平成22年度税制改正大綱について

平成21年12月22日
閣議決定

平成22年度税制改正大綱を別紙のとおり定める。

平成22年度税制改正大綱
〜納税者主権の確立へ向けて〜

 平成21年12月22日

目 次

はじめに・・・1
1.我が国を取り巻く環境の変化・・・1
(1)経済・社会構造の変化・・・1
(2)これまでの政府の対応・・・2
2.鳩山政権での対応・・・3
(1)構造変化への対応・新たな国づくり・・・3
(2)政府への信頼の回復・国民不安の解消・・・4

第1章 税制改革に当たっての基本的考え方・・・5
1.税制の現状について・・・5
2.税制改革の視点・・・5

第2章 新しい税制改正の仕組み・・・8
1.新しい税制調査会の設置・・・8
2.「ふるい」、租特透明化法(仮称)・・・9
(1)「ふるい」による租税特別措置の抜本的な見直し・・・9
(2)租特透明化法(仮称)の制定等・・・9

第3章 各主要課題の改革の方向性・・・11
1.納税環境整備・・・11
(1)納税者権利憲章(仮称)の制定・・・11
(2)国税不服審判所の改革・・・11
(3)社会保障・税共通の番号制度導入・・・11
(4)歳入庁の設置・・・12
(5)罰則の適正化・・・12
(6)納税環境整備に係るPTの設置・・・12
2.個人所得課税・・・13
(1)所得税・・・13
(2)個人住民税・・・16
3.法人課税・・・17
(1)現状と課題・・・17
(2)法人税の改革の方向性・・・17
(3)中小法人に対する軽減税率の引下げ・・・17
(4)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度・・・17
(5)地方法人課税・・・18
4.国際課税・・・18
(1)現状と課題・・・18
(2)改革の方向性・・・19
(3)国際連帯税・・・19
5.資産課税・・・20
(1)相続税・贈与税・・・20
(2)固定資産税・・・20
6.消費税・・・21
7.個別間接税・・・21
(1)基本的な考え方・・・21
(2)たばこ税・酒税・・・21
(3)暫定税率、地球温暖化対策のための税等・・・22
8.市民公益税制(寄附税制など)・・・24
9.地域主権の確立に向けた地方税財源のあり方・・・24
(1)国と地方の税源配分のあり方の見直し・・・24
(2)地方税に関する国の関与のあり方の見直し・・・24
(3)地方の意見を反映する仕組みの構築・・・25

第4章 平成22年度税制改正・・・26
1.平成22年度税制改正の考え方・・・26
2.個人所得課税・・・26
(1)諸控除の見直し・・・26
(2)金融証券税制・・・27
(3)租税特別措置等・・・34
(4)その他・・・37
3.法人課税・・・42
(1)資本に関係する取引等に係る税制・・・42
(2)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度・・・45
(3)租税特別措置等・・・45
(4)その他・・・50
4.国際課税・・・50
(1)外国子会社合算税制等の見直し・・・51
(2)移転価格税制の見直し・・・53
(3)外国税務当局との情報交換・・・54
(4)租税特別措置・・・54
5.資産課税・・・56
(1)住宅関係・・・56
(2)租税特別措置等・・・57
(3)その他・・・70
6.消費課税・・・72
(1)燃料課税・・・72
(2)車体課税・・・73
(3)たばこ税・・・75
(4)租税特別措置等・・・76
(5)その他・・・78
7.市民公益税制(寄附税制)・・・80
(1)認定NPO法人に係る措置・・・80
(2)所得税の寄附金控除の適用下限額の引下げ・・・81
8.納税環境整備・・・81
(1)租税に関する罰則の見直し・・・81
(2)その他・・・83
9.租特透明化法(仮称)等・・・83
10.関税・・・84
(1)暫定税率等の適用期限の延長・・・84
(2)罰則水準の見直し・・・84
11.検討事項・・・85

第5章 今後の進め方・・・88

別紙1 租税特別措置の見直しに関する基本方針・・・89
別紙2 地方税における税負担軽減措置等の見直しに関する基本方針・・・92
別紙3 租特透明化法案(仮称)の概要・・・93
別紙4 地方税における税負担軽減措置等の透明化の概要・・・95
別紙5 ・・・96
別紙6 租税に関する罰則の見直し(国税関係)・・・97

【参考資料】
資料1 所得税の税率の推移(イメージ図)・・・@
資料2 申告納税者の所得税負担率(平成19年分)・・・A
資料3 法人所得課税の実効税率の国際比較・・・B
資料4 社会保険料事業主負担及び法人所得課税の税収の国際比較(対国民所得比)・・・C
資料5 法人所得課税及び社会保険料の法人負担の国際比較に関する調査(平成18年3月)・・・D
資料6 最近における相続税の課税割合・負担割合及び税収の推移・・・E

 

 

はじめに

1.我が国を取り巻く環境の変化

(1)経済・社会構造の変化
 我が国は、内外の経済・社会構造の激しい変化に直面し、様々な問題を抱えています。
 第一の最も大きな変化は、人口減少と高齢化が同時進行する社会への突入です。このような人口構造の変化は、我が国経済を支える労働者や消費者の減少を通じて、経済成長力を低下させます。また納税者も減少するため、税収にも大きな影響を与えます。これらの結果、年金・医療・介護などの現行社会保障制度の根幹は大きく揺らいでおり、国民の将来不安の大きな原因にもなっています。
 第二に、グローバル化の急速な進展があります。もはやいかなる活動も国内で完結せず、私たちの生活は常にグローバルな経済社会の中で営まれています。グローバル化の進展は、経済の効率化による世界的な富の拡大など、大きな成果をもたらしてきた一方、競争に敗れた国内産業の衰退、国際的な格差の拡大、投機的資金の流出入による市場の混乱などの副作用ももたらしてきています。
 第三に、国内での格差拡大があります。グローバル化や規制緩和の急速な進展に伴う競争の激化や非正規雇用の増大、税財政の所得再分配機能の低下などにより、所得階層間や世代間の利害が対立する様相を呈し、また、地域間格差も拡がっており、このままでは格差が固定化するおそれがあります。
 第四に、資源制約の問題です。我が国は資源小国であり、特にエネルギー資源の確保は長年の課題です。我が国経済はエネルギー価格の上昇に対して脆弱であり、近年、途上国の経済発展などに伴うエネルギー価格の上昇が、企業収益の圧迫を通じて人件費削減につながってきたとの指摘もあります。
 第五に、気候変動をはじめとする環境問題です。温室効果ガスによる地球温暖化は、海面上昇、異常気象、穀物生産量の低下、希少生物の絶滅の危機などを引き起こし、人類と生物の生存基盤である豊かな地球環境を脅かすおそれが生じると指摘されています。
 なお、現下の経済動向を見ると、景気は、持ち直してきていますが、高い失業率や下落傾向にある物価水準など依然として国民生活を取り巻く情勢は厳しく、政府は大幅な税収減などの困難に直面しています。先行きも、雇用環境の一層の悪化や円高、デフレ、財政悪化に伴う長期金利の上昇などの懸念材料が存在し、予断を許さない状況にあります。

(2)これまでの政府の対応
 (1)で指摘したような問題に対し、これまでの政府は十分な対応をとってきたとはいえません。
 まず、人口減少・超高齢社会への対応が、大幅に遅れています。近年のグローバル化による競争激化などにより企業による福祉は減少し、また核家族化や単身世帯の増加、生活スタイルの変化などにより家族・地域を中心とするコミュニティーの力が失われてきました。こうした中で、本来は、セーフティネット機能を社会全体できちんと担う形へと、現行の社会保障制度を抜本的に改革することや少子化対策を行うことなどが必要でした。
 次に、既得権益を見直すことなく擁護してきたきらいがあります。例えば、これまでの予算編成では事業そのものの必要性が厳格に問われてきませんでした。しかしながら、こうしたやり方では、一度予算がつくとそれが既得権となり、不必要な予算までもが温存されることになります。また、税制改正も、決定過程が極めて不透明であり、結果として一部の人や組織に恩典を与えているのではないかという、納税者の立場から見て公平性が大いに疑われるような形になってしまいました。
 さらに、累次にわたる大規模な経済対策や少子高齢化の進展による社会保障関係費の増大等により、現政権に引き継がれた国の長期債務残高は他の先進諸国に類を見ない水準に達しています。国債発行が増大すれば金利の上昇を招き、財政がさらに悪化し、政策の自由度が制限されるとともに、個人の債務負担の増加、企業の設備投資・資金繰りへの悪影響を招いたりするおそれがあります。また、財政赤字は将来世代への負担先送りを意味し、世代間の不公平が拡大する原因ともなっています。同時に地方の債務残高の累積も大きな問題であり、抜本的な解決が求められています。
 時代の大きな転換期の中で今必要なことは、病気や失業、老後といった誰もが持つリスクへの不安に対して政府がきちんとしたセーフティネットを整備することによって、国民に安心感を与えることです。この安心感が、国民に起業や創業などリスクを取ってチャレンジする勇気を与え、また貯蓄を消費に向かわせる原動力となります。これらが新たな経済成長へ、さらには税収増となって財政の健全化へとつながります。そして財政の健全化は支え合う社会に必要な財源確保に結びつきます。
 つまり、セーフティネットの確立と経済活性化、財政健全化の三つは一体の関係にあり、この好循環を確立することが求められています。ところが現在はこれが全く逆回転をしています。

2.鳩山政権での対応

(1)構造変化への対応・新たな国づくり
 鳩山政権では、経済・社会構造の変化に対し、以下のような方針で対応を開始しています。
 第一に、市場メカニズムの持つ効率的な資源配分機能は十分に認識しつつ、市場は万能ではないという認識の下、「人間のための経済」を目指しています。経済面での自由な競争は促しつつも、雇用や人材育成といった面でのセーフティネットの整備、食品の安全や治安の確保、消費者の視点の重視といった、国民の暮らしの豊かさに力点を置くという考えです。
 第二に、チルドレンファーストの考え方に立ち、子どもは「社会の宝」として、社会全体で責任をもって育て上げる体制を作り、少子化に歯止めをかけることを目指しています。具体的には、現金給付型サービスの拡充と併せて、NPOなどの「新たな公共」の担い手の参画も得ながら、市場では調達しにくい育児・保育サービスなどの現物給付型サービスが子どもを持つ世帯に行き渡るようにする政策をセットで提供していきます。男女の働き方を制約している要因を取り除き、家庭での時間を大切にできるような政策を進めることも重要です。
 第三に、地域主権の確立による地方の再生です。地方自治体の自由度を高め、地域のことは地域の住民が決められるように改め、それぞれの地方にあった政策を行えるようにすることで、活気に満ちた地域社会をつくります。地域主権を早期に確立するために、先般、「地域主権戦略会議」を発足させました。
 第四に、世界で最も進んだ持続可能な低炭素社会をつくることを目指しています。豊かな地球環境は子どもを育む宝です。国連気候変動首脳会議で、全ての主要国の意欲的な参加を前提に、2020年までに1990年比で温室効果ガスの25%削減を目指す「チャレンジ25」や途上国支援等の「鳩山イニシアティブ」を提唱し、その実現に向け政策を総動員する方向で検討を進めています。低炭素社会の構築は、未来への責任を果たすことだけでなく、資源制約を抱えた我が国の弱点克服にもつながります。さらに、環境技術で国際的な優位性を確保することにもつながります。

(2)政府への信頼の回復・国民不安の解消
 鳩山政権では、国民の政府への信頼を回復し、国民不安を解消するため、以下のような方針で対応を開始しています。
 第一に、不安解消のための社会保障制度改革実現に向けたインフラ整備です。国民が安心して生活するためには、社会保障制度の抜本改革が必要です。そのために、社会保障・税共通の番号制度などのインフラ整備に向けて取組を進めています。
 第二に、社会の公益を重視します。営利事業者や行政だけではなく、NPOなども含めて、皆で協働して社会の公益を実現していく「新しい公共」づくりを重視し、支援する仕組みの検討を進めています。
 第三に、「未来への責任」という観点から、膨大な国債の発行・累積は未来を担う子どもたちにツケを回すものであるとの意識を持って、中長期的な財政健全化に取り組みます。まずは事業仕分け、特別会計の見直し、徹底的な行政改革、「コンクリートから人へ」など、税金の無駄遣いの徹底的な排除と予算の総組み替えを進めていきます。さらに、来年前半には、中長期的な財政健全化への道筋を明らかにします。
 第四に、中長期的視点に立ち安定的・持続的な成長を実現するための成長戦略を策定します。国民生活を守るためには力強い経済成長が必要です。インフラ整備の進展、経済構造の変化に伴い、公共投資の経済効果は趨勢的に低下してきています。将来世代を含めて国民の暮らしの豊かさや地域の発展等を実現するとともに、我が国の潜在力と知恵を引き出すことにより新たな需要の創出と生産性の向上を両立させ、内需と外需のバランスのとれた経済構造へと転換していく必要があります。世界最高の低炭素型産業・「緑の産業」の育成、情報通信技術(ICT)の利活用促進、先端分野における研究開発・人材育成の強化、規制のあり方の全面的見直し、「コンクリートから人へ」という基本方針に基づく産業構造の転換や、医療・介護、子育て・教育、農林漁業、観光などの分野における新しい雇用と需要の創出などが重要です。

第1章 税制改革に当たっての基本的考え方

1.税制の現状について
 我が国では、戦後のシャウプ勧告により、公平性を重視するとともに恒久的・安定的な税制を目指すという理念の下に、課税ベースを広く取った直接税中心の税体系への改革が行われました。しかしその後、半世紀以上にわたる変遷の中で、各種の租税特別措置の導入や所得控除の拡大等による課税ベースの縮小、所得課税・資産課税における累進性の緩和など、当初の税制からは相当に形が変わりました。
 その過程において、税制が複雑になりすぎたり、一部に既得権が生まれたり、あるいは税を払うことでどれだけの恩恵があるのか、すなわち受益と負担の関係が不明確になったりと、納税者から見た「納得」という観点から大きくかけ離れた形になってしまっています。また構造的な財政赤字は、現行税制が税における「十分性の原則」、すなわち社会保障などの必要な財政需要を賄うのに必要な租税収入を確保すること、を満たせなくなっていることを示しています。

2.税制改革の視点

 このような現行税制の抱える問題点を払しょくすべく、厳しい財政状況を踏まえつつ、支え合う社会の実現に必要な財源を確保し、経済・社会の構造変化に適応した新たな税制を構築することは、新しい国のかたちを作るために必要不可欠です。
 特に税制は「代表なくして課税なし」の言葉に象徴されるように、議会制民主主義の根幹をなすものであり、そのあり方については主権者たる国民、すなわち納税者にとって納得できるものでなければなりません。したがって、税制論議を行うに際しては、常に納税者の立場に立って論議を行うことが必要です。
 税制全般の抜本改革を進めるに当たっては、こうした考え方から、以下の視点に特に重点を置きます。
 第一に、納税者の立場に立って「公平・透明・納得」の三原則を税制のあり方を考える際に常に基本とします。納税者の立場に立ったとき、好ましい税制のあり方は、制度が公平で、かつ、制度の内容が透明で分かりやすく、その制度に基づいて納税することについて納得できるものである必要があります。
 第二に、「支え合い」のために必要な費用を分かち合うという視点を大事にします。国民一人一人が頑張り、かつ、その結果が報われる社会であるべきことは大前提です。しかし、人はその人だけの頑張りによって生きられるのではなく、様々な人と関わり互いに支え合うことにより、社会は成立しています。現在、我が国が抱える様々な問題を解決するためには、世代間および世代内の両面にわたり、お互いに「支え合い」、共によりよい社会をつくっていくという共通認識を持って、そのために必要な費用を社会全体で分かち合うことが必要です。税制はまさにその費用の分かち合い方を決めるものです。
 第三に、税制改革と社会保障制度改革とを一体的にとらえて、その改革を推進します。年金の抜本改革をはじめとして、真に必要な人に重点的に手を差し伸べることができるような社会保障制度へと改革を行う過程では、必ず税制との役割分担の議論が生じます。したがって税制改革の議論を行うに際しては、社会保障制度改革の議論とも平仄を合わせることが重要です。また、例えば、政策税制を検討する場合においても、雇用機会の拡大につながるかといった社会政策的な視点も今後は重要となります。
 第四に、グローバル化に対応できる税制のあり方を考えます。グローバル化の進展により、「国は納税者である人や企業を囲い込むことができる」というこれまでの前提が根本的に変化し、税制以外の判断要素もあるものの、担税力の高い者ほど納税する場所を自ら選択できる状況が生まれています。このような状況の中では税制の仕組みもそれに適合したものに変わっていかざるを得ません。また地球温暖化をはじめとする環境問題や資源・エネルギー問題といった地球規模の課題に対応するための税制のグリーン化などの取組も求められています。
 あわせて、税制の国際協調を推進していきます。例えば各国において法人税率の引下げが進む中、タックス・ヘイブンを利用した租税回避などに対応するためには、情報交換ネットワークの拡充等を通じた税に関する国際協調が求められています。各国と協力し、国際的な税制面での協調促進によって、国際的な税の争奪戦が起きない状況を目指します。
 第五に、地域主権を確立するための税制を構築していきます。地域再生のためにはもちろんのこと、市民に一番身近な自治体が、自らの権限と責任で自らの税制のあり方を定め、そこから得られる税収によって住民が求める行政サービスを提供することは、納税者としての意識を高め、税の無駄遣いを防ぐことにもつながります。今後、地域主権を確立するためには、国と地方の役割分担の大幅な見直しと併せて、それぞれの担う役割に見合った形へと国・地方間の税財源の配分のあり方を見直します。

第2章 新しい税制改正の仕組み

1.新しい税制調査会の設置

 これまでの税制改正は、与党の税制調査会と政府の税制調査会においてバラバラに議論されてきました。また、その実質的な意思決定は、税制改正について法的な権限や責任を有しない与党の税制調査会で行われてきました。このように、税制改正については議論の過程が不透明であり、国民にとって理解や納得を得にくい形で進められてきました。
 しかしながら、税は国民の皆さんに納めていただくものであり、税制改正に当たっては、政府において権限と責任を有する政治家が決定する透明な仕組みを作った上で、税制改正の議論に携わった政治家が責任を持って国会審議の場で答弁を行い、国民の理解や納得が得られるように努めていかなければなりません。
 そこで、鳩山政権では、これまでの与党の税制調査会と政府の税制調査会の機能を一元化し、政府の責任の下で税制改正の議論を行うために、政治家から構成される「税制調査会」を政府に新しく設置しました。また、鳩山政権では、予算編成過程を抜本的に透明化・可視化するとの方針の下、国民の皆さんにどのような議論が行われているのかが良く見えるようにしています。歳出面における行政刷新会議の事業仕分けの全面公開などと同様、歳入面でも、税制調査会の審議の模様をインターネット中継によりリアルタイムで配信するとともに、その議事録や資料を迅速に公表することとしました。
 さらに、税制調査会には、各府省の副大臣が委員として参加し、多様な税制改正要望が反映できるようにしました。各府省では、税制改正要望を公募したり、提出された税制改正要望のヒアリングを公開するなど様々な工夫が行われており、今後もこうした透明化の工夫を進めていく必要があります。
 これらに加え、税制については専門的・技術的な見地からの検討も必要です。このため、第5章で述べるとおり、税制の専門家として中長期的視点から税制のあり方に関して助言を行う専門家委員会を近日立ち上げることとしています。
 地方税制については、地方の声を反映する仕組みを構築することが必要です。税制調査会では、平成22年度税制改正に当たり、全国知事会、全国市長会、全国町村会との意見交換を行いましたが、今後、国と地方が対等に協議する場の法制化の議論との関連を整理しつつ、地方税制に関する地方の声を十分反映できる仕組みを検討します。
 鳩山政権では、こうした様々な場を通じ、国民の理解と納得を得ながら税制改正を行っていきます。

2.「ふるい」、租特透明化法(仮称)

(1)「ふるい」による租税特別措置の抜本的な見直し
 税制の中には、「租税特別措置」と呼ばれるものがあります。租税特別措置には様々なものがありますが、その多くが特定の者の税負担を軽減することなどにより産業政策等の特定の政策目的の実現に向けて経済活動を誘導する手段となっています。他方、こうした租税特別措置は、「公平・透明・納得」の原則から見れば、税負担の公平の原則の例外であり、これが正当化されるためには、その適用の実態や効果が透明で分かりやすく、納税者が納得できるものでなくてはなりません。しかし、現状では、適用実態がはっきりしないものや、適用件数が非常に少ないもの、導入から相当期間が経過し役割を終えているもの、特定の業界や一部の企業のみが恩恵を受けていると思われるものが散見されます。
 税制における既得権益を一掃し、納税者の視点に立って公平で分かりやすい仕組みとするためには、租税特別措置をゼロベースから見直し、整理合理化を進めることが必要です。この見直しのための「ふるい」として、「租税特別措置の見直しに関する基本方針」と「地方税における税負担軽減措置等の見直しに関する基本方針」を定めました(別紙1、2参照)。租税特別措置のうち、産業政策等の特定の政策目的により税負担の軽減等を行う「政策税制措置」は、現在、国税で241項目、地方税で286項目ありますが、これらの全てを「ふるい」にかけて、平成22年度税制改正から始まる今後4年間で抜本的に見直します。
 見直しの初年度となる平成22年度税制改正では、平成21年度末までに適用期限が到来する措置を中心に、各府省から拡充や見直しの要望があった項目等を含め、国税で82項目、地方税で90項目の見直しを行いました。この結果として、国税で41項目、地方税で57項目を廃止又は縮減することとしました。
 なお、今般適用期限を延長するとしたものについても、下記の「租特透明化法(仮称)」の制定や地方税法の改正によりその適用実績を明らかにするとともに、政策評価を厳格に行うこととします。

(2)租特透明化法(仮称)の制定等
 租税特別措置の抜本的な見直しを進めるに当たり問題となるのが、現行の租税特別措置の中に、その適用実績の把握や効果の検証が十分なされていないものが少なからずあることです。租税特別措置は、特定の者に税負担の軽減という経済的な利益を与えるという意味で補助金と同じ機能を果たすものであり、外国では「租税歳出」とも呼ばれています。こうした租税特別措置がどのように利用され、どのような効果を生じているかは、補助金と併せて、透明でなければなりません。
 このため、租税特別措置の適用実態を明らかにし、その効果を検証できる仕組みとして、来年の通常国会において「租特透明化法(仮称)」の制定を目指します。租特透明化法(仮称)では、法人税関係の租税特別措置について提出を求める「適用額明細書」を集計するなどの方法により租税特別措置の適用実態調査を行い、その結果を国会へ報告することなどを定めます(別紙3参照)。なお、法施行後の状況を踏まえ、国会への報告のあり方等について必要な見直しを検討します。
 また、地方税における税負担軽減措置等についても、その適用実態の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進するため、地方税法において所要の措置を講じます。具体的には、地方税に関する統計資料等により地方税における税負担軽減措置等の適用実態を把握し、その結果を国会へ報告することなどを定めます(別紙4参照)。

第3章 各主要課題の改革の方向性

1.納税環境整備

(1)納税者権利憲章(仮称)の制定
 「代表なくして課税なし」の言葉に象徴されるように、議会制度は税と共に発展してきたといっても過言ではありません。つまり、議会制民主主義における税のあり方は、あくまでも税を納める主権者たる国民の立場に立って決められるべきものです。国民主権にふさわしい税制を構築していくため、納税者の税制上の権利を明確にし、税制への信頼確保に資するものとして「納税者権利憲章(仮称)」を早急に制定します。
 納税者の権利を守るための具体的な改革として、更正等の期間制限が課税庁からの更正と納税者からの修正で異なる点について見直していきます。特に課税庁の増額更正(事後的な納税額の増額)の期間制限が3〜7年であるのに対して、納税者からの更正の請求(事後的な納税額の減額)の期間制限が1年であることは納税者の理解を得られにくく、早急に見直す必要があります。

(2)国税不服審判所の改革
 税が議会制民主主義の根幹であることを考えれば、個別の課税事案に対して納得できない納税者の主張を聞く「国税不服審判所」は、民主主義にとって極めて重要な機関です。
 しかし、国税不服審判所の現状は、この重要な役割を果たすには十分ではありません。特に、その機能を果たすために最も重要な審判官の多くを国税庁の出身者が占めていることは問題です。そのほかにも証拠書類の閲覧・謄写が認められていないなどの問題があります。
 これらの観点から、国税不服審判所の組織や人事のあり方、不服申立前置主義の見直し、不利益処分の理由附記などについて、行政不服審査制度全体の見直しの方向を勘案しつつ、納税者の立場に立って、適正な税務執行が行われていることが国民に明らかになるよう、必要な検討を行います。

(3)社会保障・税共通の番号制度導入
 社会保障制度と税制を一体化し、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障を充実させるとともに、社会保障制度の効率化を進めるため、また所得税の公正性を担保するために、正しい所得把握体制の環境整備が必要不可欠です。そのために社会保障・税共通の番号制度の導入を進めます。
 番号は基礎年金番号や住民票コードなどの既存番号の活用、新たな付番など様々な選択肢が考えられます。付番・管理する主体については、(4)で詳述する歳入庁が適当であると考えます。
 以上、徴収とも関連しますが、主として給付のための番号として制度設計を進めます。その際は、個人情報保護の観点が重要なことは言うまでもありません。

(4)歳入庁の設置
 年金制度改革と並行して、年金の保険料の徴収を担っている日本年金機構(2010年1月に社会保険庁より改組予定)を廃止し、その機能を国税庁に統合、歳入庁を設置する方向で検討を進めます。
 歳入庁は税と社会保険料の賦課徴収を一元的に行います。行政の効率化が進み、行政コストも大幅に削減できます。国民にとっても、税は税務署、保険料は社会保険事務所など別々の場所に納付する手間が省けます。
 歳入庁は、国税と国が管掌する社会保険料の徴収を行うこととなりますが、国税と徴収対象や賦課基準が類似の税について自治体が希望する場合、地方税等の徴収事務を受託することも検討します。

(5)罰則の適正化
 納税者の税制上の権利の裏返しとして、納税者には適正に税制上の義務を履行することが求められます。義務を適正に履行しない納税者に対しては、厳正かつ的確に対処する必要があります。
 課税の適正化を図り、税制への信頼を確保するためには、罰則の適正化も重要です。他の経済犯とのバランスなどを考えながら、罰則の見直しを行う必要があります。

(6)納税環境整備に係るPTの設置
 以上、(1)納税者権利憲章(仮称)の制定、(2)国税不服審判所の改革、(3)社会保障・税共通の番号制度導入、(4)歳入庁の設置、等について、具体化を図るため、税制調査会の下にプロジェクト・チーム(PT)を設置します。特に、(1)(2)(3)については1年以内を目途に結論を出します。
 なお、社会保障・税共通の番号制度やこれを付番・管理する歳入庁の設置については、税制のみならず、社会保障制度も関連することから、税制調査会のPTと並行して、内閣官房国家戦略室を中心に、府省横断的に検討を行うこととします。

2.個人所得課税

(1)所得税
@基本的仕組み
 現行所得税では、収入や経済的利益などから、発生形態に応じて設けている給与・事業など10種類の所得分類に従って、給与所得控除や必要経費などを差し引き、所得金額を計算しています。原則として、これらの10種類の所得金額を合算し、その金額から基礎控除、配偶者控除などの所得控除を差し引き、その残額に対して超過累進税率を適用して税額を計算する総合課税の仕組みをとっています。
 累進税率とは、所得が多くなるに従い高い税率を課す方法であり、我が国では6つの税率適用所得区分(ブラケット)を設け、ブラケットに応じた税率を課す超過累進税率をとっています(資料1参照)。
 例えば、300万円の所得(収入ではありません)がある場合、0円から195万円までは税率5%、195万円超330万円までは10%ですので、195万円×5%+(300万円―195万円)×10%=20.25万円という計算になります。
 ただし、利子などは源泉分離課税と言って、源泉徴収段階で課税し、他の所得と合算しません。株式譲渡益などは申告分離課税と言って、確定申告の段階で他の所得と合算せず、課税しています。

A現状と課題
 所得税については、累次の改正により、税率の引下げ・その適用範囲(ブラケット幅)の拡大が行われるとともに、各種控除の累次にわたる拡充によって課税最低限の引上げが行われてきており、所得再分配機能や財源調達機能が低下している状況にあります。
 現在の所得税は累進構造をとっていますが、実効税率はなだらかに上昇し、一定所得以上は下降しており、累進性を喪失している状態と言えます(資料2参照)。
 その原因としては、第一に、所得控除が相対的に高所得者に有利なこと、第二に、分離課税している金融所得などに軽課していることなどが挙げられます。
 格差が拡大する中、所得税には所得再分配機能の発揮が求められています。特に、中間層が低所得層へと落ちていく下への格差拡大を食い止めることは喫緊の課題です。
 累進構造を回復させる改革を行って所得再分配機能を取り戻す必要があります。

B改革の方向性
 所得再分配機能を回復し、所得税の正常化に向け、税率構造の改革のほか、以下のような改革を推進します。
第一に、的確に所得捕捉できる体制を整え、課税の適正化を図るために、社会保障・税共通の番号制度の導入を進めます。ただし、一般の消費者を顧客としている小売業等に係る売上げ(事業所得)や、グローバル化が進展する中で海外資産や取引に関する情報の把握などには一定の限界があり、番号制度も万能薬ではないという認識も必要です。
 第二に、所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ転換を進めます。
 第三に、本来、全ての所得を合算して課税する「総合課税」が理想ではありますが、金融資産の流動性等にかんがみ、当面の対応として、景気情勢に十分配慮しつつ、株式譲渡益・配当課税の税率の見直しに取り組むとともに、損益通算の範囲を拡大し、金融所得の一体課税を進めます。

C所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ
 現行所得税の所得控除制度は、結果として、高所得者に有利な制度となっています。なぜなら同額の所得を収入から控除した場合、高所得者に適用される限界税率が高いことから高所得者の負担軽減額は大きくなる一方で、低い税率の適用される低所得者の実質的な軽減額は小さくなるからです。
 例えば、0歳から15歳までの子どもを対象とする扶養控除は子育て支援の機能を有していますが、同じ38万円の所得控除を適用した場合、高所得者が10万円を超える減税になるのに対して、低所得者では2万円の減税にもなりません。
 所得控除を一律の税額控除に変えれば、限界税率の低い低所得者ほど所得比で見た負担軽減効果が大きい仕組みになります。
 手当は相対的に高所得者に有利な所得控除に代えて現金給付を行うものであり、定額の給付であることから相対的に支援の必要な人に実質的に有利な支援を行うことができます。

 所得再分配機能の回復や「所得控除から手当へ」との考え方の下で、支え合う社会づくりの第一歩として、子どもの養育を社会全体で支援するとの観点から、22年度において、子ども手当の創設とあいまって、0歳から15歳までの子どもを控除対象とする扶養控除を廃止することとします(平成23年分からの適用となります)。23歳から69歳までの成年を控除対象とする扶養控除についても、このような観点に加え、就労している人と就労していない人との公平の観点からも検討を行ってきましたが、さらに議論を深めて幅広い国民的な合意を得ながら、今後、その見直しに取り組むこととします。
 教育費等の支出がかさむ世代の税負担の軽減を図るために創設された16歳から22歳までの特定扶養親族を控除対象とする特定扶養控除については、22年度において、高校の実質無償化に伴い、16歳から18歳までの特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(25万円)を廃止することとします(平成23年分からの適用となります)。これらの見直しに伴い、現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。
 なお、所得税・個人住民税の扶養控除等について、「所得控除から手当へ」等の考え方の下で見直すことにより、現行制度においては、これらの税額等と連動している国民健康保険料、保育料等の医療・福祉制度に関する負担に影響が生じることになりますが、見直しの趣旨を踏まえて、制度の所管府省においては、負担の基準の見直し、経過措置の導入など適切な措置を講じることとします。
 配偶者控除については、その考え方等について広く意見を聴取しつつ整理を行った上で、今後、その見直しに取り組むこととします。
 また、所得再分配機能の回復等の観点からの、給与所得控除の見直しや、税率構造などの所得税改革にも取り組むこととします。
 給与所得控除には上限がありませんが、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて必ずしも増加するとは考えにくく、高所得者により有利な制度となっています。このため、給与所得控除に関しては、上限を設けるなどの見直しが必要です。また、給与所得者であっても、本来は実際にかかった経費の実額を控除することが望ましいと言えます。現行の特定支出控除(通勤費など一定の支出の額が給与所得控除額を超えるときは、その超える部分を控除する制度)の適用実績は僅少で推移しています。給与所得控除の見直しと併せ、特定支出控除の対象範囲を拡大することにより、給与所得者にとって使いやすい制度にすることを検討します。
 国民の納税者としての意識を高め、より強固な民主主義を構築していくため、納税者自らが所得及び税額を確定申告することが基本でなければなりません。給与所得控除と特定支出控除を見直すことにより、特定支出控除の選択的適用の増加を通じ、給与所得者の確定申告の機会拡大につなげます。

 さらに、所得再分配機能を高めていくために、「給付付き税額控除」の導入も考えられます。これは税額控除を基本として、控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で給付するといった制度です。給付とほぼ同じ効果を有する税額控除を基本とすることから、手当と同様に、相対的に低所得者に有利な制度です。
 給付付き税額控除は多くの先進国で既に導入されています。我が国で導入する場合には、所得把握のための番号制度等を前提に、関連する社会保障制度の見直しと併せて検討を進めます。
 以上で述べた税額控除・給付付き税額控除と手当などの社会保障政策のベストミックスで「支え合う」社会を構築していきます。

(2)個人住民税
 個人住民税は「地域社会の会費」として、住民がその能力に応じて広く負担を分かち合うという性格を有しており、所得税よりも課税最低限が低く設定されていて、比例税率をとっています。
 前述した通り、平成22年度税制改正では所得税において@0歳から15歳までの子どもを控除対象とする扶養控除の廃止、A16歳から18歳までの特定扶養控除の上乗せ部分の廃止を行います。税体系上の整合性の観点等から、個人住民税についても平成22年度税制改正において同様の措置を講じます(平成24年度分からの適用となります)。その際、扶養控除等の見直しにより国民健康保険料等に影響が生じることになりますが、制度の所管府省において、負担の基準の見直し・経過措置の導入など、適切な措置を講じることとします。さらに、今後の所得税における控除整理も踏まえ、控除のあり方について検討を進めます。
 個人住民税の所得割は前年所得を基準に課税しているため、収入が前年より大きく減少した人にとっては金銭的負担感が過重になります。納税者、特別徴収義務者、地方自治体の事務負担を踏まえつつ、現年課税化についても検討を行います。

3.法人課税

(1)現状と課題
 我が国の国税と地方税を合わせた法人実効税率は、国際的にみると高く、国際競争力などの観点から税率引下げの必要性が指摘されるところです。他方で、法人所得課税の負担に社会保険料事業主負担をあわせてみると、国際的にも必ずしも高い水準ではないという見方もあります。また、租税特別措置により、実質的な企業の負担には産業によってばらつきが見られます(資料3、4、5参照)。

(2)法人税の改革の方向性
 このところ法人課税の分野では、主に租税特別措置により特定の分野や活動に限られた財源を集中することで我が国経済を後押しする手法がとられてきました。しかし、諸外国をみれば、この間に課税ベースの拡大と併せた法人税率の引下げが進んできています。そこで、我が国でも、第2章で述べた通り、租税特別措置の抜本的な見直しなどを進め、これにより課税ベースが拡大した際には、成長戦略との整合性や企業の国際的な競争力の維持・向上、国際的な協調などを勘案しつつ、法人税率を見直していくこととします。

(3)中小法人に対する軽減税率の引下げ
 我が国において地域経済の柱となり、雇用の大半を担っているのは中小企業です。こうした中小企業を支えることは、税制にとっても重要な課題の一つです。このため、租税特別措置の見直しに当たっても、中小企業にはできる限りの配慮を行います。また、公益法人などに対する税率との均衡等も勘案しつつ、厳しい経営環境の中で必死に利益を上げている中小企業を支援するため、中小法人に対する軽減税率を引き下げることが必要です。これについては、課税ベースの見直しによる財源確保などと合わせ、その早急な実施に向けて真摯に検討します。

(4)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度
 特殊支配同族会社(いわゆる一人オーナー会社)については、現在、業務主宰役員(一人オーナー)の役員給与の一部を損金不算入とする制度が設けられています。この制度は、特殊支配同族会社の業務主宰役員は自ら給与を決めることで税負担の調整を図ることが可能であるという点を踏まえ、そうした役員給与が法人段階で損金算入され、個人段階でも給与所得控除の対象となる「二重控除」の問題に対処するために設けられたものです。しかし、この制度については、二重控除を是正する手法として適当かといった批判があります。
 このため、本制度は平成22年度税制改正で廃止します。その上で、給与所得控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講じることとします。

(5)地方法人課税
 国民が自らのニーズや地域の特性に合った行政サービスを享受できるようにするためには、地方自治体の財源を安定させる必要があります。しかし、法人住民税と法人事業税は地方自治体の基幹的税目でありながら、景気に左右されやすいという問題を有しています。
 また、法人住民税と法人事業税は、地方税の税目の中で最も地域間格差が大きい税目です。各都道府県別に人口1人当たりの法人住民税と法人事業税の税収額の指数(平成20年度決算見込み)を比較すると、最大の東京都と最小の奈良県の差は6.6倍となっています。格差是正のために地方法人特別税・譲与税の仕組みが導入されましたが、税制の抜本改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの暫定措置にすぎません。
 現行の地方交付税制度よりも財政調整の機能を一層強化した新たな制度を創設するための検討と併せて、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系の構築に向けて議論を進めます。

4.国際課税

(1)現状と課題
 近年、経済取引のグローバル化の進展に伴い、外国関係会社との取引関係の操作や税負担の少ない国(いわゆるタックス・ヘイブンなど)を利用した租税回避行為のリスクが高まっています。また、グロ−バル化が進む中、国境を超える取引が恒常的に行われるとともに、その取引も法人その他の多様な事業体の利用により複雑化していますが、実際に課税・徴収を確保するには、情報の把握の困難性や外国の主権により執行上の制約を受けるなど、税務執行も困難化しています。
 一方で、税務執行に係るルールを一層明確化し、経済取引の実態により即したものとすることが、納税者側に過大な負担をかけず、正常な企業活動を阻害しないために重要です。
 このため、制度・運用の両面において租税回避を防止して我が国の適切な課税権を確保すると同時に、企業活動活性化のため税務執行に係るルールを明確化・適正化する必要があります。

(2)改革の方向性
 移転価格税制については、平成22年度税制改正において必要な改正を行う予定です。今後、OECDにおける移転価格ガイドライン見直しの議論の動向などを踏まえつつ、関連者の判定基準における実質的な判断や独立企業間価格の算定方式における「幅(レンジ)」の概念のあり方などについて検討を行うとともに、独立企業間価格の算定方式の適用優先順位の柔軟化や比較対象取引の候補となりうる取引が複数存在する場合等の選定のあり方の更なる明確化、シークレットコンパラブル(類似の取引を行う第三者から質問検査等により入手した比較対象取引についての情報)のあり方、執行体制の充実などによる事前確認の一層の迅速化など、必要な方策を検討します。
 また、適切な課税・徴収の確保の観点から、クロスボーダーで活動を行う者の適切な課税の確保や、国外資産等に係る情報の的確な把握についても、具体的な方策について検討する必要があります。
 さらに、租税条約については、今後とも我が国経済の活性化や我が国課税権の適切な確保に資するよう、我が国の経済構造及び国内法制、国際課税を巡る状況等を勘案しつつ、そのネットワークの迅速な拡充に努めます。

(3)国際連帯税
 国際金融危機、貧困問題、環境問題など、地球規模の問題への対策の一つとして、国際連帯税に注目が集まっています。金融危機対策の財源確保や投機の抑制を目的として、国際金融取引等に課税する手法、途上国の開発支援の財源確保などのために、国境を越える輸送に課税する手法など、様々な手法が議論されています。すでにフランスやチリ、韓国などが航空券連帯税を導入するなど、国際的な広がりを見せています。我が国でも、地球規模の問題解決のために国際連帯税の検討を早急に進めます。

5.資産課税

(1)相続税・贈与税
 相続税は格差是正の観点から、非常に重要な税です。バブル期の地価急騰に伴い、相続税の対象者が急激に広がったことなどから、基礎控除の引上げや小規模宅地等の課税の特例の拡充により、対象者を抑制する等の改正が行われました。バブル崩壊後、地価が下落したにもかかわらず、基礎控除の引下げ等は行われてきませんでした。そのため、相続税は100人に4人しか負担しない構造となり、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、再分配機能が果たせているとは言えません(資料6参照)。また、金融資産の増加などの環境の変化が見られます。
 今後、格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて平成23年度改正を目指します。
 その見直しに当たっては、我が国社会の安定や活力に不可欠な中堅資産家層の育成や事業の円滑な承継等に配慮しつつ、本人の努力とは関係のない大きな格差が固定化しない社会の構築や課税の公平性に配慮すべきです。
 さらに、相続税の課税方式の見直しに併せて、現役世代への生前贈与による財産の有効活用などの視点を含めて、贈与税のあり方も見直していく必要があります。
 また、法人等を利用した租税回避への対応など、課税の適正化の観点からの見直しを引き続き行っていきます。

(2)固定資産税
 固定資産税は市町村税収の約42.5%(平成21年度地方財政計画)を占める重要な税目です。
 しかし、これまで適用実態や正当性等が検証されないまま、数多くの政策税制措置が設けられ、課税ベースを侵食しています。「公平・透明・納得」の税制の構築に向けて、「租税特別措置の見直しに関する基本方針」による見直しに加え、@実施期間が長期にわたる措置、A適用件数が少ない措置、B適用金額が小さい措置のいずれかの要件に該当する政策税制措置を今後4年間で厳格に見直します。
 上記の見直しにより、国民の生活を支える行政サービスを提供する市町村がより安定的に財源を確保できるようになります。
 また、公平性・公正性の観点から、負担調整措置のあり方及び固定資産の適正な評価について検討を進めます。

6.消費税

 消費税については、三党連立政権合意において、「現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」との方針を示しています。
 消費税は景気に比較的左右されない税目であり、我が国の基幹税目となっています。一方、消費税には所得が低いほど負担感が強い、いわゆる逆進性が指摘されるところです。逆進性対策として、軽減税率も考えられますが、非常に複雑な制度を生むこととなる可能性があることなどから、「給付付き税額控除」の仕組みの中で逆進性対策を行うことを検討していきます。
 消費税のあり方については、今後、社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて、使途の明確化、逆進性対策、課税の一層の適正化も含め、検討していきます。

7.個別間接税

(1)基本的な考え方
 消費税は基本的に全ての財・サービスに課されていることから、そのほかに間接税を課すことは、実質的に二重の負担をもたらすことになります。したがって、個別間接税については、特定の政策目的を含め、課税の趣旨を明確にすべきです。
 一方で、個別間接税に関連し、「グッド減税・バッド課税」という考え方が示されています。これは特定の財・サービスが環境や健康などに影響をもたらす時に、それが好影響である時には税負担を軽減し、悪影響である時には税負担を課すという考え方です。
 「グッド減税・バッド課税」の考え方に立ち、健康に配慮した税制や地球規模の課題に対応した税制の検討も進めます。

(2)たばこ税・酒税
 たばこ税・酒税は、いずれも消費税と実質的に二重の負担をもたらすものであると同時に、これまで安易な財源確保策として用いられてきたという問題があります。
 これはたばこ税・酒税が財源確保を目的に創設されたことに由来するものですが、前記の基本的な考え方に照らして、このようなあり方は望ましいものではありません。
 たばこ税・酒税は国民の健康に対する負荷を踏まえた課税に改めるべきであり、その際には国民に分かりやすい仕組みにすることが必要です。その観点から、酒税については、酒類の生産・消費の状況等に配慮しつつ、類似の酒類については、基本的に致酔性の観点からアルコール度数に着目した税制とすることを検討します。

 たばこ税については、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります。その判断にあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を見極めつつ行っていくこととします。その過程で、たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、上記のたばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて、新たな枠組みの構築を目指すこととします。
 上記の方針に沿って、平成22年度において、1本あたり3.5円の税率引上げ(価格上昇は5円程度)を行います。

(3)暫定税率、地球温暖化対策のための税等
@暫定税率
 揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税、自動車重量税及び自動車取得税の暫定税率は、これまで累次の道路整備計画に定められた道路整備のための財源として、道路整備計画と一体的なものとして延長されてきました。
 現在の暫定税率は、平成19年12月に検討された10年間の道路整備計画の案を根拠に平成20年4月から平成30年3月末までの10年間のものとして定められましたが、財源の使途については、前政権下の平成21年4月に一般財源化され、道路特定財源制度はなくなりました。
 このような認識に立って、現行の10年間の暫定税率は廃止することとします。
 他方、現在は石油価格も安定しており、化石燃料消費が地球温暖化に与える影響についても度外視できない状況にもあります。また、急激な税収の落ち込みにより、財政事情も非常に厳しい状況にあることも踏まえる必要があります。このようなことから、今回の税制改正では、長い経緯に縛られてきた現行の10年間の暫定税率は、廃止しますが、当分の間、揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税について現在の税率水準を維持することとしました。
 ただし、国民の生活を守る観点から、平成20年度上半期に見られたような石油価格の異常な高騰時には、本則税率を上回る部分の課税を停止するための措置を併せて講じることとします。

A地球温暖化対策のための税
 地球温暖化対策の観点から、1990年代以降、欧州各国を中心として、諸外国において、エネルギー課税や自動車関連税制などを含む、環境税制の見直し・強化が進んできています。
 我が国における環境関連税制による税収の対GDP比は、欧州諸国に比べれば低いといえますが、今後、地球温暖化対策の取組を進める上で、地球温暖化対策のための税について、今回、当分の間として措置される税率の見直しを含め、平成23年度実施に向けて成案を得るべく更に検討を進めます。

B車体課税
 自動車関連諸税においてはかねてより簡素化、負担の軽減、グリーン化が強く求められてきました。
 平成22年度においては、自動車重量税について、現行の10年間の暫定税率を廃止した上で、地球温暖化対策の観点から、当分の間、次世代自動車(電気自動車、ハイブリッド自動車等)には本則税率を適用するとともに、次世代自動車と比べて、単位重量あたりのCO2排出量が多いガソリン車等については、本則税率の2倍(自家用乗用車の場合)の税率を設定するなどの措置を講じることとします。
 また、いわゆる「エコカー減税」(24年4月末まで)については、制度の仕組みを維持します。
 以上の措置により、自動車重量税のグリーン化を行いながら、暫定税率による上乗せ分の国分の約2分の1に相当する規模の税負担の軽減を図ることとします。
 自動車取得税については、現行の10年間の暫定税率を廃止した上で、地球温暖化対策の観点から、当分の間、現在の税率水準を維持することとします。また、いわゆる「エコカー減税」(24年3月末まで)については、制度の仕組みを維持します。

C地方環境税の検討
 喫緊の課題である地球温暖化対策を推進するためには、地域において主体的な取組を進め、地球環境に貢献することが求められています。
 CO2の排出を抑制するためには、地方税においても、すでに軽油等に課税していることを踏まえ、燃料や自動車に対して、環境への負荷に応じた措置を行うことが必要です。
 また、地方公共団体は、地球温暖化対策について様々な分野で多くの事業を実施しています。このような地方の役割を踏まえ、地球温暖化対策のための税を検討する場合には、地方の財源を確保する仕組みが不可欠です。

8.市民公益税制(寄附税制など)

 従来、公共は行政により専ら担われてきました。昨今、市民・事業者・行政が協働して課題を解決していく「新しい公共」の役割が重要性を増してきています。
 少子高齢化が進む中、国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するため、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や介護・福祉などの公益活動に市民が積極的に参加していけるよう、社会全体で支えていく必要があります。
 市民が担う公益活動を資金面で支える上で寄附の役割は重要です。市民公益税制に係るプロジェクト・チーム(PT)を設置し、平成22年4月末を目途に成果を得るよう改革に向けた検討を進めます。PTでは、寄附税制に加え、公益活動を担う法人(NPO法人や公益法人など)に係る税制についても検討を行います。

9.地域主権の確立に向けた地方税財源のあり方

(1)国と地方の税源配分のあり方の見直し
 地域主権改革を推進し、国の役割を限定して、地方に大幅に事務事業の権限を移譲します。国と地方の役割分担を踏まえるとともに、地方が自由に使える財源を拡充するという観点から国・地方間の税財源の配分のあり方を見直します。
 社会保障など地方行政を安定的に運営するための地方消費税の充実など、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築します。

(2)地方税に関する国の関与のあり方の見直し
 地方自治体が事務事業のみならず税の面でも創意工夫を活かすことができるよう、課税自主権の拡大を図ります。

(3)地方の意見を反映する仕組みの構築
 国が地方に優越する上下関係から、対等の立場で対話していける新たなパートナーシップ関係に転換します。そのために、国と地方が対等に協議する場の法制化の議論との関連を整理しつつ、地方税制に関する地方の声を十分反映できる仕組みを検討します。

第4章 平成22年度税制改正

1.平成22年度税制改正の考え方
 鳩山政権では、支え合う社会を実現するとともに、経済・社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制を構築する観点から、税制全般にわたる改革に取り組むこととしています。
 こうした取組の第一歩として、平成22年度税制改正においては、「控除から手当へ」等の観点からの扶養控除の見直し、国民の健康の観点を明確にしたたばこ税の税率の引上げ、「新しい公共」を支える市民公益税制の拡充、納税者の視点に立った租税特別措置等の見直しその他の各般の税目にわたる所要の措置を一体として講じます。

2.個人所得課税
(1)諸控除の見直し
〔国税〕
@扶養控除の見直し
 イ 年少扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳未満の者をいいます。以下同じです。)に係る扶養控除を廃止します。
 ロ 特定扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳以上23歳未満の者をいいます。以下同じです。)のうち、年齢16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(25万円)を廃止し、扶養控除の額を38万円とします。
 ハ 扶養控除の見直しに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書及び公的年金等の受給者の扶養親族等申告書並びに給与所得及び公的年金等の源泉徴収票についてその記載事項及び様式の見直しを行うなど所要の措置を講じます。
 (注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。
A同居特別障害者加算の特例の改組
 イ 扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の額に35万円を加算する措置(同居特別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額に35万円を加算する措置に改めます。
 ロ イの見直しに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書の記載事項及び当該申告書の提出された給与所得に係る源泉徴収税額の計算の特例の整備を行うなど所要の措置を講じます。
 (注)上記の改正は、平成23年分以後の所得税について適用します。

〔地方税〕
@扶養控除の見直し
 イ 年少扶養親族に係る扶養控除を廃止します。
 ロ 特定扶養親族のうち、年齢16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(12万円)を廃止し、扶養控除の額を33万円とします。
 (注)上記の改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用します。
A同居特別障害者加算の特例の改組
 扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の額に23万円を加算する措置(同居特別障害者加算の特例措置)について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額に23万円を加算する措置に改めます。
 (注)上記の改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用します。
B諸控除の見直しに伴う所要の措置
 イ 個人住民税の非課税限度額制度等に活用するため、扶養控除の見直しの後も市町村が扶養親族に関する事項を把握できるよう所要の措置を講じます。
 ロ 標準的な生活保護基準額を基礎としている個人住民税の非課税限度額制度については、現行の仕組みを維持します。なお、非課税限度額の水準については、子ども手当が導入された際の生活保護制度における取扱いを踏まえ、今後、検討します。
 ハ 現行の調整控除について、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止等に伴う所要の措置を講じます。
 ニ 扶養控除の見直しに伴い、給与支払報告書及び公的年金等支払報告書についてその記載事項及び様式の見直しを行うなど所要の措置を講じます。
 (注)上記イ、ハ及びニの改正は、平成24年度分以後の個人住民税について適用します。

(2)金融証券税制
@ 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設
 金融所得課税の一体化の取組の中で個人の株式市場への参加を促進する観点から、平成24年から実施される上場株式等に係る税率の20%本則税率化にあわせて、次の非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置を導入します。
 イ 非課税措置の概要
  (イ) 居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座において管理されている上場株式等(以下「非課税口座内上場株式等」といいます。)に係る配当等でその非課税口座の開設の日の属する年の1月1日から10年内に支払を受けるべきもの(当該金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限ります。)については、所得税及び個人住民税を課さないこととします。
  (ロ) 居住者等が、非課税口座の開設の日の属する年の1月1日から10年内にその非課税口座に係る非課税口座内上場株式等の金融商品取引業者等への売委託等による譲渡をした場合には、その譲渡による譲渡所得等については、所得税及び個人住民税を課さないこととします。また、非課税口座内上場株式等の譲渡による損失金額は、所得税及び個人住民税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなします。
 ロ 非課税口座
  (イ) 「非課税口座」とは、居住者等(その年1月1日において満20歳以上である者に限ります。)が、上記イの非課税の適用を受けるため、金融商品取引業者等の営業所に対し、その者の氏名、住所等を記載した非課税口座開設届出書に非課税口座開設確認書を添付して提出することにより平成24年から平成26年までの各年において設定された上場株式等の振替記載等に係る口座(1人につき1年1口座に限ります。)をいいます。
  (ロ) 非課税口座には、その設定の日からその年12月31日までの間に当該非課税口座を設定された金融商品取引業者等を通じて新たに取得した上場株式等(その非課税口座を設定した時からの取得対価の額の合計額が100万円を超えない範囲内のものに限ります。)及び当該上場株式等を発行した法人の合併等により取得する合併法人株式等のみを受け入れることができます。
  (ハ) 非課税口座内上場株式等の範囲は、上場株式等に係る10%軽減税率の対象となる上場株式等と同様とします。
 ハ 非課税口座開設確認書の申請手続
  (イ) 上記ロの非課税口座開設確認書の交付を受けようとする居住者等は、その者の氏名、住所等を記載した交付申請書にその者の平成23年1月1日における住所地を証する住民票の写し等を添付して、その者が最初に非課税口座を開設しようとする年の前年10月1日からその開設年の9月30日までの間に、金融商品取引業者等の営業所の長に対して提出しなければならないこととします。当該申請書の提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、その申請書に記載された事項をe-Tax等を利用する方法により、すみやかに当該金融商品取引業者等の営業所の所在地の所轄税務署長に送付しなければならないこととします。
  (ロ) 当該申請書の記載事項の送付を受けた税務署長は、その申請書の提出をした者につき、その送付を受けた時以前に申請書の提出がないことを確認しなければならないものとし、当該申請書の提出がないことの確認をした税務署長は、申請者の氏名、生年月日、基準日の住所等を記載した非課税口座開設確認書を当該金融商品取引業者等の営業所を通じてその申請書を提出した者に交付しなければならないこととします。
 ニ 非課税口座年間取引報告書(仮称)の税務署長への提出
 金融商品取引業者等は、その年中に非課税の適用を受けた非課税口座内上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の金額、非課税口座内上場株式等の残高等を記載した報告書を作成し、これを翌年1月31日までに、非課税口座が開設されていた金融商品取引業者等の営業所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととします。
 ホ その他所要の措置を講じます。

A生命保険料控除の改組
〔国税〕
 生命保険料控除を改組し、次のイからハまでによる各保険料控除の合計適用限度額を12万円とします。
 イ 平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除
  (イ) 平成24年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」といいます。)のうち介護(費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限度額4万円の所得控除(介護医療保険料控除)を設けます。
  (ロ) 新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ4万円とします。
  (ハ) 上記(イ)及び(ロ)の各保険料控除の控除額の計算は次のとおりとします。

年間の支払保険料等
控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

  (ニ) 新契約については、主契約又は特約の保障内容に応じ、その保険契約等に係る支払保険料等を各保険料控除に適用します。
  (ホ) 異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適用します。
  (ヘ) 剰余金の分配や割戻金の割戻し(以下「剰余金の分配等」といいます。)については、主契約と特約のそれぞれの支払保険料等の金額の比に応じて剰余金の分配等の金額を按分し、それぞれの支払保険料等の額から差し引くこととします。
 ロ 平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除
 平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」といいます。)については、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用限度額5万円)を適用します。
 ハ 新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除額の計算
 新契約と旧契約の双方の支払保険料等について一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、上記イ(ロ)及びロにかかわらず、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の控除額は、それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限4万円)とします。
  (イ) 新契約の支払保険料等につき、上記イ(ハ)の計算式により計算した金額
  (ロ) 旧契約の支払保険料等につき、従前の計算式により計算した金額
 (注)上記の改正は、平成24年分以後の所得税について適用します。

〔地方税〕
 生命保険料控除を改組し、次のイからハまでによる各保険料控除の合計適用限度額を7万円とします。
 イ 平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除
  (イ) 平成24年1月1日以後に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「新契約」といいます。)のうち介護(費用)保障又は医療(費用)保障を内容とする主契約又は特約に係る支払保険料等について、一般生命保険料控除と別枠で、適用限度額2.8万円の所得控除(介護医療保険料控除)を設けます。
  (ロ) 新契約に係る一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額は、それぞれ2.8万円とします。
  (ハ) 上記(イ)及び(ロ)の各保険料控除の控除額の計算は次のとおりとします。

年間の支払保険料等
控除額
12,000円以下 支払保険料等の全額
12,000円超32,000円以下 支払保険料等×1/2+6,000円
32,000円超56,000円以下 支払保険料等×1/4+14,000円
56,000円超 一律28,000円
  (ニ) 新契約については、主契約又は特約の保障内容に応じ、その保険契約等に係る支払保険料等を各保険料控除に適用します。
  (ホ) 異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適用します。
  (ヘ) 剰余金の分配や割戻金の割戻し(以下「剰余金の分配等」といいます。)については、主契約と特約のそれぞれの支払保険料等の金額の比に応じて剰余金の分配等の金額を按分し、それぞれの支払保険料等の額から差し引くこととします。
 ロ 平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除
 平成23年12月31日以前に生命保険会社又は損害保険会社等と締結した保険契約等(以下「旧契約」といいます。)については、従前の一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除(それぞれ適用限度額3.5万円)を適用します。
 ハ 新契約と旧契約の双方について保険料控除の適用を受ける場合の控除額の計算
 新契約と旧契約の双方の支払保険料等について一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、上記イ(ロ)及びロにかかわらず、一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の控除額は、それぞれ次に掲げる金額の合計額(上限2.8万円)とします。
  (イ) 新契約の支払保険料等につき、上記イ(ハ)の計算式により計算した金額
  (ロ) 旧契約の支払保険料等につき、従前の計算式により計算した金額
 (注)上記の改正は、平成25年度分以後の個人住民税について適用します。

B上場会社等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例について、平成22年12月31日まで適用する措置を講じた上、廃止します。なお、本特例の廃止に伴い、上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例等について次の措置を講じます。
 イ 自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当に係る大口株主の判定の基準日を、その公開買付けの終了の日とします。
 ロ みなし配当のうち上場株式等の配当等に該当するものの支払をする内国法人は、その配当等の支払事務取扱者である金融商品取引業者等に対し、そのみなし配当等の発生の基因となった事由、みなし配当の額等を通知しなければならないこととします。

C平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例について、適用期限(平成22年12月31日)の到来をもって廃止します。

D特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例(いわゆるエンジェル税制)の対象となる特定中小会社の範囲から、地域再生法に規定する特定地域再生事業会社を除外します。

E上場特定受益証券発行信託(日本版預託証券)について、次の措置を講じます。
 イ 上場証券投資信託の償還金等に係る課税の特例の適用対象に、内国法人等が上場特定受益証券発行信託の終了又は一部の解約により支払を受ける収益の分配を追加します。
 ロ 居住者等が上場特定受益証券発行信託の終了又は一部の解約により交付を受ける金銭の額その他の資産の価額については、その全額を、株式等譲渡所得等の収入金額とみなして課税するとともに、株式等証券投資信託等の償還金等の支払調書等の対象とします。

F株式投資による収益の申告手続を簡便にする趣旨で設けられている特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、次のものを追加します。
 イ 上場株式等以外の株式等を発行した法人の合併(その法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方のみの交付がされるものに限ります。)によりその株主が取得する合併法人株式又は合併親法人株式
 ロ 上場株式等以外の株式等を発行した法人の分割(その分割法人の株主等に分割承継法人株式又は分割承継親法人株式のいずれか一方のみの交付がされるものに限ります。)によりその株主が取得する分割承継法人株式又は分割承継親法人株式
 ハ 上場株式等以外の株式等を発行した法人の株式交換(その法人の株主等に株式交換完全親法人株式又はその親法人の株式のいずれか一方のみの交付がされるものに限ります。)によりその株主が取得する株式交換完全親法人株式若しくはその親法人の株式又は当該法人の株式移転(その法人の株主に株式移転完全親法人株式のみの交付がされるものに限ります。)によりその株主が取得する株式移転完全親法人株式

G国内の金融商品取引所において上場されている国外株式の配当等のうちその配当等の支払事務取扱者である金融商品取引業者を通じて支払をするものについては、その金融商品取引業者をその配当等の源泉徴収義務者(特別徴収義務者)とします。

H譲渡益課税の対象となる公社債の範囲に、利子が支払われない公社債(割引の方法により発行されるものを除きます。)を追加します。
 (注)上記の改正は、平成22年4月1日以後に行う譲渡について適用します。

I先物取引に関する支払調書制度等の対象となる取引に、次に掲げる取引を追加します。
 イ 商品先物取引法の次に掲げる取引
  (イ) 先物取引のうち商品スワップ取引等(同法第2条第3項第5号から第7号までに掲げる取引)
  (ロ) 店頭商品デリバティブ取引
  (ハ) 外国商品市場取引
 ロ 金融商品取引法の次に掲げる取引
  (イ) 市場デリバティブ取引のうちスワップ取引等(同法第2条第21項第4号から第6号までに掲げる取引)
  (ロ) 外国市場デリバティブ取引
 (注1)上記イの改正は、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第74号)の施行の日以後に行われる差金等決済について適用します。
 (注2)上記ロの改正は、平成23年1月1日以後に行われる差金等決済について適用します。

J信託の受託者がその信託の受益者に対して交付する上場株式配当等の支払通知書、オープン型の証券投資信託の収益の分配の支払通知書及び配当等とみなす金額に関する支払通知書の交付期限を、その配当等の支払の確定した日から45日以内(現行1月以内)とします。

K保険法の制定により新たに第三分野の保険契約の類型が設けられたこと等を契機に、所得税関係の法令における「生命保険契約」及び「損害保険契約」の範囲について明確化等を図ります(相続税、贈与税及び法人税関係の法令並びに地方税関係の法令についても同様とします。)。

(3)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
@特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であることの要件を追加した上、その適用期限を2年延長します。
 (注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用します。

A給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例について、平成22年12月31日の適用期限の到来をもって廃止するとともに、同日以前に使用者から住宅資金の貸付け等を受けている者に対して本特例を引き続き適用するための所要の経過措置を講じます。

B次のイの特例並びに次のロ及びハの特例に係る適用除外措置の範囲から、独立行政法人空港周辺整備機構に対する土地等の譲渡を除外します。
 イ 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
 ロ 土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例
 ハ 短期譲渡所得の課税の特例

C特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の範囲から、空港周辺整備計画に係る事業の用に供するために土地等が買い取られる場合の措置を除外します(法人税についても同様とします。)。

D承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の場合の譲渡所得の課税の特例について、期限が到来したため、その規定を削除します(法人税についても同様とします。)。

(延長・拡充等)
@居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長します。

A特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長します。

B自然公園法及び自然環境保全法の改正に伴い、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除及び特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を引き続き適用するための所要の整備を行います(法人税についても同様とします。)。

Cオリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして各競技統括団体から交付される金品について、一定の金額(第1位:300万円、第2位:200万円、第3位:100万円)までの部分を非課税とするとともに、租税特別措置法に規定されているオリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして交付される金品の非課税措置と併せて、所得税法に規定します。
 (注1)本非課税措置の適用対象となる各競技統括団体は、文部科学大臣が財務大臣と協議して指定するものとします。
 (注2)上記の改正は、平成22年分以後の所得税について適用します。

〔地方税〕
(廃止・縮減等)
@給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例について、平成22年12月31日の適用期限の到来をもって廃止するとともに、同日以前に使用者から住宅資金の貸付け等を受けている者に対して本特例を引き続き適用するための所要の経過措置を講じます。

A次のイの特例並びに次のロ及びハの特例に係る適用除外措置の範囲から、独立行政法人空港周辺整備機構に対する土地等の譲渡を除外します。
 イ 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
 ロ 土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例
 ハ 短期譲渡所得の課税の特例

B特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の範囲から、空港周辺整備計画に係る事業の用に供するために土地等が買い取られる場合の措置を除外します。

C特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円以下であることの要件を追加した上、その適用期限を2年延長します。
 (注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用します。

(延長・拡充等)
@居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長します。

A特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長します。

B特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金制度の適用期限を2年延長します。

C自然公園法及び自然環境保全法の改正後も、特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除及び特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を引き続き適用します。

Dオリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして各競技統括団体から交付される金品について、一定の金額(第1位:300万円、第2位:200万円、第3位:100万円)までの部分を非課税とするとともに、国税において、租税特別措置法に規定されているオリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして交付される金品の非課税措置と併せて所得税法に規定されることに伴い、両措置を本則措置として取り扱います。
 (注1)本非課税措置の適用対象となる各競技統括団体は、所得税の例によるものとします。
 (注2)上記の改正は、平成23年度分以後の個人住民税について適用します。

(4)その他
〔国税〕
@小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
 イ 共同経営者が支払った掛金については、その全額を所得控除の対象とします。
 ロ 共同経営者が支給を受ける分割(年金)払いの共済金等については、公的年金等控除を適用し、一括払いの共済金等については退職手当等とみなします。

A中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される同居親族のみを雇用する事業の従業員及びその従業員に係る事業主について、所要の省令改正を前提に、次の措置を講じます。
 イ その事業主掛金については、事業主の所得の金額の計算上必要経費に算入します(法人税についても同様とします。)。
 ロ その事業主掛金に係る従業員の給与所得の金額の計算上、収入金額に算入しないこととします。
 ハ その従業員が支給を受ける分割(年金)払いの退職金については公的年金等控除を適用し、一括払いの退職金については退職手当等とみなします。

B確定拠出年金制度について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
 イ 企業型確定拠出年金に導入される個人拠出(いわゆるマッチング拠出)の掛金について、その全額を所得控除の対象とします。
 ロ 中途引き出し要件の緩和及び資格喪失年齢の引上げ後も現行の確定拠出年金制度に対する税制上の措置を適用します。

C子ども手当(仮称)について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 所得税を課さないこととします。
 ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

D高校の実質無償化について、所要の制度の整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 所得税を課さないこととします。
 ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

E父子家庭に支給されることとなる児童扶養手当及び一部支給停止制度の廃止により支給されることとなる児童扶養手当について、所要の法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 所得税を課さないこととします。
 ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

F求職者支援給付(仮称)について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 所得税を課さないこととします。
 ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

G新たに雇用保険制度の対象となる者が支給を受ける失業等給付について、所要の法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 所得税を課さないこととします。
 ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止します。

H新たに身体障害者手帳の交付対象者とされる肝機能障害を有する者について、所要の政令改正を前提に、障害者控除の対象とするなど、現行の障害者に対する税制上の措置を適用します(法人税、相続税、贈与税、印紙税、地価税及び国税徴収についても同様とします。)。

I厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う存続組合が支給する特例年金給付等に関する政令の一部改正により、新たに支給されることとなる一時金(特例老齢農林一時金)について、次の措置を講じます。
 イ 国税徴収法に規定する「退職手当等」として、一定額までの差押えを禁止する財産に追加します。
 ロ 所得税法に規定する「退職手当等」とみなします。

J独立行政法人地域医療機能推進機構法の制定を前提に、独立行政法人地域医療機能推進機構を所得税法別表第一(公共法人等の表)に追加します。

〔地方税〕
〈個人住民税〉
@市町村の合併の特例等に関する法律の一部改正により、合併市町村に係る地方税に関する特例措置を延長します(個人住民税以外の市町村税についても同様とします。)。

A父子家庭に支給されることとなる児童扶養手当及び一部支給停止制度の廃止により支給されることとなる児童扶養手当について、所要の法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 個人住民税を課さないこととします。
 ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。

B新たに雇用保険制度の対象となる者が支給を受ける失業等給付について、所要の法律改正が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 個人住民税を課さないこととします。
 ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。

C新たに身体障害者手帳の交付対象者とされる肝機能障害を有する者について、所要の政令改正を前提に、障害者控除の対象とするなど、現行の障害者等に対する税制上の措置を適用します(事業税、固定資産税、不動産取得税、事業所税についても同様とします。)。

D中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される同居親族のみを雇用する事業の従業員及びその従業員に係る事業主について、所要の省令改正を前提に、次の措置を講じます。
 イ その事業主掛金については、事業主の所得の金額の計算上必要経費に算入します。
 ロ その事業主掛金に係る従業員の給与所得の金額の計算上、収入金額に算入しないこととします。
 ハ その従業員が支給を受ける分割(年金)払いの退職金については公的年金等控除を適用し、一括払いの退職金については退職手当等とみなします。

E小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
 イ 共同経営者が支払った掛金については、その全額を所得控除の対象とします。
 ロ 共同経営者が支給を受ける分割(年金)払いの共済金等については、公的年金等控除を適用し、一括払いの共済金等については退職手当等とみなします。

F高校の実質無償化について、所要の制度の整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 個人住民税を課さないこととします。
 ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。

G子ども手当(仮称)について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 個人住民税を課さないこととします。
 ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。

H求職者支援給付(仮称)について、所要の法整備が行われ、税制上の措置が必要となる場合には、次の措置を講じます。
 イ 個人住民税を課さないこととします。
 ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止します。

I独立行政法人地域医療機能推進機構法の制定を前提に、独立行政法人地域医療機能推進機構が支払を受ける利子等については、利子割を課さないこととします。

J確定拠出年金制度について、所要の法律改正を前提に、次の措置を講じます。
 イ 企業型確定拠出年金に導入される個人拠出(いわゆるマッチング拠出)の掛金について、その全額を所得控除の対象とします。
 ロ 中途引き出し要件の緩和及び資格喪失年齢の引上げ後も現行の確定拠出年金制度に対する税制上の措置を適用します。

K厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う存続組合が支給する特例年金給付等に関する政令の一部改正により、新たに支給されることとなる一時金(特例老齢農林一時金)について、次の措置を講じます。
 イ 一定額まで差押えを禁止する財産とします。
 ロ 退職手当等とみなします。

L個人住民税の公的年金からの特別徴収制度の対象とならない65歳未満の公的年金等に係る所得を有する給与所得者について、公的年金等に係る所得に係る所得割額を、給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額に加算して給与から特別徴収の方法により徴収することができることとします。

M平成22年度課税分の個人の道府県民税に係る徴収取扱費交付金については、納税義務者数に3,300円(本則3,000円)を乗じて得た金額とします。

〈国民健康保険税〉
N国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を50万円(現行47万円)、後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を13万円(現行12万円)に引き上げます。

O国民健康保険税の減額について、市町村の判断により減額割合を選択できることとします。

P国民健康保険税について、国民健康保険の被保険者が、非自発的な理由により離職した一定の者である場合において、在職中の保険料負担と比較して過重とならないよう、所要の措置を講じます。
 (注)上記の「非自発的な理由により離職した一定の者」とは、雇用保険法第23条第2項に規定する特定受給資格者及び雇用保険法第13条第3項に規定する特定理由離職者とします。

3.法人課税
(1)資本に関係する取引等に係る税制
〔国税〕
 企業グループを対象とした法制度や会計制度が定着しつつある中、税制においても、法人の組織形態の多様化に対応するとともに、課税の中立性や公平性等を確保する観点から、次の見直しを行います。
@グループ内取引等に係る税制
 イ 100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等
  (イ) 連結法人間取引の損益の調整制度を改組し、100%グループ内の内国法人間で一定の資産の移転(非適格合併による移転を含みます。)を行ったことにより生ずる譲渡損益を、その資産のそのグループ外への移転等の時に、その移転を行った法人において計上する制度とします。これに伴い、適格事後設立制度を廃止します。
 (注)100%グループ内の法人とは、完全支配関係(原則として、発行済株式の全部を直接又は間接に保有する関係)のある法人をいいます。
  (ロ) 100%グループ内の法人間の非適格株式交換等を、非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度の対象から除外します。
 (注)合併等の対価として一定の外国親法人株式が交付されるものを除きます。
 ロ 100%グループ内の法人間の寄附
 100%グループ内の内国法人間の寄附金について、支出法人において全額損金不算入とするとともに、受領法人において全額益金不算入とします。
 ハ 100%グループ内の法人間の資本関連取引
  (イ) 100%グループ内の内国法人間の現物配当(みなし配当を含みます。)について、組織再編税制の一環として位置づけ、譲渡損益の計上を繰り延べる等の措置を講じます。この場合、源泉徴収等を行わないこととします。
  (ロ) 100%グループ内の内国法人からの受取配当について益金不算入制度を適用する場合には、負債利子控除を適用しないこととします。
  (ハ) 100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に対して譲渡する等の場合には、その譲渡損益を計上しないこととします。
  (ニ) いわゆる無対価組織再編成について、その処理の方法等を明確化します。
 ニ 中小企業向け特例措置の大法人の100%子法人に対する適用
 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度については、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人には適用しないこととします。
  (イ) 軽減税率
  (ロ) 特定同族会社の特別税率の不適用
  (ハ) 貸倒引当金の法定繰入率
  (ニ) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
  (ホ) 欠損金の繰戻しによる還付制度
 ホ 連結納税制度
  (イ) 連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度の適用対象外となる連結子法人のその開始又は加入前に生じた欠損金額を、その個別所得金額を限度として、連結納税制度の下での繰越控除の対象に追加します。
  (ロ) 連結納税の承認申請書の提出期限について、その適用しようとする事業年度開始の日の3月前の日(現行6月前の日)とします。
  (ハ) 事業年度の中途で連結親法人との間に完全支配関係が生じた場合の連結納税の承認の効力発生日の特例制度について、加入法人のその完全支配関係が生じた日(加入日)以後最初の月次決算日の翌日を効力発生日とすることができる制度に改組します。
  (ニ) 連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度について、その開始又は加入後2月以内に連結グループから離脱する法人の有する資産を時価評価の対象から除外します。
 ヘ その他
 その他所要の措置を講じます。

A資本に関係する取引等に係る税制
 イ みなし配当の際の譲渡損益
  (イ) 100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に対して譲渡する等の場合には、その譲渡損益を計上しないこととします。(再掲)
  (ロ) 自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得された際に生ずるみなし配当については、益金不算入制度(外国子会社配当益金不算入制度を含みます。)を適用しないこととします。
  (ハ) 抱合株式については、譲渡損益を計上しないこととします。
 ロ 清算所得課税
 清算所得課税を廃止し、通常の所得課税に移行します。その際、期限切れ欠損金の損金算入制度を整備する等の所要の措置を講じます。また、連結子法人の解散を原則として連結納税の承認の取消事由から除外します。
 ハ その他
  (イ) 適格合併等の場合における欠損金の制限措置等について、実態に応じて適用要件を見直します。
  (ロ) 分割型分割については、みなし事業年度を設けないこととします。
  (ハ) 売買目的有価証券、未決済デリバティブ取引に係る契約等を適格分社型分割等により移転する場合の処理について整備を行います。
  (ニ) 合併類似適格分割型分割制度を廃止します。
  (ホ) 受取配当の益金不算入制度における負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度を見直します。
  (ヘ) その他所要の措置を講じます。
 (注)上記の改正は、@ハ(ロ)、ニ及びホ(イ)並びにAハ(ホ)を除き、平成22年10月1日から適用します。

〔地方税〕
 地方税については、法人住民税及び法人事業税が単体法人を納税単位としていることを踏まえた上で、所要の措置を講じます。

(2)特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度
 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度について、廃止します。特殊支配同族会社の役員給与に係る課税のあり方については、いわゆる「二重控除」の問題を踏まえ、給与所得控除を含めた所得税のあり方について議論をしていく中で、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講じます。
 (注)本制度は、平成22年4月1日以後に終了する事業年度から適用されないこととなります。

(3)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
@情報基盤強化税制について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。

Aエネルギー需給構造改革推進投資促進税制について、対象設備から地方ガス天然ガス化設備等を除外する等の見直しを行います(所得税についても同様とします。)。

B中小企業等基盤強化税制について、対象から特定旅館業を営む大規模法人に係る措置を除外します。

C公害防止用設備の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を1年延長します(所得税についても同様とします。)。
 イ 対象設備から揮発性有機化合物排出抑制設備及び産業廃棄物処理用設備を除外します。
 ロ 対象となるPCB汚染物等処理用設備及び石綿含有廃棄物無害化処理用設備を環境大臣の認定を受けたPCB汚染物等又は石綿含有廃棄物の無害化処理に使用するものに限定します。

D地震防災対策用資産の特別償却制度における耐震改修工事に係る措置について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。

E特定電気通信設備等の特別償却制度について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。

F資源再生化設備等の特別償却制度について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。

G特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち過疎地域に係る措置について、関係法律の改正が行われた場合には、ソフトウエア業を対象事業から除外する等の所要の見直しを行った上、その適用期限を1年延長します(所得税についても同様とします。)。

H優良賃貸住宅の割増償却制度における中心市街地優良賃貸住宅に係る措置について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。

I海外投資等損失準備金制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します。
 イ 資源探鉱事業法人及び資源探鉱投資法人に係る準備金積立率を90%(現行100%)に引き下げます。
 ロ 資源開発事業等の対象となる資源から石炭及び木材を除外します。

J保険会社等の異常危険準備金制度における火災保険等及び火災共済に係る準備金積立率の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長します。
 イ 火災共済に係る準備金積立率を2%(現行2.5%)に引き下げます。
 ロ 火災保険等及び火災共済に係る準備金積立率の特例について、次の見直しを行います。
  (イ) 特例積立率を4%(現行火災保険等については4%、火災共済については5%)とします。
  (ロ) 対象となる事業年度について、準備金の積立事業年度末の残高が、火災保険等については正味収入保険料の30%を超える事業年度を、火災共済協同組合連合会が行う火災共済については正味収入共済掛金の75%(火災共済協同組合が行う火災共済は60%)を超える事業年度を、それぞれ除外します。

K農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税
の特例について、次の見直しを行います。
 イ 対象となる法人から特定農業団体及びこれに準ずる組織を除外します。
 ロ 予算措置を前提に、対象となる交付金等に米戸別所得補償モデル事業交付金(仮称)及び水田利活用自給力向上事業交付金(仮称)を追加します(所得税についても同様とします。)。

L次の特例に係る適用除外措置の範囲から、独立行政法人空港周辺整備機構に対する土地等の譲渡を除外します。
 イ 土地の譲渡等がある場合の特別税率
 ロ 短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率

M地域再生法に規定する特定地域雇用会社に対する寄附金の損金算入の特例を廃止します。

N特定目的会社に係る課税の特例等における導管性要件について、国内募集割合を50%超とする要件の対象から特定社債を除外し、特定出資を追加する等の見直しを行います。

(延長・拡充等)
@中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

A中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

B中小企業等基盤強化税制を拡充し、資本金の額等が1億円以下の法人による仮想化ソフトウエア等を含む情報基盤強化設備等の取得に係る措置を追加します(所得税についても同様とします。)。

C試験研究費の増加額に係る税額控除(増加型)又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除(高水準型)を選択適用できる制度の適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

D障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度及び支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却制度について、障害者の雇用の促進等に関する法律の改正に伴い、障害者雇用割合の算定に係る計算式の見直し等を行います(所得税についても同様とします。)。

E障害者対応設備等の特別償却制度の適用期限を1年延長します(所得税についても同様とします。)。

F金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

G特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金制度の適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

H探鉱準備金制度又は海外探鉱準備金制度の適用期限を3年延長します(所得税についても同様とします。)。

I特定の資産の買換えの場合等の課税の特例における都市開発区域等の外から内への買換えに係る措置について、過疎地域に係る関係法律の改正が行われた場合には、同地域を対象とする等の所要の措置を講じます(所得税についても同様とします。)。

J特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例について、中小企業倒産防止共済法の改正を前提に、対象となる掛金の見直しを行います(所得税についても同様とします。)。

K農林中央金庫の合併等に係る課税の特例における農林中央金庫等の合併に係る措置の適用期限を3年延長します。

L交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長します。

M使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を2年延長します。

N中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用期限を2年延長します。

〔地方税〕
(延長・拡充等)
@中小企業者等の試験研究費に係る法人住民税の特例措置について、試験研究費の増加額に係る税額控除(増加型)又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除(高水準型)を選択適用できる制度の適用期限を2年延長します。

A法人事業税の資本割の課税標準について、無償減資等の金額を資本金等の額から控除するとともに、無償増資等の金額を資本金等の額に加算する措置を地方税法本則において講じます。

Bガス供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、他のガス供給業を行う法人から託送供給を受けてガスの供給を行う場合の当該供給に係る収入金額のうち、ガス事業法に規定する大口供給に応じるガスの供給に係る託送料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を3年延長します。

(4)その他
〔国税〕
@独立行政法人地域医療機能推進機構法の制定を前提に、次の措置を講じます。
 イ 独立行政法人地域医療機能推進機構を法人税法別表第一(公共法人の表)に追加します。
 ロ 収益事業から除外する措置について、公益社団法人等が独立行政法人地域医療機能推進機構から委託を受けて行う社会保険病院等の運営又は管理に係る医療保健業を追加する等の所要の措置を講じます。

A国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、予算措置を前提に、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で高速不揮発メモリ機能技術開発事業(仮称)等に係るものを追加します(所得税についても同様とします。)。

〔地方税〕
@独立行政法人地域医療機能推進機構法の制定を前提に、独立行政法人地域医療機能推進機構を非課税独立行政法人とする措置を講じます(非課税独立行政法人の規定があるその他のすべての税目についても同様とします。)。

A移行型以外の地方独立行政法人のうち、地方公共団体から承継した業務のみを行うものについて、非課税とする措置を講じます(非課税地方独立行政法人の規定があるその他のすべての税目についても同様とします。)。

B法人住民税等に係る還付加算金の起算日について、法人税の決定等を受けて法人住民税等の期限後申告を行い、その後減額更正を受けた場合について、当該期限後申告に係る納付の日の翌日から還付加算金を計算するよう、所要の措置を講じます。

4.国際課税
(1)外国子会社合算税制等の見直し
 国外に進出する企業の事業形態の変化や諸外国における法人税等の負担水準の動向に対応する一方、租税回避行為を一層的確に防止する観点から、内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等について、次の見直しを行います。
@特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)を20%以下(現行25%以下)に引き下げます。
 また、トリガー税率の計算における非課税所得の範囲から除くこととされている配当等に、外国法人の所在地国の法令により、二重課税排除を目的としたものとして株式保有割合要件以外の要件により所在地国の課税標準に含まれないこととされる配当等を追加します。
A外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人等の直接及び間接の外国関係会社株式等の保有割合要件を10%以上(現行5%以上)に引き上げます。
B特定外国子会社等の適用除外基準について、次の措置を講じます。
 イ 事業基準に関し、適用除外とならない「株式等の保有を主たる事業として営む法人」の判定上、統括会社が保有する被統括会社の株式等については、「株式等」から除外します。
 ロ 非関連者基準の判定上、卸売業を主たる事業として営む統括会社が被統括会社との間で行う取引については、関連者取引に該当しないものとします。
 ハ 特定外国子会社等で所在地国基準又は非関連者基準を満たさないものが、事業基準、実体基準及び管理支配基準を満たす場合の適用対象金額の計算において、人件費の10%相当額を控除する措置を廃止します。
 (注1)統括会社とは、次のすべての要件を満たす特定外国子会社等をいいます。
  1 内国法人等に係る特定外国子会社等で、その内国法人等により発行済株式等の全部を直接又は間接に保有されていること
  2 二以上の被統括会社を有し、その被統括会社の事業を統括する業務として一定のものを行っていること
  3 所在地国において統括業務に係る固定施設及び統括業務を行うに必要な従業者(専ら統括業務に従事する者であって、当該特定外国子会社等の役員を除きます。)を有すること
 (注2)被統括会社とは、次のすべての要件を満たす外国法人をいいます。
  1 統括会社が、発行済株式等の25%以上を直接に保有し、かつ、議決権の25%以上を直接に保有する当該統括会社の関連者(非関連者基準における関連者であって、外国法人に限るものとし、内国法人等の同族関係者に係る関連者を除きます。)であること
  2 所在地国において、実体のある事業活動を行っていること
 (注3)内国法人等に係る特定外国子会社等が統括会社に該当する場合には、当該特定外国子会社等が行う統括業務の内容及び被統括会社との資本関係図等を確定申告書に添付しなければならないこととします。
C特定外国子会社等に係る資産性所得合算課税制度の導入
 特定外国子会社等のうち適用除外基準を満たす者であっても、次に掲げる所得(以下「資産性所得」といいます。)を有する場合には、当該資産性所得について、内国法人等の当該特定外国子会社等に対する株式等の保有割合に応じ、内国法人等の所得に合算して課税します。
 イ 株式保有割合10%未満の株式等の配当等に係る所得又はその譲渡(取引所又は店頭における株式等の譲渡に限ります。)による所得
 ロ 債券の利子に係る所得又はその譲渡(取引所又は店頭における債券の譲渡に限ります。)による所得
 ハ 工業所有権及び著作権(出版権及び著作隣接権を含みます。)の提供による所得(特定外国子会社等により開発されたもの等から生ずる所得を除きます。)
 ニ 船舶又は航空機の貸付けによる所得
 ただし、特定外国子会社等の資産性所得の合計額が当該特定外国子会社等の税引前所得の5%相当額以下である場合又は特定外国子会社等の資産性所得に係る収入金額の合計額が1,000万円以下である場合には、本措置は適用しないこととします。
 (注1)資産性所得の金額は、当該特定外国子会社等の課税対象金額を上限とします。
 (注2)資産性所得に係る収入金額から直接経費(収支の関係が明らかなものに限ります。)を控除します。ただし、株式等の配当等及び債券の利子については、当期の支払利息を按分した金額の控除を認めます。
 (注3)特定外国子会社等が行う事業(事業基準に掲げる事業を除きます。)の性質上、基本的かつ重要で欠くことのできない業務から生ずる上記イ及びロの所得を除きます。
D内国法人等が外国法人から配当等を受ける場合には、その配当等の額のうち、内国法人等の配当等を受ける日を含む事業年度及び当該事業年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度における次のいずれか少ない金額に達するまでの金額は、益金の額に算入しないこととします。
 イ 当該外国法人が他の外国法人(合算対象とされた金額を有さない者を除きます。)から受けた配当等の額のうち、当該内国法人等が当該外国法人を通じて間接に有する株式等に対応する部分の金額に相当する金額の合計額
 ロ 当該他の外国法人につき合算対象とされた金額のうち、当該内国法人等が当該外国法人を通じて間接に有する株式等に対応する部分の金額の合計額
E特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例について、上記@、Bハ、C及びDと同趣旨の改正を行います。
Fその他所要の措置を講じます。
 (注)上記の改正は、特定外国子会社等の平成22年4月1日以後に開始する事業年度から適用します。ただし、上記Dは、内国法人の同日以後に開始する事業年度において受ける外国法人からの配当等について適用します。

(2)移転価格税制の見直し
 国際取引を行う企業の予見可能性を確保し、事務負担に配慮しつつ、税務執行の透明化・円滑化の観点から、国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる移転価格税制)について、次の見直しを行います。
@移転価格課税について、独立企業間価格の算定及び検証に当たり、国外関連者との間の取引価格の交渉過程等の検討を要する場合に特に留意すべき事項等を運用において明確にします。
A移転価格調査における納税者の協力が得られない場合の推定課税規定において提出又は提示を求めている書類について、その範囲を、次の区分に基づき、明確にします。
 イ 国外関連取引の内容を記載した書類
 ロ 国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類

(3)外国税務当局との情報交換
 外国税務当局との情報交換に関し、租税条約や行政取極の締結により情報交換ネットワークを迅速に拡充するとともに、情報提供と守秘義務の関係を整理することによって一層効率的かつ円滑に情報交換を実施していくため、租税条約等に定めるところにより、当該租税条約等の相手国の税務当局に対し、租税に関する情報の提供を行うことができる旨の規定を創設します。

(4)租税特別措置
〔国税〕
(廃止・縮減等)
○民間国外債等の利子及び発行差金の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を撤廃します。
 イ 指定民間国外債制度について、2年間の経過措置を講じた上、廃止します。
 ロ 非課税措置の対象から除かれる民間国外債について、軽課税国に本店等が所在する実体のない外国法人により発行される民間国外債に代えて、次のものとします。
  (イ) その利子の額が民間国外債の発行者等の利益の額等に連動する場合の当該民間国外債
  (ロ) 民間国外債の発行者と特殊の関係のある者が有する当該民間国外債
 (注)発行者と特殊の関係のある者とは、発行者との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある者等をいいます。
 ハ 国内金融機関等が支払を受ける上記ロ(イ)又は(ロ)に該当する民間国外債の利子について、源泉徴収を免除します。
 ニ 民間国外債の発行者が提出すべき書類、特定民間国外債制度における利子受領者情報等について、所要の措置を講じます。
 (注)上記ロからニまでの改正は、平成22年4月1日以後に発行される民間国外債について適用します。

(延長・拡充等)
@振替国債等の利子の課税の特例等について、次の措置を講じます。
 イ 次のいずれかに該当する外国投資信託(証券投資信託又は公社債等運用投資信託に該当するものに限ります。)は、適格外国証券投資信託に該当するものとします。
  (イ) その設定に係る受益権の国外における募集が公募により行われている外国投資信託で、次の要件を満たすもの
   (a) 当該受益権の国内における募集が公募のみにより行われること
   (b) 上記(a)の受益権に係る収益の分配が国内における支払の取扱者を通じてのみ交付されること
  (ロ) その設定に係る受益権が、他の適格外国証券投資信託(上記(イ)に該当するものを含みます。)の信託財産としてのみ取得される外国投資信託
 ロ 非居住者又は外国法人が支払を受ける振替国債等(利子が支払われるものに限ります。)の償還価額と取得価額との差額について所得税及び法人税を非課税とし、外国法人が支払を受ける特定短期国債の償還価額と取得価額との差額について法人税を非課税とします。
 ハ 振替国債等の利子の課税の特例等に係る適用手続について、次の措置を講じます。
  (イ) 適格外国仲介業者の承認制度について、源泉徴収義務者ごとの承認から振替機関ごとの承認とし、承認の取消事由を明確化した上、非課税のための口座の設定を受けている非居住者又は外国法人ごとの取引内容の報告及び各人別帳簿の作成を不要とします。
  (ロ) 非課税適用申告書について、源泉徴収義務者ごとの所轄税務署長への提出を簡素化し、特定口座管理機関又は適格外国仲介業者ごとに、これらを経由して特定口座管理機関の所轄税務署長に提出するとともに、非課税のための口座の設定の確認等の事務が適正に行われると認められる特定口座管理機関について承認を受けるものとします。
  (ハ) 所有期間明細書について、特定振替機関等が源泉徴収の計算の明細書を源泉徴収義務者に提出した場合には、その提出を不要とするとともに、適格外国仲介業者から利子等の受領者の情報を特定口座管理機関に通知させ、これを基に特定口座管理機関が振替国債等の利子の支払調書等を提出するものとします。
 ニ 非課税のための口座の設定手続等について、所要の措置を講じます。
 (注)上記の改正は、原則として、平成22年6月1日以後にその計算期間が開始する振替国債等の利子及び同日以後に発行される特定短期国債の償還価額と取得価額との差額について適用します。
A海外投資家の我が国金融・資本市場への投資の促進等の観点から、非居住者等が受ける振替社債等の利子等の非課税制度を創設します。
 イ 非居住者又は外国法人が平成25年3月31日までに発行される振替社債等(利子が支払われるものに限り、その利子の額が振替社債等の発行者等の利益の額等に連動するものを除きます。)につき支払を受ける利子及び償還差益(償還価額と取得価額との差額)並びに外国法人が支払を受ける同日までに発行される特定短期社債の償還差益について、所得税及び法人税を非課税とします。
 ロ 上記イの措置は、振替社債等又は特定短期社債の発行者と特殊の関係のある者が支払を受ける利子及び償還差益については適用しないこととします。
 (注)発行者と特殊の関係のある者とは、発行者との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある者等をいいます。
 ハ 非課税措置の適用手続、振替社債等又は特定短期社債の発行者が提出すべき書類等について、所要の措置を講じます。
 (注)上記の改正は、原則として、平成22年6月1日以後にその計算期間が開始する振替社債等の利子及び同日以後に発行される特定短期社債の償還差益について適用します。
B外国組合員に対する課税の特例について、本特例の適用要件における「業務の執行」は、金融商品取引法に規定する自己取引等に対して投資組合の有限責任組合員が同意することを含まないものとします。

5.資産課税
(1)住宅関係
〔国税〕
@直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じます。
 イ 非課税限度額(現行500万円)を次のように引き上げます。
  (イ) 平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500万円
  (ロ) 平成23年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000万円
 ロ 適用対象となる者を贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定します。
 ハ 適用期限を平成23年12月31日(現行平成22年12月31日)までとします。
(注)上記の改正は、平成22年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用します。ただし、平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者については、上記の改正前の制度と選択して適用できることとします。

A住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(現行1,000万円)の特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限を2年延長します。

B特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、その適用期限を2年延長します。

Cマンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置について、適用対象から施行再建マンションに関する権利について必要な登記を除外した上、その適用期限を2年延長します。

(2)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
@次に掲げる特別措置について、適用期限の到来をもって廃止します。
 イ 農地保有合理化法人が農用地を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
 ロ 漁業協同組合が漁業協同組合連合会から権利義務の包括承継をした場合の不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置
 ハ 農林中央金庫等が行う組織再編成によってする登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
 ニ 認定鉄道事業再構築実施計画に基づき鉄道施設を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置

A独立行政法人都市再生機構から交換により土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、期限が到来したため、その規定を削除します。

B独立行政法人農林漁業信用基金がその成立の時に旧法人(農林漁業信用基金)から承継した権利又は資産に係る登記又は登録に対する登録免許税の免税措置を廃止します。

C小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、相続人等による事業又は居住の継続への配慮という制度趣旨等を踏まえ、次の見直しを行います。
 イ 相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200uまで50%減額)を適用対象から除外します。
 ロ 一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定します。
 ハ 一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算します。
 ニ 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化します。
 (注)上記の改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等に係る相続税について適用します。

D産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に規定する認定事業再構築計画等に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の登記にあっては軽減税率が適用される資本金の額の上限を3,000億円までの部分とした上、その適用期限を2年延長します。
 イ 株式会社の設立又は資本金の額の増加の登記
 ロ 合併又は分割による株式会社の設立又は資本金の額の増加の登記における純増部分の登記

E関西国際空港株式会社等の登記に対する登録免許税の免税措置については、次のとおり軽減措置とし、その適用期限を平成23年3月31日までとします。
 イ 資本金の額の増加の登記(政府出資部分に限ります。)
  1,000分の1(本則1,000分の7)
 ロ 土地の所有権の保存登記
  1,000分の0.5(本則1,000分の4)
 ハ 土地の所有権の移転登記
  1,000分の3(本則1,000分の20)
 ニ 土地の賃借権等の設定登記
  1,000分の1.5(本則1,000分の10)

F国際船舶の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、所有権の保存登記及び抵当権の設定登記に係る軽減税率を1,000分の3(現行1,000分の2.5)に引き上げた上、その適用期限を2年延長します。

G特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産から倉庫及びその敷地を除外するとともに、所有権の移転登記の軽減税率(現行1,000分の8)にあっては、次の見直しを行った上、その適用期限を3年(質権又は抵当権の移転登記にあっては1年)延長します。
 平成22年4月1日から平成23年3月31日まで 1,000分の8
 平成23年4月1日から平成24年3月31日まで 1,000分の11
 平成24年4月1日から平成25年3月31日まで 1,000分の13

(延長・拡充等)
@非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、同制度が適用されない一定の法人の株式等を会社を通じて保有する場合における認定要件の明確化を図るとともに、この場合において認定を受けた当該会社の株式等に係る納税猶予税額の計算上、当該法人の株式等相当額を算入しないこととする等の所要の見直しを行います。

A預金保険法に規定する第一号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定に基づく預金保険機構による金融機関の株式の引受けに伴い、当該金融機関が受ける資本金の額の増加の登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長します。

B金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法に規定する認定経営基盤強化計画又は金融機能の強化のための特別措置に関する法律に規定する経営強化計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長します。

〔地方税〕
(廃止・縮減等)
〈固定資産税・都市計画税〉
@信頼性向上施設整備事業により新設された電気通信設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。

A日本消防検定協会が所有し、かつ、一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

Bと畜場において設置される牛海綿状脳症(BSE)対策実施のための一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。

C火薬類取締法の規定による許可を受けた者が公共の危害防止のために設置する土堤及び防爆壁に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。

D日本電気計器検定所が所有し、かつ、一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

E鉄軌道事業者が利用者利便の向上に資する相互乗入れ、直通化等に係る一定の大規模改良工事により取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

F阪神・淡路大震災による被災住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

G阪神・淡路大震災による被災家屋の所有者等が取得する代替家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置を廃止します。

H地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する鉄道再生事業を実施する路線において取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

I軽自動車検査協会が所有し、かつ、一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

J小型船舶検査機構が所有し、かつ、一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

K民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が港湾法に規定する無利子貸付けを受けて選定事業により整備する一定の特定用途港湾施設に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

L民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する一般廃棄物処理施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止します。

M民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づき、国又は地方公共団体により選定された選定事業者が、選定事業により整備する公共施設のうち公共代替性が強く、民間競合のおそれのない施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、その適用期限を5年延長した上、廃止します。

N地震防災対策の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を4年延長した上、廃止します。

O次世代ブロードバンド基盤を構成する電気通信設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を1年延長した上、廃止します。なお、対象について、資本金の額又は出資金の額が50億円未満の事業者が取得するものに限定するとともに、加入者系無線アクセス通信用無線設備及び衛星インターネット通信用無線設備を除外し、一定のIPv6対応設備について課税標準を最初の5年間価格の5分の4として追加します。

P民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する国立大学法人の校地内の校舎の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、その適用期限を5年延長した上、廃止します。

Q家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律に規定する家畜排せつ物の処理又は保管の用に供する施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を2年延長した上、廃止します。なお、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得したものに係る課税標準を最初の5年間価格の4分の3(現行3分の2)とします。

R卸売市場機能高度化事業を行う地方卸売市場の開設者等が直接その本来の業務の用に供する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を1年延長した上、廃止します。

S鉄軌道事業者等が政府の補助を受けて実施する駅の耐震補強工事により取得する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を1年延長した上、廃止します。

(21)外貿埠頭公社が取得し又は所有する一定のコンテナ埠頭に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、その適用期限を3年延長した上、廃止します。なお、平成10年3月31日までに取得したものに係る課税標準を平成24年度分は価格の3分の2(現行2分の1)とし、旧外貿埠頭公団から承継したものに係る課税標準を平成24年度分は価格の5分の4(現行5分の3)とします。

(22)公害防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長します。
 イ 対象から鉱さい、坑水、廃水又は鉱煙の処理に係る施設、ばい煙処理施設、窒素酸化物燃焼改善設備、ダイオキシン類処理施設、揮発性有機化合物排出抑制施設、廃油焼却施設、廃プラスチック類破砕施設、廃プラスチック類焼却施設、湖沼水質保全特別措置法の指定施設に係る汚水を処理するための施設、水質汚濁防止法の特定事業場に係る地下水の水質を浄化するための施設及び優良更新施設を除外します。
 ロ 水質汚濁防止法の特定施設に係る汚水又は廃液を処理するための施設については、課税標準を価格の3分の1(現行6分の1)とします。
 ハ 産業廃棄物処理施設については、対象を廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設及び廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の処理施設に限定した上、廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設については、課税標準を価格の3分の1(現行6分の1)とします。
 ニ 下水道除害施設については、課税標準を価格の4分の3(現行3分の2)とします。

(23)廃棄物再生処理用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長します。
 イ 対象から建設混合廃棄物選別装置、廃木材破砕・再生処理装置及び空びん洗浄処理装置を除外します。
 ロ 自動車部品再利用製品製造設備については、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に取得したものに係る課税標準を最初の3年間価格の5分の4、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得したものに係る課税標準を最初の3年間価格の6分の5(現行4分の3)とします。
 ハ 食品循環資源再生処理装置については、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に取得したものに係る課税標準を最初の3年間価格の4分の3、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得したものに係る課税標準を最初の3年間価格の5分の4(現行3分の2)とします。

(24)特定都市河川浸水被害対策法に基づき都道府県知事等の許可を要する雨水浸透阻害行為に伴い設置される一定の雨水貯留浸透施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を価格の3分の2(現行2分の1)とした上、その適用期限を2年延長します。

(25)日本貨物鉄道株式会社が取得する新たに製造された一定の機関車又はコンテナ貨車に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の5年間価格の5分の3(現行2分の1)とした上、その適用期限を2年延長します。

(26)第三セクターが政府の補助を受けて取得し、日本貨物鉄道株式会社が借り受ける鉄道貨物輸送の効率化のための線路設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の10年間価格の2分の1(現行最初の5年間価格の3分の1、その後5年間価格の3分の2)とした上、その適用期限を2年延長します。

(27)成田国際空港株式会社がその事業の用に供する一定の施設に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、課税標準を価格の4分の3(現行3分の2)とした上、その適用期限を2年延長します。

〈不動産取得税〉
(28)農業振興地域の整備に関する法律の規定による市町村長の勧告等によって取得する農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(29)国の補助金又は交付金の交付を受けて取得する農林漁業経営の近代化又は合理化のための共同利用施設に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(30)農地保有合理化法人等が長期貸付農地保有合理化事業により取得する農地等に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(31)農業協同組合が他の農業協同組合から信用事業の全部譲渡に伴い取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(32)農地保有合理化法人等が担い手農業者確保事業により取得する農地等に係る不動産取得税の納税義務の免除措置等について、納税義務の免除措置等の期間を5年延長する特例措置を廃止します。

(33)農業協同組合等の現物出資により設立される株式会社又は合同会社が当該現物出資に伴い取得する不動産に係る不動産取得税の非課税措置を廃止します。

(34)マンション建替事業の施行に伴いやむを得ない事情により権利変換を希望しない旨の申出をした者が施行マンション内で行っていた事業を引き続き行うための当該事業の用に供する土地等(住宅の用に供するものを除きます。)に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(35)移転補助を受け土砂災害特別警戒区域から移転する者が従前の不動産に代わるものとして区域外に取得する不動産(住宅の用に供するものに限ります。)に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(36)独立行政法人都市再生機構が密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災再開発促進地区、中心市街地の活性化に関する法律に規定する認定中心市街地又は都市再生特別措置法に規定する都市再生緊急整備地域の区域内において、一定の業務の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(37)阪神・淡路大震災による被災家屋の所有者等が取得する代替家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(38)地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する鉄道再生事業等により譲渡を受けた当該事業の用に供する一定の不動産に係る不動産取得税の非課税措置を廃止します。

(39)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が港湾法に規定する無利子貸付けを受けて選定事業により整備する特定用途港湾施設のうち輸出入に係るコンテナ荷さばきを行うための家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(40)観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律に規定する協議会の構成員のうち、公益社団・財団法人が取得する重要文化財等に指定又は登録された家屋及び土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(41)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する一般廃棄物処理施設の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止します。

(42)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づき、国又は地方公共団体により選定された選定事業者が、選定事業により整備する公共施設のうち公共代替性が強く、民間競合のおそれのない施設の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、その適用期限を5年延長した上、廃止します。

(43)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する国立大学法人の校地内の校舎の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、その適用期限を5年延長した上、廃止します。

(44)医療計画上の医療連携体制に基づいて周産期医療を提供する医療提供施設の開設者が取得する周産期医療のための施設の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、その適用期限を6年延長した上、廃止します。なお、平成22年4月1日から平成25年3月31日までの取得については当該不動産の価格の2分の1、平成25年4月1日から平成27年3月31日までの取得については当該不動産の価格の3分の1、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの取得については当該不動産の価格の6分の1に相当する額を価格から控除します。

(45)中心市街地の活性化に関する法律に規定する認定中心市街地又は都市再生特別措置法に規定する都市再生緊急整備地域若しくは都市再生整備計画の区域内において取得する一定の新築家屋(住宅の用に供するものを除きます。)に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、その適用期限を2年延長した上、廃止します。なお、対象地域から認定中心市街地を、対象用途から料理店・遊技場・公衆浴場を除外します。

(46)独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行う基盤整備事業に伴い、日本貨物鉄道株式会社が取得する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、その適用期限を2年延長した上、廃止します。

(47)都市再生特別措置法に規定する計画の認定を受けた民間都市再生整備事業計画に係る都市再生整備事業の区域内の不動産の所有者が、当該不動産を同法に規定する認定整備事業者又は独立行政法人都市再生機構に譲渡し、従前の不動産に代わるものとして取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、対象から整備事業区域の区域外にある不動産を取得した場合を除外します。

〈事業所税〉
(48)廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する広域的処理に係る環境大臣の認定を受けた者が専ら当該認定に係る事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置を廃止します。

〈特別土地保有税〉
(49)農業協同組合等の現物出資により設立される株式会社又は合同会社が当該現物出資に伴い取得する土地に係る特別土地保有税の非課税措置を廃止します。

(延長・拡充等)
〈固定資産税・都市計画税〉
@農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律の認定を受けた事業者が取得する一定のバイオ燃料製造設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。

A高齢者向け優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を1年延長します。

B高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施する改良工事により取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長します。

C長期優良住宅に係る固定資産税の減額措置について、今後1年間で新築住宅に係る固定資産税の減額措置と併せて優良な住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条件に、適用期限を2年延長します。

D省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置について、今後1年間で新築住宅に係る固定資産税の減額措置と併せて優良な住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条件に、適用期限を3年延長します。

E密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得する一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を1年延長します。

F新築住宅に係る固定資産税の減額措置について、今後1年間で優良な住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条件に、適用期限を2年延長します。

Gバリアフリー改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置について、今後1年間で新築住宅に係る固定資産税の減額措置と併せて優良な住宅ストック重視の観点から見直しを検討していくことを条件に、適用期限を3年延長します。

H鉄軌道事業者が取得する新造車両で高齢者、障害者等の移動等の円滑化に資する一定の構造を有する車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長します。

I地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する鉄道事業再構築事業を実施する路線において取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。

J外国貿易用コンテナに係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を撤廃します。

K国内路線に就航する航空機に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、200t以上の航空機又は200t未満で地方路線の就航時間割合が3分の2未満の航空機の課税標準を最初の3年間価格の3分の2、200t未満で地方路線の就航時間割合が3分の2以上の航空機の課税標準を最初の5年間価格の5分の2(現行130t以上の航空機の課税標準は最初の3年間価格の3分の2、130t未満の航空機の課税標準は最初の3年間価格の2分の1)とした上、その適用期限を2年延長します。

L特定外貿埠頭の管理運営に関する法律に規定する指定会社等が国の補助又は無利子貸付けを受けて取得した一定のコンテナ埠頭に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を最初の10年間価格の2分の1とする措置を2年間講じます。

〈不動産取得税〉
M高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施する改良工事により取得する一定の家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長します。

N河川法に規定する高規格堤防の整備に係る事業のために使用された土地の上に建築されていた家屋について、移転補償金を受けた者が、当該土地の上に取得する代替家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。

O長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅の新築に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長します。

P不動産取得税について、新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した日に緩和する特例措置の適用期限を2年延長します。

Q新築住宅特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200平方メートルを限度)相当額の減額)について、土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置の適用期限を2年延長します。

R外国人留学生の寄宿舎の設置及び運営を主たる目的とする公益社団・財団法人が、外国人留学生の寄宿舎の用に供する不動産を取得した場合の不動産取得税の納税義務の免除措置等について、出入国管理及び難民認定法の改正による在留資格である「留学」と「就学」の一本化に伴い、所要の措置を講じます。

S特例民法法人の業務を承継するために設立された認可地縁団体が、平成22年4月1日から平成25年11月30日までの間に解散した当該特例民法法人からその残余財産を取得するに際して、一定の要件を満たす場合には、その残余財産に係る不動産取得税について非課税とする措置を講じます。

〈国有資産等所在市町村交付金〉
(21)東京国際空港緊急整備事業により取得される一定の固定資産に係る国有資産等所在市町村交付金の算定標準額の特例措置の適用期限を1年延長します。

(3)その他
〔国税〕
@定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価について、現行の評価方法による評価額が実際の受取金額の現在価値と乖離していること等を踏まえ、次の見直しを行います。
 イ 給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額とします。
  (イ) 解約返戻金相当額
  (ロ) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、当該一時金相当額
  (ハ) 予定利率等を基に算出した金額
 ロ 給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額は、原則として、解約返戻金相当額とします。
 (注1)上記イの改正は、平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利(当該期間内に締結した契約(確定給付企業年金等を除きます。)に係るものに限ります。)及び平成23年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用します。
 (注2)上記ロの改正は、平成22年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用します。

A相続税の障害者控除について、控除額の算出に用いる年数を相続人等が85歳(現行70歳)に達するまでの年数とします。
 (注)上記の改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈に係る相続税について適用します。

B小規模企業共済制度の加入対象者に追加される共同経営者の死亡に伴い支給を受ける一時金について、所要の法律改正を前提に、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とします。

C中小企業退職金共済制度の加入対象者に追加される従業員の死亡に伴い支給を受ける一時金について、所要の省令改正を前提に、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とします。

D保険法の制定により、保険契約の締結時に交付する書面に関する規定が新たに設けられたことから、印紙税の課税物件である「保険証券」の範囲について明確化を図ります。

E独立行政法人地域医療機能推進機構法の制定を前提に、独立行政法人地域医療機能推進機構を登録免許税法別表第二(非課税法人の表)及び印紙税法別表第二(非課税法人の表)に追加します。

〔地方税〕
@独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構の解散に伴い、固定資産税、都市計画税及び不動産取得税について所要の措置を講じます。

A心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の支給を受けて取得する事業用施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置及び不動産取得税の減額措置並びに当該事業所に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、労働者の範囲に短時間労働者を、障害者の範囲に身体障害者又は知的障害者である短時間労働者を追加します。

B自然公園法及び自然環境保全法の改正に伴い、固定資産税及び都市計画税について所要の規定の整備を行います。

C土壌汚染対策法の改正に伴い、固定資産税及び特別土地保有税について所要の規定の整備を行います。

6.消費課税
(1)燃料課税
@揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税に係る現行の10年間の暫定税率は廃止することとします。
A現在、原油価格や石油製品価格が安定的に推移していること、地球温暖化対策との関係に留意する必要があること等から、当分の間、揮発油税、地方揮発油税については、現在の税率水準(両税計53,800円/kl。以下同じ。)を維持することとし、軽油引取税についても、現在の税率水準(32,100円/kl)を維持することとします。
Bただし、国民の生活を守るため、原油価格の異常な高騰が続いた場合には、ガソリン及び軽油について本則税率を上回る部分の課税を停止できるような法的措置を講ずることとします。
 具体的には、ガソリン価格が一時180円/L台に達した平成20年度上半期の平均価格も勘案し、一定の価格水準(発動基準価格)を定めた上で、指標となるガソリン価格がその価格を持続的に上回る場合には、本則税率を上回る部分の課税を停止するような法的措置を講じます。
 上記の場合において、現在比較的安定的に推移している足元のガソリン価格の水準も勘案し、一定の価格水準(解除基準価格)を定めた上で、指標となるガソリン価格がその価格を持続的に下回った場合には、元の税率水準に復元する仕組みとします。
 これらの制度の詳細については、手持品在庫に係る課税上の取扱いを含め、今後、速やかに具体化を図ることとします。

(2)車体課税
〔国税〕
@自動車重量税に係る現行の10年間の暫定税率は廃止することとします。
A当分の間の措置として、自動車重量税について、次の見直しを行います。
 イ 次に掲げる自動車については本則税率を適用します。ただし、平成24年4月30日までの間は、下記Bの措置により免税となっています。
  (イ) 電気自動車
  (ロ) 車両総重量が3.5t以下の天然ガス自動車であって平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもの
  (ハ) 車両総重量が3.5tを超える天然ガス自動車であって平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
  (ニ) プラグインハイブリッド自動車
  (ホ) ハイブリッド自動車(車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックを除く。)で平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないものであって、平成22年度燃費基準値(ディーゼル自動車にあっては平成17年度燃費基準値)より25%以上燃費性能の良いもの
  (ヘ) ハイブリッド自動車(車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックに限る。)で平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物又は粒子状物質の排出量が少ないものであって、平成27年度燃費基準を満たすもの
  (ト) 平成21年排出ガス規制に適合したディーゼル自動車(乗用車に限る。)
 ロ 上記イに掲げる自動車及び下記ハに掲げる検査自動車以外の自動車の税率を別紙5に掲げる税率とします。
 ハ 新車新規登録から18年を経過した環境負荷の大きい検査自動車について、暫定税率廃止前の現在の税率水準を引き続き適用することにより、その他の自動車に比べ、適用される税率をより重くすることとします。
B一定の排出ガス性能・燃費性能を備えた自動車について平成21年4月1日から平成24年4月30日までの間の措置として講じられている自動車重量税の免税措置及び軽減措置は維持します。
 また、この軽減措置の対象に、次のとおり追加します。
 イ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のディーゼル車のバス・トラック等であって平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成27年度燃費基準を満たすもの税額を75%軽減
 ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のガソリン車のバス・トラック等であって平成17年排出ガス規制値より50%以上排出ガス性能の良い自動車で、かつ、平成27年度燃費基準を満たすもの税額を50%軽減
C上記Aロの表に掲げる税率が適用となる検査自動車であって、上記Bの軽減措置の対象となるものに係る税額については、上記Aロの表に掲げる税率で計算される税額に軽減割合を乗じて計算した金額とします。
D原油価格の異常高騰時の対応については、(1)Bの措置と併せ、今後、速やかに検討します。

〔地方税〕
〈自動車重量譲与税〉
○上記〔国税〕Aの課税措置が継続する間の自動車重量譲与税の譲与割合を自動車重量譲与税法附則において1,000分の407とします。

〈自動車取得税〉
@自動車取得税に係る現行の10年間の暫定税率は廃止することとします。
A地球温暖化対策の観点から、自動車取得税について、次の措置を講じます。
 イ 当分の間、現在の税率水準(100分の3。自家用の自動車で軽自動車以外のものの取得に対して課する税率は100分の5。)を維持することとします。
 ロ 一定の排出ガス性能及び燃費性能を備えた自動車(新車に限ります。)について平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間の措置として講じられている自動車取得税の非課税措置及び軽減措置については、当該自動車の普及に相当の効果があること、同措置による減収について特例交付金で補てんされていることを踏まえ、継続します。
 また、この軽減措置の対象に、次のとおり、車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラック等であって、一定の排出ガス性能及び燃費性能を備えた自動車を追加します。
  (イ) 平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成27年度燃費基準を満たすディーゼル車 税率を75%軽減
  (ロ) 平成17年ガソリン車排出ガス基準値より75%以上排出ガス性能の良い自動車で平成27年度燃費基準を満たすもの 税率を75%軽減
  (ハ) 平成17年ガソリン車排出ガス基準値より50%以上排出ガス性能の良い自動車で平成27年度燃費基準を満たすもの 税率を50%軽減
 ハ 一定の排出ガス性能及び燃費性能を備えた自動車(新車以外のものに限ります。)に係る自動車取得税の課税標準の特例措置について、次のとおり軽減対象を追加した上、2年延長します。
  (イ) ロ(ロ)に該当する自動車 取得価額から30万円を控除
  (ロ) ロ(ハ)に該当する自動車 取得価額から15万円を控除
B原油価格の異常高騰時の対応については、(1)Bの措置と併せ、今後、速やかに検討します。

(3)たばこ税
@第3章7.(2)の方針に沿って、平成22年度において、国と地方のたばこ税の税率を次のように引き上げます。
 イ 旧3級品以外の製造たばこ
                 現行  改正案
 国のたばこ税 1,000本につき 3,552円 5,302円
 地方のたばこ税 1,000本につき 4,372円 6,122円
  道府県たばこ税 1,000本につき 1,074円 1,504円
  市町村たばこ税 1,000本につき 3,298円 4,618円
  合計1,000本につき 7,924円 11,424円
 ロ 旧3級品の製造たばこ
                 現行  改正案
 国のたばこ税 1,000本につき 1,686円 2,517円
 地方のたばこ税 1,000本につき 2,075円 2,906円
  道府県たばこ税 1,000本につき 511円 716円
  市町村たばこ税 1,000本につき 1,564円 2,190円
  合計1,000本につき 3,761円 5,423円
 (注1)旧3級品とは、専売納付金制度下において3級品とされていた紙巻たばこをいいます。
 (注2)上記のほか、特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係る税率を1,000本につき11,424円(現行7,924円)に引き上げます。
 (注3)上記イについては、過去の実績からすれば、1本につき5円程度の価格上昇が見込まれます。
A上記の改正は、平成22年10月1日から適用します。
B手持品課税を行います。
Cその他所要の措置を講じます。

(4)租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
○ビールに係る酒税の税率の特例措置について、軽減割合を15%(現行20%)に引き下げた上、その適用期限を3年延長します。

(延長・拡充等)
@入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を1年延長します。

A入国者が輸入する紙巻たばこに係るたばこ税の税率の特例措置について、特例税率を1,000本につき10,500円(現行7,000円)に引き上げた上、その適用期限を1年延長します。
 (注)上記の税率の改正は、平成22年10月1日から適用します。

B輸入・国産石油化学製品製造用揮発油等に係る石油石炭税の免税・還付措置の適用期限を2年延長します。

C輸入・国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税・還付措置の適用期限を1年延長します。

D沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の対象に、貨物便を追加します。

〔地方税〕
(廃止・縮減等)
〈自動車税〉
○自動車税について、排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車は税率を軽減し、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化」)を、軽減対象の見直しを行った上、2年延長します。
 イ 環境負荷の小さい自動車
 平成22年度及び平成23年度に新車新規登録された平成17年ガソリン車排出ガス基準値より75%以上排出ガス性能の良い自動車で、平成22年度ガソリン車燃費基準値(ディーゼル車にあっては平成17年度ディーゼル車燃費基準値)より25%以上燃費性能の良いもの並びに電気自動車、プラグインハイブリッド自動車及び一定の排出ガス性能を備えた天然ガス自動車について、当該登録の翌年度の税率を概ね100分の50軽減します。
 ロ 環境負荷の大きい自動車
 平成22年度及び平成23年度に以下の年限を超えている自動車(電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、一般乗合用バス及び被けん引車を除きます。)について、その翌年度から次の特例措置を講じます。
  (イ) ディーゼル車で新車新規登録から11年を経過したものについて、税率を概ね100分の10重課します。
  (ロ) ガソリン車又はLPG車で新車新規登録から13年を経過したものについて、税率を概ね100分の10重課します。

(延長・拡充等)
〈自動車取得税〉
@国の行政機関の作成した計画に基づく政府の補助を受けて取得するバスに係る自動車取得税の非課税措置の適用期限を2年延長します。

A平成21年排出ガス規制に適合したディーゼル乗用車(新車以外のものに限ります。)に係る自動車取得税の税率の特例措置の適用期限を平成22年8月31日まで延長します。

B車両総重量が3.5tを超えるディーゼル車のバス・トラック等(新車以外のものに限ります。)であって平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成27年度燃費基準を満たすものに係る自動車取得税の税率の特例措置について、次のとおり適用期限を延長します。
 イ 車両総重量が3.5tを超え12t以下のディーゼル車のバス・トラック等であって、その取得が平成22年4月1日から平成22年9月30日までの間に行われたときは自動車取得税の税率から100分の2、平成22年10月1日から平成23年8月31日までの間に行われたときは自動車取得税の税率から100分の1を軽減します。
 ロ 車両総重量が12tを超えるディーゼル車のバス・トラック等であって、その取得が平成22年4月1日から平成22年8月31日までの間に行われたときは自動車取得税の税率から100分の1を軽減します。

C車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のディーゼル車のバス・トラック等(新車以外のものに限ります。)であって、平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成27年度燃費基準を満たすものについて、当該自動車の取得が平成22年4月1日から平成22年8月31日までの間に行われたときは、自動車取得税の税率から100分の1を軽減する特例措置を講じます。

(5)その他
〔国税〕
@消費税の仕入控除税額の調整措置に係る適用の適正化
 消費税の課税の適正化の観点から、調整対象固定資産の取得に係る仕入控除税額が過大であった場合に減額する調整措置の対象となるよう、次の見直しを行います。
 イ 事業者免税点制度の適用の見直し
 次の期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除きます。)中に、調整対象固定資産を取得した場合には、当該取得があった課税期間を含む3年間は、引き続き事業者免税点制度を適用しないこととします。
  (イ) 課税事業者を選択することにより、事業者免税点制度の適用を受けないこととした事業者の当該選択の強制適用期間(2年間)
  (ロ) 資本金1,000万円以上の新設法人につき、事業者免税点制度を適用しないこととされる設立当初の期間(2年間)
 (注1)上記の改正は、(イ)に該当する場合には平成22年4月1日以後に課税事業者選択届出書を提出した事業者の同日以後開始する課税期間から適用し、(ロ)に該当する場合には同日以後設立された法人について適用します。
 (注2)調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で100万円(税抜き)以上のものをいいます。
 ロ 簡易課税制度の適用の見直し
 イにより、引き続き事業者免税点制度を適用しないこととされた課税期間については、簡易課税制度の適用を受けられないこととします。

A特定輸出貨物に係る保税地域間の運送について、消費税が免税とされる輸出類似取引の範囲に追加します。

B資金決済に関する法律の制定に伴い、いわゆるサーバ型前払式支払手段につき、消費税が非課税とされる物品切手の対象範囲に含まれることとする規定の整備を行います。

C日豪物品役務相互提供協定(仮称)の締結を前提に、同協定に基づき行われる物品又は役務の相互の提供については消費税を課さないこととします。

〔地方税〕
@軽油の受渡しの当事者間で相手方を確実に認識できることとする等商品取引所の規則において必要な措置が講じられた軽油先物取引について、軽油引取税を適切に課税できるよう、都道府県に対する周知等の措置を講じます。

A軽油引取税に係る運輸事業振興助成交付金の仕組みは、従来通り継続することとします。

B市町村たばこ税の課税の適正化の観点から、当該市町村に営業所を有する製造たばこの小売販売業者に対する一定の補助金等を禁止するとともに、昼間流入人口を含む成人人口一人当たりの市町村たばこ税額が全国平均の3倍を超える場合にその超える市町村たばこ税額に相当する金額を都道府県に交付する制度について、その基準を3倍から2倍に引き下げます。

7.市民公益税制(寄附税制)
〔国税〕
(1)認定NPO法人に係る措置
 国税庁が行う特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)の認定審査について、2回目以降の認定は、原則として、書面審査により行うこととし、適正性の確保については、事後的な実地確認により行うこととします。併せて、認定手続の簡素化等を図るため、次の見直しを行います。
@初回の認定を受けようとするNPO法人のパブリック・サポート・テスト等の実績判定期間を2年(原則5年)とすることができる特例の適用期限を1年延長します。
A認定NPO法人の申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類等について、次のとおり簡素化します。
 イ 寄附者名簿について、初回の認定に係る申請書の添付書類であることを明確化するとともに、各事業年度の報告書類から除外し、5年間保存することを義務付けます。
 (注)これに伴い、上記の保存義務違反を認定の取消事由に追加します。
 ロ 事業報告書等の所轄庁から入手することができる書類を申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類から除外し、国税庁長官が所轄庁からこれらの書類又はその写しの提出を受けることとします。
 (注)これに伴い、NPO法人が特定非営利活動促進法の規定により所轄庁に対し事業報告書等の提出をしていることを認定要件に追加します。
 ハ 「報酬又は給与を得た役員又は従業員の氏名及びその金額に関する事項」を閲覧事項及び各事業年度の報告事項から除外します。
 ニ 「社員の親族割合又は特定法人等割合に関する事項」を閲覧事項及び各事業年度の報告事項から除外します。
 ホ 「財産の運用及び事業運営の状況等」の書類について、2回目以降の認定申請の際には、既に各事業年度の報告書類に記載した事項の記載を不要とします。
 ヘ 認定要件の該当性や申請書類の記載内容を確認するための参考書類としてNPO法人が提出を求められる書類をより明確化する観点から、国税庁の「認定NPO法人制度の手引」等にその事例を明示するなどの施策を講じます。
BNPO法人の認定申請の標準処理期間(6月)を設定し、これを国税庁のホームページで公表します。
C各都道府県庁所在地にある税務署にNPO法人の認定申請の相談窓口を設けるなど事前相談体制を充実するとともに、審査体制を強化します。

(2)所得税の寄附金控除の適用下限額の引下げ
 寄附金控除の適用下限額を2千円(現行5千円)に引き下げます。
 (注)上記の改正は、平成22年分以後の所得税について適用します。

8.納税環境整備
〔国税〕
(1)租税に関する罰則の見直し
課税の適正化を図り、税制への信頼を確保する観点から、租税に関する罰則(国税関係)について、次の措置を講じます。
@脱税犯に係る法定刑の引上げ等
 イ 脱税犯に係る法定刑の引上げ
  (イ) 直接税及び間接税等の脱税犯に係る懲役刑の上限を10年(現行5年(源泉所得税に係るものは3年))に引き上げます。ただし、航空機燃料税及び電源開発促進税については5年(現行3年)とし、印紙税については3年(現行1年)とします。
  (ロ) 直接税及び間接税等の脱税犯に係る罰金刑の上限(定額部分)を、直接税及び消費税については1,000万円(現行500万円)に、間接税等(消費税、航空機燃料税及び電源開発促進税を除く。)については100万円(現行50万円(印紙税は20万円))にそれぞれ引き上げます。ただし、源泉所得税不納付犯に係るものは200万円(現行100万円)とし、源泉所得税不納付犯を除く源泉所得税の脱税犯に係るものは100万円(現行50万円)とします。
 ロ 所得税の脱税犯の対象に、非居住者の給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告に係るものを加えます。
 ハ 滞納処分免脱犯に係る罰金刑の上限を、納税者又はその財産を占有する第三者については250万円(現行50万円)に、これらの者の相手方については150万円(現行30万円)にそれぞれ引き上げます。
 ニ 所得税(源泉所得税に係るもの)、航空機燃料税及び電源開発促進税の納税者の代理人等(行為者)が、納税者の業務等に関して脱税に係る違反行為をした場合における納税者の業務主(法人又は業務主たる個人)としての罪の公訴時効期間は、代理人等(行為者)に係る罪の公訴時効期間によるものとします。
A秩序犯に係る法定刑の引上げ等
 イ 秩序犯に係る法定刑の引上げ
  (イ) 間接税等の申告書不提出犯、検査忌避犯、虚偽帳簿書類提示犯、記帳義務違反犯、免税物品の不正譲受渡犯及び免税用途外消費等の秩序犯(印紙税法25条2号、26条に規定するものを除く。)並びに国税徴収法に規定する検査忌避等の秩序犯に係る罰則について、直接税と同様に、1年以下の懲役刑を設けます(現行は罰金刑のみ)。
  (ロ) 直接税及び間接税等の秩序犯並びに国税通則法、国税徴収法、租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律、清酒製造業等の安定に関する特別措置法及び内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律に規定する検査忌避等の秩序犯に係る罰則について、罰金刑の上限を50万円に引き上げます。ただし、印紙税法(25条2号、26条)、国税通則法(126条)及び租税特別措置法(66条の4第12項、68条の88第11項)に規定するものは30万円とします。
  (ハ) 納税貯蓄組合法(14条)及び清酒製造業等の安定に関する特別措置法(19条)に規定する過料の上限を10万円に引き上げます。
 ロ 申告書不提出犯の対象に、相続税法及び租税特別措置法に規定する義務的修正申告書及び義務的期限後申告書を提出しない場合を加えます。
 ハ 間接税等に設けられている科料規定を廃止します。
B税務職員の守秘義務違反(秘密漏洩)に対する罰則の見直し
 イ 現行の所得税法等に規定されている守秘義務違反に対する罰金刑の上限を100万円(現行30万円)に引き上げます。
 ロ 国税通則法に、国税の調査に関する事務に従事している職員(従事していた職員を含む。)の守秘義務違反に対する統一的な罰則規定(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)を設け、現行の所得税法等の規定を承継(削除)するほか、現在その規定がない間接税等の調査に関する事務、国税の犯則事件の調査及び国税の徴収の事務における同様の守秘義務違反を処罰対象に含めます。
Cその他所要の規定の整備を行います。
 (注1)以上全体につき別紙6参照。
 (注2)「直接税」とは、所得税、法人税、相続税、贈与税及び地価税をいい、「間接税等」とは、消費税、酒税、たばこ税、たばこ特別税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、航空機燃料税、電源開発促進税及び印紙税をいいます。
 (注3)上記の改正は、平成22年6月1日以後にした違反行為について適用します。

(2)その他
 資金決済に関する法律の制定に伴い、国外送金等に係る調書の提出義務者となる金融機関の範囲に資金移動業者を追加します。

9.租特透明化法(仮称)等
〔国税〕
 租税特別措置の適用実態を明確にし、その効果の検証に役立てる仕組みを構築するため、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査やその結果の国会への報告等について定める「租特透明化法案(仮称)」を平成22年の通常国会に提出します。
 ※「租特透明化法案(仮称)」の概要については、別紙3参照

〔地方税〕
 地方税における税負担軽減措置等の適用の実態の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進するため、統計資料等による地方税における税負担軽減措置等の適用実態の把握やその結果の国会への報告等について定める地方税法改正案を平成22年の通常国会に提出します。
 ※地方税における税負担軽減措置等の透明化の概要については、別紙4参照

10.関税
(1)暫定税率等の適用期限の延長
 平成21年度末に適用期限が到来する暫定税率(415品目)、特別緊急関税制度及び牛肉等に係る関税の緊急措置(牛肉についての発動基準の特例を含む。)について、来年の妥結を目指しているWTOドーハ・ラウンド交渉で関連事項が交渉対象となっていること等を踏まえ、適用期限を1年延長します。

(2)罰則水準の見直し
 昨今の関税ほ脱犯の悪質・巧妙化や覚せい剤等不正薬物の乱用に対する国民の危機感の一層の高まりに対応すべく、関税に関する罰則について、次の措置を講じます。
@関税ほ脱罪に係る法定刑の引上げ
 関税ほ脱罪の既遂・未遂に係る懲役刑の上限を10年(現行5年)に、罰金刑の上限(定額部分)を1,000万円(現行500万円)にそれぞれ引き上げます。
A輸入禁止品輸入罪等に係る法定刑の引上げ
 イ 輸入禁止品輸入罪、輸出禁止品輸出罪及び輸入禁止品を保税地域に置く等の罪(トランジット罪)の既遂・未遂に係る懲役刑の上限を10年(現行7年)に引き上げます。
 ロ 輸入禁止品輸入罪及び輸出禁止品輸出罪(知財侵害物品等)の既遂・未遂に係る罰金刑の上限を1,000万円(現行700万円)に引き上げます。
 ハ トランジット罪の既遂・未遂に係る罰金刑の上限を、麻薬類等については1,000万円(現行700万円)に、知財侵害物品等については700万円(現行500万円)にそれぞれ引き上げます。
B密輸貨物運搬罪に係る法定刑の引上げ
 イ 密輸貨物運搬罪に係る懲役刑の上限を、関税ほ脱罪、輸入禁止品輸入罪、輸出禁止品輸出罪及びトランジット罪に係る貨物については5年(現行3年)に、無許可輸出入罪に係る貨物については3年(現行2年)にそれぞれ引き上げます。
 ロ 密輸貨物運搬罪に係る罰金刑の上限(関税ほ脱罪に係る貨物にあっては定額部分)を、関税ほ脱罪、輸入禁止品輸入罪、輸出禁止品輸出罪及びトランジット罪に係る貨物については500万円(現行300万円)に、無許可輸出入罪に係る貨物については300万円(現行200万円)にそれぞれ引き上げます。
 (注)上記(2)の改正は、平成22年6月1日以後にした違反行為について適用します。

11.検討事項
〔国税〕
(1)非上場株式等の信託を利用した事業承継に係る税制上の措置については、現行の事業承継税制の定着を図る中で、その利用状況や、信託を利用した事業承継の実態及び税制上の措置の必要性等を踏まえ、引き続き検討を行います。

(2)外貿埠頭公社の民営化に伴い承継する不動産の登記に係る登録免許税については、4つの公社(財団法人大阪港埠頭公社、財団法人神戸港埠頭公社、財団法人横浜港埠頭公社及び財団法人名古屋港埠頭公社)の株式会社化に対する取組状況等を踏まえ、引き続き検討を行います。

(3)郵便貯金銀行、郵便保険会社、郵便局会社等に係る税制上の措置については、消費税を含む税制の基本的な考え方等に基づき、国会や与党におけるこれまでの議論、「郵政改革の基本方針」(平成21年10月20日閣議決定)等に沿った検討も踏まえつつ、ユニバーサルサービスの担保等のための政策のあり方の観点から、所要の検討を行います。

(4)輸入・国産石油化学製品製造用揮発油等に係る石油石炭税の免税・還付措置及び揮発油税法等における石油化学製品製造用揮発油に係る免税措置については、地球温暖化対策との関係、制度が導入された際の趣旨の整理と今日的な評価、対象企業・関連産業の国際競争力に与える効果の検証等を踏まえ、引き続き検討を行います。

(5)市民公益税制プロジェクト・チームの設置
 第3章でも述べたとおり、市民公益税制に係るプロジェクト・チームにおいて、寄附税制や公益活動を担う法人(NPO法人や公益法人など)に係る税制について、専門的・総合的観点から検討します。その際、次の項目についても、併せて検討します。
@認定NPO法人の収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出(繰入れ)をした金額をその収益事業に係る寄附金の額とみなして寄附金の損金算入限度額の範囲内で損金算入を認める制度(いわゆる「みなし寄附金制度」)に係る損金算入限度額の引上げについては、他の公益法人における「みなし寄附金制度」とのバランス等も踏まえつつ検討します。
A研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律に基づく研究開発法人に対する寄附金を指定寄附金とする制度の創設については、独立行政法人改革との関係を整理した上で、特定公益増進法人に対する寄附金から指定寄附金とする場合の効果等について検討します。
B寄附文化醸成に向けた寄附税制の拡充については、所得税の寄附金控除の適用下限額の引下げを含むこれまでに行った制度拡充の効果の検証を行うとともに、寄附金控除を年末調整の対象とするか否かについては、執行面の問題などを検討します。
C給付制奨学金事業を行う民間団体への寄附金に係る税額控除制度の創設については、特定の団体への寄附のみを税額控除化することの適否を検討します。

〔地方税〕
(1)個人住民税における寄附金税額控除の対象となる寄附金の範囲について、市民公益税制に係るプロジェクト・チームにおいて検討します。

(2)事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、来年1年間真摯に議論し、結論を得ます。

(3)現在収入金額課税を行っている電気供給業、ガス供給業及び保険業に係る法人事業税の課税方式については、中長期的に検討します。

(4)特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行する法人が設置する図書館、博物館及び幼稚園に係る固定資産税、都市計画税及び不動産取得税について、移行状況や施設の使用・経営実態等を調査したうえで、平成22年度に結論が得られるよう必要な検討を行います。

〔国税・地方税共通〕
(1)金融証券税制については、金融商品間の損益通算の範囲の拡充に向け、平成23年度改正において、公社債の利子及び譲渡所得に対する課税方式を申告分離課税とする方向で見直すことを検討します。

(2)地球温暖化対策のための税については、今回、当分の間として措置される税率の見直しも含め、平成23年度実施に向けた成案を得るべく、更に検討を進めます。
 車体課税については、エコカー減税の期限到来時までに、地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政の状況も踏まえつつ、今回、当分の間として適用される税率の取扱いを含め、簡素化、グリーン化、負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討します。
 これらを法律において規定することとします。

第5章 今後の進め方

 このたびの大綱で、税制調査会は年度税制改正だけでなく、第1章では基本的考え方、第3章では中長期的な改革の方向性も示しました。
 今後、経済財政運営の方針、中長期的な財政健全化の道筋、社会保障制度改革、真の地域主権に向けた国・地方の役割分担や地方消費税も含めた地方税制のあり方、低炭素社会の実現に向けた取組に関する政府全体の検討を踏まえながら、税制の抜本改革を実現していく必要があります。
 そのためには、このたびの大綱を踏まえ、さらに議論を深掘りする必要があります。
 議論を深掘りするに当たっては、過去の経験からも学ぶ必要があります。その意味で80年代以降の内外の税制改革の総括も必要です。
 そのため、第2章で述べた通り、専門家委員会を近日立ち上げ、税制全般にわたり詳細な検討を進めます。専門家委員会の議論には政治家も加わります。専門家委員会には、税制抜本改革実現に向けての具体的ビジョンの全体像について助言を求めていくことになりますが、それに当たっては、80年代以降の世界的潮流の中での内外の税制改革を総括しつつ、検討すべき課題を見出していきたいと考えています。そうした課題の中には、給付付き税額控除の制度設計や国際課税などの実務的・技術的な検討課題もあります。
 税制調査会は、専門家委員会のこうした助言を受けながら、内閣官房国家戦略室とも連携しつつ、歳出・歳入一体の改革が実現できるよう、税制抜本改革実現に向けての具体的ビジョンとして、工程表を作成し、国民の皆様にお示しします。
 同時に、国民を代表する政治家が各々国民と議論を交わし、国民の納得を得た上で、工程表に基づき税制の抜本改革を実現します。

【別紙1】

 租税特別措置の見直しに関する基本方針

1.見直しの対象
(1)租税特別措置の見直しは、租税特別措置法に規定された措置や特例等のうち、産業政策等の特定の政策目的により税負担の軽減等を行う措置(以下「政策税制措置」という。)に該当するものを対象とする。

(2)政策税制措置に該当するもの(現時点で241項目)の全てについて、今後4年間で抜本的に見直す。各年の見直しの対象は、その年度末までに期限が到来する措置に、期限の定めのない措置等を随時加えたものとすることを基本とする。

2.見直しの方針(「ふるい」)

 租税特別措置の見直しに当たっては、公平・透明・納得の税制の構築と財源確保の要請を踏まえつつ、以下の方針により行うこととする。

(1)既存の政策税制措置のうち、期限の定めのある措置については、その期限到来時に廃止する(サンセット)。ただし、別添の「指針」に照らして合理性、有効性及び相当性のすべてが明確に認められる措置に限り、その内容の厳格な絞込みを前提に、原則として3年以下の期限を付して存続させることを検討する。
 なお、別添の「指針」に照らして厳格な見直しを行った結果、実質的に同じ内容の措置を20年を超えて存続させることとなる場合には、原則として、期限の定めのない措置とすることを検討する。

(2)既存の政策税制措置のうち、期限の定めのない措置については、関連する措置を見直す場合等の適時に、別添の「指針」に照らして、その適用状況や政策評価等を踏まえて存続の必要性を判断し、存続させる場合は、内容の厳格な見直しを行う。
 なお、期限の定めのない措置のうち、もはや適用状況や政策評価等を踏まえた必要性を判断する必要がなく、かつ、課税の公平原則を逸脱するものではないと明確に認められるものについては、本則化の適否を検討する。

(3)政策税制措置を新設又は拡充する場合には、スクラップ・アンド・ビルドを基本とし、その費用対効果の見通しと検証可能性に留意しつつ、別添の「指針」を踏まえてその緊要性を厳格に判断し、原則として、3年以下の期限を付すものとする。

 以上

(別添)

 政策税制措置の見直しの指針(「6つのテスト」)

○背景にある政策に今日的な「合理性」が認められるか

1.法律に規定されるなど、所管官庁の政策体系の中で優先度や緊要性の高いものとして明確に位置付けられているか。

2.当初の政策目標が既に達成されていないか。

○政策目的に向けた手段としての「有効性」が認められるか

3.適用数が想定外に僅少であったり、想定外に特定の者に偏っていないか。

4.政策評価法に基づく所管官庁の事後評価等において、税収減を是認するような有効性(費用対効果)が客観的に確認されているか。

○補助金等他の政策手段と比して「相当性」が認められるか

5.同様の政策目的に係る他の支援措置や義務付け等がある場合に、適切かつ明確に役割分担がなされているか。

6.適用実態などからみて、その政策目的を達成するための政策手段として的確であり、かつ、課税の公平原則に照らし、国民の納得できる必要最小限の特例措置となっているか。

※上記の「合理性」、「有効性」、「相当性」の検証に当たっては、存続期間が比較的長期にわたっている措置(10年超)や適用者数が比較的少ない措置(2桁台以下)等については、特に厳格に判断する。

【別紙2】

 地方税における税負担軽減措置等の見直しに関する基本方針

1.見直しの対象

(1)地方税における税負担軽減措置等の見直しは、地方税法に規定された措置や特例等のうち、特定の政策目的により税負担の軽減等を行う措置(以下「政策税制措置」という。)に該当するものを対象とする。

(2)政策税制措置に該当するもの(現時点で286項目)の全てについて、今後4年間で抜本的に見直す。各年の見直しの対象は、その年度末までに期限が到来する措置に、期限の定めのない措置等を随時加えたものとすることを基本とする。

2.見直しの方針

(1)地方税における税負担軽減措置等の見直しについては、公平・透明・納得の税制の構築と財源確保の要請を踏まえつつ、「租税特別措置の見直しに関する基本方針」に準じて行うこととする。

(2)固定資産税、不動産取得税、自動車関係税等については、(1)による見直しに加え、以下のいずれかの要件に該当する措置について特に厳格な見直しを行う。

@実施期間が長期にわたる措置(10年超)
A適用件数が少ない措置(100件未満)
B適用金額が小さい措置(1億円未満)

(3)特別の必要により延長を認める場合でも、経過年数に応じて段階的・自動的に特例措置を縮減する仕組み(新サンセット方式)の導入を検討する。

 以上

【別紙3】

 租特透明化法案(仮称)の概要

1.目的
 租税特別措置に関し、適用の実態を把握するための調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることにより、適用の状況の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進し、もって国民が納得できる公平で透明性の高い税制の確立に寄与する。

2.対象とする租税特別措置
 対象とする「租税特別措置」は、租税特別措置法に規定する措置・特例等のうち、特定の行政目的の実現のために設けられたもの(租税特別措置法の条番号により特定)とする。

3.適用額明細書の提出義務
 法人税申告書を提出する法人であって法人税関係特別措置(増収効果のあるもの等を除く。)の適用を受けようとするものは、適用額明細書を当該法人税申告書に添付しなければならないこととする。(平成23年4月1日以後終了する事業年度の申告から適用する。)
 なお、適用額明細書の提出及び適正な記載を担保するため、その不提出や虚偽記載については、やむを得ない事情がある場合を除き、法人税関係特別措置を適用しないこととする。
 (注)「適用額明細書」とは、法人税申告書を提出する法人が、その法人税申告書において適用を受ける各法人税関係特別措置の内容、適用額(税額控除額、特別償却限度額、準備金や積立金の額等)等必要な事項を記載した一覧表をいう。

4.適用実態調査の実施
(1)財務大臣は、法人税関係特別措置について、適用額明細書に記載された事項を集計することにより、法人税関係特別措置ごとの適用法人数、適用額の総額等の適用の実態を調査する。
(2)上記のほか、財務大臣は、租税特別措置の適用の実態を調査する必要があると認めるときは、税務署長に提出される調書等を利用し、並びに行政機関その他の関係団体に対し資料の提出及び説明を求めることができる。

5.報告書の作成と国会への提出
 財務大臣は、毎会計年度、上記4.の調査により把握した租税特別措置ごとの適用数や適用額の総額、法人税関係特別措置ごとの高額適用額その他の事項を記載した適用実態調査の結果に関する報告書を作成し、内閣は、これを国会に提出しなければならないこととする。
 なお、この報告書は、翌年1月に開会される国会の常会に提出することを常例とする。

6.適用実態調査情報の提供
 行政機関の長等は、政策評価を行うため、財務大臣に対し、適用実態調査により収集した情報(以下「適用実態調査情報」という。)の提供を求めることができることとする。

7.適用実態調査情報の管理・利用制限
 財務大臣及び行政機関の長等は、適用実態調査情報を適正に管理することとし、適用実態調査情報の目的外の利用や提供をしてはならないこととする。
 また、適用実態調査情報の取扱いに従事する者又は従事していた者に対して、守秘義務を課する。

【別紙4】

 地方税における税負担軽減措置等の透明化の概要

○地方税における税負担軽減措置等の適用の実態の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進するため、地方税法において以下のような措置を講ずる。

1.対象
(1)地方税法に規定する税負担の軽減等に係る措置・特例のうち、特定の行政目的の実現のために設けられたもの
(2)住民税及び事業税の税負担の軽減等のうち、法人税等の租税特別措置の直接の影響を受けるもの

2.適用実態の把握等
 上記1.(1)については、地方税に関する統計資料(固定資産の価格等の概要調書など)等により、その適用実態を把握し、上記1.(2)については、財務大臣による適用実態調査により収集された情報等に基づき、その影響額を推計するものとする。

3.報告書の作成と国会への提出
 総務大臣は、毎会計年度、上記2.により把握した適用実態及び影響額の推計について報告書を作成し、これを国会に提出しなければならないものとする。

4.財務大臣の情報提供等
 総務大臣は、上記2.の適用実態の把握等を行うために、財務大臣に対し、参考となるべき資料又は情報の提供その他の協力を求めることができるものとする。

【別紙5】
(単位:円)

車種
車検
期間
自家用
営業用
検査自動車 乗用自動車
3年
車両重量0.5tごと
15,000
2年
10,000
1年
5,000
2,700
バス
1年
車両総重量1tごと
5,000
2,700
トラック 車両総重量2.5t超
2年
10,000
5,400
1年
5,000
2,700
車両総重量2.5t以下
2年
7,600
5,400
1年
3,800
2,700
特種車
2年
10,000
5,400
1年
5,000
2,700
小型二輪
3年
定額
6,600
4,800
2年
4,400
3,200
1年
2,200
1,600
検査対象軽自動車
3年
11,400
2年
7,600
5,400
1年
3,800
2,700
届出軽自動車 検査対象外軽自動車 二輪車
5,500
4,300
その他
11,300
8,100

【別紙6】
租税に関する罰則の見直し(国税関係)

【参考資料】
資料1 所得税の税率の推移(イメージ図)
資料2 申告納税者の所得税負担率(平成19年分)
資料3 法人所得課税の実効税率の国際比較
資料4 社会保険料事業主負担及び法人所得課税の税収の国際比較(対国民所得比)
資料5 法人所得課税及び社会保険料の法人負担の国際比較に関する調査(平成18年3月)
資料6 最近における相続税の課税割合・負担割合及び税収の推移