民に身近な行政サービスを提供する上で、今後とも税収の安定的な確保が不可欠です。
 このため、政策税制措置については、適用実態や有効性等を検証し、厳格に見直します。
 また、平成24年度の評価替えに向けて、負担調整措置のあり方及び固定資産の適正な評価について検討を進めます。

4.法人課税

(1)基本的な考え方
 デフレから脱却し、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくため、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資を拡大することが喫緊の政策課題となっています。こうした観点から、先進国の中で米国と並んで最も高い水準にある我が国の国税と地方税を合わせた法人実効税率について、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)の方針の下、課税ベースの拡大等により財源確保を図りつつ、引下げを行います。厳しい環境に置かれている中小法人に適用される軽減税率も引き下げます。
 また、雇用を増加させた企業を支援する雇用促進税制、成長分野である環境分野への投資を促進するための税制措置、国際的な企業立地競争の中で我が国の魅力を向上させる税制措置を講じます。
 このような税制面での対応により、国内の雇用や投資が増加し、それが持続的な経済成長をもたらして、新たな雇用や投資を生むという好循環の実現を目指します。
(2)改革の取組み
①法人実効税率の引下げ
 平成23年度税制改正では、国税と地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げます。このため、現在30%である法人税率を25.5%に引き下げます1。これにより、我が国企業の国際競争力の向上や我が国の立地環境の改善が図られるとともに、「日本国内投資促進プログラム」2で示されたように我が国企業が国内の投資拡大や雇用創出に積極的に取り組み、これらが相まってデフレからの早期脱却につながることが期待されます。
 税率引下げに併せて、課税ベースの拡大を行います。具体的には、租税特別措置である特別償却や準備金等の廃止や一部縮減を行うほか、法人税法上の措置である減価償却制度の償却速度を主要国並みに見直すことや、大法人について欠損金の繰越控除を一部制限する等の措置を講じます。
 なお、法人実効税率の引下げは、我が国企業の国際競争力の観点等から行うものであるため、全体として地方の税収に極力影響を与えないようにします。また、法人実効税率の引下げと課税ベースの拡大措置に伴う都道府県と市町村の増減収を調整するため、平成24年度から道府県たばこ税の一部を市町村たばこ税に移譲します。

1

「法人実効税率」とは、法人事業税及び地方法人特別税が損金算入されることを調整した上で、法人税、法人住民税、法人事業税(所得割)、地方法人特別税の税率(法人事業税及び地方法人特別税については、外形標準課税の対象となる資本金1億円超の法人に適用される税率)を合計したものです。法人税率(国税)を4.5%引き下げるとともに法人住民税率(地方税)を維持することにより、法人実効税率は、国税と地方税を合わせて5.05%(東京都)下がり、現行の40.69%(東京都)が35.64%となります。なお、5.05%の内訳は、法人税分が4.18%、法人住民税分(東京都)が0.87%です。

2

平成22年11月29日に国内投資促進円卓会議においてとりまとめられました。


②中小法人に対する軽減税率の引下げ
 我が国で地域経済の柱となり、雇用の大半を担っているのは中小企業です。厳しい経済状況の中、こうした中小企業を支えることは、重要な政策課題の一つです。法人実効税率の5%引下げは中小法人にも適用されますが、これに加え、平成22年度末に期限切れを迎える中小法人に対する18%の軽減税率についても、一般の税率とのバランスや個人事業主の所得税負担水準とのバランス等を勘案して、15%まで引き下げることとします。これに伴い、中小企業関連の租税特別措置についても一部見直しを行います。

③雇用促進税制
 雇用の維持・増加を図り、それによって経済成長を推進することは、新成長戦略の一つの柱です。税制面でも、法人実効税率の引下げにより国内雇用の維持・増加を促すことに加え、現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、出来る限りの支援措置を講じる必要があります。
そ こで、雇用の受け皿となる成長企業を支援するために、雇用を一定以上増やした企業に対する税制上の優遇措置を創設するとともに、育児支援や障害者雇用促進のための税制上の優遇措置の創設・拡充を行います。

④環境関連投資促進税制
 地球温暖化問題への対応が重要課題となる中、先進的な技術力を有する我が国において、環境分野は大きな成長が見込まれる有望な分野の一つです。我が国の環境・エネルギー技術の開発を後押しすることにより経済成長につなげるとともに、地球温暖化問題に対応していくため、先進的な低炭素・省エネ設備への投資に対し、税制上の優遇措置を講じることとします。

⑤総合特区制度・アジア拠点化推進のための税制
 激しい国際競争にさらされている我が国の企業立地環境を改善するため、税制面においても、法人実効税率の引下げに加え、地域や対象企業の特色に応じた対応が必要となっています。
 そこで、我が国全体の成長を牽引し、国際的に競争優位性を持ちうる大都市を対象とする国際戦略総合特別区域(仮称)における成長産業や外資系企業等の集積を促進するため、税制上の支援措置を創設します。併せて、全国で展開する地域活性化総合特別区域(仮称)についても税制上の支援措置を講じます。
 さらに、グローバル企業のアジア地域統括拠点や研究開発拠点等を呼び込むための税制上の支援措置を創設します。

⑥租税特別措置(国税)の見直し
 法人実効税率引下げに伴う課税ベースの拡大措置に加え、平成22年度税制改正大綱にもあるように、税制を納税者の視点に立って公平で分かりやすい仕組みとするとの観点から、租税特別措置については引き続き徹底した見直しを進めます。平成23年度税制改正においては、政策税制措置について109項目の見直しを行い、その結果として、50項目を廃止又は縮減します。

5.消費課税

(1)消費税
 消費税のあり方については、民主党「税と社会保障の抜本改革調査会中間整理」(平成22年12月6日)で指摘された以下の基本的な考え方などを尊重しつつ、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて、その具体的内容について、早急に検討を行ってまいります。あわせて、消費税制度の信頼性を確保していくために、一層の課税の適正化にも着手していきます。

『社会保障の財源は、税制全体で「所得・消費・資産」のバランスのとれた改革を行う中で確保していく。社会保障全体の財源は税制全体で確保していくが、その中でも「国民全体で広く薄く負担する」「安定した税収」という特徴を有する消費税は非常に重要である。「公平・透明・納得」の税制を築き、社会全体が支え合う新しいモデルを構築していくためには、およそ所得税改革だけでなし得るものではなく、消費税を含む抜本改革に政府は一刻も早く着手すべきである。』

『社会保障の安定・強化を目的に消費税の引き上げを提起する場合には、国民の理解と納得を得るためにも、消費税を社会保障の目的税とすることを法律上も、会計上も明確にする。その際の「社会保障」とする給付費の範囲は、まずは高齢者3経費を基本としつつ、現役世代のセーフティネットの安定・強化についてどこまで対象とすることが適当か、検討を行っていく。将来的には「社会保障」全体について安定財源を確保することにより、制度の一層の安定・強化につなげていく。また消費税率が一定の水準に達し、税・社会保障全体の再分配を見てもなお「逆進性対策」が必要となった場合には、制度が複雑となり、また政治的な要因が働きやすい「複数税率」よりも、制度が簡素で、透明性の高い「還付制度」を優先的に検討する。』

(2)地方消費税
 地方消費税は、偏在性が少なく税収が安定的で、経常的なサービスをあまねく提供する地方自治体の基幹税として適切な税です。
 地方消費税のあり方については、「社会保障改革に関する有識者検討会報告~安心と活力への社会保障ビジョン~」(平成22年12月10日)において示された以下の内容などを尊重しつつ、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて、その具体的内容について、早急に検討を行ってまいります。

『国民一人ひとりに包括的な支援をおこなうという社会保障の考え方からすれば、国民に身近なところでサービスを設計し、実行する地方自治体の役割はきわめて重要である。すべての自治体で、住民の参加と自立を支えることが、地域の自立につながる。また、国民自らが関与する分権的な社会保障は、社会保障の信頼を大きく高める。したがって、社会保障改革を支える税制改革のためには、国とともに制度を支えている地方自治体の社会保障負担に対する安定財源の確保が重要な目標でなければならない。
 地方自治体もまた、安定的な公共サービスの供給をとおして地域の経済活力を高め、雇用を拡大することに責任を負わねばならない。そして、地方自治体のそのような努力を支えるためにも、税源の偏在性が少なく、安定的な税財源を確保することが必要である。また、地方が地域の実情に応じて住民合意の下に提供するサービスに関しては、独自に財源が確保できるように地方自治体の課税自主権の拡大・発揮についても検討されるべきである。』

(3)たばこ税・酒税
 たばこ税については、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります。この方針に沿って、平成22年度税制改正では、1本あたり3.5円の税率引上げを実施しました。
 平成24年度税制改正以降の税率引上げにあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を十分に見極めた上で判断していきます。その過程で、たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、上記のたばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて、新たな枠組みの構築を目指すこととします。
 酒税については、課税の公平性等の観点も踏まえ、平成22年度税制改正大綱に示した「酒類の生産・消費の状況等に配慮しつつ、類似の酒類については、基本的に致酔性の観点からアルコール度数に着目した税制とすることを検討」との方針に沿って、検討を進めます。

6.環境関連税制

(1)地球温暖化対策のための税の導入
 地球温暖化防止のための温室効果ガスの削減は、我が国のみならず地球規模の重要かつ喫緊の課題です。欧州諸国を中心とした諸外国では、1990年代以降、燃料などのCO2排出源に対する課税を強化し、価格メカニズムを通じたCO2排出の抑制や企業による省エネ設備導入の支援などを行う施策が進められています。
 我が国では、温室効果ガスの約9割をエネルギー起源CO2が占めており、エネルギー基本計画(平成22年6月18日閣議決定)においては、地球温暖化対策等を強力かつ十分に推進することにより、エネルギー起源CO2を2030年に1990年比▲30%程度、もしくはそれ以上削減することを見込んでいます。
 こうした状況に鑑み、我が国においても税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施していく観点から、平成23年度に「地球温暖化対策のための税」を導入することとします。
 具体的な手法としては、広範な分野にわたりエネルギー起源CO2排出抑制を図るため、全化石燃料を課税ベースとする現行の石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せする「地球温暖化対策のための課税の特例」を設けることとします。
 この特例により上乗せする税率は、原油及び石油製品については1キロリットル当たり760円、ガス状炭化水素は1トン当たり780円、石炭は1トン当たり670円とします。
 このように「広く薄く」負担を求めることで、特定の分野や産業に過重な負担となることを避け、課税の公平性を確保します。また、導入に当たっては、急激な負担増とならないよう、税率を段階的に引き上げるとともに、一定の分野については、所要の免税・還付措置を設けることとします。併せて、燃料の生産・流通コストの削減や供給の安定化、物流・交通の省エネ化のための方策や、過疎・寒冷地に配慮した支援策についても実施することとします。

(2)揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税
 国及び地方の財政事情は引き続き非常に厳しい状況にあることや、地球温暖化対策の観点も踏まえ、引き続き、平成23年度においては、揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税について当分の間として措置されている現在の税率水準を維持することとします。
 軽油引取税の当分の間税率を当面継続するにあたり、これと一体の措置である営業用トラック、バスに対する運輸事業振興助成交付金については、これに関する地方交付税措置を含め、継続します。
 なお、交付金制度の透明性の向上を図るとともに、交付金基準額の確実な交付を確保するため、法整備等を受け所要の措置を講じます。

(3)森林吸収源対策
 温室効果ガスの削減に係る国際約束の達成等を図る観点から、森林吸収源対策を含めた諸施策の着実な推進に資するよう国全体としての財源確保を引き続き検討します。

(4)地球温暖化対策に関する地方の財源確保
 地球温暖化対策を推進するためには、地域において主体的な取組が進められることが不可欠です。既に地方公共団体が、地球温暖化対策について様々な分野で多くの事業を実施していることを踏まえ、エネルギー起源CO2排出抑制策、森林吸収源対策などの地球温暖化対策に係る諸施策を地域において総合的に進めるため、地方公共団体の財源を確保する仕組みについて検討します。

7.市民公益税制

(1)基本的な考え方
 「新しい公共」によって支え合う社会の実現に向けて、特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)をはじめとする、市民が参画する様々な「新しい公共」の担い手を支える環境を税制面から支援することとします。

(2)改革の取組み
①所得税の税額控除制度の導入
 認定NPO法人への寄附について、草の根の寄附を促進するため、所得税において新たに税額控除を導入し、所得控除との選択制とします。
 その際、寄附がチャリティの精神に基づくものであるという点にも留意しつつ、寄附者と政府が併せて支援するとの考えの下、所得税と個人住民税で合わせて50%までの税額控除を可能とすることとします。
 また、公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人及び更生保護法人についても、草の根の寄附を必要とする「新しい公共」の担い手として、市民との関わり合いが強く、かつ、運営の透明性が確保されている法人を税額控除の対象とします。いずれも、平成23年分から適用します。
 なお、認定NPO法人以外の法人への寄附に係る税額控除については、制度導入後、どの程度の数の法人が税額控除の対象となっているかの実績を検証し、必要に応じて、各法人の特性を踏まえた要件等の見直しを検討します。

②認定NPO法人制度の見直し
 後述の新認定法に基づく新たな認定制度が施行されるまでの間の対応として、事業収入の多いNPO法人でも、幅広く市民の支持を得ているのであれば認定を受けられるよう、パブリック・サポート・テスト要件に一定金額以上の寄附者の絶対数で判定する方式を導入し、現行の判定方式との選択制とするなど、認定要件の見直しの一部の措置を講ずることとします。
 併せて、適切な税制上の事後的是正措置を整備する観点から、認定NPO法人のみなし寄附金について、認定取消しがあった場合には、取消しの原因となる事実のあった事業年度まで遡った取戻し課税を行うこととします。

③新認定法に基づく新たな認定制度
 「新しい公共」の枢要な担い手となるNPO法人の健全な発展のための環境整備を図るため、新たな法律又は改正特定非営利活動促進法(以下「新認定法」といいます。)により新たな認定制度を整備することとします。このため、内閣府は、関係省庁の協力を得て、新たな認定制度等について、地方団体と協議を行い、その協議を整えた上で、平成24年4月から開始されるよう、次期通常国会において所要の法整備が行われることを目指します。
 新認定法に基づく新たな認定制度が、「認定の間口は広く、事後チェックをしっかりやる」との考え方の下、次のイのようなものとして整備された場合には、ロの税制上の措置を講ずることとします(「市民公益税制PT報告書」を参照)。

イ 新たな認定制度
(イ)地域のことは地域に住む住民が自ら決めるとの理念の下、認定事務を国税庁からNPO法人を認証した地方団体に移管します。
(ロ)「新しい公共」の枢要な担い手となるNPO法人の設立初期の活動を支援するため、設立後5年以内のNPO法人がPST要件以外の認定要件を満たす場合に、「仮認定」を受けることができる制度を導入します。
(ハ)新たな認定制度において本認定を受けた法人(以下「新認定法人」といいます。)について、名称の独占その他必要な支援措置を整備します。
(ニ)新認定法人の適正な運営を確保する観点から、適正を欠く運営が認められた場合に、現行のように直ちに認定取消しをするのでなく、事案に応じた段階的な監督の枠組みを設けます。

ロ 新たな認定制度の下での税制措置
(イ)新認定法人については、現行と同様の認定基準等が設けられることを前提として、現行の認定NPO法人と同様に、寄附金控除やみなし寄附金制度の適用を認めることとします。「仮認定」を受けたNPO法人は、寄附金控除の対象とします。
(ロ)新認定法人のみなし寄附金の損金算入限度額について、社会福祉法人等と同等の監督規定等が整備される場合には、社会福祉法人等と同等の限度額(所得金額の50%又は200万円のいずれか大きい金額)に引き上げる措置を講じます。

④地域において活動するNPO法人等の支援(個人住民税)
 地域において活動するNPO法人を支援するため、控除対象寄附金の拡大を行います。
 また、「ふるさと寄附金」を活用してNPO法人等への支援を促進するため、控除対象寄附金の取扱いを明らかにすることを通じて寄附しやすい環境を整備します。
 さらに、寄附文化の裾野を広げるため、寄附金税額控除の適用下限額の引下げを行います。

8.国際課税

(1)基本的な考え方
 国際課税については、国際的租税回避を防止して我が国の適切な課税権を確保すると同時に、投資交流の促進等により我が国経済を活性化する観点から、制度・執行の両面において対応する必要があります。
 近年の経済取引や企業活動のグローバル化に対応した国際課税の課題については、今般、税制調査会専門家委員会において「国際課税に関する論点整理」がとりまとめられました。
 この「論点整理」は、国際的経済活動を阻害しない形で、税収の適切な確保を目指す必要があるとの視点に立った上で、課題の提起を行っています。具体的には、
①非居住者及び外国法人に対する課税原則について、今般のOECDモデル租税条約の改定を踏まえ、今後、国内法をいわゆる「総合主義」から「帰属主義」3に見直すとともに、これに応じた適切な課税を確保するために必要な法整備を検討する必要性、
②国際的な事業再編等を通じた無形資産の移転に係る国際課税のあり方、
③国外資産に関する報告制度など様々な資料情報収集の手続整備や、外国との間で租税徴収の共助を行うための仕組みについて検討を進める必要性、
などについて課題が提起されました。

3

「総合主義」とは、恒久的施設を国内に有する外国法人等にはすべての国内源泉所得に課税すべきという考え方をいいます。
「帰属主義」とは、恒久的施設に帰属するすべての所得に課税すべきという考え方をいいます。


(2)今後の改革の方向性
 今後、この「論点整理」で提起された点も参考にしつつ、まずは、上記①(帰属主義への見直し)及び③(資料情報収集及び徴収共助の手続整備)の点について具体的な検討を進める必要があります。また、②(無形資産の取扱い)の点については、今後OECDにおいて無形資産の移転に係る国際課税のあり方に関する議論が行われることから、当面は「論点整理」で示された点を参考にしつつ、こうした国際的な議論に参画していく必要があります。
 さらに、租税条約については、今後とも我が国経済の活性化や我が国課税権の適切な確保に資するよう、我が国の経済構造及び国内法制、国際課税を巡る状況等を勘案しつつ、国際的な税務当局間の協力・協議の法的枠組みの強化を含め、そのネットワークの迅速な拡充に努めます。

(3)国際連帯税
 国際連帯税については、貧困問題、環境問題等の地球規模の問題への対策のための財源確保を目的としたものであり、代表例として航空券連帯税や通貨取引税が挙げられます。航空券連帯税については、既にフランスや韓国等で導入されています。また、通貨取引税については、フランスやベルギーにおいて、他の全てのEU加盟国での実施等を前提として導入することとされています。今後、上記「論点整理」も参考にしつつ、真摯に検討を行います。

9.地域主権改革と地方税制
(1)地方税の充実
 地方税は、住民自治を支える根幹であり、地域主権改革を進めていく観点から、地方税を充実することが重要です。
 また、少子高齢化が進み、社会保障制度を支えている地方自治体の役割がますます増大する中で、社会保障など地方行政を安定的に運営するための地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築します。

(2)住民自治の確立に向けた地方税制度改革
①基本的考え方
 税制を通じて住民自治を確立し、地域主権改革を推進するため、現行の地方税制度を「自主的な判断」と「執行の責任」を拡大する方向で抜本的に改革していきます。
 その際、「自主的な判断」の拡大の観点に立って、地方税法等で定められている過剰な制約を取り除き、地方自治体が自主的に判断し、条例で決定できるように改革を進めます。
 また、「執行の責任」の拡大の観点に立って、地方自治体が課税に当たって納税者である住民と直接向き合う機会を増やすように改革を進めます。

②具体的取組み
 以下の事項等について検討を行い、成案を得たものから速やかに実施することとし、法制化が必要なものについては、平成24年度税制改正から実現を図ります。
イ 地方自治体の「自主的な判断」の拡大のための事項
(イ)法定任意軽減措置制度(仮称)の創設
 適用の是非や程度を、各地方自治体が自主的判断に基づき、条例において決定できる仕組みの創設を検討します。
 また、例外的に全国一律に法律で軽減する必要がある対象の絞り込みを行います。
(ロ)法定税の法定任意税化・法定外税化
 税収が僅少な法定税や法定任意税の取扱いを検討します。
(ハ)制限税率の見直し
 納税者の権利保護や社会経済・他団体への影響等の観点を踏まえつつ、見直しを検討します。
ロ 地方自治体の「執行の責任」の拡大のための事項
(イ)法定外税の新設・変更への関与の見直し
 法定外税の新設・変更への国の同意付き協議による事前関与の見直しを検討します。
(ロ)消費税・地方消費税の賦課徴収に係る地方自治体の役割の拡大
 地方自治体による消費税・地方消費税の申告書の収受や納税相談等を一層推進します。
 また、今後の課題として、地方自治体による申告書の受理等について、実務上の論点等を含め検討します。

③税負担軽減措置等の見直し
 地方税については、平成22年度税制改正大綱に掲げた「地方税における税負担軽減措置等の見直しに関する基本方針」に沿い、さらには地域主権改革の視点を踏まえ、国が地方の税収を一方的に減収せしめる税負担軽減措置等は、可能な限り行わないような方向で見直しを行っていきます。平成23年度税制改正においては、税負担軽減措置等のうち、産業政策等の特定の政策目的のために税負担の軽減等を行う「政策税制措置」について、100項目の見直しを行い、その結果として、64項目を廃止又は縮減します。

第3章 平成23年度税制改正

1.納税環境整備
(1)納税者権利憲章の策定
〔国税〕
 次のとおり、「納税者権利憲章」を策定します。
①国税通則法について、次の見直しを行います。
イ 国税通則法(第一条)の目的規定を改正し、税務行政において納税者の権利利益の保護を図る趣旨を明確にします。
ロ 加えて、以下のような各種税務手続の明確化等について同法に規定を集約します。
(イ) 税務調査における事前通知(通知対象者、開始日時・場所・目的・対象税目・課税期間等の通知内容、通知方法などを規定)
(ロ) 税務職員による質問検査権(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、たばこ税法、揮発油税法、印紙税法などの各税法の関連規定を集約)
(ハ) 税務調査終了後における調査内容の説明(更正・決定等すべきと認められる場合について、調査結果(非違の内容、金額、理由)、「修正申告又は期限後申告を行った場合にはその部分について不服申立てができないこと」などを説明)
(ニ) 税務調査において申告内容に問題がある場合の修正申告等の勧奨
(ホ) 税務調査における終了通知(納税者から修正申告書又は期限後申告書の提出があった場合及び税務署長が更正・決定等をした場合には「調査が終了した」旨、更正・決定等すべきと認められない場合には「その時点で更正・決定等すべきと認められない」旨を通知)
(ヘ) 税務調査において納税者から提出された物件の預かり・返還等に関する手続(納税者から物件を預かる際の「預り証」の発行等を規定)
(ト) 更正の請求期間の延長
(チ) 更正の請求における「事実を証明する書類」の添付の義務化
(リ) 内容虚偽の更正の請求書の提出に対する処罰規定
(ヌ) 処分の理由附記(「不利益処分」、「申請に対する拒否処分」について理由附記)
ハ また、法律名が改正後の法律の内容をよく表すものとなるよう、題名を変更します。
②「憲章」の名称は、「納税者権利憲章」とします。
③「憲章」は、納税者の立場に立って、複雑な税務手続を平易な表現で分かり易くお知らせするとの基本的考え方に沿って、次のとおり策定します。
イ 「憲章」に記載すべき具体的な項目は、以下のとおりとします。
(イ) 納税者の自発的な申告・納税をサポートするため、納税者に提供される各種サービス
(ロ) 税務手続の全体像、個々の税務手続に係る納税者の権利利益や納税者・国税庁に求められる役割・行動
(ハ) 納税者が国税庁の処分に不服がある場合の救済手続、税務行政全般に関する苦情等への対応
(ニ) 国税庁の使命と税務職員の行動規範
ロ 上記の項目は、現在、法律・政省令・告示・通達等、様々なレベルに記載されていますが、一連の税務手続に関して、これらを納税者に分かり易くお示しする観点から、平易な表現で一覧性のある行政文書として、国税庁長官が作成し、公表することとします。
 また、「憲章」の策定を法律上義務付けることとし、その策定根拠、「憲章」に記載すべき事項を法定します。
④その他所要の規定の整備を行います。
(注)納税者権利憲章は、平成23年中に準備を進めた上、平成24年1月1日に公表します。

(2)税務調査手続
〔国税〕
①税務調査の事前通知について、調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高める観点から、次のとおり明確化・法制化を図ります。
イ 全体構成
 原則として、税務調査を行う場合には、あらかじめ事前通知を行います。
 ただし、調査の相手方となる納税者等に関する情報、その納税者等が営む事業内容に関する情報その他税務当局の保有する情報に鑑み、税務署長・国税局長・国税庁長官(以下「税務署長等」といいます。)が次に掲げるおそれがあると認める場合は、事前通知を行わないこととします。
(イ) 正確な事実の把握を困難にするおそれ
(ロ) 違法若しくは不当な行為を容易にし、又はその発見を困難にするおそれ
(ハ) その他国税(条約相手国の租税を含みます。)に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ
 また、上記の例外事由の具体例を通達に記載することとします。
(注)税務調査とは、所得税、法人税等の各税の課税及び条約相手国への情報提供のための調査又は法定監査をいいます。以下「調査」といいます。
ロ 通知の対象者、内容、方法等
(イ) 対象者
 事前通知の対象者は、納税者本人、調書提出者及びその代理人(税理士(税理士登録を行った弁護士及び公認会計士を含みます。)、税理士業務を行うことを国税局長に通知した弁護士)、反面先とします。
(ロ) 内容
 通知内容は、次のとおりとします。
(a) 調査の開始日時・場所
(b) 調査の目的(例:○年分の所得税の申告内容の確認等)
(c) 調査対象税目、課税期間
(d) 調査の対象となる帳簿書類その他の物件(例:所得税法△△条に規定する帳簿書類)
(e) その他必要事項
 ⓐ調査の開始日時・場所の変更の申出に関する事項(合理的な理由を付して日時・場所の再設定を求めることができる)
 ⓑ調査状況に応じ、通知内容以外について非違が疑われる場合には、その通知内容以外の事項についても調査対象となりうること
 ⓒその他
 ・調査の相手方の氏名及び住所(法人については、名称及び所在地)
 ・調査を行う主たる担当者の氏名及び所属
(ハ) 方法
 通知方法は、次のとおりとします。
(a) 原則として、文書で事前に行います。
 反面調査については、反面先には、調査対象者(納税者)の名称及び確認対象取引は通知しないこととします。また、調査対象者本人には通知しないこととします。
(b) ただし、調査の相手方の同意がある場合は、例外的に実地の調査当日に文書を交付することができることとします。
(c) 事前通知を行わない例外事由に該当する場合は、調査着手後、終了時までに上記の通知事項(日時・場所の記載を除きます。)を記載した文書を交付します。
(ニ) 対象となる調査
 対象となる調査は、実地の調査(納税者の事業所、事務所等に臨場してする調査)とします。
②調査終了時の手続については、課税庁の納税者に対する説明責任を強化する観点から、次のとおり明確化・法制化を図ります。
イ 更正・決定等すべきと認められる場合
(イ) 実地の調査により更正・決定等すべきと認められる場合には、課税庁の職員は、当該納税者に対し、
(a) 調査結果(非違の内容、金額、理由)、及び
(b) 「修正申告又は期限後申告を行った場合にはその部分について不服申立てができないこと」等を説明します。
(ロ) 課税庁の職員は、納税者に対し、上記(a)及び(b)を簡潔に記載した税務署長等名の文書(A)を交付します。
(ハ) その際、課税庁の職員は修正申告又は期限後申告の勧奨を行うことができることとします。
(ニ) 税務署長等は、納税者から修正申告書又は期限後申告書の提出があった場合には、当該納税者に対し、当該調査が終了した旨の通知書(B)を交付します。
(ホ) 税務署長等は、更正・決定等をするときは、当該調査が終了した旨の通知書(B)を交付します。
(ヘ) 当該納税者に代理人がいる場合で、本人の同意があるときは、上記(イ)から(ホ)は当該代理人に行えば足りることとします。
(ト) なお、実地の調査以外の調査の場合には、上記文書(A)及び通知書(B)を納税者からの求めに応じて交付します。
ロ 更正・決定等すべきと認められない場合
 実地の調査終了後、更正・決定等すべきと認められない納税者に対しては、「その時点で更正・決定等すべきと認められない」旨を記載した通知書(B)を交付することとします。
ハ 上記イ及びロ共通
 課税庁の職員は、上記の終了通知書(B)が交付された後においても、調査について必要があるときは、再調査ができることとします。

③その他の関連事項の明確化
 現行の調査実務上行われている手続について、次のとおり法令上明確化を図ります。
イ 納税者等から提出された物件の預かり・返還等に関する規定を設けます。
ロ 事前通知の内容に「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」を明示することと併せ、課税庁が現行の「質問」「検査」に加え、調査の相手方に対し、帳簿書類その他の物件(その写しを含みます。)の「提示」「提出」を求めることができることとします。
ハ 法人税の取引先等に対する調査の対象について、他の税目と同様に、「帳簿書類以外の物件」を追加します。
④その他所要の規定の整備を行います。
(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する調査及び当該調査に係る反面調査について適用します。

(3)更正の請求
〔国税〕
①更正の請求期間の延長
 法定外の手続により非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化を図る観点から、次のとおり、納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間を延長します。
イ 納税者が「更正の請求」を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長します。
ロ 併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)を5年に延長します。
 これにより、基本的に、納税者による修正申告・更正の請求、課税庁による増額更正・減額更正の期間を全て一致させることとします。
(注)贈与税及び移転価格税制に係る法人税に係る更正の請求期間(現行1年)については6年に、法人税の純損失等の金額に係る更正の請求期間(現行1年)については9年に、それぞれ延長します。また、登録免許税の過誤納金の還付に係る通知の請求期間(現行1年)及び自動車重量税の過誤納金の還付に係る証明書の交付請求期間(現行1年)については5年に延長します。なお、脱税の場合の課税庁による増額更正期間(現行7年)は、現行どおり存置します。
ハ 次の事項についても併せて措置を講じます。
(イ) 更正の請求に際しては、納税者がその理由を証明するとの趣旨を明確化する観点から、更正の請求の理由の基礎となる「事実を証明する書類」の添付を義務化します。
(ロ) 故意に内容虚偽の更正の請求書を提出した場合を処罰する規定を設けることとします。法定刑は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金とします。
(ハ) 期間の終了間際になされた更正の請求に対し、課税庁が適切に対応するための所要の措置を講じます。
 具体的には、当該更正の請求があった日から6月を経過する日が更正期間の満了する日後に到来する場合には、当該6ヶ月を経過する日まで、更正することができることとします。併せて、徴収権の消滅時効についても同様の手当てを行います。
(注)上記イ、ロ及びハ(ハ)の改正は、平成23年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用します。また、今般の更正の請求に関する改正趣旨を踏まえ、過年分についても、運用上、増額更正の期間と合わせて、納税者からの請求を受けて減額更正を実施するよう努めることとします。
 また、ハ(イ)及び(ロ)の改正については、平成23年6月1日以後に行う更正の請求について適用します。
②更正の請求の範囲の拡大
イ 当該申告時に選択した場合に限り適用が可能な「当初申告要件」がある措置について、次のとおり見直し、更正の請求範囲を拡大します。
 現行、当初申告要件がある措置について、下記(イ)及び(ロ)のいずれにも該当しない措置(別紙1参照)については、「当初申告要件」を廃止します(所要の書類の添付を求めることとします。)。
(イ) インセンティブ措置(例:設備投資に係る特別償却)
(ロ) 利用するかしないかで、有利にも不利にもなる操作可能な措置(例:各種引当金)
ロ 控除等の金額が当初申告の際に記載された金額に限定される「控除額の制限」がある措置(別紙2参照)について、更正の請求により、適正に計算された正当額まで当初申告時の控除額を増額させることができることとします。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用します。
③その他所要の規定の整備を行います。

(4)理由附記
〔国税〕
 全ての処分について、原則として平成24年1月より理由附記を実施します。
 ただし、個人の白色申告者に対する更正等に係る理由附記については、次のとおり、記帳・帳簿等保存義務の拡大と併せて実施することとします。
①個人の白色申告者については、現行、「確定申告を行った所得300万円超の白色申告者」には記帳義務・記録保存義務が課されていますが、それ以外の者についても、平成25年1月から、「確定申告を行った所得300万円超の白色申告者」と同程度の記帳義務・記録保存義務を課すこととします。
②個人の白色申告者に対する更正等に係る理由附記については、次のとおり実施することとします。
イ 「確定申告を行った所得300万円超の白色申告者」については、平成24年1月以後、理由附記を実施します。
ロ 上記イ以外の者(「確定申告を行った所得300万円以下の白色申告者」及び「確定申告をしていない白色申告者」)については、平成25年1月以後、理由附記を実施します。
 ただし、特例として、
(イ) 平成19年から平成23年までの各年分の所得税につき記帳義務があった者については、平成24年1月以後、理由附記を実施することとします。
(ロ) また、平成24年1月以後、現行の白色申告者に係る記帳義務・記録保存義務の水準と同程度の記帳・記録保存を行っている者については、運用上、平成24年1月以後、理由附記を実施するよう努めることとします。
ハ なお、記帳・帳簿等の保存が十分でない白色申告者に対しては、その記帳・帳簿等の保存状況に応じて理由を記載することとします。
(注)白色申告者に対する更正等に係る理由附記の施行時期については、その者が平成24年分において上記イ又はロのいずれに該当するかによります。なお、「平成24年分において上記イ又はロのいずれに該当するか」は、平成22年分又は平成23年分の所得金額及び確定申告の有無により判定します。
③その他所要の規定の整備を行います。

(5)地方税に関する税務調査手続等の見直し
〔地方税〕
①税務調査手続
イ 総務省が行う調査手続
 地方税に関する総務省が行う調査手続については、国税の見直しと併せて所要の措置を講じます。
ロ 地方自治体が行う調査手続
 地方税に関する調査の事前通知、調査終了時の手続については、地域主権改革の観点に立つべきこと及び地方税の課税団体が多数にのぼりその規模も様々であることなどを踏まえ、全地方自治体に同様の対応を一律に義務付けるのではなく、各地方自治体において適切に対応することができるよう、国税における取扱いについて情報提供を十分に行います。
ハ 上記イ及びロ共通
 その他国税の見直しと併せて所要の措置を講じます。
②更正の請求
イ 納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化の観点から、
(イ) 納税者が「更正の請求」を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長します。
(ロ) 併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)を5年に延長します。
 これにより、基本的に、納税者による修正申告・更正の請求、課税庁による増額更正・減額更正の期間を全て一致させることとします。
(注)脱税の場合の課税庁による増額更正期間(現行7年)は、現行どおり存置します。
ロ 故意に内容虚偽の更正の請求書を提出した場合を処罰する規定を設けることとします。法定刑は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金とします。
ハ その他国税の見直しと併せて所要の措置を講じます。
③理由附記
イ 総務大臣が行う処分に関する手続
 地方税に関する総務大臣が行う処分に関する手続については、国税の見直しと併せて所要の措置を講じます。
ロ 地方自治体が行う処分に関する手続
 地方税に関する地方自治体が行う処分に関する手続については、全地方自治体に同様の対応を一律に義務付けるのではなく、各地方自治体において適切に対応することができるよう、国税における取扱いについて情報提供を十分に行います。
④国税における「納税者権利憲章」の策定を踏まえた対応
 地域主権改革の観点を踏まえ、全地方自治体に同様の対応を一律に義務付けるのではなく、各地方自治体において適切に対応することができるよう、国税における取扱いについて情報提供を十分に行います。
⑤その他所要の措置を講じます。

(6)租税罰則の見直し
〔国税〕
 経済社会状況の変化に対応し、税制への信頼の一層の向上を図る観点から、租税に関する罰則(国税関係)について、次の措置を講じます。
①大口・悪質な無申告事案に厳正に対応する観点から、故意に「納税申告書を法定申告期限までに提出しないことにより税を免れた者」について、5年以下の懲役若しくは500万円以下(脱税額が500万円を超える場合には、情状により脱税額以下)の罰金に処し、又はこれらを併科することとします(直接税及び消費税の場合)。
(注)消費税、航空機燃料税及び電源開発促進税を除く間接税等については、5年以下の懲役若しくは50万円以下(脱税額の3倍が50万円を超える場合には、情状により脱税額の3倍以下)の罰金又はこれらの併科とし、航空機燃料税及び電源開発促進税については3年以下の懲役若しくは50万円以下(脱税額が50万円を超える場合には、情状により脱税額以下)の罰金又はこれらの併科とします。
②大口・悪質な消費税の不正還付請求事案に厳正に対応する観点から、消費税の不正還付の未遂を処罰する規定を創設します。
③その他所要の規定の整備を行います。
(注1)以上につき別紙3参照。
(注2)ここで「直接税」とは、所得税、法人税、相続税、贈与税及び地価税をいい、「間接税等」とは、消費税、酒税、たばこ税、たばこ特別税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、航空機燃料税及び電源開発促進税をいいます。
(注3)上記の改正は、平成23年6月1日以後にした違反行為について適用します。
〔地方税〕
 経済社会状況の変化に対応し、税制への信頼の一層の向上を図る観点等から、租税に関する罰則(地方税関係)について、次の措置を講じます。
①脱税犯に係る法定刑の引上げ等
イ 脱税犯に係る法定刑の引上げ
(イ) 脱税犯に係る懲役刑の上限を10年等に引き上げます。
(ロ) 脱税犯に係る罰金刑の上限(定額部分)を1,000万円等に引き上げます。
ロ 滞納処分免脱犯に係る罰金刑の上限を、納税者又はその財産を占有する第三者については250万円(現行50万円)に、これらの者の相手方については150万円(現行30万円)にそれぞれ引き上げます。
ハ 個人住民税等の納税者の代理人等(行為者)が、納税者の業務等に関して脱税に係る違反行為をした場合における納税者の業務主(法人又は業務主たる個人)としての罪の公訴時効期間は、代理人等(行為者)に係る罪の公訴時効期間によるものとします。
ニ 個人住民税等に設けられている科料規定を廃止します。
②秩序犯に係る法定刑の引上げ等
イ 秩序犯に係る法定刑の引上げ
(イ) 法人住民税等の申告書等不提出犯等に係る罰則について、1年以下の懲役刑を設けます。また、ゴルフ場利用税の特別徴収義務者の登録等に関する罪に係る懲役刑の上限を1年(現行6月)とします。
(ロ) 法人住民税等の申告書等不提出犯等に係る罰則について、50万円以下の罰金刑を設けます。また、地方消費税等の申告書等不提出犯等に係る罰金刑の上限を50万円等に引き上げます。
ロ 事業所税等の申告書等不提出犯に係る罰則について、10万円以下の過料を設けます。また、不動産取得税等の申告書等不提出犯等の過料の上限を10万円に引き上げます。
③税務職員の守秘義務違反(秘密漏洩)に対する罰則の見直し
イ 現行の守秘義務違反に対する罰金刑の上限を100万円(現行30万円)に引き上げます。
ロ 地方税の犯則事件の調査及び地方税の徴収の事務における同様の守秘義務違反を処罰対象に含めることとします。
④大口・悪質な無申告事案に厳正に対応する観点から、故意に「納税申告書を法定申告期限までに提出しないことにより税を免れた者」について、5年以下等の懲役若しくは500万円以下(脱税額が500万円を超える場合には、情状により脱税額以下)等の罰金に処し、又はこれらを併科することとします。
⑤大口・悪質な地方消費税の不正還付請求事案に厳正に対応する観点から、地方消費税の不正還付の未遂を処罰する規定を創設します。
⑥その他所要の措置を講じます。
(注1)以上につき別紙4参照。
(注2)上記の改正は、平成23年6月1日以後にした違反行為について適用します。

(7)その他
〔国税〕
①事前照会に対する文書回答制度の見直し
 事前照会に対する文書回答制度について、次の見直しを行います。
イ 国税局の担当職員は、事前照会者からの照会文書が受付窓口に到達した日からおおむね1月以内に、それまでの検討状況から見た文書回答の可否の可能性、処理の時期の見通し等について、当該事前照会者に対し口頭で説明することとします。ただし、補足資料の提出等を求めた日から当該提出等がなされた日までの期間は、当該1月の期間に算入しないこととします。
ロ 事前照会者からの申出に相当の理由があるとして、照会内容及び回答内容等の公表を延期できる期間を、最長1年以内(現行180日以内)に延長します。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行われる事前照会について適用します。
②還付加算金の計算期間の見直し
 還付加算金の計算期間について、次の見直しを行います。
イ 更正に基づく法人税の中間納付額及び所得税額等、消費税の中間納付額及び仕入控除税額、所得税の予定納税額及び源泉徴収税額等並びに相続時精算課税における贈与税相当額の還付に係る還付加算金の計算期間については、確定申告書の提出期限の翌日から更正の日の翌日以後1月を経過する日(当該更正が更正の請求に基づくものである場合には、その更正の請求の日の翌日以後3月を経過する日と当該更正の日の翌日以後1月を経過する日とのいずれか早い日)までの日数は、当該計算期間に算入しないこととします。
ロ その他所要の規定の整備を行います。
(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に支払決定又は充当をする国税(その滞納処分費を含みます。)に係る還付金に加算すべき金額について適用します。ただし、当該加算すべき金額の全部又は一部で同日前の期間に対応するものの計算については、なお従前の例によるものとします。
③法定調書の光ディスク等による提出義務の創設
 支払調書、源泉徴収票、計算書又は報告書(以下「支払調書等」といいます。)を提出する場合において、基準年(その年の前々年をいいます。)に提出すべきであった当該支払調書等の提出枚数が1,000枚以上であるときは、当該支払調書等の提出義務者は、当該支払調書等の提出については、当該支払調書等に記載すべきものとされる事項を記録した光ディスク等を提出する方法又は当該事項を電子情報処理組織(e-Tax)を使用して送付する方法によらなければならないこととします。
(注)上記の改正は、平成26年1月1日以後に提出する支払調書等について適用します。
④官公署等に対する協力要請(照会)規定の整備
 官公署等に対する協力要請(照会)規定について、明文の規定がないことを理由とする拒否がされることのないよう、次の措置を講じます。
イ 国税の犯則調査について、収税官吏は、官公署又は公私の団体に照会して必要な事項を求めることができることとします。
ロ 国税に関する調査(酒税法における免許の審査を含みます。)について、税務署等の当該職員は、官公署又は政府関係機関に対し、その調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる旨の統一的な規定を国税通則法に設け、現行の所得税法等の規定を承継(削除)するほか、現行その規定がない酒税等の個別間接税法における調査について、新たに官公署等に対する協力要請ができることとします。
ハ その他所要の規定の整備を行います。
(注)ここで「個別間接税」とは、酒税、たばこ税、たばこ特別税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、航空機燃料税、電源開発促進税及び印紙税をいいます。
⑤「保険年金」に係る最高裁判決を受けた対応
イ 相続又は贈与等に係る保険年金の保険金受取人等に対する特別還付金の支給
遺族が年金として受給する生命保険金のうち相続税の課税対象となった部分については、所得税の課税対象とならないとする最高裁判所の判決(平成22年7月6日)を受けて、納めすぎとなっている所得税について現行税法の下で還付することができない年分におけるその所得税相当額の特別な還付を行うために特別還付金を支給する措置を講じます。
(イ) 税務署長は、相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金(以下「保険年金」といいます。)の受取人である者又はその相続人に対し、平成12年分以後の各年分の保険年金に係る所得(以下「保険年金所得」といいます。)のうち所得税が課されない部分の金額に対応する所得税に相当する給付金(以下「特別還付金」といいます。)を支給します。ただし、当該年分の所得税について、国税通則法の規定による更正を行うことができる場合又は期限後申告書を提出することができる場合は除きます。
(ロ) 特別還付金の支給を受けようとする者は、23年度改正法の施行から1年間、特別還付金の額等を記載した特別還付金請求書に特別還付金額の計算明細書等を添付して税務署長に提出することができることとします。税務署長は、必要な事項を調査し、支給額(特別還付金請求書に記載された金額を限度とします。)を決定し、その提出者に対し通知します。
(ハ) 特別還付金の額は、その年分に応じて次に掲げる金額とします。特別還付金の額には、次の区分に応じて還付加算金に相当する加算金を加算します。
(a) 平成15年分以後の各年分
 ⓐその年分の所得税につき申告書を提出している者
 その申告書に係る所得税額から保険年金所得に対する取扱い変更後の所得税額を控除した金額
(注)「取扱い変更」とは、最高裁判決を受けて、現行税法に基づき納めすぎとなっている所得税を還付するために、本年10月に行った保険年金所得を所得税の課税部分と非課税部分に振り分けるための所得計算の見直し(所得税法施行令の改正)による課税の取扱いの変更をいいます。
 ⓑその年分の所得税につき申告書を提出していない者
 次に掲げる金額のうちいずれか多い金額(取扱い変更後において還付すべき税額がある場合に限ります。)
 (ⅰ)保険年金所得に対する取扱い変更前の所得税額から当該変更後の所得税額を控除した金額
 (ⅱ)保険年金所得の所得減少額の10%相当額
(注)「所得減少額」とは、その年分の保険年金所得に対する取扱い変更前の所得金額から当該変更後の所得金額を控除した金額をいいます。
(b) 平成12年分から平成14年分の各年分
 ⓐ保険年金の最終支払年が平成15年以後である者
 その年分の保険年金所得の所得減少額に平成15年分のみなし特別還付金割合を乗じて計算した金額
(注)「みなし特別還付金割合」とは、その年分の保険年金の所得減少額のうちにみなし特別還付金基準額(その年分の保険年金に係る上記(a)(ⅰ)又は(ⅱ)に掲げる金額のいずれか多い金額をいいます。以下同じです。)の占める割合をいいます。
 ⓑ保険年金の最終支払年が平成12年から平成14年である者
 (ⅰ)最終支払年分最終支払年分の保険年金所得を平成15年分の保険年金所得とみなして計算したみなし特別還付金基準額
 (ⅱ)最終支払年分以外の年分その年分の保険年金所得の所得減少額に最終支払年分の保険年金所得を平成15年分の保険年金所得とみなして計算したみなし特別還付金割合を乗じて計算した金額
(ニ) 特別還付金(加算金を含みます。)については、所得税及び個人住民税を課さないこととします。
(ホ) 税務署長は、その決定した特別還付金の額が過大又は過少であることを知った場合には、当該特別還付金額の変更の決定をすることができます。特別還付金の減額の決定があったときは、その決定を受けた者は、その減額分の特別還付金(対応する加算金を含みます。)を、1か月以内に納付しなければならないこととします。なお、期限までに完納しない場合には、延滞税に相当する延滞金が課されます。
(ヘ) その他
(a) 税務署長の決定は、23年度改正法の施行から2年を経過した後は行うことができないものとし、特別還付金の支給を受ける権利及び特別還付金を徴収する権利は、2年間行使しないことによって、時効により消滅することとします。
(b) 特別還付金請求書の提出、税務署長の決定及び通知、特別還付金の支払又は納付その他の特別還付金に関する事項については、国税通則法及び国税徴収法の規定を準用します。
(c) 特別還付金の支給に関し、国税職員の質問検査権及び義務違反に対する罰則の整備を行います。
(d) その他所要の措置を講じます。
ロ 相続又は贈与等に係る保険年金の保険金受取人等に係る更正の請求の特例
 上記イの措置と併せて、現行税法に基づいて所得税の還付を受けるため、その年分の所得税の申告をしている保険年金の受取人である者は、その年分の所得のうちに保険年金所得が含まれていることにより当該申告に係る課税標準等又は税額等が過大であるときは、23年度改正法の施行から1年間、税務署長に対し、更正の請求を行うことができる特例措置を講じます。
〔地方税〕
①法人住民税及び法人事業税について、還付加算金に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講じます。

2.個人所得課税
(1)給与所得控除の見直し
①給与所得控除の上限設定
 その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限を設けます。
②役員給与等に係る給与所得控除の見直し
 その年中の給与等のうち、給与等の支払者の役員等が、当該給与等の支払者から役員等の職務に対する対価として支払を受けるもの(以下「役員給与等」といいます。)の収入金額が2,000万円を超える場合の当該役員給与等に係る給与所得控除額については、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額とします。
イ その年中の役員給与等の収入金額が2,000万円を超え2,500万円以下の場合 245万円からその年中の役員給与等の収入金額のうち2,000万円を超える部分の金額の12%相当額を控除した金額
ロ その年中の役員給与等の収入金額が2,500万円を超え3,500万円以下の場合 185万円
ハ その年中の役員給与等の収入金額が3,500万円を超え4,000万円以下の場合 185万円からその年中の役員給与等の収入金額のうち3,500万円を超える部分の金額の12%相当額を控除した金額
ニ その年中の役員給与等の収入金額が4,000万円を超える場合 125万円
(注)「役員等」とは、次に掲げる者をいいます。
 ①法人税法第2条第15号に規定する役員
 ②国会議員及び地方議会議員
 ③国家公務員(特別職に属する職員のうち一定の者又は一般職に属する職員のうち指定職に該当する者に限ります。)
 ④地方公務員(上記③に準ずる者に限ります。)
③特定支出控除の見直し
 特定支出控除について次の見直しを行います。
イ 特定支出の範囲の拡大
 特定支出の範囲に次に掲げる支出を追加します。
(イ) 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費
(ロ) 職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費、職務に通常必要な交際費及び職業上の団体の経費(勤務必要経費)
(注)その年中に支出した勤務必要経費の金額の合計額が65万円を超える場合には、65万円を限度とします。
ロ 特定支出控除の適用判定・計算方法の見直しその年の特定支出の額の合計額が、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を超える場合(現行:給与所得控除額を超える場合)は、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算することができることとします。
(イ) その年中の給与等の収入金額が1,500万円以下の場合 その年中の給与所得控除額の2分の1に相当する金額
(ロ) その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合 125万円
④その他
 給与所得控除の見直しに伴い、役員給与等と役員給与等以外の給与等がある場合の給与所得の計算方法、給与等に係る源泉徴収税額の計算方法、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表及び年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表並びに給与所得の源泉徴収票の記載事項及び様式などについて所要の措置を講じます。
(注)上記の改正は、平成24年分以後の所得税及び平成25年度分以後の個人住民税について適用します。

(2)退職所得課税の見直し
①役員退職手当等に係る退職所得の課税方法の見直し
 その年中の退職手当等のうち、退職手当等の支払者の役員等(役員等としての勤続年数が5年以下の者に限ります。)が当該退職手当等の支払者から役員等の勤続年数に対応するものとして支払を受けるもの(以下「役員退職手当等」といいます。)に係る退職所得の課税方法について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止します。
(注)「役員等」とは、次に掲げる者をいいます。
 ①法人税法第2条第15号に規定する役員
 ②国会議員及び地方議会議員
 ③国家公務員及び地方公務員
②その他
 役員退職手当等に係る退職所得の課税方法の見直しに伴い、役員退職手当等と役員退職手当等以外の退職手当等がある場合の退職所得の計算方法、退職手当等に係る源泉徴収税額の計算方法並びに退職所得の源泉徴収票の記載事項及び様式などについて所要の措置を講じます。
(注)上記の改正は、平成24年分以後の所得税について適用します。個人住民税は、平成24年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用します。
〔地方税〕
①退職所得に係る10%税額控除の見直し退職所得に係る個人住民税の10%税額控除を廃止します。
(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用します。

(3)成年扶養控除の見直し
〔国税〕
①成年扶養控除の対象の見直し
 居住者が次に掲げる成年扶養親族(扶養親族のうち、年齢23歳以上70歳未満の者をいいます。以下同じです。)を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額等からその成年扶養親族1人につき、38万円を控除することとします。
イ 特定成年扶養親族
ロ 特定成年扶養親族以外の成年扶養親族(その年の合計所得金額が400万円以下である居住者の成年扶養親族に限ります。)
(注)「特定成年扶養親族」とは、成年扶養親族のうち、次に掲げる者をいいます。
1 年齢65歳以上70歳未満の者
2 心身の障害等の事情を抱える次に掲げる者
 ①障害者(障害者控除制度の対象者)
 ②介護保険法の要介護認定又は要支援認定(以下「要介護認定等」といいます。)を受けている者
 ③居住者と生計を一にする配偶者その他の親族のうち要介護認定等を受けている者と同居を常況としている者又はこれに準ずると認められる者
 ④心身の状態により就労が困難と認められる次に掲げる者イ難病や精神疾患等に係る公費負担医療制度等に基づく医療に関する給付の対象者
ロ 障害者自立支援法の介護給付費等の対象者
ハ その年中に病院等において高額な療養を受けた者(高額療養費制度の対象者等)
ニ その年中に入院又は通院等をした者(その年又はその年の前年の療養期間の合計が90日以上となる者に限ります。)
3 勤労学生控除の対象となる学校等の学生、生徒等
②負担調整措置
 居住者が特定成年扶養親族以外の成年扶養親族を有する場合(その居住者のその年の合計所得金額が400万円を超える場合に限ります。)には、その居住者のその年分の総所得金額等からその成年扶養親族1人につき、38万円からその居住者の合計所得金額のうち400万円を超える部分の38%相当額(当該相当額が38万円を超える場合には38万円)を控除した残額を控除する負担調整措置を設けます。
③その他
 扶養控除の見直しに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書及び公的年金等の受給者の扶養親族等申告書並びに給与所得及び公的年金等の源泉徴収票についてその記載事項及び様式の見直しを行うなど所要の措置を講じます。
(注)上記の改正は、平成24年分以後の所得税について適用します。
〔地方税〕
①成年扶養控除の対象の見直し
 所得割の納税義務者が次に掲げる成年扶養親族を有する場合には、その所得割の納税義務者の前年分の総所得金額等からその成年扶養親族1人につき、33万円を控除することとします。
イ 特定成年扶養親族
ロ 特定成年扶養親族以外の成年扶養親族(前年の合計所得金額が400万円以下である所得割の納税義務者の成年扶養親族に限ります。)
②負担調整措置
 所得割の納税義務者が特定成年扶養親族以外の成年扶養親族を有する場合(その所得割の納税義務者の前年の合計所得金額が400万円を超える場合に限ります。)には、その所得割の納税義務者の前年分の総所得金額等からその成年扶養親族1人につき、33万円からその所得割の納税義務者の合計所得金額のうち400万円を超える部分の33%相当額(当該相当額が33万円を超える場合には33万円)を控除した残額を控除する負担調整措置を設けます。
③その他
イ 個人住民税の非課税限度額制度等に活用するため、成年扶養控除の見直しの後も市町村が成年扶養親族に関する事項を把握できるよう所要の措置を講じます。
ロ 現行の調整控除について、成年扶養控除の見直しに伴う所要の措置を講じます。
ハ 成年扶養控除の見直しに伴い、給与支払報告書及び公的年金等支払報告書についてその記載事項及び様式の見直しを行うなど所要の措置を講じます。
(注)上記の改正は、平成25年度分以後の個人住民税について適用します。

(4)金融証券税制
①上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の適用期限を2年延長します。
②非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税(いわゆる「日本版ISA」)について、次の措置を講じます。
イ 施行日を2年延長し、平成26年1月1日からの適用とします。
ロ 非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、次のものを追加します。
(イ) 非課税口座を開設されている金融商品取引業者等が行う募集により取得した上場株式等
(ロ) 非課税口座内上場株式等について無償で割り当てられた上場新株予約権で、その割当ての際に非課税口座に受け入れられるもの
(ハ) 2以上の非課税口座で管理している同一銘柄の非課税口座内上場株式等について行われた株式分割等により取得した上場株式等
③先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用対象に、次に掲げる取引に係る雑所得等を加えます。
イ 商品先物取引法に規定する店頭商品デリバティブ取引(同法第2条第14項第1号から第5号までに掲げる取引に限ります。)の差金等決済
ロ 金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引(同法第2条第22項第1号から第4号までに掲げる取引に限ります。)の差金等決済
ハ 店頭カバードワラントの差金等決済又は譲渡
(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に行われる店頭商品デリバティブ取引、店頭デリバティブ取引又は店頭カバードワラントの差金等決済又は譲渡について適用します。
④上場株式等に係る配当所得の分離課税等の対象とならない大口株主等が支払を受ける配当等の要件について、配当等の支払を受ける者が保有する株式等の発行済株式等の総数等に占める割合を100分の3(現行:100分の5)に引き下げます。
(注)上記の改正は、平成23年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用します。
⑤特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、次のものを追加します。
イ 生命保険会社の相互会社から株式会社への組織変更に伴いその社員に割り当てられた上場株式等(当該割当ての際に、社債、株式等の振替に関する法律に規定する特別口座で管理されることとなったものに限ります。)で、当該特別口座から特定口座への受入れの際に、当該特定口座を開設されている金融商品取引業者等の営業所の長を通じてその者の住所地の所轄税務署長に対し特定口座及び当該特別口座以外の口座において当該受入れに係る上場株式等と同一銘柄の株式を保有していない旨の申出書を提出して受け入れられるもの
(注)上記イの上場株式等の特定口座への受入れは、以下の手続等の下に行うこととします。
1 上記の上場株式等を受け入れた特定口座を開設されている金融商品取引業者等の営業所の長は、その受け入れた年月日、上場株式等の数、銘柄等を、当該特定口座を開設している居住者等の住所地の所轄税務署長に通知しなければならないこととします。
2 特定口座に上記の上場株式等を受け入れた後、当該申出書の提出をした居住者等が、特定口座及び当該特別口座以外の口座(その上場株式等を受け入れた特定口座を開設されている金融商品取引業者等以外の金融商品取引業者等の営業所に開設されたものに限ります。)において、当該上場株式等と同一銘柄の上場株式等を保有していたことにより当該申出書の提出に係る特定口座に受け入れた上場株式等の取得価額が異なることが判明した場合には、当該特定口座を開設されている金融商品取引業者等の営業所の長は、その旨を当該居住者等の住所地の所轄税務署長に通知しなければならないこととします。
3 上記2の場合において、当該特定口座を開設されている金融商品取引業者等の営業所の所在地の所轄税務署長が、当該特定口座に受け入れた上場株式等の取得価額が異なることについて当該営業所の長の責めに帰すべき理由があると認めるときを除き、当該特定口座において計算された上場株式等の譲渡所得等の金額に係る源泉徴収税額は、正当な金額として計算されたものとみなします。
4 上記2により特定口座に受け入れた上場株式等の取得価額が異なる場合において、その異なることにより所得税及び個人住民税の負担を減少させる結果となる場合には、その特定口座については、源泉徴収口座内の上場株式等の譲渡所得等に係る申告不要の特例は、適用しません。
ロ 株式無償割当により取得する上場株式等で、その割当ての際に特定口座に受け入れられるもの
ハ 新株予約権無償割当により取得する上場新株予約権で、その割当ての際に特定口座に受け入れられるもの
ニ 特定口座内保管上場株式等である新株予約権の行使により取得する上場株式等で、その行使による取得の際に特定口座に受け入れられるもの
ホ 新株予約権等(有利発行のものに限るものとし、ストックオプション税制の適用があるものを除きます。)の行使により取得した上場株式等で、その行使による取得の際に特定口座に受け入れられるもの
ヘ 特定口座以外の口座で管理されていた被相続人、贈与者又は遺贈者(以下「被相続人等」といいます。)の上場株式等で、当該口座が開設されていた金融商品取引業者等以外の金融商品取引業者等の営業所に当該被相続人等に係る相続人、受贈者又は受遺者が開設している特定口座に移管がされるもの
⑥金融機関が支払を受ける利子所得に対する源泉徴収の不適用の特例等について、資産の流動化に関する法律の改正が行われた場合には、対象となる利子等の範囲に、振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有しないものに限ります。)につき支払を受ける収益の分配を追加します。
⑦償還差益に対する発行時源泉徴収免除の特例の対象とされる短期公社債の範囲について、新たに財政法第4条の規定により発行される国債及び特例国債を対象とすることに伴い、対象となる国債を限定列挙する方式を改め、発行日から償還期限までの期間が1年以下であるすべての国債を対象とします。
⑧相続等に係る保険年金に対する源泉徴収及び支払調書制度について、次の措置を講じます。
イ 相続又は贈与等に係る保険年金(一定の基準に該当するものに限ります。以下「相続等保険年金」といいます。)に対する源泉徴収については、平成25年1月1日から廃止します。
ロ 上記イの措置に併せて、次の措置を講じます。
(イ) 相続等保険年金に対する支払調書制度については、平成25年1月1日以後の支払分について、提出省略基準を撤廃するとともに相続等に関する内容を記載事項に追加します。また、最初の支払日が平成23年1月1日以後である相続等保険年金の初年分の支払調書については、相続等保険年金であることを明らかにする措置を講じます。
(ロ) 国内に恒久的施設を有しない非居住者が支払を受ける相続等保険年金については、申告の対象とします。

(5)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
①肉用牛の売却による農業所得の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長します(法人税についても同様とします。)。
イ 免税対象牛の売却頭数要件の上限を年間1,500頭(現行:年間2,000頭)に引き下げます(年間1,500頭を超える部分の所得は免税対象から除外)。
ロ 免税対象牛の対象範囲から売却価額80万円以上(現行:100万円以上)の交雑種を除外します。
(注)上記の改正は、個人は平成24年分以後の所得税について適用し、法人は所要の経過措置を講じた上、平成24年4月1日以後に終了する事業年度について適用します。
②既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除等の見直し
イ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します。
(イ) バリアフリー改修工事税額控除額の上限額(現行:20万円)について、平成23年は20万円とし、平成24年は15万円とします。
(ロ) 省エネ改修工事税額控除額の計算の基礎となる省エネ改修費用の額について、補助金等の交付がある場合は、当該補助金等の額を控除した後の金額とします。
(注)既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除について、適用対象となる地域の要件を廃止するとともに、補助金等の交付がある場合には、上記(ロ)と同様の見直しを行います。
ロ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例について、上記イ(ロ)と同様の見直しを行った上、省エネ要件の緩和措置の適用期限を2年延長します。
(注1)上記イ(イ)の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。
(注2)上記イ(ロ)及びロの改正は、平成23年4月1日以後に行う改修工事について適用します。
③認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します(法人税についても同様とします。)。
イ 適用対象となる事業用地の区域を都市再生緊急整備地域とします。
ロ 課税の繰延べ割合を土地等の交換等に係る譲渡益の80%(現行:100%)に引き下げます。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行う土地等の交換等について適用します。
④収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等について、次の見直しを行います(法人税についても同様とします。)。
イ 土地等が農地法の規定により買収され、その対価を取得した場合の措置を廃止します。
ロ 収用対象事業用地の買取りに係る簡易証明制度の対象に、社会福祉法人等の設置に係る障害者通所サービス等の事業の用に供される施設を加えます。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行う土地等の譲渡について適用します。
⑤電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除について、税額控除額(現行:5,000円)を平成23年分は4,000円、平成24年分は3,000円に引き下げた上、その適用期限を2年延長します。
(延長・拡充等)
①山林所得に係る森林計画特別控除の適用期限を1年延長します。
②総合特区制度の創設に伴い、特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の適用対象となる株式会社の範囲に、総合特別区域法(仮称)に規定する特定地域活性化事業(仮称)を行う次に掲げる要件を満たす株式会社を加えます。
イ 総合特別区域法(仮称)の規定により認定された地方公共団体からの指定後3年以内の会社であること。
ロ 次のいずれかに該当すること。
(イ) 地域活性化総合特別区域計画(仮称。以下「計画」といいます。)の認定日が最初の事業年度に属している会社又は計画の認定日において最初の事業年度が開始していない会社内閣総理大臣の認定を受けた計画に記載された地域の社会的問題の解決に資する事業(以下「計画事業」といいます。)に従事する者が2人以上であり、かつ、常勤の役員及び従業員の数の合計に対する割合が50%以上であること。
(ロ) 計画の認定日において最初の事業年度が終了している会社次に掲げるすべての要件を満たすこと。
(a) 資金計画に記載された特区事業費の額を直前期の営業費用の額で除して計算した割合が50%以上であること。
(b) 計画事業に従事する者が2人以上であり、かつ、常勤の役員及び従業員の数の合計に対する割合が50%以上であること。
(c) 直前期の売上高に占める営業利益の割合が2%を超えていないこと。
ハ 中小企業者であること。
ニ 特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の6分の5を超える会社でないこと。
ホ 金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。
ヘ 発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社でないこと。
ト 風俗営業又は性風俗関連特殊営業に該当する事業を行う会社でないこと。
(注)上記の改正は、総合特別区域法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間に指定を受けた株式会社について適用します。
③アジア拠点化を推進するための制度の創設に伴い、特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)について、次の措置を講じます。
イ 本特例の対象となる新株予約権等の範囲に、特定外国親法人(仮称)が外国の法令の規定に基づく決議により発行する新株予約権で、主務大臣の研究開発事業計画(仮称)又は国際的統括事業計画(仮称)の認定を受けた特定外国法人等設立会社(仮称。以下同じです。)の取締役、執行役又は使用人である個人に付与されるものを追加します。
ロ 上記イの特定外国法人等設立会社は、特例の適用を受けて取得した株式が譲渡されるまでは、新株予約権の付与に関する調書及びその新株予約権の行使により取得をした株式の異動状況に関する調書を、毎年1月31日までに提出しなければならないこととします。
ハ 上記イの特定外国法人等設立会社が解散をし、清算が結了した場合等には、その時において、本特例の適用を受けて取得した株式の譲渡があったものとみなして、所得税を課します。
(注)上記の改正は、特定外国法人による研究開発事業等の促進に関する特別措置法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間に認定を受けた法人の取締役等に対し、当該認定の日から起算して3年を経過する日までに付与された新株予約権について適用します。
④総合特別区域法(仮称)の制定に伴い、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用対象に、同法に規定する高度化事業の用に供するために土地等を譲渡した場合を加えます(法人税についても同様とします。)。
(新設)
①特定寄附信託(いわゆる「日本版プランド・ギビング信託」)に係る利子所得の非課税の創設
イ 特定寄附信託契約に基づき設定された信託の信託財産につき生ずる利子所得(利子所得の基因となる公社債等が当該信託財産に引き続き属していた期間に対応する部分の額に限ります。)については、所得税を課さないこととします。
ロ 特定寄附信託契約とは、居住者等が金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により信託業務を営む金融機関又は信託業法の免許を受けた信託会社と締結した当該居住者等を受益者とする信託に関する契約であって、特定寄附金の対象となる公益社団法人、公益財団法人又は認定NPO法人等(以下「公益法人等」といいます。)への寄附を行うことを主たる目的とするもののうち、次に掲げる要件を備えたものをいいます。
(イ) 信託財産からの寄附は、公益法人等に対してのみ行うものであること。
(ロ) 信託契約期間中の各年に信託財産から寄附される金額は、当初信託元本額(下記(ハ)により委託者に交付される金額の合計額を除きます。)を信託契約期間の年数で除した金額と当該寄附をする日までの間に生じた利子の合計額(前年までに既に寄附された利子の金額を除きます。)とされていること。
(ハ) 信託契約期間中に信託財産から委託者に金銭の交付をする場合には、その交付される金銭の額は当初信託元本額の30%を限度とし、かつ、信託契約期間にわたって各年均等に交付されるものであること。
(ニ) 信託の受託者がその信託財産として受け入れる資産は、金銭に限られるものであること。
(ホ) 信託の信託財産の運用は、次に掲げる方法に限られるものであること。
(a) 預貯金
(b) 国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券又は貸付信託の受益権の取得
(c) 合同運用信託の信託
(ヘ) 信託財産を寄附する日の前日までに、信託の受託者がその寄附を受ける法人等との間で寄附に関する契約(寄附金を支出する日等の定めがあるものに限ります。)を締結していること。
(ト) 信託は、合意による終了ができないものであること。
(チ) 信託の受益権は、譲渡又は担保提供ができないこと。
(リ) 委託者が死亡した場合には、信託は終了し、その信託財産のすべてを公益法人等に寄附することとされていること。
(ヌ) 信託の計算期間は1月1日から12月31日までとされていること。
ハ 特定寄附信託の委託者は、当該特定寄附信託に係る信託契約の締結の後最初に上記イの非課税の適用がある利子の支払を受ける日の前日までに、その者の氏名等を記載した非課税申告書に当該特定寄附信託に係る信託契約書を添付して、これを受託者を経由し、委託者の住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
ニ 特定寄附信託について、上記ロの要件を満たさないこととなる事実が生じた場合には、その事実が生じた日以前に信託財産から生じた利子については、上記イの非課税の適用はなかったものとし、かつ、その事実が生じた日においてその利子が生じたものと、当該受託者がその利子を支払ったものとそれぞれみなして、利子の源泉徴収に関する規定を適用します。
ホ 特定寄附信託の受託者は、信託の計算書に、当初元本額、寄附金額、寄附先の法人等の名称等を記載して、その信託の計算期間の終了の日の属する年の翌年1月31日までに税務署長に提出しなければなりません。
ヘ 特定寄附信託の委託者が、当該特定寄附信託契約に基づき公益法人等に対して寄附した金額のうち、上記イにより非課税となった利子所得に相当する金額に係る部分は、寄附金控除は、適用しません。
ト その他所要の措置を講じます。
〔地方税〕
(廃止・縮減等)
①肉用牛の売却による農業所得の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長します。
イ 免税対象牛の売却頭数要件の上限を年間1,500頭(現行:年間2,000頭)に引き下げます(年間1,500頭を超える部分の所得は免税対象から除外)。
ロ 免税対象牛の対象範囲から売却価額80万円以上(現行:100万円以上)の交雑種を除外します。
(注)上記の改正は、平成25年度分以後の個人住民税について適用します。
(延長・拡充等)
①山林所得に係る森林計画特別控除の適用期限を1年延長します。
②収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等について、収用対象事業用地の買取りに係る簡易証明制度の対象に、社会福祉法人等の設置に係る障害者通所サービス等の事業の用に供される施設を加えます。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行う土地等の譲渡について適用します。
③総合特別区域法(仮称)の制定に伴い、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用対象に、同法に規定する高度化事業の用に供するために土地等を譲渡した場合を加えます。
④アジア拠点化を推進するための制度の創設に伴い、特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)について、次の措置を講じます。
イ 本特例の対象となる新株予約権等の範囲に、特定外国親法人(仮称)が外国の法令の規定に基づく決議により発行する新株予約権で、主務大臣の研究開発事業計画(仮称)又は国際的統括事業計画(仮称)の認定を受けた特定外国法人等設立会社(仮称。以下同じです。)の取締役、執行役又は使用人である個人に付与されるものを追加します。
ロ 上記イの特定外国法人等設立会社が解散をし、清算が結了した場合等には、その時において、本特例の適用を受けて取得した株式の譲渡があったものとみなして、個人住民税を課します。
(注)上記の改正は、特定外国法人による研究開発事業等の促進に関する特別措置法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間に認定を受けた法人の取締役等に対し、当該認定の日から起算して3年を経過する日までに付与された新株予約権について適用します。
(新設)
①特定寄附信託(いわゆる「日本版プランド・ギビング信託」)に係る利子所得の非課税の創設
イ 特定寄附信託契約に基づき設定された信託の信託財産につき生ずる利子所得(利子所得の基因となる公社債等が当該信託財産に引き続き属していた期間に対応する部分の額に限ります。)については、個人住民税を課さないこととします。
ロ 特定寄附信託について、特定寄附信託契約の要件を満たさないこととなる事実が生じた場合には、その事実が生じた日以前に信託財産から生じた利子については、上記イの非課税の適用はなかったものとし、かつ、その事実が生じた日においてその利子が生じたものと、当該受託者がその利子を支払ったものとそれぞれみなして、利子の源泉徴収に関する規定を適用します。
ハ 特定寄附信託の委託者が、当該特定寄附信託契約に基づき寄附金税額控除の対象となる公益法人等に対して寄附した金額のうち、上記イにより非課税となった利子所得に相当する金額に係る部分は、寄附金税額控除は、適用しません。
ニ その他所要の措置を講じます。

(6)その他
〔国税〕
①新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度(仮称)に基づく給付について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
イ 所得税を課さないこととします。
ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。
②平成23年度以降の子ども手当について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
イ 所得税を課さないこととします。
ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。
③雇用保険法の失業等給付について、所要の法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
イ 所得税を課さないこととします。
ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。
④戦傷病者等の妻に対する特別給付金について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
イ 所得税を課さないこととします。
ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。
⑤交通用具使用者の通勤手当の非課税について、交通用具使用者が交通機関を利用するとした場合に負担することとなる運賃相当額まで非課税限度額を上乗せする特例を廃止します。
(注)上記の改正は、平成24年分以後の所得税について適用します。
⑥株式会社国際協力銀行法(仮称)の制定を前提に、株式会社国際協力銀行(仮称)を所得税法別表第一(公共法人等の表)に追加します。
⑦独立行政法人雇用・能力開発機構について、所要の法律改正を前提に、同機構の廃止に伴う勤労者財産形成業務の移管等に係る所要の措置を講じます。
⑧地方議会議員年金制度の廃止に伴い、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
イ 経過措置として支給される給付については、次のとおりとします。
(イ) 退職年金については、公的年金等控除の対象とするとともに、国税徴収法に規定する「給料等」として、一定額までの差押えを禁止します。
(ロ) 退職一時金(加算して支給されるものを含みます。)については、所得税法に規定する「退職手当等」とみなすとともに、国税徴収法に規定する「退職手当等」として、一定額までの差押えを禁止します。
(ハ) 遺族一時金(加算して支給されるものを含みます。)、公務傷病年金及び遺族年金については、所得税を課さないこととするとともに、国税の滞納処分による差押えを禁止します。
ロ 地方議会議員共済会については、地方議会議員年金制度の廃止後においても引き続き所得税法別表第一(公共法人等の表)に掲げる法人とみなす経過措置を講じます。
⑨公共法人等に係る所得税の非課税について、特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行した特定退職金共済団体については、所得税法上の公共法人等とみなす経過措置を講じ、従前どおり所得税を非課税とします。
⑩年金所得者の申告手続きの簡素化
イ 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、当該年金以外の他の所得の金額が20万円以下の者について、確定申告不要制度を創設します。
(注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。
ロ 公的年金等に係る源泉徴収税額の計算について、控除対象とされる人的控除の範囲に寡婦(寡夫)控除を加えます。
(注)上記の改正は、平成24年1月1日以後に支払われる公的年金等について適用します。
⑪所得税の確定申告書の提出期間(その年の翌年2月16日から3月15日まで)について、申告義務のある者の還付申告書は、その年の翌年1月1日から提出できることとします。
(注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。
⑫源泉所得税の納税地について、給与等の支払事務所等の移転があった場合には、当該移転前に支払った給与等に係る源泉所得税の納税地は、移転後の給与等の支払事務所等の所在地とします。
⑬居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者に対して、金地金及び白金地金(金貨及び白金貨を含みます。以下「金地金等」といいます。)の譲渡の対価の支払をする者(金地金等の売買を業として行う者に限ります。)は、その支払金額等を記載した支払調書を、その支払の確定した日の属する月の翌月末日までに、当該支払をする者の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととします。
(注1)同一人に対するその金地金等の譲渡の対価の支払金額が200万円以下である場合には、その金地金等の譲渡の対価に係る支払調書の提出は要しません。
(注2)上記の改正は、平成24年1月1日以後に支払うべき金地金等の譲渡の対価について適用します。
⑭居住者が支払を受けた生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、その支払を受けた金額から控除することができる事業主が負担した保険料等は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限る旨を法令に規定します。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に支払われるべき生命保険契約等に基づく一時金について適用します。
⑮相続等により定期預金、株式等その他の金融資産を取得した場合において、その相続等に係る被相続人等に生じている未実現の利子、配当等は、実現段階で相続人等に課税されるという現行の取扱いを法令に規定します。
〔地方税〕
〈個人住民税〉
①戦傷病者等の妻に対する特別給付金について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
イ 個人住民税を課さないこととします。
ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。
②特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行した特定退職金共済団体については、所得税法上の公共法人等とみなす経過措置を講じ、従前どおり利子割を課さないこととします。
③雇用保険法の失業等給付について、所要の法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
イ 個人住民税を課さないこととします。
ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。
④新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度(仮称)に基づく給付について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
イ 個人住民税を課さないこととします。
ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。
⑤地方議会議員年金制度の廃止に伴い、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
イ 経過措置として支給される給付については、次のとおりとします。
(イ) 退職年金については、公的年金等控除の対象とするとともに、一定額までの差押えを禁止します。
(ロ) 退職一時金(加算して支給されるものを含みます。)については、退職手当等とみなすとともに、一定額までの差押えを禁止します。
(ハ) 遺族一時金(加算して支給されるものを含みます。)、公務傷病年金及び遺族年金については、個人住民税を課さないこととするとともに、地方税の滞納処分による差押えを禁止します。
ロ 地方議会議員年金制度の廃止後においても引き続き地方議会議員共済会が支払を受ける利子等については、利子割を課さないこととする経過措置を講じます。
⑥株式会社国際協力銀行法(仮称)の制定を前提に、株式会社国際協力銀行(仮称)が支払を受ける利子等については、利子割を課さないこととします。
⑦平成23年度以降の子ども手当について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
イ 個人住民税を課さないこととします。
ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。
⑧独立行政法人雇用・能力開発機構について、所要の法律改正を前提に、同機構の廃止に伴う勤労者財産形成業務の移管等に係る所要の措置を講じます。
〈国民健康保険税〉
⑨旧老人保健制度における拠出金に係る費用を国民健康保険税の標準基礎課税総額に含めて徴収することとする経過措置について、その適用期限を3年延長します。
⑩国民健康保険税の所得割額の算定方式を旧ただし書方式に一本化します。
(注)上記の改正は、平成25年度分の国民健康保険税から適用します。
⑪国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を51万円(現行50万円)、後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を14万円(現行13万円)、介護納付金課税額に係る課税限度額を12万円(現行10万円)に引き上げます。

3.資産課税
(1)相続税・贈与税の見直し
①相続税の課税ベース及び税率構造について、次の見直しを行います。
イ 相続税の基礎控除
現行
改正案
定額控除
5,000万円
3,000万円
法定相続人比例控除
1,000万円に法定相続人数を乗じた金額 600万円に法定相続人数を乗じた金額

ロ 死亡保険金に係る非課税限度
現行
改正案
500万円に、法定相続人の数を乗じた金額
500万円に、法定相続人(未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限ります。)の数を乗じた金額

ハ 相続税の税率構造
現行
改正案
税率 税率
1,000万円以下の金額 10%    同左
3,000万円   〃
15%    〃
5,000万円   〃 20%    〃
1億円     〃
30%    〃
3億円     〃
40% 2億円以下の金額 40%
3億円  〃 45%
3億円超の金額
50%
6億円  〃 50%
6億円超の金額 55%

②未成年者控除及び障害者控除を次のとおり引き上げます。
イ 未成年者控除
現行
改正案
20歳までの1年につき6万円
20歳までの1年につき10万円

ロ 障害者控除
現行
改正案
85歳までの1年につき6万円
(特別障害者については12万円)
85歳までの1年につき10万円
(特別障害者については20万円)
(注)上記①及び②の改正は、平成23年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用します。

③相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造について、次の見直しを行います。

イ 20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率構造
現行
改正案
税率 税率
 200万円以下の金額 10%    同左
 300万円   〃 15%  400万円以下の金額
15%
 400万円   〃
20%
 600万円  〃  20%
 600万円   〃
30% 1,000万円   〃 30%
1,000万円   〃
40% 1,500万円   〃 40%
3,000万円   〃 45%
1,000万円超の金額
50% 4,500万円   〃 50%
4,500万円超の金額 55%
ロ 上記イ以外の贈与財産に係る贈与税の税率構造
現行
改正案
税率 税率
 200万円以下の金額 10%    同左
 300万円   〃 15%    〃
 400万円   〃
20%
   〃
 600万円   〃
30%    〃
1,000万円   〃
40%    〃
1,500万円以下の金額 45%
1,000万円超の金額
50% 3,000万円   〃 50%
3,000万円超の金額 55%
④相続時精算課税制度の適用要件について、次の見直しを行います。
イ 受贈者の範囲に、20歳以上である孫(現行推定相続人のみ)を追加します。
ロ 贈与者の年齢要件を60歳以上(現行65歳以上)に引き下げます。
(注)上記③及び④の改正は、原則として平成23年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用します。
⑤相続税の連帯納付義務者が連帯納付義務を履行する場合に負担する延滞税については、一定の要件の下、利子税に代える等の措置を講じます。
(注)上記⑤の改正は、平成23年4月1日以後の期間に対応する延滞税について適用します。

(2)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
①次に掲げる特別措置について、適用期限の到来をもって廃止します。
イ 特定農業法人が農用地区域内の遊休農地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
ロ 農地利用集積円滑化事業により農用地区域内の農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
ハ 勧告等によってする登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(卸売市場法)
ニ 会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(卸売市場法)
ホ 認定民間都市再生整備事業計画に基づき土地等を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置
ヘ 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の質権又は抵当権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
ト 農地等に係る贈与税の納税猶予の特例の適用を受けている者が特例適用農地等のすべてについて一定の農業生産法人に使用貸借による権利の設定をした場合において贈与税の納税猶予の特例を継続する措置
②独立行政法人住宅金融支援機構の直接融資に係る登録免許税の非課税措置を廃止します。
③信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を1,000分の1.5(現行1,000分の1)に引き上げた上、その適用期限を2年延長します。
④農業信用基金協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を1,000分の1.5(現行1,000分の1)に引き上げた上、その適用期限を2年延長します。
⑤日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を1,000分の1.5(現行1,000分の1)に引き上げた上、その適用期限を2年延長します。
⑥産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に規定する認定事業再構築計画等に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる登記から合併等を伴わない事業再構築計画に係る資本金の額の増加の登記を除外します。
⑦認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象を次のすべての要件を満たす都市再生事業(以下3.において「都市再生事業」といいます。)とした上、その適用期限を2年延長します。
イ 事業区域内に地上階数10以上又は延べ面積50,000平方メートル以上の耐火建築物が整備されること
ロ 事業区域内において整備される公共施設の用に供される土地の面積の当該事業区域の面積に占める割合が30%以上であること又は都市の居住者等の利便の増進に寄与する施設に係る一定の整備費用の額が10億円以上であること
⑧電子情報処理組織による登記の申請の場合の登録免許税額の特別控除制度について、特別控除の限度額(現行5,000円)を次のとおり引き下げた上、その適用期限を2年延長します。
イ 平成24年3月31日まで4,000円
ロ 平成25年3月31日まで3,000円
(延長・拡充等)
①直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等について、適用対象となる住宅取得等資金の範囲に、住宅の新築等(住宅取得等資金の贈与を受けた翌年3月15日までに行われるものに限ります。)に先行してその敷地の用に供される土地等を取得する場合における当該土地等の取得のための資金を追加します。
(注)上記の改正は、平成23年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用します。
②非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、同制度の運用状況等を踏まえ、次のとおり所要の見直しを行います。
イ 風俗営業会社等に該当してはならないこととされる特別関係会社の範囲について、特別関係会社のうち次に掲げる者によりその株式等を直接又は間接に保有される会社とします。
(イ) 認定会社
(ロ) 認定会社の代表権を有する者
(ハ) 認定会社の代表権を有する者と生計を一にする親族
(ニ) 認定会社の代表権を有する者と特別の関係がある者
ロ 資産保有型会社・資産運用型会社の判定の基礎となる特定資産の範囲に、一定の外国会社に対する貸付金等を追加します。
ハ その他所要の見直しを行います。
③住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長します。
④利用権設定等促進事業により農用地区域内の農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長します。
⑤関西国際空港株式会社等の登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を1年延長します。
⑥都市再生特別措置法の改正に伴い、同法に規定する認定事業者が、同法に定める国土交通大臣の認定を受けた民間都市再生事業計画(平成25年3月31日までに認定を受けるものに限ります。以下⑥において「認定計画」といいます。)に基づき、当該認定計画に係る都市再生事業により特定都市再生緊急整備地域(仮称)内で建物をその認定後3年以内(地上階数30以上又は延べ面積150,000平方メートル以上の建物の場合には、その認定後5年以内)に建築して取得する場合における所有権の保存登記については、登録免許税の税率を1,000分の1.5(平成24年4月1日以後に認定を受ける認定計画に基づき建築される建物の所有権の保存登記については、1,000分の2)(本則1,000分の4)に軽減する措置を講じます。
⑦独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行う基盤整備事業に基づき、旅客鉄道株式会社等が交換により取得した建物に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置の適用期限を2年延長します。
⑧不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を2年延長します。
(新設)
①自然公園法の国立公園特別保護地区等内の土地(環境大臣と風景地保護協定を締結しているなど一定の要件を満たすものに限ります。)について、相続税の物納劣後財産に該当する場合であっても、物納劣後財産に該当しないものとみなす措置を講じます。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用します。
②特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の規定により国土交通大臣の指定を受けた株式会社(以下「指定会社」といいます。)が、平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に、外貿埠頭公社から外貿埠頭事業に関連する一定の資産の出資を受けた場合において、当該期間内に指定会社がその出資により取得した当該資産に係る不動産の所有権の移転登記を受けるときは、その登記に対する登録免許税の税率を1,000分の15(本則1,000分の20)に軽減する措置を講じます。
〔地方税〕
(廃止・縮減等)
〈固定資産税・都市計画税〉
①新潟県中越地震災害により滅失・損壊した家屋に代わるものとして一定の被災地域内で取得する家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置を廃止します。
②能登半島地震災害により滅失・損壊した家屋に代わるものとして一定の被災地域内で取得する家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置を廃止します。
③能登半島地震災害により滅失・損壊した償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で取得する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
④新潟県中越沖地震災害により滅失・損壊した償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で取得する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑤テレワークを実施するために企業等が取得する主たる就業場所とその他の就業場所との間の通信の用に供する一定の設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑥駐車場法に基づき路外駐車場の整備に関する事業の計画の概要が定められた自動二輪車専用駐車場の用に供する家屋に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑦高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施する改良工事により取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑧鉄軌道事業者等がICカード乗車券の共通化・相互利用化のために取得した償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑨都市緑地法に規定する緑化施設整備計画に基づき設置される一定の緑化施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑩独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が所有し、かつ、一定の業務の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑪独立行政法人水資源機構が所有する水道又は工業用水道の用に供する施設のうちダム以外のものの用に供する一定の土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑫独立行政法人情報通信研究機構が所有し、かつ、一定の業務の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑬社会保険診療報酬支払基金が所有し、かつ、使用する事務所及び倉庫に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑭自動車安全運転センターが所有し、かつ、一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑮独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が所有し、かつ、一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。
⑯テレビジョン放送事業者が取得した地上放送デジタル化のための設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行い、その適用期限を3年延長した上、廃止します。
イ 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得した空中線電力が0.3ワット超の一定の中継局に係る課税標準を最初の5年間価格の2分の1(現行4分の3)とします。
ロ 平成24年4月1日から平成26年3月31日までの間に取得した番組制作設備に係る課税標準を最初の5年間価格の5分の4(現行4分の3)とします。
ハ対象から一定の放送事業者に係る番組制作設備を除外します。
⑰政府の補助を受けて取得する事業用太陽光発電設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を1年延長した上、廃止します。
⑱一定の第三セクターが政府の補助を受けて、市街地再開発事業等と一体的に行われる既設の駅の大規模な改良工事で鉄道駅機能の強化に著しく資するものにより取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を2年延長した上、廃止します。
⑲低公害車燃料等供給施設の用に供する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から充電設備を除外した上、その適用期限を2年延長します。
⑳都市再生特別措置法に規定する認定事業者が民間都市再生事業計画に基づき取得する公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します。
イ 都市再生緊急整備地域のうち特定都市再生緊急整備地域(仮称)以外の地域において取得するものについては、課税標準を最初の5年間価格の5分の3(現行2分の1)とします。
ロ 対象からロビーを除外します。
ハ 対象を一定の規模要件を満たすものに限ります。
(21)流通システム効率化を促進する物流施設に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、対象から特定上屋を除外し、対象区域から一定の鉄道貨物駅の周辺地域を除外した上、その適用期限を2年延長します。
(22)市街地再開発事業の施行に伴い従前の権利者が取得する家屋に係る固定資産税の減額措置について、第1種市街地再開発事業に係る住宅の非居住部分及び住宅以外の家屋に係る固定資産税の税額を5年間4分の1減額(現行3分の1減額)とした上、その適用期限を2年延長します。
(23)鉄軌道事業者が取得する新造車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、代替車両に係る適用要件を見直し、課税標準を最初の5年間価格の3分の2(現行2分の1)とし、このうち一定の鉄軌道事業者については5分の3とした上、その適用期限を2年延長します。
(24)鉄軌道事業者が取得する新造車両で高齢者、障害者等の移動等の円滑化に資する一定の構造を有する車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の5年間価格の3分の1(現行4分の1)とした上、その適用期限を2年延長します。
(25)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構が所有し、かつ、一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、対象から家屋及び償却資産を除外します。
〈不動産取得税〉
(26)テレビジョン放送事業者が取得した地上放送デジタル化のための設備の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(27)農業経営基盤強化促進法に規定する農地所有者代理事業により取得する農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(28)農業経営基盤強化促進法に規定する特定農業法人が、農地法に規定する協議等により取得する農用地区域内にある遊休農地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(29)入会林野整備等により取得する土地に係る不動産取得税の減額措置を廃止します。
(30)生前一括贈与に係る贈与税の納税猶予を受けている者が、適用対象農地等のすべてを農業経営基盤強化促進法に規定する認定農業者に認定された農業生産法人に使用貸借する等の一定の要件に該当し、贈与税の納税猶予の継続を認められたときに係る不動産取得税の徴収猶予の特例措置を廃止します。
(31)都市再生特別措置法に規定する認定整備事業者が、民間都市再生整備事業計画に基づき取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(32)都市再生特別措置法に規定する計画の認定を受けた民間都市再生整備事業計画に係る都市再生整備事業の区域内の不動産の所有者が、当該不動産を同法に規定する認定整備事業者又は独立行政法人都市再生機構に譲渡し、従前の不動産に代わるものとして取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(33)民間都市開発の推進に関する特別措置法に基づき国土交通大臣が認定する事業用地適正化計画に基づく土地の交換により、事業区域内の土地に関する権利を有する者(事業者を除きます。)が新たに取得する土地(首都圏整備法に規定する既成市街地等の区域内にあるものを除きます。)に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(34)密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する認定事業者が、認定建替計画に基づき取得する土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(35)駐車場法に基づき路外駐車場の整備に関する事業の計画の概要が定められた自動二輪車専用駐車場の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(36)河川法に規定する河川立体区域制度による河川整備に係る事業のために使用される土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者が、当該土地の上に取得する代替家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じた上、廃止します。
(37)独立行政法人都市再生機構が取得する旧地域振興整備公団法及び旧都市基盤整備公団法に規定する業務の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置を廃止します。
(38)高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施する改良工事により取得する一定の家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(39)事業協同組合が、都道府県等から一定の貸付けを受けて取得する中小企業集積の活性化に寄与する施設等に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。
(40)独立行政法人住宅金融支援機構等から一定の資金の貸付けを受けた事業者等が取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じた上、廃止します。
(41)市街地再開発組合が、第一種市街地再開発事業の施行に伴い取得した保留床を、一定の期間内に従前の権利者である当該組合の組合員に譲渡した場合における不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(42)都市再開発法に規定する再開発会社が、第一種市街地再開発事業の施行に伴い取得した保留床を、一定の期間内に従前の権利者に譲渡した場合における不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(43)都市再開発法に規定する再開発会社が、第二種市街地再開発事業の施行に伴い取得した保留床を、一定の期間内に従前の権利者に譲渡した場合における不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(44)住宅街区整備組合が、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法に規定する住宅街区整備事業の施行に伴い取得した保留床を、一定の期間内に従前の権利者である当該組合の組合員に譲渡した場合における不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(45)密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行者が、当該事業の施行に伴い取得した保留床を、一定の期間内に従前の権利者に譲渡した場合における不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(46)事業協同組合等が、都道府県等から一定の貸付けを受けて取得した中小企業集積の活性化に寄与する不動産等を、当該組合の組合員等に譲渡した場合における納税義務の免除措置を廃止します。
(47)農地保有合理化法人等が、土地改良法の規定による換地計画に基づき取得した創設農用地換地を、一定の期間内に譲渡した場合における不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(48)外国人留学生の寄宿舎の設置及び運営を主たる目的とする公益社団法人又は公益財団法人が取得する外国人留学生の寄宿舎の用に供する不動産に係る不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(49)農地法に規定する農業生産法人が、その組合員等となる資格を有する者からの現物出資により取得する農業及び農業関連事業の用に供する土地に係る不動産取得税の納税義務の免除措置を廃止します。
(50)日本環境安全事業株式会社が取得するPCB廃棄物処理事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、その適用期限を3年延長した上、廃止します。
(51)産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に規定する認定事業再構築計画等に従って譲渡される不動産に係る不動産取得税の減額措置について、対象となる計画類型を中小企業承継事業再生計画に限定した上、その適用期限を1年延長します。なお、平成23年3月31日までに事業再構築計画等の認定を受けた者等については、所要の経過措置を講じます。
(52)特定目的会社(SPC)が、資産流動化計画に基づき取得する一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、価格から控除する額を、当該不動産の価格の5分の3(現行3分の2)に相当する額とした上、その適用期限を2年延長します。
(53)信託会社等が投資信託により取得する一定の不動産及び投資法人が取得する一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、価格から控除する額を、当該不動産の価格の5分の3(現行3分の2)に相当する額とした上、その適用期限を2年延長します。
(54)農業協同組合等が、農業近代化資金等の貸付けを受けて取得する農林漁業経営の近代化又は合理化のための共同利用施設に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、2年間の適用期限を設けます。
(55)土地改良法の規定による換地計画に基づき、事業実施地区外の農業者が取得する創設農用地換地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、2年間の適用期限を設けます。
〈事業所税〉
(56)関西文化学術研究都市建設促進法に基づいて整備される文化学術研究施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置を廃止します。
(延長・拡充等)
〈固定資産税・都市計画税〉
①新潟県中越沖地震災害により滅失・損壊した家屋に代わるものとして一定の被災地域内で取得する家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置の適用期限を2年延長します。
②公益社団法人又は公益財団法人が所有する文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する家屋及び土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。
③密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得する一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長します。
④都市鉄道等利便増進法に規定する都市鉄道利便増進事業により、一定の第三セクター及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が取得する施設に対して、次の措置を講じます。
イ 駅施設の用に供する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。
ロ 線路設備等のうち市街化区域のトンネルに係る固定資産税の非課税措置の適用期限を2年延長します。
⑤地方公共団体に対し総合行政ネットワークを介して電子申請等の行政サービスを提供するために取得された一定の電気通信設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の3年間価格の4分の3(現行3分の2)とし、対象を資本金の額又は出資金の額が1億円以下の電気通信事業を営む者が取得する公共性を有する業務に資する電気通信システムを構成する一定の電気通信設備とした上、その適用期限を2年延長します。
⑥心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の支給を受けて取得した事業の用に供する家屋に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象に係る助成金を見直した上、その適用期限を2年延長します。
⑦高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく高齢者向け優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置について、対象を同法改正により新たに創設されるサービス付き高齢者向け住宅(仮称)とし、面積要件の下限を30㎡とした上、その適用期限を2年延長します。
⑧離島航路事業の用に供する船舶に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象船舶に係る適用要件を撤廃し、課税標準を価格の6分の1(現行最初の5年間価格の6分の1、その後の5年間価格の3分の1)とした上、その適用期限を撤廃します。
⑨離島路線に就航する航空機に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、30トン以上70トン未満の航空機の課税標準を最初の3年間価格の3分の1、その後の3年間価格の3分の2とし、30トン未満の航空機の課税標準を価格の4分の1(現行20トンを超え70トン未満の航空機の課税標準を最初の3年間価格の3分の1、その後の3年間価格の3分の2とし、20トン以下の航空機の課税標準を最初の3年間価格の4分の1、その後の3年間価格の2分の1)とします。
⑩鉄軌道事業者が政府の補助を受けて取得した一定の地域鉄道の保安度の向上のための設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の5年間価格の3分の1(現行2分の1)とした上、その適用期限を2年延長します。
〈不動産取得税〉
⑪預金保険法に規定する協定銀行が、協定の定めにより内閣総理大臣のあっせんを受けて行う破綻金融機関等の事業の譲受け又は預金保険機構の委託を受けて行う資産の買取りにより取得する不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長します。
⑫保険業法に規定する協定銀行が、協定の定めにより保険契約者保護機構の委託を受けて行う破綻保険会社等の資産の買取りにより取得する不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長します。
⑬公益社団法人又は公益財団法人が取得する文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。
⑭心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の支給を受けて取得した事業の用に供する家屋に係る不動産取得税の減額措置について、対象に係る助成金を見直した上、その適用期限を2年延長します。
⑮農業経営基盤強化促進法の規定による公告があった農用地利用集積計画に基づき取得する農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。
⑯都市再生特別措置法に規定する認定事業者が、民間都市再生事業計画に基づき取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、価格から控除する額を、同法の改正により創設される特定都市再生緊急整備地域(仮称)の区域内にある不動産にあっては当該不動産の価格の2分の1、その他の都市再生緊急整備地域の区域内にある不動産にあっては当該不動産の価格の5分の1に相当する額とした上、その適用期限を2年延長します。
〈事業所税〉
⑰特定農産加工業経営改善臨時措置法に基づく事業用施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。
(新設)
〈固定資産税・都市計画税〉
①港湾法の改正に伴い、同法に規定する国際コンテナ戦略港湾(仮称)及び一定の要件を満たす重要港湾の港湾経営会社(仮称)が国の無利子貸付又は補助を受けて取得した一定のコンテナ埠頭における荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税について、国際コンテナ戦略港湾(仮称)においては、課税標準を最初の10年間価格の2分の1とし、一定の重要港湾においては、課税標準を最初の10年間価格の3分の2とする措置を2年間講じます。
 なお、指定特定重要港湾において、特定国際コンテナ埠頭の整備を図るため、港湾管理者の認定を受けた運営者が、国の無利子貸付を受けて取得した荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、その適用期限を3年延長の上、廃止します。
②特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律における一定の基準適合表示の付された特定特殊自動車に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の5分の3とする措置を、同法に基づき、特定特殊自動車に対して、その定格出力ごとに定められる規制の開始までの期間(定格出力が130kW以上560kW未満のものについては、当該規制の開始後1年を経過するまでの期間)に限り講じます。
〈不動産取得税〉
③高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正に伴い、次のとおり特例措置を講じます。
イ 同法の改正の施行の日から平成25年3月31日までの間に取得された一定の要件を満たす新築のサービス付き高齢者向け住宅(仮称)について、その取得の日前に登録を受けたことを証する書類を添付して都道府県に申告がされた場合には、新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置(価格から1,200万円控除)について、床面積要件の下限を30㎡(本則40㎡)に緩和する特例措置を講じます。
ロ 同法の改正の施行の日から平成25年3月31日までの間に取得した土地の上に、一定の要件を満たすサービス付き高齢者向け住宅(仮称)が新築された場合において、当該住宅の取得の日前に登録を受けたことを証する書類を添付して都道府県に申告がされたときには、新築住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200㎡を限度)相当額の減額)について、床面積要件の下限を30㎡(本則40㎡)に緩和する特例措置を講じます。
(3)その他
〔国税〕
①経済実質的な観点等から社債と同視し得るものとして資産の流動化に関する法律に新たに位置づけられる特定の社債的受益権に係る信託について、当該信託の終了時点において信託財産が委託者によって買い戻される際の財産権の移転登記等に対する登録免許税を非課税とする措置を講じます。
②同一の債権を担保するために複数の不動産を目的として設定された抵当権の信託の登記等に対する登録免許税について、現行の取扱いを法令に規定します。
③技術研究組合がその事業の一部を独立させ、株式会社を設立(新設分割等)する場合等の登記について、新たに株式会社等を設立する場合と同様に登録免許税を課税します。
④総合特別区域法(仮称)の制定に伴い、独立行政法人中小企業基盤整備機構が作成する同法に規定する高度化事業に必要な資金の貸付け業務に関する文書について、印紙税を非課税とします。
⑤介護保険制度について、所要の法律改正を前提に、国民健康保険団体連合会が作成する新たな地域支援事業に係る費用の請求に関する審査及び支払の業務に関する文書について、印紙税を非課税とします。
⑥株式会社国際協力銀行(仮称)の設立に伴い、所要の法整備を前提に、承継する資産に係る登記等に対する登録免許税を非課税とする措置を講じるとともに、同銀行を登録免許税法別表第三(非課税登記等の表)及び印紙税法別表第二(非課税法人の表)に追加します。
⑦地方議会議員年金制度の廃止に伴い、所要の法律改正を前提に、地方議会議員共済会が受ける登記に係る登録免許税について、同制度の廃止後においても引き続き登録免許税法別表第三(非課税登記等の表)に掲げる登記とみなす経過措置を講じます。
⑧関西国際空港株式会社及び大阪国際空港の経営統合に伴い設立される事業会社について、所要の法整備を前提に、当該事業会社が受ける一定の設立の登記等に対する登録免許税を非課税とする措置を講じます。
⑨戦傷病者等の妻に対する特別給付金について、所要の法律改正を前提に、特別給付金に関する書類及び特別給付金国債を担保とする金銭の貸借に関する書類について、印紙税を非課税とします。
〔地方税〕
①地方議会議員共済会が所有し、かつ、使用する事務所及び倉庫に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、所要の法律改正を前提に、地方議会議員年金制度の廃止後も存続する地方議会議員共済会について、引き続き非課税措置を講じます。
②国有資産等所在市町村交付金法第2条第1項第2号の政令で定める共用飛行場として、対象に岩国飛行場を追加します。
③経済実質的な観点等から社債と同視し得るものとして資産の流動化に関する法律に新たに位置づけられる特定の社債的受益権に係る信託について、当該信託の終了時点において信託財産が委託者によって買い戻される際の不動産の取得に係る不動産取得税を非課税とする措置を講じます。
④株式会社国際協力銀行(仮称)の設立に伴い、所要の法整備を前提に、同銀行が株式会社日本政策金融公庫から承継する不動産又は自動車に係る不動産取得税又は自動車取得税を非課税とする措置を講じます。
⑤関西国際空港株式会社及び大阪国際空港の経営統合に伴い設立される事業会社について、所要の法整備を前提に、当該事業会社が関西国際空港株式会社等から承継する不動産又は自動車に係る不動産取得税又は自動車取得税を非課税とする措置を講じます。
⑥心身障害者を多数雇用する事業所に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、対象に係る助成金の見直しを行います。
⑦独立行政法人中小企業基盤整備機構法に規定する連携等又は中小企業の集積の活性化に寄与する事業を行う者が都道府県等から資金の貸付けを受けて設置する一定の施設に係る事業所税の非課税措置について、所要の法整備を前提に、市区町村から資金の貸付けを受けて設置する一定の施設を追加します。

4.法人課税
(1)法人税制
〔国税〕
①法人税の税率を次のとおり引き下げ、法人の平成23年4月1日以後に開始する事業年度について適用します。
 

現行

改正案

 

年800万円以下

 

年800万円以下

普通法人

30%

25.5%

中小法人

30%

22%
(18%)

25.5%

19%
(15%)

公益法人等、協同組合等(単体)及び特定の医療法人(単体)

22%

(18%)

19%

(15%

協同組合等(連結)及び特定の医療法人(連結)

23%

(19%)

20%

(16%)

特定の協同組合等の特例税率(年10億円超)

26%

22%

(注1)中小法人には、一般社団法人等及び人格のない社団等を含みます。
(注2)「現行」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する事業年度に適用されています。
(注3)「改正案」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用します。なお、中小法人、公益法人等、協同組合等及び特定の医療法人の平成23年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、経過措置として現行の租税特別措置法による税率を適用します。

②減価償却制度について、平成23年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した数(現行2.5倍した数)とします。なお、改定償却率及び保証率についても所要の整備を行います(所得税についても同様とします。)。
(注1)定率法を採用している法人が、平成23年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度において、同日からその事業年度終了の日までの期間内に減価償却資産の取得をした場合には、現行の償却率による定率法により償却することができる経過措置を講じます。なお、その減価償却資産を適格組織再編成により移転を受けた法人も同様とします。
(注2)現行の償却率による定率法を採用している減価償却資産について、平成23年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改正後の償却率に変更した場合においても当初の耐用年数で償却を終了することができる経過措置を講じます。

③欠損金の繰越控除制度等について、次のとおり見直しを行います。
イ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度及び青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の100分の80相当額とし、連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする連結事業年度のその繰越控除前の連結所得の金額の100分の80相当額とします。これに伴い、次の措置を講じます。
(イ) 中小法人等については、現行の控除限度額を存置します。
(注)中小法人等とは、次の法人をいいます。
 ①普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社等、相互会社等の100%子法人及び資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人を除きます。)
 ②公益法人等
 ③協同組合等
 ④人格のない社団等
(ロ) 特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係る受託法人及び特定投資信託に係る受託法人で、支払配当等の損金算入制度の適用対象となるものについては、現行の控除限度額を存置します。
(ハ) 会社更生等による債務免除等があった場合について現行どおり欠損金の損金算入ができるようにする等の所要の整備を行います。
(注1)上記の改正は、平成23年4月1日以後に開始する事業年度について適用します。
(注2)平成23年4月1日前に更生手続開始の決定、再生手続開始の決定を受けたこと等の事実が生じた法人(連結納税の場合には、連結親法人)については、その決定等の日から更生計画認可の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度については、経過措置として、現行の控除限度額を存置します。
ロ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を9年(現行7年)に延長します。これに伴い、次の措置を講じます。
(イ) 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度について、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存を適用要件とします。
(ロ) 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を9年(現行7年)に延長します。
(ハ) 法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を9年とします。
(注)上記(イ)及び(ロ)の改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用し、上記(ハ)の改正は、平成23年4月1日以後に法定申告期限が到来する法人税について適用します。

④貸倒引当金制度について、適用法人を銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定します。なお、これらの法人以外の法人の平成23年度から平成25年度までの間に開始する各事業年度については、現行法による損金算入限度額に対して、平成23年度は4分の3、平成24年度は4分の2、平成25年度は4分の1の引当てを認める等の経過措置を講じます。

⑤一般の寄附金の損金算入限度額について、資本金等の額の1,000分の2.5相当額と所得の金額の100分の2.5相当額との合計額の4分の1(現行2分の1)に、資本等を有しない法人の場合には所得の金額の100分の1.25(現行100分の2.5)相当額に、それぞれ引き下げます。なお、この改正に伴い、特定公益増進法人等に対する寄附金の別枠の損金算入限度額について、一般の寄附金の損金算入限度額の縮減額と同額の拡充を行います。

⑥その他
イ 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の導入に伴い、次の措置を講じます((イ)及び(ロ)については、所得税についても同様とします。)。
(イ) 陳腐化償却制度を廃止します。
(ロ) 耐用年数の短縮特例について、国税局長の承認を受けた未経過使用可能期間をもって耐用年数とみなすことにより、その承認後は未経過使用可能期間で償却できる制度とします。
(ハ) 確定申告書等の添付書類に過年度事項の修正の内容を記載した書類を追加します。
ロ 100%グループ内の法人に係る税制等について、その円滑な執行に向けて、次のとおり所要の見直しを行います。
(イ) 100%グループ内の他の内国法人が清算中である場合、解散が見込まれる場合又はそのグループ内で適格合併により解散することが見込まれる場合には、その株式について評価損を計上しないこととします。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行う評価換え等について適用します。
(ロ) 解散の場合の期限切れ欠損金の損金算入制度においてマイナスの資本金等の額を期限切れ欠損金と同様とするほか、連結納税制度における期限切れ欠損金の損金算入制度について所要の整備を行います。
(ハ) 適格合併等の場合の欠損金の制限措置等について、適用対象から被現物分配法人の自己株式の適格現物分配を除外します。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行われる適格現物分配について適用します。
(ニ) 外国法人が行う現物出資について、次の措置を講じます。
(a) 外国法人の日本支店等が内国法人に資産等の移転を行う現物出資に係る課税繰延べの要件について、事業継続要件及び株式管理要件を廃止します。
(b) 現物出資後に事業継続要件又は株式管理要件を満たさないこととなった場合に繰り延べた譲渡益に対して課税を行う取戻し課税を廃止します。
(c) 上記(a)及び(b)の改正に伴い、外国法人が内国法人に対して国外にある資産等の移転を行う現物出資を適格現物出資に該当しないこととする等の所要の整備を行います。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に行われる現物出資について適用します。なお、同日前に行われた現物出資について同日以後に事業継続要件又は株式管理要件を満たさないこととなった場合についても、取戻し課税を行わないこととします。
(ホ) 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度については、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人には適用しないこととします。
(a) 軽減税率
(b) 特定同族会社の特別税率の不適用
(c) 貸倒引当金の法定繰入率
(d) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
(e) 欠損金の繰戻しによる還付制度
(f)下 記(2)②及び③の措置
(注)大法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等をいいます。
(ヘ) その他所要の措置を講じます。
ハ 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の改正を前提に、同法に規定する公共施設等運営事業権(仮称)を法人税法上の減価償却資産(無形固定資産)とし、その耐用年数を事業権登録簿(仮称)に記載された存続期間とします(所得税についても同様とします。)。
ニ 棚卸資産の評価について、切放し低価法を廃止します。なお、平成23年4月1日以後に開始する各事業年度においては、同日以後最初に開始する事業年度の前事業年度末の評価額をもって取得価額とする経過措置を講じます。
ホ 法人税の中間納付制度について、仮決算による中間税額が前事業年度の確定法人税額の12分の6を超える場合には、仮決算による中間申告書を提出できないこととします。
〔地方税〕
①国税と地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げるため、法人税の基本税率の引下げに伴い、法人住民税率を維持することとし、法人住民税の実効税率を0.87%引き下げます。
②法人実効税率の引下げによる都道府県と市町村の法人関係税の増減収を調整するため、平成24年度から道府県たばこ税の一部を市町村たばこ税に移譲します。
③その他
イ 法人住民税及び法人事業税について、100%グループ内の法人に係る税制等に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講じます。
ロ 法人住民税及び法人事業税について、中間納付制度に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講じます。
ハ 法人住民税及び法人事業税について、欠損金の繰越控除制度等に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講じます。
ニ 国税における諸制度の取扱いを踏まえ、その他所要の措置を講じます。

(2)中小企業税制
〔国税〕
①中小法人の軽減税率について、特例による税率を15%(現行18%)に引き下げた上、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度について適用するとともに、本則税率を19%(現行22%)に引き下げます。(再掲)
(注)平成23年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、経過措置として現行の租税特別措置法による税率を適用します。
②青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、中小法人等については、現行の控除限度額を存置します。(再掲)
③中小法人等については、貸倒引当金制度を存置します。(再掲)
④資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度については、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人には適用しないこととします。(再掲)
イ 軽減税率
ロ 特定同族会社の特別税率の不適用
ハ 貸倒引当金の法定繰入率
ニ 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
ホ 欠損金の繰戻しによる還付制度
ヘ 上記②及び③の措置
(注)大法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等をいいます。
⑤中小企業者で青色申告書を提出する法人のうち電気通信事業を営むものが、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律の施行の日から平成25年3月31日までの間に、電気通信基盤充実臨時措置法の認定計画に基づき、条件不利地域内にある公共施設に設置する公共アプリケーションサービスを提供するための一定の設備の取得等をした場合には、その取得価額の15%の特別償却ができる措置を講じます。
⑥中小企業者等で青色申告書を提出する法人のうち特定農産加工業経営改善臨時措置法の特定農産加工業者に該当するものが、平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に、承認を受けた経営改善措置に関する計画に定める機械及び装置の取得等をした場合には、その取得価額の30%の特別償却ができる措置を講じます(所得税についても同様とします。)。

(3)雇用促進税制
〔国税〕
(新設)
①青色申告書を提出する法人で公共職業安定所の長に雇用促進計画の届出を行ったものが、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当該事業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末に比して10%以上、かつ、5人以上(中小企業者等については、2人以上)増加したこと等の公共職業安定所の長の確認を受けた場合には、一定の要件の下、当該事業年度の法人税額から、増加した雇用保険一般被保険者の数に20万円を乗じた金額を控除できる措置を講じます。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)を限度とします(所得税についても同様とします。)。
②平成23年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に、青色申告書を提出する法人で次世代育成支援対策推進法の認定を受けたものが、当該認定の日を含む事業年度終了の日において有する建物等で事業の用に供したもののうち、当該認定の日を含む事業年度及び当該認定に係る一般事業主行動計画の期間内に新築をし、又は増築若しくは改築をしたものについて、当該認定の日を含む事業年度において普通償却限度額の32%の割増償却ができる措置を講じます(所得税についても同様とします。)。
(延長・拡充)
①障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度について、適用要件に法定雇用率を達成している場合で雇用障害者数が20人以上であり、かつ、雇用障害者に占める重度障害者の割合が50%以上であることを追加した上、その適用期限を3年延長します(所得税についても同様とします。)。
〔地方税〕
(新設)
①公共職業安定所の長に雇用促進計画の届出を行った中小企業者等が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当該事業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末に比して10%以上、かつ、2人以上増加したこと等の公共職業安定所の長の確認を受けた場合には、一定の要件の下、当該事業年度の法人税額から、増加した雇用保険一般被保険者の数に20万円を乗じた金額を控除できる措置を法人住民税に適用します。

(4)環境関連投資促進税制
〔国税〕
(新設)
①青色申告書を提出する法人が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に、エネルギー起源CO2排出削減又は再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等の取得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の30%の特別償却(中小企業者等については、取得価額の7%の税額控除との選択適用)ができる措置を講じます。ただし、税額控除額については当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しができることとします(所得税についても同様とします。)。
〔地方税〕
(新設)
①中小企業者等が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に、エネルギー起源CO2排出削減又は再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等の取得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合に、選択適用できることとされた取得価額の7%の法人税の税額控除を法人住民税に適用します。

(5)総合特区制度・アジア拠点化推進のための税制
〔国税〕
(新設)
①総合特区制度の創設に伴い、次の国際戦略総合特別区域(仮称。以下同じです。)に係る措置を講じます。
イ 国際戦略総合特別区域内において、青色申告書を提出する法人で認定を受けた地方公共団体の指定を受けたものが、認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された事業を行うために一定の規模以上の設備等の取得等をしてその事業の用に供した場合には、その取得価額の50%(建物等については、25%)の特別償却又は15%(建物等については、8%)の税額控除のいずれかの選択適用ができることとします。ただし、税額控除額については当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しができることとします。
(注)上記の改正は、総合特別区域法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間に指定を受けた法人のその期間内に取得等をする設備等について適用します。
ロ 国際戦略総合特別区域内において、青色申告書を提出する法人で認定を受けた地方公共団体の指定を受けたもの(当該区域内において設立された法人又は当該区域内に本店若しくは主たる事務所を有する法人のうち一定の規模以上の設備等の取得等をしたものに限ります。)が、専ら認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された規制等の特例措置の適用を受ける事業等を行う場合には、当該指定の日から5年間、当該事業に係る所得の金額の20%の所得控除ができることとします。
 なお、この措置の適用を受けることができる国際戦略総合特別区域の指定数は少数に限定するものとし、この措置の適用を受ける事業年度においては、上記イの国際戦略総合特別区域に係る特別償却又は税額控除は適用しないこととします。
(注)上記の改正は、総合特別区域法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間に指定を受けた法人のその指定を受けた日から5年を経過する日までの期間内に終了する各事業年度について適用します。

②アジア拠点化を推進するための制度の創設に伴い、青色申告書を提出する法人である特定外国法人等設立会社(仮称)で、専ら、研究開発事業又は国際的統括事業を行うものが、主務大臣の研究開発事業計画(仮称)又は国際的統括事業計画(仮称)の認定を受けた場合には、これらの事業計画の認定の日から5年間、当該事業に係る所得の金額の20%の所得控除ができる措置を講じます。
なお、研究開発事業を行う法人がこの措置の適用を受ける事業年度においては、試験研究を行った場合の法人税額の特別控除は適用しないこととします。
(注)上記の改正は、特定外国法人による研究開発事業等の促進に関する特別措置法(仮称)の施行の日から平成26年3月31日までの間に認定を受けた法人のその認定を受けた日から5年を経過する日までの期間内に終了する各事業年度について適用します。
〔地方税〕
(新設)
①総合特区制度の創設に伴い、次の措置を講じます。
イ 国際戦略総合特別区域内において、認定を受けた地方公共団体の指定を受けた法人が、認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された事業を行うために一定の規模以上の設備等の取得等をしてその事業の用に供した場合に選択適用できることとされた法人税の特別償却について、法人住民税及び法人事業税に反映する措置を講じます。
ロ 国際戦略総合特別区域内において、認定を受けた地方公共団体の指定を受けた法人(当該区域内において設立された法人又は当該区域内に本店若しくは主たる事務所を有する法人のうち一定の規模以上の設備等の取得等をしたものに限ります。)が、専ら認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された規制等の特例措置の適用を受ける事業等を行う場合に、当該指定の日から5年間、できることとされる法人税の所得控除について、法人住民税及び法人事業税に反映する措置を講じます。
②アジア拠点化を推進するための制度の創設に伴い、特定外国法人等設立会社(仮称)で、専ら、研究開発事業又は国際的統括事業を行うものが、主務大臣の研究開発事業計画(仮称)又は国際的統括事業計画(仮称)の認定を受けた場合に、これらの事業計画の認定の日から5年間、できることとされる法人税の所得控除について、法人住民税及び法人事業税に反映する措置を講じます。

(6)その他の租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
①試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。
②エネルギー需給構造改革推進投資促進税制を廃止します(所得税についても同様とします。)。
③中小企業等基盤強化税制について、適用期限の到来をもって廃止します。なお、本制度の廃止に伴い、中小企業投資促進税制の対象から除外されているソフトウエアの範囲について所要の見直しを行います(所得税についても同様とします。)。
④公害防止用設備の特別償却制度について、特別償却率を8%(現行14%)に引き下げるとともに、対象設備のうち指定物質回収設備を中小企業者等が新増設をする指定物質の回収の用に供される装置を含むドライクリーニング機等に見直した上、その適用期限を1年延長します(所得税についても同様とします。)。
⑤船舶の特別償却制度について、環境への負荷の低減に係る要件を見直すとともに、経営の合理化に著しく資する外航船舶のうち日本船舶以外のものに係る特別償却率を16%(現行18%)に引き下げた上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
⑥関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、機械装置に係る特別償却率を12%(現行16%)に、建物等に係る特別償却率を6%(現行8%)に、それぞれ引き下げた上、その適用期限を2年延長します。
⑦地震防災対策用資産の特別償却制度について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。
⑧集積区域における集積産業用資産の特別償却制度について、対象資産の取得価額の合計額のうち本制度の対象となる金額は50億円(農林漁業関連業種に属する事業の用に供する資産については、30億円)を限度とした上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
⑨事業革新設備等の特別償却制度について、所要の経過措置を講じた上、廃止します(所得税についても同様とします。)。
⑩共同利用施設の特別償却制度について、特別償却率を6%(現行8%)に引き下げた上、その適用期限を1年延長します。なお、本制度のあり方については、検討事項に明記します。
⑪新用途米穀加工品等製造設備の特別償却制度について、対象設備の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
⑫特定地域における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しを行います(所得税についても同様とします。)。
イ 半島振興対策実施地域に係る措置について、対象事業に農林水産物等販売業を追加し、過疎地域に類する地区の対象事業から旅館業を除外した上、その適用期限を2年延長します。
ロ 過疎地域に係る措置の適用期限を2年延長します。
ハ 離島振興対策実施地域に係る措置について、対象事業につき情報サービス業等を追加し、農林水産物等販売業を除外するほか、過疎地域に類する地区の要件を見直した上、離島振興対策実施地域に係る措置及び離島振興対策実施地域のうち過疎地域に類する地区に係る措置の適用期限を2年延長します。
ニ 奄美群島に係る措置について、過疎地域に類する地区の対象事業から旅館業を除外した上、その適用期限を2年延長します。
ホ 振興山村に係る措置について、対象事業からソフトウエア業を除外した上、その適用期限を2年延長します。
⑬医療用機器等の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
イ 高度・先進医療の提供に資する医療用機器に係る措置について、対象機器の範囲から心電図及び顕微鏡を除外し、特別償却率を12%(現行14%)に引き下げます。
ロ 医療の安全の確保に資する医療用機器に係る措置について、対象機器の範囲から、生体情報モニタ連動ナースコール制御機、注射薬自動払出機、医療情報読取照合装置及び特殊寝台を除外し、特別償却率を16%(現行20%)に引き下げます。ハ新型インフルエンザ対策に資する医療用機器に係る措置、特定増改築施設に係る措置及び建替え病院用等建物に係る措置を除外します。
⑭障害者対応設備等の特別償却制度について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。
⑮事業所内託児施設等の割増償却制度について、適用期限の到来をもって廃止します。
⑯高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却制度について、所要の法律改正を前提に、対象となる住宅を賃貸の用に供する登録を受けたサービス付き高齢者向け住宅(仮称)とするとともに、割増償却の対象部分を各独立部分に限定し、戸数、床面積、補助金受給等に関する要件を見直すほか、割増償却率を28%(耐用年数が35年以上であるものについては、40%)とした上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
⑰特定再開発建築物等の割増償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
イ 都市再開発法の施設建築物に係る措置について、対象建築物を地上階数4以上の中高層の耐火建築物である施設建築物に限定します。
ロ 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、事業区域内における一定規模以上の建築物整備要件の見直しを行います。
ハ 都市再生特別措置法の認定整備事業計画に基づく都市再生整備事業により整備される建築物に係る措置を除外します。
ニ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の認定計画に係る特別特定建築物に係る措置について、対象建築物から床面積が50,000㎡以上の建築物を除外します。
ホ 雨水貯留浸透施設に係る措置について、浸透性舗装に係る面積要件を5,000㎡以上(現行3,000㎡以上)に引き上げます。
⑱倉庫用建物等の割増償却制度について、対象区域につき鉄道貨物駅の周辺区域を除外するとともに、臨港地区の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
⑲植林費の損金算入の特例について、適用期限の到来をもって廃止します。
⑳岩石採取場及び露天石炭採掘場に係る特定災害防止準備金制度について、所要の経過措置を講じた上、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。
(21)特別修繕準備金制度について、対象となる特別の修繕の範囲から、銑鉄製造用の溶鉱炉及び熱風炉並びにガラス製造用の連続式溶解炉のれんがの過半を取り替えるための修繕、ガスホルダーの定期的検査を受けるための修繕並びに貯油槽の定期的検査又は点検を受けるための修繕を除外します。なお、これらの修繕に係る準備金として積み立てられた金額については、原則として4年間(中小企業者については、10年間)の均等取崩しによる経過措置を講じます(所得税についても同様とします。)。
(22)公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金の特例について、割増率を12%(現行16%)に引き下げた上、その適用期限を3年延長します。
(23)商工組合等の留保所得の特別控除制度について、適用期限の到来をもって廃止します。
(24)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を3年延長します(所得税についても同様とします。)。
イ 既成市街地等の内から外への買換えについて、買換資産の対象区域を3大都市圏の近郊整備地帯等及び政令指定都市の市街化区域に限定するとともに、譲渡資産から店舗を除外します。
ロ 都市開発区域等及び誘致区域の外から内への買換えについて、対象区域から半島振興対策実施地域及び離島振興対策実施地域を除外するほか、買換資産の都市開発区域内における対象区域を市街化区域等に限定するとともに、既成市街地等内からの譲渡資産を事務所用等の建物等に限定します。
ハ 船舶から船舶への買換えについて、環境への負荷の低減に係る要件を見直すほか、買い換えた船舶の船齢が譲渡した船舶の船齢を下回っていることを要件に追加します。
ニ 次の買換えを適用対象から除外します。
(イ) 大気汚染規制区域の内から外へのばい煙発生施設の買換え
(ロ) 騒音規制地域の内から外への騒音発生施設の買換え
(ハ) 水質汚濁規制水域の特定施設等及び公共用水域の湖沼特定施設等の買換え
(ニ) 市街化区域又は既成市街地等の内から外への林業用土地等の買換え
(ホ) 誘致区域の外から内への買換えのうち、流通業務市街地の整備に関する法律の流通業務地区に係る措置、中小企業高度化事業により整備される区域に係る措置、港湾法の臨港地区等に係る措置、卸売市場法の都道府県卸売市場整備計画において近代的な地方卸売市場を開設すべき地区として定められた区域に係る措置、農業振興地域の整備に関する法律の農業振興地域整備計画において農用地区域として定められている区域に係る措置、沖縄県の区域のうち農業振興地域における農用地等の区域に係る措置、国又は都道府県が行う土地改良法の土地改良事業により造成された埋立地又は干拓地の区域に係る措置及び中心市街地の活性化に関する法律の認定中心市街地の区域に係る措置
(ヘ) 農村地域工業等導入促進法の農村地域及び誘致区域の外から同法の実施計画において定められた工業等導入地区内への買換え
(ト) 既成市街地等内における土地の計画的かつ効率的な利用に資する買換えのうち都市再開発法の認定再開発事業計画に係る措置
(チ) 市街化区域又は既成市街地等の地域内の建物の高層化に伴う買換え
(リ) 特定民間再開発事業の施行による中高層耐火建築物への買換え
(ヌ) 人口集中地区の区域内の木造貸家住宅から中高層貸家住宅への買換え
(ル) 防災再開発促進地区内における認定建替計画による買換え
(ヲ) 内航船舶から他の減価償却資産への買換え
(25)技術研究組合の所得計算の特例について、対象資産から土地及び建物等を除外した上、その適用期限を2年延長します。
(26)農林中央金庫の合併等に係る課税の特例について、適用対象から共済事業を行う消費生活協同組合等の共同現物出資に係る措置を除外します。
(延長・拡充等)
①法人税率の特例(中小企業者等の軽減税率の特例を含みます。)については、上記(1)及び(2)参照
②中小企業者等で青色申告書を提出する法人のうち特定農産加工業経営改善臨時措置法の特定農産加工業者に該当するものが、平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に、承認を受けた経営改善措置に関する計画に定める機械装置の取得等をした場合には、その取得価額の30%の特別償却ができる措置を講じます(所得税についても同様とします。)。(再掲)
③農業経営基盤強化準備金制度について、予算措置を前提に、対象となる交付金等を見直した上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。
④特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例について、予算措置を前提に、対象となる負担金に生産者が納付する独立行政法人農畜産業振興機構に対する豚肉の価格の低下による損失を補てんするための基金に充てるための負担金を追加します(所得税についても同様とします。)。
⑤特定目的会社に係る課税の特例、投資法人に係る課税の特例、特定目的信託に係る受託法人の課税の特例及び特定投資信託に係る受託法人の課税の特例について、次の見直しを行います。
イ 金融商品取引法の適格機関投資家制度の見直しに伴い、機関投資家の範囲に海外年金基金(届出時における純資産額が100億円以上であるものとして金融庁長官に届出を行ったものに限ります。)を追加します。
ロ 所要の法令改正を前提に、機関投資家である民間都市開発推進機構が行う業務に都市再生整備事業支援業務等を追加します。
ハ 投資法人に係る課税の特例における導管性要件について、投資口に係る国内募集割合を50%超とする要件における判定を、発行をする投資口ごとから発行をした投資口の合計で行うこととする見直しを行います。これに併せて、特定目的会社に係る課税の特例及び特定目的信託に係る課税の特例における導管性要件について、優先出資及び受益権に係る国内募集割合を50%超とする要件における判定方法を明確化します。
ニ 特定目的信託に係る受託法人の課税の特例における導管性要件について、所要の法律改正を前提に、国内募集割合を50%超とする要件の対象から社債的受益権を除外する等の所要の措置を講じます。
⑥退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限を3年延長します。
(新設)
①中小企業者で青色申告書を提出する法人のうち電気通信事業を営むものが、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律の施行の日から平成25年3月31日までの間に、電気通信基盤充実臨時措置法の認定計画に基づき、条件不利地域内にある公共施設に設置する公共アプリケーションサービスを提供するための一定の設備の取得等をした場合には、その取得価額の15%の特別償却ができる措置を講じます。(再掲)
〔地方税〕
(廃止・縮減等)
①法人住民税について試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例について、適用期限の到来をもって廃止します。
②法人住民税についてエネルギー需給構造改革推進投資税制を廃止します。
③法人住民税について中小企業等基盤強化税制を適用期限の到来をもって廃止します。
④商工組合等の留保所得の特別控除制度が適用期限の到来をもって廃止されることに伴い所要の措置を講じます。
(延長・拡充等)
①電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、他の電気供給業を行う法人から託送供給を受けて電気の供給を行う場合の当該供給に係る収入金額のうち、電気事業法に規定する特定規模需要に応ずる電気の供給に係る託送供給の料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を3年延長します。

(7)その他
〔国税〕
①株式会社国際協力銀行法(仮称)の制定を前提に、株式会社国際協力銀行(仮称)を法人税法別表第一(公共法人の表)に追加します。
②独立行政法人雇用・能力開発機構について、所要の法律改正を前提に、同機構の廃止に伴う勤労者財産形成業務の移管等に係る所要の措置を講じます。
③地方議会議員年金制度の廃止に伴い、所要の法律改正を前提に、地方議会議員共済会について、同制度の廃止後においても引き続き法人税法別表第二(公益法人等の表)に掲げる法人とみなす経過措置を講じます。
④収益事業から除外する措置について、次のとおり措置を講じます。
イ 所要の法整備を前提に、独立行政法人中小企業基盤整備機構が市区町村に対して行う金銭貸付業を追加します。
ロ 所要の法令改正を前提に、小規模企業者等設備導入資金助成法に規定する貸与機関が行う設備貸与事業及び設備資金貸付事業を引き続き物品販売業、金銭貸付業及び物品貸付業の範囲から除外します。
⑤国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、予算措置を前提に、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で高効率ノンフロン型空調機器技術の開発事業(仮称)等に係るものを追加します。
⑥北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の経営の自立等の推進に係る所要の税制上の措置について、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金の取扱いが決定し、税制上の措置が必要となる場合には、所要の措置を講じます。
〔地方税〕
①株式会社国際協力銀行法(仮称)の制定を前提に、株式会社国際協力銀行(仮称)について、非課税措置等の所要の措置を講じます。
②地方議会議員年金制度の廃止に伴い、所要の法律改正を前提に、地方議会議員共済会について、同制度の廃止後においても引き続き収益事業に係るもの以外のものに対して非課税とする経過措置を講じます。
③少額短期保険業に係る法人事業税について、収入金額の2分の1に相当する金額を収入金額から控除する課税標準の特例措置を廃止することとし、少額短期保険業の課税標準である収入金額は、各事業年度の正味収入保険料に生命保険等に係るものは100分の16、損害保険に係るものは100分の26を乗じて得た金額とする措置を地方税法本則において講じます。

5.消費課税
(1)地球温暖化対策のための税
①石油石炭税に、「地球温暖化対策のための課税の特例」を設け、CO2排出量に応じた税率を上乗せします。
②「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せする税率は、原油及び石油製品については1キロリットル当たり760円、ガス状炭化水素は1トン当たり780円、石炭は1トン当たり670円とします。その結果、上乗せ分を合わせた石油石炭税の税率は、次のとおりになります。
原油・石油製品
ガス状炭化水素
石炭
〔1kl当たり〕
〔1t当たり〕
〔1t当たり〕
現行
2,040円
1,080円
700円
改正案
2,800円
1,860円
1,370円
③上記の改正は平成23年10月1日から実施することとし、次のとおり所要の経過措置を講じます。
原油・石油製品
ガス状炭化水素
石炭
〔1kl当たり〕
〔1t当たり〕
〔1t当たり〕
現行
2,040円
1,080円
700円
平成23年10月1日
2,290円
1,340円
920円
平成25年4月1日
2,540円
1,600円
1,140円
平成27年4月1日
2,800円
1,860円
1,370円
④現行石油石炭税に係る免税・還付措置が設けられている次のイからホについては、「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せされる税率についても、免税・還付措置が適用されます。
イ 輸入・国産石油化学製品製造用揮発油等
ロ 輸入特定石炭
ハ 沖縄発電用特定石炭
ニ 輸入・国産農林漁業用A重油
ホ 国産石油アスファルト等
⑤次のイからニについては、「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せされる税率についてのみ、平成25年3月31日までの間、免税・還付措置を設けることとします。
イ 苛性ソーダ製造業において苛性ソーダ製造用電力の自家発電に利用される輸入石炭
ロ 内航運送用船舶、一定の旅客定期航路用船舶に利用される重油及び軽油
ハ 鉄道事業に利用される軽油
ニ 国内定期運送事業用航空機に積み込まれる航空機燃料
⑥その他所要の措置を講じます。

(2)租税特別措置等
〔国税〕
(延長・拡充等)
①入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を1年延長します。
②入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長します。
③バイオエタノール等揮発油に係る揮発油税及び地方揮発油税の課税標準の特例措置の対象に、特定の未納税移出先からの移出を追加します。
④ゴムの溶剤用等の特定の用途に供される揮発油に係る揮発油税及び地方揮発油税の免税措置について、その適用期限を撤廃します。
⑤輸入・国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税・還付措置の適用期限を1年延長します。
⑥輸入特定石炭に係る石油石炭税の免税措置の適用期限を2年延長します。
⑦国産石油アスファルト等に係る石油石炭税の還付措置の適用期限を2年延長します。
⑧航空機燃料税の税率を、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間、1キロリットル当たり18,000円(現行:26,000円)とします。
⑨沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率を、平成23年4月1日から平成24年3月31日(現行の沖縄振興特別措置法の期限到来時)までの間、1キロリットル当たり9,000円(現行:13,000円)とします。
⑩特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率を、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間、1キロリットル当たり13,500円(現行:19,500円)とします。
〔地方税〕
(延長・拡充等)
〈自動車取得税〉
①過疎地域等における地域公共交通確保維持のための自動車取得税の非課税措置について、都道府県の条例で定める路線の運行の用に供する一般乗合用のバスの取得を非課税とする措置に改めます。〈航空機燃料譲与税〉
②航空機燃料譲与税の譲与割合を、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間、9分の2(現行:13分の2)とします。

(3)その他
〔国税〕
①消費税の事業者免税点制度における免税事業者の要件について、次の見直しを行います。
イ 個人事業者のその年又は法人のその事業年度につき現行制度において事業者免税点制度の適用を受ける事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1千万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用しないこととします。
(イ) 個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高
(ロ) 法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く。)開始の日から6月間の課税売上高
(ハ) 法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年内に開始した前々事業年度があるときは、当該前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(当該前々事業年度が5月以下の場合には、当該前々事業年度の課税売上高)
ロ イの適用に当たっては、事業者は、イの課税売上高の金額に代えて所得税法に規定する給与等の支払額の金額を用いることができることとします。
ハ イに該当することとなった場合にはその旨の届出書を提出することとする等の所要の措置を講じます。(注)上記の改正は、上記のその年又はその事業年度が平成24年10月1日以後に開始するものについて適用します。
②課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できる消費税の制度については、その課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)以下の事業者に限り適用することとします。
(注)上記の改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用します。
③民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の改正を前提に、同法に規定する公共施設等運営事業権(仮称)を消費税法上の調整対象固定資産(無形固定資産)とします。
④株式会社国際協力銀行法(仮称)の制定を前提に、株式会社国際協力銀行(仮称)を消費税法別表第三に追加します。
⑤地方議会議員年金制度の廃止に伴い、所要の法律改正を前提に、地方議会議員共済会について、同制度の廃止後においても引き続き消費税法別表第三に掲げる法人とみなす経過措置を講じます。
⑥消費税の還付申告書(仕入控除税額の控除不足額の記載のあるものに限ります。)を提出する事業者に対し任意に提出を依頼している「仕入税額控除に関する明細書」について、還付申告書への添付を義務付けた上、その記載事項の見直しを行います。
(注)上記の改正は、平成24年4月1日以後に提出する還付申告書について適用します。
⑦消費税の輸出物品販売場制度について、外国人旅行者が土産物等を免税で購入する際に作成される購入記録票等の書式の見直しを行います。

6.市民公益税制
〔国税〕
(1)所得税の税額控除制度の導入
 認定特定非営利活動法人(以下「認定NPO法人」といいます。)及び公益社団法人等への寄附について、次のとおり、税額控除制度を導入します。
①認定NPO法人に寄附をした場合の所得税額の特別控除
 個人が、各年において支出した認定NPO法人に対する寄附金(総所得金額等の40%相当額を限度)で、その寄附金の額が2,000円を超える場合には、所得控除との選択により、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額を限度)をその者のその年分の所得税額から控除します。
(注1)税額控除限度額(所得税額の25%相当額)は、公益社団法人等寄附金税額控除と合わせて判定します(政党等寄附金税額控除の税額控除限度額は別枠で判定します。)。
 控除対象寄附金額(総所得金額等の40%相当額)及び控除適用下限額(2,000円)は、現行の寄附金控除(所得控除)並びに政党等寄附金税額控除及び公益社団法人等寄附金税額控除の寄附金と合わせて判定します。
(注2)個人が、その年分の寄附金につき、上記の税額控除の適用を受けようとするときは、当該寄附金の明細書並びに当該寄附金を受領した旨、当該寄附金が当該認定NPO法人の主たる目的である業務に関連する寄附金である旨、当該寄附金の額及びその受領した年月日を証する書類を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示しなければならないこととします。
(注3)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。
②公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除
 個人が、各年において支出した公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人又は更生保護法人(現行の寄附金控除(所得控除)の対象となっている法人に限ります。)のうち、次に掲げる要件を満たすもの(以下「税額控除対象法人」といいます。)に対する寄附金(総所得金額等の40%相当額を限度)で、その寄附金の額が2,000円を超える場合には、所得控除との選択により、その超える金額の40%相当額(所得税額の25%相当額を限度)をその者のその年分の所得税額から控除します。
イ 認定NPO法人の認定要件であるパブリック・サポート・テスト(以下「PST」といいます。)と同様の要件(下記(2)①イの新たに導入される絶対数により判定する方式を含みます。)
ロ 認定NPO法人の認定要件と同程度の情報公開に関する要件
(注1)税額控除限度額(所得税額の25%相当額)、控除対象寄附金額(総所得金額等の40%相当額)及び控除適用下限額(2,000円)は、上記①(注1)に準じた方法で判定します。
(注2)個人が、その年分の寄附金につき、上記の税額控除の適用を受けようとするときは、当該寄附金の明細書及び次の書類を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示しなければならないこととします。
 ①当該寄附金を受領した旨、当該寄附金が当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金である旨、当該寄附金の額及びその受領した年月日を証する書類
 ②所轄庁の当該法人が税額控除対象法人であることを証する書類の写し
(注3)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。

(2)認定NPO法人制度の見直し
①認定要件について、次の見直しを行います。
イ PST要件について、現行の判定方式との選択制で、絶対数により判定する方式を導入します。絶対数の具体的水準については、「各事業年度中の寄附金の額が3,000円以上である寄附者の数の実績判定期間内の合計数が年平均100人以上であること」とします。
(注)寄附者の数は、寄附者本人と生計を一にする者を含めて一人として判定し、その役員である寄附者を除きます。なお、寄附者が不明な寄附金は対象外とします。
ロ 都道府県又は市区町村が、その域内に事務所を有する特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)のうち、条例において個人住民税の寄附金税額控除の対象として個別に指定したものは、PST要件を満たすものとします。また、このNPO法人は、「実績判定期間における共益的活動割合が50%未満であること」の要件について、その対象となる共益的活動から「便益の及ぶ者が地縁に基づく地域に居住する者等である活動」を除いて判定することとします。
ハ その他
(イ) PST要件における総収入金額のうちに寄附金等収入金額の占める割合の特例を廃止し、その割合を3分の1以上とする基準を5分の1以上とします。
(ロ) PST要件に係る小規模法人の特例(簡易な計算式で判定を行うことができる措置)について、適用期限の定めのない措置とします。
(ハ) 初回の認定申請におけるPST要件等の実績判定期間を2年(現行5年又は経過措置として2年)とします。
②認定NPO法人の認定が取り消された場合には、その取消しの原因となった事実が生じた日を含む事業年度以後の各事業年度のみなし寄附金の額(収益事業に属する資産のうちから収益事業以外の事業のために支出した金額)の損金算入額の合計額について、その取消しの日を含む事業年度において取戻し課税を行うこととします。
(注)平成23年4月1日以後に開始する事業年度に損金算入するみなし寄附金について適用します。
③その他所要の措置を講じます。
〔地方税〕
(1)個人住民税の控除対象寄附金の拡大
 認定NPO法人以外のNPO法人への寄附金であっても、都道府県又は市区町村が条例において個別に指定することにより、個人住民税の寄附金税額控除の対象とすることができるよう、以下の措置を講じます。
①寄附金税額控除の適用対象に、認定NPO法人以外のNPO法人に対する寄附金(特別の利益が寄附者に及ぶと認められるものを除きます。)のうち、住民の福祉の増進に寄与する寄附金として都道府県又は市区町村が条例において指定したもの(以下「適用対象寄附金」といいます。)を追加します。この場合、都道府県が条例において指定した適用対象寄附金に係る控除額については道府県民税から、市区町村が条例において指定した適用対象寄附金に係る控除額については市町村民税からそれぞれ控除することとします。
②都道府県及び市区町村は、上記①の条例において、適用対象寄附金の募集を行うNPO法人の名称及び主たる事務所の所在地を明らかにしなければならないこととします。
③申告手続については、市区町村に申告書を提出することにより行うこととします。
④都道府県及び市区町村は、NPO法人に対し、条例における指定又はその取消し等の事務を行うために必要な調査ができることとします。
⑤適用対象寄附金を募集するNPO法人は、各事業年度における寄附者名簿を作成し、5年間保存しなければならないこととします。
⑥その他所要の措置を講じます。
(注)上記①及び③の改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用します。

(2)都道府県及び市区町村によるNPO法人等支援(「ふるさと寄附金」の活用)
 個人が特定のNPO法人等へ助成することを希望した都道府県又は市区町村に対する寄附金については、原則として「ふるさと寄附金」に該当することとします。ただし、個人が特定のNPO法人等へ助成することを条件とし、当該条件が履行されない場合には返還義務の生ずるもの(負担付き寄附)を除くこととします(この場合、所得税も同様の取扱いとします。)。
 また、この取扱いについて、都道府県及び市区町村に対する周知を行います。

(3)個人住民税の寄附金税額控除の適用下限額の引下げ
 寄附金税額控除の適用下限額を2千円(現行5千円)に引き下げます。
(注)上記の改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用します。

7.国際課税
(1)外国税額控除制度の見直し
①外国税額控除制度の適正化を図る観点から、次の見直しを行います。
イ 外国税額控除の対象から除外される高率な外国法人税の水準を、35%超(現行50%超)に引き下げます。
ロ 控除限度額の計算の基礎となる国外所得から非課税国外所得の全額(現行3分の2)を除外します。ただし、経過措置として、2年間は非課税国外所得の6分の5を除外します。
ハ 控除限度額の計算の基礎となる国外所得の90%制限に係る特例は、廃止します。
②複数の税率の中から納税者と税務当局等との合意により税率が決定される税について、最も低い税率を上回る部分は、外国税額控除制度及び内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等の適用上、外国法人税及び外国所得税に該当しないものとします。
(注)上記の改正は、平成23年4月1日以後に納付することとなる外国法人税及び外国所得税について適用します。
③控除限度額の計算について、租税条約の規定により条約相手国等において租税を課することができるとされる所得(租税条約の規定において控除限度額の計算に当たって考慮しないものとされる所得を除きます。)で当該条約相手国等において外国法人税又は外国所得税を課されるものは、国外所得に該当するものとします。

(2)移転価格税制の見直し
 OECD移転価格ガイドラインの改定等に伴い、国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる移転価格税制)について、次の見直しを行います。
①独立企業間価格の算定方法の適用順位の見直し
 現行の独立企業間価格の算定方法の適用優先順位を廃止し、独立企業間価格を算定するために最適な方法を事案に応じて選択する仕組みに改正します。
 なお、上記の改正に伴い、その円滑な施行に資するよう運用の明確化を図るとともに、独立企業間価格の算定方法の一覧性を確保する観点から、現行の利益分割法の下位分類として同ガイドラインにおいて認められている算定方法(比較利益分割法、寄与度利益分割法及び残余利益分割法)を明確にします。
(注)上記の改正は、平成23年10月1日以後に開始する事業年度について適用します。
②独立企業間価格幅(レンジ)の取扱いの明確化
 国外関連取引の価格等が、レンジの中にある場合には移転価格課税を行わないこと、また、レンジの外にある場合には比較対象取引の平均値に加え、その分布状況等に応じた合理的な値を用いた独立企業間価格の算定もできることを運用において明確にします。
③シークレットコンパラブル(類似の取引を行う第三者から質問検査等により入手した比較対象取引についての情報)の運用の明確化
 納税者の予見可能性を確保する観点から、シークレットコンパラブルが適用される場合の具体例を運用において一層明確にするとともに、シークレットコンパラブルを用いる際は、守秘義務の範囲内でその内容を説明するとの運用を徹底します。
④上記①から③のほか、同ガイドラインの改定を踏まえた運用上の必要な見直しを行うとともに、租税条約において仲裁制度が導入されることを踏まえ、仲裁の申立手続等に関する規定の整備を行います。

(3)租税特別措置
〔国税〕
(延長・拡充等)
①非居住者等が受ける振替公社債の利子等の非課税制度について、次の措置を講じます。
イ 資産の流動化に関する法律の改正が行われた場合には、振替社債等の利子等の非課税制度の対象とされる振替社債等の利子等の範囲に、振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有しないものに限ります。)につき支払を受ける収益の分配及び償還差益を追加します。
(注)非課税の対象とされない特殊関係者は、特定目的信託の原委託者と特殊の関係のある者とし、特殊関係者に係る事項を記載した書類の提出者は、特定目的信託の原委託者とします。
ロ 外国の法令に基づいて設定された信託で退職年金等信託に類するもの(受益者等課税信託に該当するものに限ります。)のうち、当該外国において主として退職年金、退職手当その他これらに類する報酬を管理し、又は給付することを目的として運営されるもの(以下「外国年金信託」といいます。)の信託財産である振替公社債につき生ずる利子については、当該外国年金信託の受託者が支払を受けるものとみなして、非課税制度を適用します。
ハ 非居住者又は外国法人が民法に規定する組合契約その他これに類する契約による組合(外国におけるこれらに類するものを含みます。以下「任意組合等」といいます。)の組合財産又は受益者等課税信託(外国年金信託を除きます。)の信託財産として有する振替公社債につき支払を受ける利子については、当該非居住者又は外国法人が行う手続に加え、当該任意組合等の代表者又は当該受益者等課税信託の受託者がすべての組合員等(組合員又は受益者等)の氏名等、各組合員等の分配割合等を記載した届出書及び当該任意組合等又は当該受益者等課税信託の契約書の写しを特定振替機関等又は適格外国仲介業者を通じて所轄税務署長に提出する場合その他一定の手続を行う場合に限り、非課税制度の適用を受けることができるものとします。
(注1)上記イの改正は、原則として、資産の流動化に関する法律の一部を改正する法律の施行の日以後にその計算期間が開始する特定目的信託の社債的受益権の収益の分配について適用します。
(注2)上記ロ及びハの改正は、平成23年4月1日以後にその計算期間が開始する振替公社債の利子について適用します。
②外国金融機関等の債券現先取引に係る利子の課税の特例については、我が国短期金融市場への外国金融機関等の参加を促進し当該市場の活性化を図るため、次の措置を講じます。
イ 非課税の対象となる所得の範囲に、取引期間6か月以内等の要件を満たす証券貸借取引(現金又は有価証券を担保とするものに限ります。)につき支払を受ける利子及び貸借料等を追加します。
ロ 非課税の対象となる債券の範囲に、次に掲げる有価証券を追加します。
(イ) 振替地方債
(ロ) 振替社債等
(ハ) 振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有しないものに限ります。)
(ニ) 上場株式等(証券貸借取引において用いる場合に限ります。)
(注)(ロ)及び(ハ)については、その利子等の額がその発行者等の利益の額等に連動するものを除きます。(注)上記の改正は、原則として、平成23年4月1日以後に開始する債券現先取引又は証券貸借取引につき支払を受ける利子及び貸借料等について適用します。

(4)その他
①外国子会社合算税制等の円滑な執行を図るため、次の措置を講じます。
イ 株式等の保有を主たる事業とする統括会社について、事業基準以外の適用除外基準の判定を統括事業により行うことを明確にします。
ロ 特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)の計算上、外国関係会社の本店所在地国以外の国又は地域に所在する法人から受ける配当等が非課税所得の範囲から除外されるための持株割合要件等を廃止します。
ハ 日本税法基準によって特定外国子会社等の合算対象とされる金額を計算する場合には、現物分配に係る課税繰延べ規定の適用はないことを明確にします。
ニ その他
(イ) 外国関係会社の所得の金額が零の場合のトリガー税率の判定は、外国法人税の表面税率により行うことを明確にします。
(ロ) 資産性所得の基因となる株式等に係る保有割合10%未満の要件の判定時期は、配当等については当該配当等の効力が生ずる日、譲渡については当該譲渡の直前であることを明確にします。
(ハ) 資産性所得に係る費用の計算について、次の措置を講じます。
(a) 利子・配当等の額に対して課される外国源泉税の額は、資産性所得の金額の計算上控除できるよう計算方法を見直します。
(b) 債券の償還差益に係る資産性所得の費用の額を簡便法により計算する場合には、償還の直前の事業年度終了の時(現行:償還の直前)の総資産の帳簿価額を用いることとします。
(c) 株式等及び債券の譲渡に係る資産性所得の金額の計算上控除する取得価額について、その計算方法(移動平均法等により計算)を明確にします。
(d) 特許権等の使用料等に係る資産性所得の金額の計算上控除する特許権等に係る減価償却費は、継続適用を要件として、日本税法基準又は現地税法基準のいずれかにより計算することを明確にします。
(ニ) 資産性所得合算課税制度における次の現行の適用除外基準について、それぞれ次の明確化を行います。
(a) 資産性所得割合基準(当期純利益に占める資産性所得の合計額の割合が5%以下であること):「当期純利益」には外国源泉税の額は含まれないことを明確化
(b) 収入金額基準(資産性所得の合計額に係る収入金額が1,000万円以下であること):「収入金額」の定義を明確化(償還差益に係る収入金額とは、償還金額ではなく償還差益であること等)
ホ 特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例等について、上記と同趣旨の改正を行います。
へ その他所要の措置を講じます。
(注)上記の改正は、内国法人の平成23年4月1日以後に終了する事業年度において、特定外国子会社等の合算対象とされる金額(当該特定外国子会社等の平成22年4月1日以後に開始する事業年度分に係るものに限ります。)につき合算課税を行う場合について適用します。ただし、上記ハの改正は、特定外国子会社等の平成23年4月1日以後に行われる現物分配について適用します。
②非居住者又は外国法人に係る事業譲渡類似及び不動産関連法人の株式等譲渡益課税について、次の措置を講じます。
イ 非居住者が行う特定目的信託の社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有するものに限ります。)の譲渡を適用対象に追加します。
ロ 外国法人が行う特定目的信託の社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有しないものに限ります。)の譲渡を適用対象から除外します。
(注)上記の改正は、資産の流動化に関する法律の一部を改正する法律の施行の日以後に行う特定目的信託の社債的受益権の譲渡について適用します。

8.関税
(1)特恵関税制度の適用期限の延長及び見直し
 平成22年度末に適用期限が到来する特恵関税制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を10年延長します。
①鉱工業産品に設定している年間の特恵適用の限度枠(シーリング)を廃止し、適用する特恵税率を別紙5-1のとおりとします。
②産品の競争力に基づく国別・品目別特恵適用除外措置の適用基準を別紙5-2のとおりとします(適用結果は別紙5-3参照)。
③別紙5-4の品目を特恵適用の対象から除外します。また、別紙5-5の品目について、一般の税率(最恵国待遇税率(MFN税率))を引き下げます。
④繊維製品に関する特恵原産地規則について、途上国の特恵利用拡大に資するよう緩和します。
⑤世界銀行統計において3年連続で「高所得国」に該当したオマーン、トリニダード・トバゴ及びバルバドスを特恵適用の対象から除外します。

(2)航空機部分品等の免税制度及び加工再輸入減税制度の延長
 平成22年度末に適用期限が到来する、航空機の部分品等及び宇宙開発用物品等の免税制度並びに我が国から輸出した原材料を加工した輸入製品の減税制度の適用期限を3年延長します。

(3)暫定税率等の適用期限の延長
 平成22年度末に適用期限が到来する暫定税率(415品目)、特別緊急関税制度及び牛肉等に係る関税の緊急措置(牛肉についての発動基準の特例を含む。)の適用期限を1年延長します。

(4)HS条約2012年改正に対応するための関税率表の改訂
 平成24年1月1日から適用される、HS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)の2012年改正に伴い、関税率表を改訂します。

(5)輸出通関における保税搬入原則の見直し及びこれに伴うAEO(認定事業者)制度の改善
①保税地域等に貨物を搬入した後に行うこととされている輸出申告を、貿易円滑化のため、適正通関を確保しつつ、保税地域等への貨物搬入前に行えることとします。
②AEO通関業者又はAEO製造者が関与する輸出申告に係る貨物について、保税地域等に搬入することなく輸出の許可を受けることを可能とします。これに伴い、輸出品に対する内国消費税について所要の改正を行います。
(注)上記の改正は、平成23年10月1日から適用します。

(6)アクセスコントロール等回避機器に係る水際規制の導入
 アクセスコントロール等回避機器について、不正競争防止法又は著作権法の改正を前提に、関税法上の輸出入禁止品に追加します。
(注)上記の改正は、それぞれ上記の国内規制の改正法の施行の日から適用します。

(7)回路配置利用権侵害物品に係る輸出規制の導入
 回路配置利用権侵害物品について、半導体集積回路の回路配置に関する法律の改正を前提に、関税法上の輸出禁止品に追加します。
(注)上記の改正は、上記の国内規制の改正法の施行の日から適用します。

(8)航空機旅客の予約情報等報告制度の導入
 効果的かつ効率的な密輸取締りのため、税関が現在入手している事前旅客情報に加え、予約情報等も入手できるように、報告を求める情報の範囲を拡充します。
(注)上記の改正は、平成23年10月1日から適用します。

(9)納税環境整備
納税者が更正の請求を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長するとともに、税関が更正を行うことができる期間(現行3年のもの)を5年に延長する等の措置を講ずるほか、内国税に準じて以下の措置を講じます。
①申請に対する処分及び不利益処分について、理由附記を実施します。併せて、とん税についても同様の措置を講じます。
②輸入者に対する事後調査について、手続の明確化・法制化を図ります。
(注)上記の改正の適用の日については、内国税に合わせることとします。

9.検討事項
〔国税〕
(1)納税者権利憲章の制定や税務調査手続の見直しなど納税環境整備に係る諸課題が進展し、その一環としての租税教育の重要性も一層高まる中、税理士の果たすべき役割は今後益々重要になっていくものと考えられます。税理士制度については、平成23年度中に見直しの必要性や方向性について結論を出すこととされていますが、その見直しに当たっては、税理士を取り巻く状況の変化に的確に対応するとともに、引き続き納税者の利便性の向上を図り、税理士に対する納税者からの信頼をより一層高めるとの観点をも踏まえつつ、関係者等の意見も考慮しながら、検討を進めます。

(2)個人の白色申告者に記帳が義務化されることに伴い、以下の点について今後検討を行います。
①必要経費を概算で控除する租税特別措置のあり方
②正しい記帳を行わない者の必要経費の控除のあり方
③白色申告者の記帳水準が向上した場合における現行の専従者控除について、その専従の実態等を踏まえた見直しのあり方

(3)不服申立手続については、不服申立期間、証拠書類の閲覧・謄写の範囲、対審制、不服申立前置の仕組みのあり方について、内閣府・行政救済制度検討チームの結論を踏まえて改めて検討した上、所要の見直しを図ることとします。また、国税不服審判所については、同チームの検討状況を勘案しつつ、簡易・迅速な行政救済を図るとの観点も踏まえ、審理の中立性・公正性に配意して審判所の所管を含めた組織のあり方や人事のあり方の見直しについて検討を行います。

(4)寄附金控除の年末調整対象化について、源泉徴収義務者の負担や不正行為防止の必要性を踏まえ、源泉徴収義務者等の意見を聴取しつつ、実務的・技術的な観点から実施可能であるかどうかの検討を行います。

(5)山林に関する相続税・贈与税については、減税の効果・減収額や相続税・贈与税が林業経営に及ぼす影響等をまず精査した上で、課税の公平にも留意しつつ、林業家の現状や森林法の改正内容を踏まえ、森林施業の集約化や路網整備の徹底といった政策目的の達成が的確になされる税制上の支援措置について、納税猶予制度を中心に検討し、平成24年度税制改正において必要な見直しを行います。

(6)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度については、その適用の基礎となる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定等の運用状況や政策目的等を踏まえ、同制度の活用を促進するための方策や課税の一層の適正化を図る措置について引き続き検討を行います。

(7)相続税の連帯納付義務については、共同相続人による納税義務の履行の実態や租税の徴収確保の観点を踏まえ、そのあり方について幅広く検討を行います。

(8)会計検査院から意見表示がなされている中小企業者に対する法人税率の特例の適用範囲の見直し及び中小企業者に適用される租税特別措置の適用範囲の見直しについては、経済産業省において適用実態を精査した上で、平成24年度税制改正において検討することとします。

(9)共同利用施設の特別償却制度については、現行制度の適用実績が極めて低調であることに鑑み、生活衛生同業組合等の活動状況、本制度の利用状況等の分析、対象設備等に関する検証を踏まえ、制度の抜本的な見直しに向けた検討を行います。

(10)小笠原諸島における旅館業用建物等の特別償却制度の創設については、小笠原諸島振興開発特別措置法の趣旨に照らし、既存の条件不利地域における特別償却制度の利用状況等を分析しつつ、小笠原諸島のおかれた地理的・社会的条件等を勘案して対象事業・対象設備等について検証し、引き続き検討を行います。

(11)地球温暖化対策については、今回「地球温暖化対策のための税」として、CO2排出抑制に資する観点から新たに設けられた「地球温暖化対策のための課税の特例」、国内排出量取引制度、再生可能エネルギー全量固定価格買取制度といった施策の整合性確保が不可欠です。各施策の進捗を踏まえ、その整合性や政策効果の検証を行った上で、必要に応じ、税の名称等についても、更に検討を行っていきます。

(12)原料用石油製品等に係る免税・還付措置の恒久化や本則化について、平成24年度税制改正において引き続き検討します。

(13)非居住者及び外国法人に対する課税原則については、今般のOECDモデル租税条約の改定及び税制調査会専門家委員会による「国際課税に関する論点整理」を踏まえ、様々な産業における実態等を把握しつつ、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法上の規定を「帰属主義」に沿った規定に見直すとともに、これに応じた適切な課税を確保するために必要な法整備に向け、具体的な検討を行います。

(14)国外資産に関する報告制度など様々な資料情報収集の手続整備に向け、適切な課税・徴収の確保の観点から、具体的な方策について引き続き検討します。

(15)外国との間で租税徴収の共助を行うための仕組みについては、欧州評議会・OECD税務行政執行共助条約などの国際的な取組み等を踏まえつつ、具体的な検討を行います。

〔地方税〕
(1)地方税の不服申立てについては、基本的に行政不服審査法によることとされており、現在、内閣府の行政救済制度検討チームで行われている議論を踏まえる必要があります。その際、地方税の課税団体が多数にのぼり規模も様々であることに留意するとともに、地域主権改革の観点に立つことが必要です。

(2)生命保険料控除など政策目的へのインセンティブの色彩が強い控除の在り方については、個人住民税の「地域社会の会費」としての性格や地域主権改革の推進等の観点のほか、公的保障の補完としての性格や国民の自助努力の支援等の観点を踏まえ、検討します。

(3)特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行する法人が設置する図書館、博物館及び幼稚園に係る固定資産税、都市計画税及び不動産取得税について、これまでの議論を踏まえ、移行状況や施設の使用・経営実態等をさらに調査した上で、平成23年度に結論が得られるよう必要な検討を行います。

(4)新築住宅等に係る固定資産税の減額措置については、住宅をめぐる状況が地域によって様々であることを踏まえつつ、優良な住宅ストック重視の観点から、平成24年度税制改正までに真摯に議論し、結論を得ます。

(5)観光立国の観点から重要な役割を果たすホテル・旅館の用に供する家屋に係る固定資産評価については、当該家屋の使用実態等を把握するとともに、家屋類型間の減価状況のバランスを考慮するための実態調査等を行うなど、できるだけ速やかに検討を行います。

(6)事業仕分け対象独立行政法人に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置の見直しについて、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)に沿って、平成24年度税制改正において検討を行います。

(7)独立行政法人水資源機構がダムの用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、平成24年度税制改正における見直しに向けて検討を行います。

(8)土地改良区が、土地改良法の規定による換地計画に基づき取得した創設非農用地換地を、一定の期間内に譲渡した場合における不動産取得税の納税義務の免除措置の見直しについては、その利用状況等を踏まえ、平成24年度税制改正において検討を行います。

(9)事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、平成22年度の議論を踏まえつつ、地域医療を確保するために必要な措置について、来年1年間真摯に議論し、結論を得ます。

(10)現在収入金額課税を行っている電気供給業、ガス供給業及び保険業に係る法人事業税の課税方式については、中長期的に検討します。

〔国税・地方税共通〕
(1)社会保障・税に関わる番号制度については、「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」での議論と併せ、①法定調書の拡充、②税務当局への提出資料の電子データでの提出の義務付け、③税務行政における電子化の推進と情報連携の効率化、④法定調書への正確な番号記載の確保策、⑤税務情報についてのプライバシー保護の徹底策等の課題について積極的に検討を行います。

(2)金融証券税制については、平成26年に上場株式等の配当・譲渡所得等に係る税率が20%本則税率となることを踏まえ、公社債等に対する課税方式の変更及び損益通算範囲の拡大を検討します。

(3)平成24年3月31日をもって廃止される適格退職年金制度に関し、事業主が存在しないなどの事情により企業年金制度等への移行が困難な適格退職年金契約について、平成24年度税制改正において現行の適格退職年金契約に係る税制上の措置を継続適用する措置を講ずるほか、関係府省において、受給権保護の観点から、未だ企業年金制度等への移行を行っていない適格退職年金契約の円滑な移行促進策を検討するなど適格退職年金制度の廃止に向けた取組みを進めます。

(4)車体課税については、エコカー減税の期限到来時までに、地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政の状況も踏まえつつ、当分の間として適用されている税率の取扱いを含め、簡素化、グリーン化、負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討します。

(5)地球温暖化対策に関する国と地方の役割分担を踏まえ、地方財源を確保・充実する仕組みについて、平成24年度実施に向けた成案を得るべく更に検討を進めます。

(6)郵便貯金銀行、郵便保険会社、郵便局会社等に係る税制上の措置については、消費税を含む税制の基本的な考え方等に基づき、国会や与党におけるこれまでの議論、「郵政改革の基本方針」(平成21年10月20日閣議決定)等に沿った検討も踏まえつつ、ユニバーサルサービスの担保等のための政策のあり方の観点から、引き続き所要の検討を行います。

【別紙1】
○当初申告要件を廃止する措置
①給与所得者の特定支出控除(所法57の2)
②資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例(所法64)
③純損失の繰越控除(所法70)
④雑損失の繰越控除(所法71)
⑤変動所得及び臨時所得の平均課税(所法90)
⑥資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入(所令182の2)
⑦受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)
⑧外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)
⑨国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法法37、81の6)
⑩会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入(法法59)
⑪協同組合等の事業分量配当等の損金算入(法法60の2)
⑫所得税額控除(法法68、81の14)
⑬外国税額控除(法法69、81の15、所法95)
⑭公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例(法令73の2)⑮引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例(法令113)
⑯特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限の5倍要件の判定の特例(法令113の2⑬)
⑰特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例(法令123の8③五)
⑱特定資産に係る譲渡等損失額の計算の特例(法令123の9)
⑲配偶者に対する相続税額の軽減(相法19の2)
⑳贈与税の配偶者控除(相法21の6)
(21)相続税額から控除する贈与税相当額等(相令4)
(注)条文番号は現行のものである。

【別紙2】
○控除額の制限を見直す措置
①受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)
②外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)
③国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法法37、81の6)
④所得税額控除(法法68、81の14)
⑤外国税額控除(法法69、81の15、所法95)
⑥試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法10、42の4、68の9)
⑦試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例(一部※)(措法10の2、42の4の2、68の9の2)
⑧中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(措法10の3、42の6、68の11)
⑨沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(措法10の5、42の10、68の14)
⑩法人税の額から控除される特別控除額の特例(措法10の6、42の11、68の15)
⑪青色申告特別控除(65万円)(措法25の2)
⑫電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除(※)(措法41の19の5)
⑬沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の9、68の13)
(注1)条文番号は現行のものである。
(注2)※印の付いている措置は、平成23年3月31日までに適用期限が到来するものである。

【別紙3】
租税罰則(国税関係)の見直し
1.故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設
<税目等>
<案>
①所得税(租特法42条の3第1項関係を含む。)、法人税、相続税・贈与税(租特法70条の13関係を含む。)、地価税、消費税 ・5年以下の懲役若しくは500万円(情状により脱税額)以下の罰金又はこれらの併科
②酒税、たばこ税、たばこ特別税、揮発油税・地方揮発油税(租特法89条27項及び沖特法156条3項・沖特令74条の2第35項関係を含む。)、石油ガス税、石油石炭税 ・5年以下の懲役若しくは50万円(情状により脱税額の3倍)以下の罰金又はこれらの併科
③航空機燃料税、電源開発促進税 ・3年以下の懲役若しくは50万円(情状により脱税額)以下の罰金又はこれらの併科

2.消費税の不正還付未遂罪の創設
<税目等>
<案>
・消費税 ・不正に消費税の還付を受けようとした者(未遂)を処罰する規定を創設する。
(注)不正に消費税の還付を受けた者(既遂)の法定刑は、10年以下の懲役若しくは1,000万円(情状により脱税額)以下の罰金又はこれらの併科。
(注)条文番号は現行のものである。

(備考)法律名の略称「たばこ特別税法」:一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律
「租特法」:租税特別措置法「沖特法」:沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律
「沖特令」:沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する政令


【別紙4】

                 租税罰則(地方税関係)の見直し

1.脱税犯
<条文等(現行)>
<改正案>
(現行)
○ほ脱犯・不正還付犯・特別徴収納入金不納付犯
・事業税(法人)(72条の49の3)、事業税(個人)(72条の60)、地方消費税(72条の95、72条の109)、軽油引取税(144条の41)、地方法人特別税(暫定措置法27条)


・懲役10年以下
・罰金1,000万円以下(※1)


・懲役5年以下
・罰金500万円以下(※1)
・道府県民税(個人)(41条2項)、道府県民税(法人)(62条)、市町村民税(法人・個人)(324条1・3・4項) ・懲役10年以下
・罰金1,000万円以下(※1)
・懲役5年以下
・罰金又は科料100万円以下(※1)
・道府県民税(個人)(41条2項、71条の16、71条の37、71条の57)、市町村民税(個人)(328条の16第1・3・4項) ・懲役10年以下
・罰金200万円以下(※1)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。
・懲役3年以下
・罰金50万円以下(※1)
・道府県民税(個人)(41条2項)、市町村民税(個人)(324条2・3・4項) ・懲役10年以下
・罰金200万円以下(※1)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。
・懲役3年以下
・罰金又は科料50万円以下(※1)
・地方消費税(72条の110) ・懲役10年以下
・罰金100万円以下(※2)
・懲役5年以下
・罰金50万円以下(※2)
・地方たばこ税(74条の15、478条) ・懲役10年以下
・罰金100万円以下(※1)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。
・懲役3年以下
・罰金100万円以下(※1)
・鉱産税(530条) ・懲役5年以下
・罰金1,000万円以下(※1)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。
・懲役3年以下
・罰金500万円以下(※1)
・ゴルフ場利用税(86条)、固定資産税(358条)、特別土地保有税(604条)、事業所税(701条の56)、都市計画税(702条の8第8項) ・懲役5年以下
・罰金100万円以下(※1)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。
・懲役3年以下
・罰金又は科料100万円以下(※1)
・不動産取得税(73条の30)、自動車取得税(127条)、自動車税(160条)、鉱区税(192条)、法定外普通税(281条、691条)、入湯税(701条の7)、法定外目的税(733条の21) ・懲役5年以下
・罰金100万円以下(※1)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。
・懲役3年以下
・罰金又は科料50万円以下(※1)
・水利地益税等(724条) ・懲役3年以下
・罰金100万円以下(※1)
・懲役1年以下
・罰金又は科料10万円以下(※1)
・軽自動車税(452条) ・懲役なし
・罰金100万円以下(※1)
・懲役なし
・罰金又は科料10万円以下(※1)
・狩猟税(700条の61) ・懲役なし
・罰金100万円以下
・懲役なし
・罰金又は科料10万円以下
○滞納処分免脱犯
(納税者・特別徴収義務者・その財産を占有する第三者)
・道府県民税(個人)(41条2項、50条1・2・5項、71条の20第1・2・4項、71条の41第1・2・4項、71条の61第1・2・4項)、道府県民税(法人)(69条1・2・4項)、事業税(法人・個人)(72条の69第1・2・4項)、不動産取得税(73条の37第1・2・4項)、地方たばこ税(74条の28第1・2・4項、485条の4第1・2・4項)、ゴルフ場利用税(95条1・2・4項)、自動車取得税(137条1・2・4項)、軽油引取税(144条の52第1・2・4項)、自動車税(168条1・2・4項)、鉱区税(201条1・2・4項)、法定外普通税(286条1・2・4項、696条1・2・4項)、市町村民税(法人・個人)(332条1・2・4項)、固定資産税(374条1・2・4項)、軽自動車税(460条1・2・4項)、鉱産税(542条1・2・4項)、特別土地保有税(614条1・2・4項)、狩猟税(700条の67第1・2・4項)、入湯税(701条の19第1・2・4項)、事業所税(701条の66第1・2・4項)、都市計画税(702条の8第8項)、水利地益税等(729条1・2・4項)、法定外目的税(733条の25第1・2・4項)、地方法人特別税(暫定措置法28条1・2・4項)




・懲役3年以下
・罰金250万円以下




・懲役3年以下
・罰金50万円以下
○滞納処分免脱犯
(行為の相手方)
・道府県民税(個人)(41条2項、50条3・5項、71条の20第3・4項、71条の41第3・4項、71条の61第3・4項)、道府県民税(法人)(69条3・4項)、事業税(法人・個人)(72条の69第3・4項)、不動産取得税(73条の37第3・4項)、地方たばこ税(74条の28第3・4項、485条の4第3・4項)、ゴルフ場利用税(95条3・4項)、自動車取得税(137条3・4項)、軽油引取税(144条の52第3・4項)、自動車税(168条3・4項)、鉱区税(201条3・4項)、法定外普通税(286条3・4項、696条3・4項)、市町村民税(法人・個人)(332条3・4項)、固定資産税(374条3・4項)、軽自動車税(460条3・4項)、鉱産税(542条3・4項)、特別土地保有税(614条3・4項)、狩猟税(700条の67第3・4項)、入湯税(701条の19第3・4項)、事業所税(701条の66第3・4項)、都市計画税(702条の8第8項)、水利地益税等(729条3・4項)、法定外目的税(733条の25第3・4項)、地方法人特別税(暫定措置法28条3・4項)


・懲役2年以下
・罰金150万円


・懲役2年以下
・罰金30万円以下

2.秩序犯
【申告書等不提出犯等】
<条文等(現行)> <改正案> (現行)
○申告書等不提出犯
・事業税(法人)(72条の37)、地方消費税(72条の92、72条の102)、軽油引取税(144条の19)、固定資産税(395条)、地方法人特別税(暫定措置法25条)

・懲役1年以下
・罰金50万円以下

・懲役1年以下
・罰金20万円以下
・事業税(個人)(72条の57)、不動産取得税(73条の20)、自動車税(154条)、鉱区税(187条)、法定外普通税(273条、683条)、市町村民税(個人)(317条の5)、固定資産税(386条)、軽自動車税(449条)、狩猟税(700条の58)、事業所税(701条の54)、水利地益税等(716条)、法定外目的税(733条の12) ・過料10万円以下 ・過料3万円以下
(新設)
・道府県民税(法人)、市町村民税(法人)

・懲役1年以下
・罰金50万円以下

・事業所税、地方たばこ税、自動車取得税、鉱産税、特別土地保有税 ・過料10万円以下
○納税管理人に係る不申告犯
・道府県民税(法人)(31条)、事業税(法人・個人)(72条の11)、不動産取得税(73条の12)、ゴルフ場利用税(81条)、自動車税(159条)、鉱区税(191条の2)、法定外普通税(268条、678条)、市町村民税(法人・個人)(302条)、固定資産税(357条)、鉱産税(529条)、特別土地保有税(592条)、事業所税(701条の39)、水利地益税等(711条)、法定外目的税(733条の8)


・過料10万円以下


・過料3万円以下
○給与支払報告書等不提出・虚偽記載犯
・市町村民税(個人)(317条の7)


・懲役1年以下
・罰金50万円以下


・懲役1年以下
・罰金20万円以下
○特別徴収票不提出・虚偽記載犯
・道府県民税(個人)(41条2項)、市町村民税(個人)(328条の16第2・4項)


・懲役1年以下
・罰金50万円以下


・懲役1年以下
・罰金20万円以下
○退職所得申告書不提出犯
・市町村民税(個人)(328条の8)


・過料10万円以下


・過料3万円以下

【虚偽申告犯、検査忌避犯、虚偽帳簿書類提示犯等】
<条文等(現行)> <改正案> (現行)
○虚偽申告犯
・道府県民税(法人)(54条)、道府県民税(個人)(附則5条の4第13項)、事業税(法人)(72条の38)、事業税(個人)(72条の56)、地方消費税(72条の91)、市町村民税(個人)(317条の4、附則5条の4第13項)、市町村民税(法人)(321条の9)、固定資産税(385条、395条)、地方法人特別税(暫定措置法26条)

・懲役1年以下
・罰金50万円以下
・虚偽申告犯の対象に、市町村民税(個人)の寄附金税額控除に係る申告書に虚偽の記載をして提出した場合を含める。

・懲役1年以下
・罰金20万円以下
・不動産取得税(73条の19)、自動車税(153条)、鉱区税(186条)、法定外普通税(272条、682条)、事業所税(701条の53)、水利地益税等(715条)、法定外目的税(733条の11) ・懲役1年以下
・罰金50万円以下
・懲役なし
・罰金5万円以下
・軽自動車税(448条)、狩猟税(700条の57) ・懲役なし
・罰金30万円以下
・懲役なし
・罰金5万円以下
(新設)
・道府県民税(個人)

・懲役1年以下
・罰金50万円以下

○納税管理人に係る虚偽申告犯
・道府県民税(法人)(30条)、事業税(法人・個人)(72条の10)、不動産取得税(73条の11)、ゴルフ場利用税(80条)、自動車税(158条)、鉱区税(191条)、法定外普通税(267条、677条)、市町村民税(法人・個人)(301条)、固定資産税(356条)、鉱産税(528条)、特別土地保有税(591条)、事業所税(701条の38)、水利地益税等(710条)、法定外目的税(733条の7)


・懲役なし
・罰金30万円以下


・懲役なし
・罰金3万円以下
○検査忌避犯、虚偽帳簿書類提示犯等
・道府県民税(法人・個人)(27条)、事業税(法人)(72条の8、72条の36、72条の49の6)、事業税(個人)(72条の8、72条の64)、軽油引取税(144条の12、144条の39)、市町村民税(法人・個人)(299条)、固定資産税(354条、397条)、鉱産税(524条、526条)、特別土地法有税(589条)、事業所税(701条の36)、地方法人特別税(暫定措置法24条、30条)


・懲役1年以下
・罰金50万円以下


・懲役1年以下
・罰金20万円以下
・軽油引取税(144条の28、144条の33第5・6項、144条の37) ・懲役1年以下
・罰金50万円以下
・懲役なし
・罰金20万円以下
・地方消費税(72条の85)、地方たばこ税(74条の8、74条の18、471条) ・懲役1年以下
・罰金50万円以下
・懲役なし
・罰金10万円以下
・不動産取得税(73条の9)、ゴルフ場利用税(78条)、自動車取得税(117条)、自動車税(156条)、鉱区税(189条)、法定外普通税(265条、675条)、入湯税(701条の6)、水利地益税等(708条)、法定外目的税(733条の5) ・懲役1年以下
・罰金50万円以下
・懲役なし
・罰金5万円以下
・軽自動車税(451条)、狩猟税(700条の60) ・懲役なし
・罰金30万円以下
・懲役なし
・罰金5万円以下
○滞納処分に関する検査拒否等犯
・道府県民税(個人)(41条2項、50条4・5項、71条の21、71条の42、71条の62)、道府県民税(法人)(70条)、事業税(法人・個人)(72条の70)、不動産取得税(73条の38)、地方たばこ税(74条の29、485条の5)、ゴルフ場利用税(96条)、自動車取得税(138条)、軽油引取税(144条の53)、自動車税(169条)、鉱区税(202条)、法定外普通税(287条、697条)、市町村民税(法人・個人)(333条)、固定資産税(375条)、鉱産税(543条)、特別土地保有税(615条)、入湯税(701条の20)、事業所税(701条の67)、都市計画税(702条の8第8項)、水利地益税等(730条)、法定外目的税(733条の26)、地方法人特別税(暫定措置法29条)


・懲役1年以下
・罰金50万円以下


・懲役なし
・罰金10万円以下
・軽自動車税(461条)、狩猟税(700条の68) ・懲役なし
・罰金30万円以下
・懲役なし
・罰金10万円以下
○特別徴収義務者の登録等に関する罪
・軽油引取税(144条の17)


・懲役1年以下
・罰金50万円以下


・懲役なし
・罰金30万円以下
・ゴルフ場利用税(85条) ・懲役1年以下
・罰金50万円以下
・懲役6月以下
・罰金10万円以下

【その他】
<条文等(現行)> <改正案> (現行)
○免税証の不正受給等による免税軽油の引取りに関する罪
・軽油引取税(144条の22、144条の25第2・3項)


・懲役10年以下
・罰金1,000万円以下


・懲役5年以下
・罰金500万円以下
○製造の承認を受ける義務に関する罪
・軽油引取税(144条の33第1・6項)


・懲役10年以下
・罰金1,000万円以下
(法人重科3億円以下)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。


・懲役5年以下
・罰金500万円以下
(法人重科3億円以下)
○不正軽油等の製造に要する資金等の提供等の罪(いわゆる供給者罰則)
・軽油引取税(144条の33第2・6項)



・懲役7年以下
・罰金700万円以下
(法人重科2億円以下)
・両罰規定について、業務主に罰金刑を科す場合における公訴時効期間を、行為者の罪の公訴時効期間によるものとする。



・懲役3年以下
・罰金300万円以下
(法人重科2億円以下)
○不正軽油等譲受罪
・軽油引取税(144条の33第3・6項)

・懲役3年以下
・罰金300万円以下
(法人重科1億円以下)

・懲役2年以下
・罰金200万円以下
(法人重科1億円以下)
○承認を受けないでする免税軽油の譲渡に関する罪、燃料炭化水素油の譲渡等の承認を受ける義務に関する罪
・軽油引取税(144条の26、144条の33第4・6項)

・懲役2年以下
・罰金100万円以下
・懲役1年以下
・罰金50万円以下

3.税務職員の守秘義務違反(秘密漏洩)の罪
<条文等(現行)> <改正案> (現行)
○秘密漏洩
(22条、暫定措置法31条)
・懲役2年以下・罰金100万円以下 ・懲役2年以下・罰金30万円以下
(新設) 現在規定がない地方税の犯則事件の調査及び地方税の徴収の事務における同様の守秘義務違反を処罰対象に含める。

4.故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設
<税目> <案>
・道府県民税(法人・個人)、事業税(法人・個人)、地方消費税、軽油引取税、市町村民税(法人・個人)、地方法人特別税 ・懲役5年以下
・罰金500万円以下(※1)
・地方たばこ税 ・懲役5年以下
・罰金50万円以下(※1)
・鉱産税 ・懲役3年以下
・罰金500万円以下(※1)
・不動産取得税、自動車取得税、自動車税、鉱区税、法定外普通税、固定資産税、特別土地保有税、事業所税、法定外目的税 ・懲役3年以下
・罰金50万円以下(※1)
・水利地益税等 ・懲役1年以下
・罰金50万円以下(※1)
・軽自動車税、狩猟税 ・懲役なし
・罰金50万円以下
(軽自動車税のみ(※1))

5.地方消費税の不正還付未遂罪の創設
<税目> <案>
・地方消費税 ・不正に地方消費税の還付を受けようとした者(未遂)を処罰する規定を創設する。
(備考)法律名の略称
「暫定措置法」:地方法人特別税等に関する暫定措置法
(※1)脱税額が、定額刑を超える場合には、情状により、脱税額が罰金刑の上限となる。
(※2)脱税額の3倍が、定額刑を超える場合には、情状により、脱税額の3倍が罰金刑の上限となる。


【別紙5】

       特恵関税制度の適用期限の延長及び見直し

【別紙5-1】
       シーリング廃止後の鉱工業産品に係る特恵税率
1.特恵税率を無税とする品目
現行シーリング管理の番号 主な品名
2 カーバイド等
22 桐(その他のもの)
23 ふたばがき科の熱帯産木材(かんながけし又はやすりがけしたもの)等
30 欄間
32 かりん、つげ等の木製品
36 絹ノイル織物等
48 ひも、綱及びケーブルのうち
関税率表5607.21に掲げる品目

2.特恵税率を一般の税率(MFN税率)の20%とする品目
現行シーリング管理の番号 主な品名
10 でん粉誘導体
11 デキストリン、デキストリングルー等
16 原皮及び革
20 毛皮(なめしたもの)
49 じゅうたんその他の床用敷物(結びパイルのもの)

3.特恵税率を一般の税率(MFN税率)の40%とする品目
現行シーリング管理の番号 主な品名
13 ポリエチレン、ポリスチレン等の塊、粉、粒、フレーク等
71 銅の棒、形材及び線
75 鉛の塊主な品名主な品名

4.特恵税率を一般の税率(MFN税率)の60%とする品目
現行シーリング管理の番号 主な品名
3 ソルビトール
15 パテントレザー等
24 ふたばがき科の熱帯産木材(第23項のものを除く。)
25 合板用単板
26 薄板(第25項のものを除く。)
28 パーティクルボード等
31 割りばし
33 木材及びその製品(関税率表4412.10−1、関税率表4412.31、関税率表4412.32及び関税率表4412.39に掲げる物品並びに第22項から第32項までのものを除く。)
34 かご細工物等(畳床のものを除く。)
56 絹製のネクタイ等のうち関税率表6307.90に掲げる品目のうち絹製で長方形以外の形状に単に裁断したもの
68 フェロニッケル(ニッケルの含有量が全重量の33%未満のもの)
72 銅のはく及び精製銅の板、管等
73 ニッケルの塊
76 亜鉛の塊
77 その他の卑金属及びその製品

5.特恵税率を一般の税率(MFN税率)の80%とする品目
現行シーリング管理の番号 主な品名
1 三酸化アンチモン
4 メントール
5 くえん酸
6 くえん酸カルシウム
7 グルタミン酸ソーダ
8 ペパーミント油(メンタ・アルベンシスから採取したもので、総メントールの含有量が65%以下のもの)
9 卵白
12 花火等
14 クロスシート
27 竹製の引抜材、竹製の串
29 積層木材等
5.特恵税率を一般の税率(MFN税率)の80%とする品目(つづき)
37 紡毛糸(小売用のものを除く。)
38 梳毛糸(小売用のものを除く。)
39 紡毛織物及び梳毛織物(絹の重量が全重量の10%を超えるもの)
40 紡毛織物及び梳毛織物(第39項のものを除く。)
41 綿糸(合成繊維等の重量が全重量の10%を超えるもの)等
42 亜麻糸、ラミー糸及びこれらの織物
43 ポリエステルの長繊維の糸(絹の重量が全重量の10%を超えるもの以外のもの)
44 合成繊維の長繊維の糸の織物
45 人造繊維の長繊維の糸の織物(第43項及び第44項のものを除く。)
46 合成繊維の短繊維の織物
47 人造繊維の短繊維及びその織物(第46項のものを除く。)
48 ひも、綱及びケーブルのうち関税率表5607.21に掲げる品目以外のもの
50 じゅうたんその他の床用敷物(その他のもの)
51 細幅織物等
52 メリヤス編物及びクロセ編物等
53 コルセット、手袋及び靴下類等のうち関税率表6212に掲げる品目以外のもの
54 衣類の附属品等
55 ハンカチ
57 毛布及びひざ掛け(電気毛布を除く。)
58 ベッドリネン、テーブルリネン等
60 傘及び傘の部分品
61 人造の花、葉等及びこれらの部分品
69 フェロニッケル(ニッケルの含有量が全重量の33%未満のもの以外のもの)
70 精製銅
74 アルミニウム及びその製品
78 腰掛けの部分品(革製のもの)及びマットレスサポートのうち関税率表9404.10に掲げる品目(マットレスサポート)
81 ほうき及びブラシ(非植物性材料のもの)

【別紙5-2】
     産品の競争力に基づく国別・品目別特恵適用除外措置の適用基準

 一の特恵受益国・地域を原産地とする物品のうち、過去3年間の平均で、当該物品の輸入額が同一の物品の総輸入額の50%を超える物品は、特恵適用の対象から3年間除外する。
 ただし、過去3年間の平均で当該物品の輸入額が15億円を超えない場合は除外しない。

(注1)当該国・地域の基幹的な輸出品(当該国・地域からの総特恵輸入額の25%超を占める物品)である場合、又は経済連携協定(EPA)締結についての大筋合意(インド及びペルー)において特恵税率以下の譲許をすることとしている場合は除外しない。

(注2)上記の基準は、農水産品(HS第1〜24類)についてはHS9桁単位で、鉱工業産品(HS第25〜97類)についてはHS4桁単位で適用する。


【別紙5-3】
    産品の競争力に基づく国別・品目別特恵適用除外措置の対象品目

(1)農水産品(第1~24類)
関税率表番号 主な品名 原産地
0706.90ex ごぼう(生鮮のもの及び冷蔵したもの) 中国
0709.59ex まつたけ(生鮮のもの及び冷蔵したもの) 中国
0712.90−2ex たけのこ(乾燥したもの) 中国
0910.10−2−(2)ex しょうが(塩水、亜硫酸水その他の保存用の溶液により一時的な保存に適する処理をしたもの及び小売用の容器入りにしたものを除く。)(生鮮のもの) 中国
0910.10−2−(2)ex しょうが(塩水、亜硫酸水その他の保存用の溶液により一時的な保存に適する処理をしたもの及び小売用の容器入りにしたものを除く。)(生鮮のもの以外のもの) 中国
1211.90−4ex その他の主として香料用、医療用、殺虫用、殺菌用その他これらに類する用途に供する植物及びその部分(生鮮のもの及び乾燥したもの)(その他のもの)のうち、びゃくだん及びはとむぎ以外のもの 中国
1604.11ex さけ(調製し又は保存に適する処理をしたもの)(気密容器入りのもの以外のもの) 中国
1604.15 さば(調製し又は保存に適する処理をしたもの) 中国
1604.19ex うなぎ(調製し又は保存に適する処理をしたもの) 中国
1604.19ex その他の魚(調製し又は保存に適する処理をしたもの) 中国
1605.10−2ex かに(調製し又は保存に適する処理をしたもの)(気密容器入りのもの以外のもの)(米を含むもの以外のもの) 中国
1605.90−2−(3)ex 帆立貝(調製し又は保存に適する処理をしたもの)(くん製したものを除く。) 中国
1605.90−2−(3)ex その他の軟体動物のもの(調製し又は保存に適する処理をしたもの)(くん製したものを除く。)(気密容器入りのもの以外のもの) 中国
2001.90−2−(5)ex しょうが(食酢又は酢酸で又は保存に適する処理をしたもの)(無糖のもの) 中国
2101.11−2−(2) コーヒーのエキス、エッセンス及び濃縮物(無糖のもの)(インスタントコーヒー以外のもの) ブラジル
2206.00−2−(2)−B−(b) その他の発酵酒(その他のもの) 中国

(2)鉱工業産品(第25~97類)
関税率表の項番号(HS4桁) 主な品名 原産地
2704 コークス及び半成コークス等 中国
2809 五酸化二りん、りん酸及びポリりん酸 中国
2825 ヒドラジン、金属酸化物等 中国
2827 塩化物、臭化物、よう化物等 中国
2834 亜硝酸塩及び硝酸塩 中国
2835 ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、りん酸塩等 中国
2839 けい酸塩等 中国
2841 オキソ金属酸塩及びペルオキソ金属酸塩 中国
2843 貴金属の無機又は有機の化合物等 中国
2849 炭化物 中国
2904 炭化水素のスルホン化誘導体等 中国
2938 グリコシド及び誘導体 中国
3505 デキストリンその他の変性でん粉等 タイ
3604 花火、信号せん光筒等その他の火工品 中国
3801 人造黒鉛等及び炭素をもととした調製品 中国
3802 活性炭等 中国
3806 ロジン及び樹脂酸並びにランガム等 中国
3814 有機の配合溶剤等及び調製除去剤 中国
3816 耐火性のセメント等 中国
3923 プラスチック製の運搬用又は包装用の製品等 中国
3924 プラスチック製の家庭用品及び化粧用品 中国
3926 その他のプラスチック製品等 中国
4412 合板等の積層木材 中国
4419 木製の食卓用品及び台所用品 中国
4420 寄せ木し又は象眼した木材等 中国
4421 その他の木製品 中国
4601 さなだ等組物材料から成る物品等 中国
4602 かご細工物等 中国
5107 梳毛糸(羊毛製)(小売用にしたものを除く。) 中国
5513 合成繊維の短繊維の織物(短繊維の重量が85%未満、混用繊維の大部分が綿、重量が170g/㎡以下) 中国
5607 ひも、綱及びケーブル 中国
5608 結び網地及び漁網その他の網(紡織用繊維製) 中国
5702 じゅうたん等紡織用繊維の床用敷物(織物製) 中国
5703 じゅうたん等紡織用繊維の床用敷物(タフトしたもの) 中国
5705 じゅうたん等紡織用繊維の床用敷物(他の項のものを除く。) 中国
5806 細幅織物等 中国
6213 ハンカチ(織物) 中国
6214 ショール、スカーフ、マフラー等(織物) 中国
6216 手袋、ミトン及びミット(織物) 中国
6217 その他の衣類附属品等(織物) 中国
6301 毛布及びひざ掛け 中国
6302 ベッドリネン等 中国
6303 カーテン等 中国
(2)鉱工業産品(第25~97類)(つづき)
関税率表の項番号(HS4桁) 主な品名 原産地
6304 紡織用繊維のその他の室内用品 中国
6305 包装に使用する種類の袋 中国
6306 ターポリン、テント、帆等 中国
6307 紡織用繊維のその他の製品 中国
6505 帽子(メリヤス編み等のもの)及びヘアネット 中国
6506 その他の帽子 中国
6601 中国
6702 人造の花、葉及び果実等 中国
6902 耐火れんが等建設用陶磁製耐火製品 中国
6907 陶磁製の舗装用品及び炉用又は壁用のタイル等(うわぐすりを施したものを除く。) 中国
6908 陶磁製の舗装用品及び炉用又は壁用のタイル等(うわぐすりを施したもの) 中国
6911 磁器製の家庭用品及び化粧用品 中国
6912 陶磁製の家庭用品及び化粧用品(磁器製のものを除く。) 中国
7116 真珠、貴石等の製品 中国
7406 銅の粉及びフレーク 中国
7411 銅製の管 中国
7607 アルミニウムのはく(厚さ0.2mm以下のもの) 中国
7907 その他の亜鉛製品 中国
8104 マグネシウム及びその製品 中国
8110 アンチモン及びその製品 中国
8111 マンガン及びその製品 中国
8211 刃をつけたナイフ(第82.08項のナイフを除く。)及びその刃 中国
8213 はさみ及びこれらの刃 中国
8215 スプーン等台所用具及び食卓用具(卑金属製のもの) 中国
8301 卑金属製の錠等 中国
8302 卑金属製の支持具、取付具等 中国
8306 卑金属製のベル、小像、額縁及び鏡等 中国
8544 電気絶縁をした線、ケーブルその他の電気導体等 中国
9003 眼鏡のフレーム及びその部分品 中国
9404 寝具等及びマットレスサポート 中国
9405 照明器具等及びその部分品 中国
9503 人形、がん具、模型等 中国
9505 祝祭用品等の娯楽用品 中国
9506 運動等に使用する物品等 中国
9507 魚釣用具等 中国
9603 ほうき、ブラシ、ペイントローラー等 中国
9608 ボールペン等のペン、シャープペンシル等 中国
9613 たばこ用ライターその他のライター及びその部分品 中国
9617 魔法瓶その他の真空容器及びその部分品 中国

【別紙5-4】
     特恵適用の対象から除外する品目
現行シーリング管理の項番号等 主な品名
17 トランク、スーツケース等
18 コンポジションレザー製品等
19 革製品(関税率表4203、第17項及び第18項のものを除く。)
21 衣類等の毛皮製品
56 絹製のネクタイ等のうち関税率表6215.10に掲げる品目
59 履物等及びこれらの部分品
62 ガラス製のビーズ、模造貴石等
63 身辺用細貨類及びその部分品
64 身辺用模造細貨類
65 フェロマンガン
66 フェロシリコマンガン等その他のフェロアロイ
67 フェロクロム(炭素の含有量が全重量の4%を超えるもの以外のもの)
78 腰掛けの部分品(革製のもの)及びマットレスサポートのうち関税率表9401.90−1に掲げる品目(腰掛けの部分品(革製のもの))
関税率表2836.20−1 ソーダ灰
(注)特恵適用の対象から除外した後は、一般の税率(MFN税率)が適用される。

【別紙5-5】
     一般の税率(MFN税率)を引き下げる品目
関税率表番号 主な品名 現行税率 改正税率
基本 WTO 特恵 基本 特恵
2834.29−2 硝酸バリウム 4.6% 3.9% 無税 無税 (削除)
5608.19−2 人造繊維製の網(漁網、結び網地及び結び網以外のもの) 8.2% 6.3% 無税 5% 無税
5608.90−2 人造繊維製以外の網(漁網、結び網地及び結び網以外のもの) 9.1% 7.2% 無税 5% 無税
5810.10 ししゅう布(基布が見えないもの) 17.9% 14.2% 無税 無税 (削除)
5810.91 その他のししゅう布(綿製のもの) 17.9% 14.2% 無税 無税 (削除)
5810.92 その他のししゅう布(人造繊維製のもの) 17.9% 14.2% 無税 無税 (削除)
5810.99 その他のししゅう布(その他の紡織繊維製のもの) 17.9% 14.2% 無税 無税 (削除)
6212.10 ブラジャー 8.5% 8.4% 無税 無税 (削除)
6212.20 ガードル及びパンティガードル 8.5% 8.3% 無税 無税 (削除)
6212.30 コースレット 8.5% 8% 無税 無税 (削除)
6212.90 コルセット、サスペンダー、ガーターこれらに類する製品 8.5% 8.4% 無税 無税 (削除)
8110.10 アンチモンの塊及び粉 22.4円/kg 8.80円/kg 無税 無税 (削除)
8544.20 同軸ケーブルその他の同軸の電気導体 5.8% 4.8% 無税 無税 (削除)
8544.30 点火用配線セットその他の配線セット(車両用、航空機用又は船舶用)
1 自動車のもの
2 その他のもの
無税
5.8%
無税
4.8%
無税 無税 (削除)
8544.42 その他の電気導体(使用電圧1,000V以下)
(接続子を取り付けてあるもの)
5.8% 無税
4.8%
無税 無税 (削除)
8544.49 その他の電気導体(使用電圧1,000V以下)
(接続子を取り付けてあるもの以外のもの)
5.8% 無税
4.8%
無税 無税 (削除)
8544.60 その他の電気導体(使用電圧1,000V超)
1 自動車のもの
2 その他のもの
無税
5.8%
無税
4.8%
無税 無税 (削除)
9613.10 携帯用ライター(ガスを燃料として使用、ガスの詰替えができないもの) 2.6% 2.6% 無税 無税 (削除)
9613.20 携帯用ライター(ガスを燃料として使用、ガスの詰替えができるもの)
−貴金属、これを張り若しくはめっきした金属、貴石等を使用したもの
−その他のもの
5.1% 5.1%

4.3%
無税 5.1%

無税
無税
9613.80 その他のライター 4.1% 3.4% 無税 無税 (削除)
9613.90 ライターの部分品 4.6% 3.9% 無税 無税 (削除)