平成16年度税制改正大綱

平成15年12月17日
自由民主党
目次
第一持続可能な社会保障制度と地方分権の推進を支える税制の確立を目指して
第二平成16年度税制改正の基本的考え方
第三平成16年度税制改正の具体的内容
 一住宅・土地税制
 二中小企業・ベンチャー支援
 三金融・産業の構造改革を促進する税制
 四金融・証券税制
 五年金税制
 六地方分権への対応(三位一体改革等)
 七国際課税
 八農林漁業対策
 九環境対策
 十その他の政策税制
 十一その他
第四検討事項

第一 持続可能な社会保障制度と地方分権の推進を支える税制の確立を目指して
今、わが国は、構造改革を着実に進め、活力ある経済社会を実現していくため、多くの基本的な課題に取り組まなければならない。
第一は、少子高齢化社会における年金、医療、介護等を抜本的に再構築し、持続可能で国民が信頼できる社会保障制度を確立していく必要がある。特に年金制度については、平成21 年度までに基礎年金の国庫負担割合を段階的に2分の1に引き上げるための安定した税財源を確保する。
その際、税と社会保険料負担を合わせた国民負担の水準を抑制し、将来にわたってわが国経済社会の活力を維持するようにつとめる。
第二は、「国から地方へ」の考え方に立ち、地方の自立と地域経済の発展を目指して、真の地方分権を推進し、地方自治の確立を図っていく必要がある。特に、平成18 年度までに、約4兆円の国庫補助負担金の廃止・縮減等を行うとともに、地方交付税の見直しと地方への税源移譲を行う「三位一体改革」を進めることが求められている。
その際、地方行革を徹底して進め、地方財政の健全化を図っていくことが重要である。
こうした諸課題を解決するため、むこう数年間のうちに、次のような税制の抜本改革に取り組むこととする。
1 平成16 年度税制改正において年金課税の適正化を行う。この改正により確保される財源は、平成16 年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引上げに充てるものとする。
2 平成17 年度及び平成18 年度において、わが国経済社会の動向を踏まえつつ、いわゆる恒久的減税(定率減税)の縮減、廃止とあわせ、三位一体改革の中で、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。これにより、平成17年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する。
3 国と地方のいわゆる三位一体改革の一環として、平成18 年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現することとする。この本格的な税源移譲を実現するまでの間の暫定的措置として、平成16 年度税制改正において所得譲与税を創設し、所得税の一部を税源移譲する。
4 平成19 年度を目途に、年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む抜本的税制改革を実現する。

第二 平成16 年度税制改正の基本的考え方
平成16 年度改正においては、厳しい財政状況の下ではあっても、できる限りの工夫を凝らして、デフレ不況を一刻も早く克服するための思い切った経済活性化策に取り組むこととした。また、高齢化、地方分権の流れ、国際化等様々な構造変化に対し、税制面で適切な対応を図ることとした。
まず、デフレ不況から脱却するために欠かせない資産の活用による経済活性化を強く後押しする。このため、土地の譲渡益課税を軽減し、土地取引の活性化を促進する。また、住宅ローン減税の延長措置を講じ、個人の計画的な持家取得を支援する。また、金融証券税制についても、平成15 年度改正に加えて、株式投信の譲渡益課税を上場株並みに軽減するなど市場の更なる活性化を目指している。
将来の日本経済発展の鍵を握る中小企業、ベンチャー企業を思い切って支援するため、非上場株の譲渡益課税の軽減、エンジェル税制の対象企業の拡大、株式による事業承継の円滑化等の措置を講じることとした。
欠損金の繰越期間の延長、連結付加税の廃止により、金融機関の迅速な不良債権処理、企業の大胆な事業の再構築を支援し、金融・産業構造の変革、企業の国際競争力の強化を図る。
少子・高齢化が進む中、国民が元気に、かつ、安心して暮らしていくためには、現役世代、高齢者世代が共に、公平に負担を分かち合う税制にすることが重要である。こうした観点から、標準的及びそれ以下の年金収入だけで暮らす高齢者世帯には十分な配慮を行いながら、年金課税を見直すこととした。
「地方にできることは地方に」との理念に沿って、三位一体改革を着実に実行する。その一環として、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するまでの暫定措置として、平成16 年度においては、所得税の一部を地方に移譲する所得譲与税を創設することとした。
今般、約30 年振りに日米租税条約の改正を行っており、これにより、世界第一、第二の経済大国である日米両国間の投資交流を税制面から更に促進する。今後、他の国々とも新しい考え方の下に租税条約を締結し、対日投資を増加させ、わが国の雇用拡大、経済活性化につなげていく。
以下、主要項目について基本的考え方を述べる。

1 経済活性化への対応
(1)住宅・土地税制
@ 住宅ローン減税について、現下の景気情勢を踏まえ、平成15 年分の制度を1年延長して平成16 年分に適用する。平成17 年分以降については、いわゆる団塊ジュニア世代を中心とした個人の計画的な持家取得の支援の要請と、財政構造改革の必要性を総合勘案し、平成20 年までの間に、税額控除期間10年は維持しつつ、中堅層に見合ったローン水準をカバーする制度への重点化を進める。なお、中古住宅等に係る取扱いについては、中古住宅政策とあわせ検討する。
A 資産デフレによる住宅価格の下落を踏まえ、持家世帯の住みかえを促進するため、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除について、適用範囲を拡大して3年延長する。また、住宅を売ってもローンを返済しきれない者の新生活への再出発を支援する観点から、居住用財産を譲渡した場合において、ローン残債が譲渡価額を超える場合における譲渡損失の繰越控除制度を創設する。
B 土地譲渡益課税について、最近の地価、土地取引の動向等を踏まえ、土地市場の活性化に資する観点から、長期譲渡所得の税率を資産から生ずる他の所得と同様20%に引き下げるとともに、優良住宅地造成のための軽減税率も引き下げる。なお、長期譲渡所得の100 万円特別控除、譲渡損失の他所得との損益通算を廃止する。
C 固定資産税は市町村財政を支える基幹税であり、福祉やごみ収集、消防など住民に身近な行政サービスを提供する上でその安定的確保が不可欠である。
平成15 年度の固定資産税収が評価替え等の影響により大幅な減収となっていることや、極めて厳しい市町村財政も考慮しつつ、負担水準の高い商業地等について、地方公共団体の条例の定めるところにより、一律に税額を減額できる仕組みを創設する。
(2)中小企業・ベンチャー支援
中小企業の経営環境が極めて厳しい状況にある中、新規起業の促進、事業承継の円滑化及び中小企業の投資促進を図るため、以下の措置を講ずる。
@ ベンチャー投資の促進、事業承継の円滑化、M&A等の中小企業の積極的な経営展開の支援に資するため、非上場株式の譲渡益について税率を20%に引き下げる。
A 平成15 年度改正において措置されたエンジェル税制について、証券会社やベンチャーファンドを通じて投資をする多数のエンジェルが本格的に利用できるよう、適用対象となる特定中小会社の範囲を拡大する。
B 相続税負担の軽減による中小企業者等の事業承継の円滑化に資する見地から、取引相場のない株式に係る相続税の課税価格を減額する特例の適用範囲を拡充する。また、相続により取得した非上場株式を相続税納付のためにその発行会社に譲渡した場合について、みなし配当課税を行わず譲渡益課税の対象とする。
C 中小企業投資促進税制について、適用期限を2年延長する。
(3)金融・産業の構造改革を促進する税制
近年、金融機関が不良債権処理を加速させ、また、あらゆる産業分野で企業が大胆な事業の再構築を進めることにより、多額の欠損金が発生している。金融・産業の一体的再生を実現しわが国企業の競争力を強化するには、こうした負の遺産の清算に取り組む企業を支援するとともに、創業や新規事業の立上げなど初期段階で多額のコストを伴う企業活動を支える基盤整備が不可欠であり、このため、以下の措置を講ずる。
@ 欠損金の繰越控除制度について、繰越期間を5年から7年に延長する。その際、既に不良債権処理や事業の再構築に取り組んだ企業も支援するため、過去3年の欠損金に遡って適用する。
A 連結付加税について、連結納税制度の活用による企業の柔軟な事業再編を促進するため、期限どおり廃止する。
(4)金融・証券税制
金融資産性所得に対する課税の一体化に向けた取組を進めるため、以下の措置を講ずる。
@ 公募株式投資信託の譲渡益課税を上場株式等並みとする。具体的には、10%優遇税率を適用し、特定口座の取扱対象商品とする。また、解約・償還又は譲渡による損失について、上場株式等の譲渡損失の繰越控除の対象とする。
A 非上場株式の譲渡益について、税率を20%に引き下げる。(再掲)
2 高齢社会への対応
(1)わが国社会の高齢化が急速に進展する中、国民が元気かつ安心して暮らしていくには、高齢者を含め全ての国民が共助の気持ちを持って共に支えあう社会の確立が必要である。このような観点から、高齢者と現役世代との世代間の税負担のバランスの確保、更には、所得に格差のある高齢者間の世代内の税負担の公平を図る観点から、年齢だけを基準に、現役世代と比較して特別に優遇する措置となっている公的年金等控除の65 歳以上の者の上乗せ措置及び老年者控除を廃止する。
ただし、標準的及びそれ以下の年金だけで暮らしている高齢者世帯に配慮するため、公的年金等控除の最低保障額を加算する特例措置を講ずる。
(2)年金制度改革における公的年金の給付水準の見直しに伴い、自助努力の支援として、確定拠出年金制度の拡充を図る。
3 地方分権への対応
(1)三位一体の改革(税源移譲)
「国から地方へ」という基本的な考え方の下、地方分権の理念に沿って、歳入・歳出両面での地方の自主性と責務を高める観点から、「三位一体の改革」を積極的に推進していく必要がある。この一環として、「改革と展望」の期間中(平成18 年度まで)に、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施する。この税源移譲の具体的な内容については、早急に検討を行い、結論を得る。
平成16 年度においては、上記の本格的な税源移譲を実施するまでの間の暫定措置を講じることとし、具体的には、所得税の一部を使途を制限しない一般財源として地方へ譲与する所得譲与税を創設する。
この所得譲与税による平成16 年度の税源移譲額は、4,249 億円とし、人口を基準として都道府県及び市区町村へ譲与する。
(2)個人住民税均等割
個人住民税均等割は、広く住民が地域社会の費用の一部を等しく分担するものであり、地方自治を支える重要な税である。
平成16 年度税制改正においては、制度上の課題について見直しを行い、市町村民税における人口段階に応じた税率区分を廃止するとともに、税負担の公平の観点から、生計同一の妻に対する非課税措置を段階的に廃止し、所得金額が一定以上の者について均等割を課することとする。
(3)課税自主権
地方公共団体が、住民の理解を得ながら地方税の課税内容を自ら条例で決定し、独自の課税を進めることは、地方分権を推進する上で重要な意義を有するものである。
このため、固定資産税の制限税率を廃止するとともに、標準税率の定義を見直し、税率変更の自由度を拡大する。また、法定外税について、税率の引下げや課税期間の短縮等の場合には国への協議を不要とするとともに、特定少数の納税者への課税となる場合に納税者の意見を議会で聴取する制度を創設する。
また、固定資産税について、負担水準の高い商業地等について、地方公共団体の条例の定めるところにより、一律に税額を減額できる仕組みを創設する。
4 国際化への対応
近年、急速に進展する経済のグローバル化に対応してわが国の産業競争力を強化するためには、国際的な投資活動について支援しなければならない。このような観点から、本年11 月に日米新租税条約が署名されたところであり、世界第一、第二の経済大国である日米間の投資交流が促進されることにより、雇用創出等を通じてわが国経済の活性化がもたらされることが期待される。また、日米新租税条約では、国際的投資交流の促進と課税の適正化の観点から、わが国の租税条約に関する基本方針が見直されており、今後、他国との間でもこの方針の下に租税条約の見直しを行っていく。そのために日米新租税条約でとられた新しい方針を適切に実施するための関連国内法令を整備していく。

第三 平成16 年度税制改正の具体的内容

一住宅・土地税制
[住宅税制]
(国税)
1 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
平成16 年から平成20 年までに居住の用に供した場合の控除期間、住宅借入金
等の年末残高の限度額及び控除率を次のとおりとする。

居住年
控除期間
住宅借入金等の年末残高
適用年・控除率
平成16年 10 年間 5,000 万円以下の部分 ・1年目から10 年目まで1%
平成17年 同上 4,000 万円以下の部分 ・1年目から8年目まで1%
・9年目及び10 年目0.5%
平成18年 同上 3,000 万円以下の部分 ・1年目から7年目まで1%
・8年目から10 年目まで0.5%
平成19年 同上 2,500 万円以下の部分 ・1年目から6年目まで1%
・7年目から10 年目まで0.5%
平成20年 同上 2,000 万円以下の部分 ・1年目から6年目まで1%
・7年目から10 年目まで0.5%

2 特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除について、その個人が譲渡資産の譲渡をした年の一定の日において当該譲渡資産の取得に係る一定の住宅借入金等の残高を有することとする要件を除外したうえ、その適用期限を3年延長する。
(注)この特例については、譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、当該譲渡資産の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越しを認める。また、純損失の繰越控除制度及び純損失の繰戻し還付制度の純損失の金額には、当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額を含めないものとする。
3 特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の創設
個人が、平成16 年1月1日から平成18 年12 月31 日までの間にその有する家屋又は土地等でその年1月1日において所有期間が5年を超えるものの当該個人の居住の用に供しているもの(以下「譲渡資産」という。)の譲渡(親族等に対するものを除く。)をした場合(当該個人が当該譲渡に係る契約を締結した日の前日において当該譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額を有する場合に限る。)において、当該譲渡の日の属する年に当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、一定の要件の下で、その譲渡損失の金額についてその年の翌年以後3年内の各年分(合計所得金額が3,000 万円以下である年分に限る。)の総所得金額等からの繰越控除を認める。
(注)1.「譲渡資産に係る譲渡損失の金額」とは、譲渡資産に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(当該譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額から当該譲渡資産の譲渡の対価の額を控除した残額を限度とする。)のうち損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額をいう。
2.この特例については、譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、当該譲渡資産の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越しを認める。また、純損失の繰越控除制度及び純損失の繰戻し還付制度の純損失の金額には、当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額を含めないものとする。
4 特定の居住用財産の買換え等及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用期限を3年延長する。
5 給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例の適用期限を2年延長する。
6 優良賃貸住宅等の割増償却制度について、対象となる賃貸住宅から都心共同住宅を除外するとともに、特定優良賃貸住宅の割増償却率を30%(耐用年数35 年以上であるものについては、40%)から21%(耐用年数35 年以上であるものについては、28%)に引き下げたうえ、その適用期限を2年延長する。
(地方税)
1 特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除について、その個人が譲渡資産の譲渡をした年の一定の日において当該譲渡資産の取得に係る一定の住宅借入金等の残高を有することとする要件を除外したうえ、その適用期限を3年延長する。
(注)この特例については、譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、当該譲渡資産の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越しを認める。また、純損失の繰越控除制度の純損失の金額には、当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額を含めないものとする。
2 特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の創設
個人が、平成16 年1月1日から平成18 年12 月31 日までの間にその有する家屋又は土地等でその年1月1日において所有期間が5年を超えるものの当該個人の居住の用に供しているもの(以下「譲渡資産」という。)の譲渡(親族等に対するものを除く。)をした場合(当該個人が当該譲渡に係る契約を締結した日の前日において当該譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額を有する場合に限る。)において、当該譲渡の日の属する年に当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、一定の要件の下で、その譲渡損失の金額についてその年の翌々年度以後3年度間の各年度分(合計所得金額が3,000 万円以下である年度分に限る。)の総所得金額等からの繰越控除を認める。
(注)1.「譲渡資産に係る譲渡損失の金額」とは、譲渡資産に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(当該譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額から当該譲渡資産の譲渡の対価の額を控除した残額を限度とする。)のうち損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額をいう。
2.この特例については、譲渡資産に係る譲渡損失の金額があるときは、当該譲渡資産の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越しを認める。また、純損失の繰越控除制度の純損失の金額には、当該譲渡資産に係る譲渡損失の金額を含めないものとする。
3 新築特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200 u限度)相当額の減額)について、土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を3年(本則2年)以内に緩和する特例措置について、やむを得ない事情がある場合には4年以内に緩和したうえ、その適用期限を2年延長する。
4 不動産取得税について、新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した日に緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
5 高齢者向け優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置について、対象となる高齢者向け優良賃貸住宅を地方公共団体の建設費補助を受けたものとし、かつ、戸数要件の下限を5戸に限定したうえ、その適用期限を2年延長する。
6 新築住宅に係る固定資産税の減額措置について、戸建以外の貸家住宅の床面積要件の下限を40 u(現行35 u)としたうえ、その適用期限を2年延長する。
7 特定優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置について、戸数要件の下限を10戸(現行中心市街地において新築されるものに限り5戸)とし、床面積要件の下限を50 u(現行35 u)としたうえ、その適用期限を2年延長する。
[土地税制]
(国税)
1 土地、建物等の長期譲渡所得の課税の特例
(1)長期譲渡所得の課税の特例について、土地、建物等を譲渡した場合の税率軽減の特例を廃止し、次のように税率を引き下げる。

現行(特例措置)
改正案
・特別控除後の譲渡益
26%(所得税20%、住民税6%)
・特別控除後の譲渡益
20%(所得税15%、住民税5%)

(注)上記の改正は、平成16 年1 月1 日以後に行う土地、建物等の譲渡について適用する。
(2)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講じたうえ、その適用期限を5年延長する。
@ 次のように税率を引き下げる。

現行
改正案
イ 特別控除後の譲渡益4,000 万円以下の部分
20%(所得税15%、住民税5%)
ロ 特別控除後の譲渡益4,000 万円超の部分
26%(所得税20%、住民税6%)
イ 譲渡益2,000 万円以下の部分
14%(所得税10%、住民税4%)
ロ 譲渡益2,000 万円超の部分
20%(所得税15%、住民税5%)


A 収用交換等により代替資産等を取得した場合の課税の特例、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例その他の課税の繰延べ措置並びに収用交換等の5,000 万円特別控除、特定土地区画整理事業等のための2,000 万円特別控除、特定住宅地造成事業等のための1,500 万円特別控除、農地保有合理化等のための800 万円特別控除及び居住用財産の3,000 万円特別控除を適用した場合には、この軽減税率の特例は適用しない。
(注)これらの改正は、平成16 年1 月1 日以後に行う土地、建物等の譲渡について適用する。
(3)長期譲渡所得の100 万円特別控除は、廃止する。
(注)上記の改正は、平成16 年分以後の所得税及び平成17 年度分以後の個人住民税について適用する。
2 土地、建物等の短期譲渡所得の課税の特例
短期譲渡所得の課税の特例について、次のように税率を引き下げる。

現行
改正案
次のいずれか多い方の税額による。
@ 譲渡益の52%(所得税40%、住民税12%)相当額
A 全額総合課税をした場合の上積税額の110%相当額
ただし、国等に対する譲渡については、次のいずれか多い方の税額による。
@ 譲渡益の26%(所得税20%、住民税6%)相当額
A 全額総合課税をした場合の上積税額
次の税額による。
・譲渡益の39%(所得税30%、住民税9%)相当額
ただし、国等に対する譲渡については、次の税額による。
・譲渡益の20%(所得税15%、住民税5%)相当額

(注)上記の改正は、平成16 年1月1日以後に行う土地、建物等の譲渡について適用する。

3 土地、建物等の長期譲渡所得の金額又は短期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については、土地、建物等の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越しを認めない。
(注)上記の改正は、平成16 年分以後の所得税及び平成17 年度分以後の個人住民税について適用する。
4 短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用停止措置の期限を5年延長する。
5 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500 万円特別控除の適用期限を3年延長する。
6 法人の土地譲渡益(一般・短期)に対する追加課税制度について、適用停止措置の期限を5年延長する。なお、一般の土地譲渡益に対する追加課税の適用除外措置(優良住宅地等のための譲渡等に係る適用除外)の適用期限も5年延長する。
7 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えの適用期限を3年延長する。
8 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の施行に伴い、以下の措置を講ずる。
(1)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等について、次の措置を講ずる。
@ 適用対象に、防災街区整備事業を行う施行者に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該事業の用に供されるもの(一定の土地等の譲渡に該当するものを除く。)を加える。
A 適用対象となる防災街区整備推進機構の行う土地の先行取得業務の範囲に、特定防災街区整備地区内の土地及び防災都市施設の整備の用に供するために必要な土地の取得等の業務を加える。
(2)収用等の場合の5,000 万円特別控除等の適用対象に、次の場合を加える。
@ 資産につき防災街区整備事業が施行された場合において、明渡しに伴う一定の損失補償金を取得したとき又はその資産に係る権利変換により過小床不交付によって防災施設建築物の一部等が与えられないこと等に伴い一定の補償金を取得したとき若しくは防災施設建築物の一部等が与えられたとき等に交付される清算金を取得したとき
A 都市計画法第56 条第1項の規定に基づき、防災街区整備事業の事業予定地の土地等が、都道府県等に対する買取請求により買い取られ対価を取得する場合
B 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第285 条において準用する都市計画法第52 条の4第1項の規定に基づき、施行予定者が定められている防災都市計画施設の区域内の土地等が施行予定者に対する買取請求により買い取られ対価を取得する場合
(3)換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用対象に、防災街区整備事業が施行された場合においてその資産に係る権利変換により防災施設建築物の一部を取得する権利等を取得したときを加える。
(4)特定土地区画整理事業等のための2,000 万円特別控除の適用対象に、次の場合を加える。
@ 地方公共団体等が防災街区整備事業として行う公共施設の整備改善等に関する事業の用に供するため当該地方公共団体等に土地等が買い取られる場合
A 都市計画法第56 条第1項の規定に基づき、防災街区整備事業の事業予定地の土地等が、当該防災街区整備事業の事業認可前に設立された防災街区整備事業組合に買い取られる場合
(5)特定住宅地造成事業等のための1,500 万円特別控除の適用対象となる地方公共団体等が防災街区としての整備のために行う公共施設の整備等に関する事業の範囲に、特定防災街区整備地区内において行われる公共施設の整備等に関する事業を加える。
(6)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、防災再開発促進地区内における防災街区整備権利移転等促進計画に基づく買換えを防災再開発促進地区内における防災街区整備事業に関する都市計画に基づく買換えに改組する。
(7)防災街区整備事業の権利変換に伴い移転補償費の交付を受けた場合において、その交付の目的に従って移転等の費用に充てたときは、移転等の支出に充てるための交付金を総収入金額に算入しないこととする。
(8)密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行のため必要な土地又は建物に関する一定の登記に対する登録免許税を非課税とする措置を講ずる。
(9)その他所要の規定の整備を行う。
9 マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を2年延長する。
10 特定目的会社(SPC)が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
11 農地等についての相続税の納税猶予の特例の改正に伴う賃貸住宅用地等への転用に係る経過措置について、適用対象者を見直したうえ、その適用期限を3年延長する。
(地方税)
1 商業地等に係る固定資産税について、負担水準の上限が法定された70%の場合に算定される税額から、地方公共団体の条例の定めるところにより、負担水準60%から70%の範囲内で条例で定める負担水準により算定される税額まで、一律に減額することができる措置を講ずる。
なお、都市計画税についても同様の措置を講ずる。
2 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が従前の宅地等に対応して取得する不動産に係る不動産取得税について、当該不動産の価格に新たに取得した防災施設建築敷地等の価額の合計額に対する従前の宅地等の価額の合計額の割合を乗じて得た額を価格から控除する課税標準の特例措置を講ずる。
3 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が過小床不交付の場合又はやむを得ない事情により権利変換を希望しない旨の申出をした場合において、補償金を受けて2年以内に取得する代替不動産に係る不動産取得税について、従前の不動産の固定資産課税台帳に登録された価格に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を講ずる。
4 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い施行者が取得した不動産について、当該不動産の取得の日から一定期間内に施行地区内の従前の権利者に譲渡した場合の当該譲渡する不動産に係る不動産取得税について、納税義務の免除措置を講ずる。
5 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得する一定の家屋に係る固定資産税について、居住部分を最初の5年間3分の2、非居住部分を最初の5年間3分の1減額する措置を2年間に限り講ずる。
6 短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用停止措置の期限を5年延長する。
7 マンション建替事業の施行に伴いやむを得ない事情により権利変換を希望しない旨の申出をした者が施行マンション内で行っていた事業を引き続き行うための当該事業の用に供する土地等(住宅の用に供するものを除く。)に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。

二中小企業・ベンチャー支援
(国税)
1 上場株式等以外の株式等を譲渡した場合における株式等に係る譲渡所得等の金額に対する税率を所得税15%、住民税5%(現行:所得税20%、住民税6%)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成16 年1月1日以後に行う株式等の譲渡による所得について適用する。
2 特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例(いわゆるエンジェル税制)について、次の措置を講ずる。
(1)特定中小会社の範囲の拡大
適用対象となる特定中小会社の範囲に、次に掲げる株式会社を加える。
@ 内国法人のうち、その設立の日以後10 年を経過していない中小企業者に該当するもので、投資事業組合契約に従って投資事業有限責任組合を通じて投資される等一定の要件を満たす株式会社
A 内国法人のうち、その設立の日以後10 年を経過していない中小企業者に該当するもので、証券業協会がその定める規則に従って指定をした銘柄(グリーンシート・エマージング区分)の株式を発行する等一定の要件を満たす株式会社
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に払込みにより取得する株式について適用する。
(2)特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特例の対象となる特定株式の譲渡期間の緩和等
@ この特例の対象となる特定中小会社の特定株式の譲渡期間について、譲渡の日において同日前3年超所有し、かつ、上場等の日以後3年内の間の譲渡(現行:上場等の日において同日前3年超所有し、かつ、上場等の日以後3年内の譲渡)に緩和する。
A 上記@の譲渡期間要件の緩和に伴い、上場等の日前に特定中小会社の特定株式を合併・買収等による一定の譲渡をした場合における株式等に係る譲渡所得等の金額について、特定中小会社の特定株式を譲渡した場合の譲渡所得等の課税の特例の対象とする。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に行う特定中小会社の特定株式の譲渡について適用する。
3 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例について、対象となる特定同族会社株式等の価額の上限を10 億円(現行3億円)に引き上げる。
(注)上記の改正は、平成16 年1月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
4 相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当等の課税の特例の創設
相続又は遺贈による財産の取得をした個人でその相続又は遺贈につき相続税があるものが、その相続の開始があった日の翌日からその相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間にその相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された上場株式等以外の株式(以下「非上場株式」という。)を当該非上場株式の発行会社に譲渡した場合について、次の措置を講ずる。
(1)当該非上場株式の譲渡の対価として当該発行会社から交付を受けた金銭の額が当該発行会社の資本等の金額のうちその交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額については、みなし配当課税を行わない。
(2)上記(1)の適用を受ける金額について、株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなして、株式等に係る譲渡所得等の課税の特例を適用する。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後の相続等により取得した非上場株式を同日以後に譲渡する場合について適用する。
5 長年の青色申告制度をめぐる議論の経緯を踏まえ、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者については、青色申告特別控除額を65 万円(現行55 万円)に引き上げる。なお、簡易な簿記の方法により記録している者に係る経過措置は、廃止する。
(注)上記の改正は、平成17 年分以後の所得税及び平成18 年度分以後の個人住民税について適用する。
6 中小企業投資促進税制について、器具備品の取得価額要件を100 万円以上から120 万円以上に、リース費用総額要件を140 万円以上から160 万円以上に引き上げたうえ、その適用期限を2年延長する。
7 欠損金の繰戻し還付の不適用制度について、中小企業者の設立後5年間に生じた欠損金額及び中小企業経営革新支援法の承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行う中小企業者の欠損金額に係る適用除外措置の適用期限を2年延長する。
8 中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用制度の適用期限を2年(中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法に係る措置については、同法の期限である平成17 年4月13 日まで)延長する。
(地方税)
1 特定中小会社が発行した株式に係る課税の特例(いわゆるエンジェル税制)について、次の措置を講ずる。
(1)特定中小会社の範囲の拡大
適用対象となる特定中小会社の範囲に、次に掲げる株式会社を加える。
@ 内国法人のうち、その設立の日以後10 年を経過していない中小企業者に該当するもので、投資事業組合契約に従って投資事業有限責任組合を通じて投資される等一定の要件を満たす株式会社
A 内国法人のうち、その設立の日以後10 年を経過していない中小企業者に該当するもので、証券業協会がその定める規則に従って指定をした銘柄(グリーンシート・エマージング区分)の株式を発行する等一定の要件を満たす株式会社
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に払込みにより取得する株式について適用する。
(2)特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特例の対象となる特定株式の譲渡期間の緩和等
@ この特例の対象となる特定中小会社の特定株式の譲渡期間について、譲渡の日において同日前3年超所有し、かつ、上場等の日以後3年内の間の譲渡(現行:上場等の日において同日前3年超所有し、かつ、上場等の日以後3年内の譲渡)に緩和する。
A 上記@の譲渡期間要件の緩和に伴い、上場等の日前に特定中小会社の特定株式を合併・買収等による一定の譲渡をした場合における株式等に係る譲渡所得等の金額について、特定中小会社の特定株式を譲渡した場合の譲渡所得等の課税の特例の対象とする。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に行う特定中小会社の特定株式の譲渡について適用する。


三金融・産業の構造改革を促進する税制
(国税)
1 欠損金の繰越控除制度等について、次のとおり見直しを行う。
(1)青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間(現行5年)、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間(現行5年)及び連結欠損金の繰越期間(現行5年)を7年に延長する。
(注)上記の改正は、平成13 年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金額について適用する。
(2)帳簿書類の保存期間について、現行5年間の保存期間とされている帳簿書類の保存期間を7年間に延長する。
(注)上記の改正は、平成13 年4月1日以後に開始した事業年度に係る帳簿書類について適用する。
(3)法人税に係る更正の期間制限について、次のとおり見直しを行う。
@ 欠損金額に係る更正の期間制限(現行5年)を7年に延長する。
A 脱税以外の場合の過少申告に係る更正の期間制限(現行3年)を5年に延長する。
(注)上記の改正のうち、@の改正は平成13 年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金額について適用し、Aの改正は平成16 年4月1日以後に法定申告期限等が到来する法人税について適用する。
2 連結納税制度を選択した法人に対する付加税(いわゆる連結付加税)は、適用期限の到来をもって廃止する。
3 資産整理に伴う私財提供等があった場合の欠損金の損金算入制度について、繰越欠損金額から資本積立金額を控除しないこととする。
(地方税)
法人住民税及び法人事業税について、欠損金の繰越控除制度等に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講ずる。


四金融・証券税制
1 公募株式投資信託の受益証券を譲渡した場合における譲渡所得等の金額について、上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の優遇税率(所得税7%、住民税3%)を適用する。
(注)上記の改正は、平成16 年1月1日以後に行う公募株式投資信託の受益証券の譲渡による所得について適用する。
2 特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等
(1)特定口座内保管上場株式等の範囲に、公募株式投資信託の受益証券を加える。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後の特定口座内保管上場株式等の譲渡について適用する。なお、外国投資信託以外の公募株式投資信託については、同年10 月1日以後の特定口座内保管上場株式等の譲渡について適用する。
(2)特定口座の取扱者の範囲に、銀行、協同組織金融機関又は登録金融機関を加える。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に設定される特定口座について適用する。
3 公募株式投資信託の受益証券の譲渡による損失について、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の対象とする。
4 公募株式投資信託の受益証券の販売をする証券業者、銀行、協同組織金融機関
又は登録金融機関(以下「証券業者等」という。)が、買取請求により買い取った
公募株式投資信託の受益証券につき、その収益の分配の計算期間を通じて(当該受益証券が当該計算期間の中途において買い取ったものである場合には、その買取りの日の属する計算期間については、同日から当該計算期間の終了の日までの期間を通じて)、社債等の振替に関する法律に規定する振替口座簿への記載又は記録その他の方法により管理されている場合において、当該証券業者等が当該公募株式投資信託の受益証券の買取りをした日又は同日の翌営業日に行った解約に基づき支払を受ける当該計算期間に対応する収益の分配については、一定の要件の下で、源泉徴収を行わないこととする。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に買い取った公募株式投資信託の一部の解約について適用する。
5 特定口座を開設する居住者等が出国をする場合において、その特定口座での上場株式等の出入れを行わないことその他一定の要件の下で、その者の帰国後にその特定口座の継続適用を認める。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1 日以後に出国をする場合について適用する。
6 上場株式等以外の株式等を譲渡した場合における株式等に係る譲渡所得等の金額に対する税率を所得税15%、住民税5%(現行:所得税20%、住民税6%)に引き下げる。(再掲)
(注)上記の改正は、平成16 年1月1日以後に行う株式等の譲渡による所得について適用する。
7 勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄非課税制度について、次の措置を講ずる。
(1)転職者等の非課税継続適用期間を2年(現行1年)に延長する。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1 日以後に離職等をした場合について適用する。
(2)公社債投資信託以外の公募証券投資信託に係る財形住宅(年金)非課税貯蓄契約につき目的外払出しをした場合における遡及課税について、上場株式等の配当等に係る優遇税率は適用しないものとする。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1 日以後に目的外払出しの事実が生じた場合について適用する。
8 償還差益に対する発行時源泉徴収免除の特例について、次の措置を講ずる。
(1)適用対象となる短期公社債の範囲に、外国法人が発行する振替外債で短期外債(いわゆる電子CP)に該当するものを加える。
(2)短期社債及び短期外債の譲渡及び償還等に係る支払調書制度等を整備する。
(注)上記(1)の改正は、平成16 年4月1日以後に発行される短期外債について適用する。また、上記(2)の改正は、平成18 年4月1日以後に発行される短期社債及び短期外債について適用する。
(3)適用対象となる特定振替記載等がされる特定短期公社債等の範囲に、適格外国仲介業者により開設された口座において振替記載等がされる割引短期国債等を加えるとともに、譲渡に係る支払調書制度及び各人別帳簿制度の整備等を行う。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後の振替記載等について適用する。


五年金税制
1 公的年金等控除及び老年者控除について、次の見直しを行う。
(1)公的年金等控除のうち、年齢65 歳以上の者に対して上乗せされている措置を廃止する。
(2)老年者控除を廃止する。
(3)老年者特別加算として年齢65 歳以上の者の公的年金等控除の最低保障額を50万円加算し、120 万円とする特例措置を講ずる。
(注)これらの改正は、平成17 年分以後の所得税及び平成18 年度分以後の個人住民税について適用する。
2 公的年金等に係る源泉徴収
(1)上記1の改正に伴い、特定公的年金等に係る源泉徴収について、特定公的年金等の支払額からの控除額等の見直しを行う。
(注)上記の改正は、平成17 年1月1日以後に支払うべき公的年金等について適用する。
(2)厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律附則の規定による特例年金に係る源泉徴収の方法の整備を図る。
(注)上記の改正は、平成16 年6月1日以後に支払うべき公的年金等について適用する。
3 確定拠出年金制度
(1)確定拠出年金の拠出限度額について、次のとおり引き上げる。
@ 企業型            (現行)     (改正案)
イ他の企業年金がない場合 月額3.6万円 月額4.6万円
ロ他の企業年金がある場合 月額1.8万円 月額2.3万円
A 個人型
・企業年金がない場合 月額1.5万円 月額1.8万円
(2)少額資産の場合の中途引出し要件の緩和を図る。


六地方分権への対応(三位一体改革等)
1 三位一体改革の一環として、次のとおり税源移譲を実施する。
(1)平成18 年度までに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施することとし、それまでの間の暫定措置として、平成16 年度において、所得税の一部を使途を限定しない一般財源として地方へ譲与する所得譲与税を創設する。
(2)所得譲与税による平成16 年度の税源移譲額は、4,249 億円とし、人口を基準として都道府県及び市区町村へ譲与する。
2 地方税の基幹税である個人住民税の基礎的部分としての均等割について、次のとおり見直しを行う。
(1)市町村民税の均等割について、人口段階別の税率区分を廃止し、その税率を3,000 円(年額)に統一する。
(2)個人住民税均等割の納税義務を負う夫と生計を一にする妻で、夫と同じ市町村内に住所を有する者に対する非課税措置を廃止する。
(注)上記の改正は平成17 年度分以後の個人住民税について適用するが、上記の者に係る平成17 年度分の個人住民税については、その税率を2分の1に軽減する。
3 地方分権を推進する観点から、地方公共団体の課税自主権の拡大を図るため、次の措置を講ずる。
(1)固定資産税の制限税率を廃止する。
(2)標準税率の定義を見直し、財政上の特別の必要があると認める場合に限り税率を変更することができるとされている要件を緩和する。
(3)既存の法定外税の税率の引下げ、課税期間の短縮及び廃止については、総務大臣への協議・同意を不要とする。
(4)特定少数の納税者が税収の大半を納税することとなる法定外税を新設又は変更する場合について、条例制定前に議会で納税者の意見を聴取する手続を設ける。
(5)その他所要の規定の整備を行う。
4 市町村合併に関する新しい法律において、現行の市町村の合併の特例に関する法律において講じられている地方税に関する特例措置と同様の特例措置を講ずる。
5 現行の市町村の合併の特例に関する法律について、適用期限に係る経過措置を講ずる際に、経過措置が講じられている期間についても、現行の市町村の合併の特例に関する法律において講じられている地方税に関する特例措置を講ずる。
6 合併特例区(仮称)について、他の特別地方公共団体に係る地方税に関する税制上の措置と同様の措置を講ずる。


七国際課税
1 日米租税条約の改正に関連して、次の措置を講ずる。
(1)両国で課税上の取扱いが異なる事業体への条約の適用に関する措置
日米新租税条約(以下「新条約」という。)において、両国で課税上の取扱いが異なる事業体に対する条約の適用に関する規定が設けられたことを受けて、そのような事業体に対する条約の規定に基づくわが国の課税の取扱いを明確化するための措置を講ずる。
(2)特典制限条項の適用に関する措置
新条約において、条約相手国以外の国の居住者による条約の濫用を防止するため、所定の要件を満たした条約相手国の居住者に対してのみ条約の特典を付与する規定(特典制限条項)が設けられたことを受けて、次の措置を講ずる。
@ 特典制限条項のある条約の適用を受けようとする場合には、特典制限条項に関する事項等を記載した条約届出書にこれらに関する書類等を添付して、税務署長に提出するものとする。
A 特典制限条項のある条約に定められた適格性に関する権限ある当局の認定を受けようとする場合には、認定に係る要件に関する事項等を記載した申請書にその要件に関する書類等を添付して、国税庁長官に提出するものとする。
B その他条約の適用手続について、所要の措置を講ずる。
(3)その他の所得条項で規定する独立企業間価格超過額の取扱いに関する措置
新条約において、その他の所得の金額が独立企業間価格を超えるときにおける限度税率による課税規定が設けられたことを受けて、このような場合に限度税率により課税を行うために必要な規定の整備を行う。
(4)新条約適用開始後における旧条約適用に関する経過措置
新条約において、新条約が適用される租税に関し、一年間に限り、旧条約の選択適用を認める規定が設けられたことを受けて、新条約の適用開始後においてもなお旧条約の適用を受けるために必要な規定の整備を行う。
(5)移転価格税制に係る独立企業間価格の算定方法の整備
新条約において、両国間で、移転価格課税事案についてOECD移転価格ガイドラインに従ってその問題解決を図ることとされたことに併せて、移転価格税制に係る独立企業間価格の算定方法に、OECD移転価格ガイドラインにおいて認められている取引単位営業利益法を追加する。
2 国内に恒久的施設を有する非居住者・外国法人の受ける一定の国内源泉所得に係る源泉徴収の免除手続を、証明書の提出方式から証明書の提示方式に改める。
これに伴い、外国銀行等の受ける貸付金の利子に係る課税の特例を廃止する。
(注)上記の改正は、平成16 年7月1日以後に支払を受けるべき国内源泉所得について適用する。
3 国外支配株主等に係る負債の利子の課税の特例(いわゆる過少資本税制)について、その適用要件として3倍基準に代えて類似法人基準を用いる場合には、類似法人の過去3年内のいずれかの事業年度の総負債の純資産に対する比率を用いることができることとする。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。
4 償還差益に対する発行時源泉徴収免除の特例について、適用対象となる特定振替記載等がされる特定短期公社債等の範囲に、適格外国仲介業者により開設された口座において振替記載等がされる割引短期国債等を加えるとともに、譲渡に係る支払調書制度及び各人別帳簿制度の整備等を行う。(再掲)
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後の振替記載等について適用する。
5 民間国外債等の利子及び発行差金の課税の特例の適用期限を2年延長する。
6 特別国際金融取引勘定において経理された預金等の利子の課税の特例の適用期限を2年延長する。
7 外国金融機関等の債券現先取引に係る利子の課税の特例の適用期限を2年延長する。


八農林漁業対策
(国税)
1 農業経営改善計画等を実施する者の機械等の割増償却制度について、林業経営改善計画に係る措置を除外したうえ、共同改善計画に係る措置の適用期限を2年延長する。
2 漁業経営改善計画を実施する者の漁船の割増償却制度の適用期限を2年延長する。
3 農林中央金庫等の合併に係る課税の特例の適用期限を3年延長する。
4 農地保有合理化法人が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
5 農林中央金庫等が特定農業協同組合等から事業譲渡により不動産に関する権利を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
6 漁業協同組合が水産業協同組合法の規定により漁業協同組合連合会の権利義務を包括承継した場合の不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
7 漁業経営改善計画を実施する漁業者が取得する漁船の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、漁船の所有権の移転登記の軽減税率を1,000 分の14 から1,000 分の18 に引き上げたうえ、その適用期限を2年延長する。
8 山林に関する相続税について、次のとおり評価方法の改善を図る。
(1)幼齢立木の評価について、1年目の標準価額を見直し、それを基に評価を行う期間を市場価値が生ずる林齢まで延長するなどの措置を講ずる。
(2)林地の評価について、標準地の再選定などの措置を講ずる。
(地方税)
1 卸売市場機能高度化事業を行う地方卸売市場の開設者等が直接その本来の業務の用に供する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、卸売市場機能高度化事業を行った後、合併して一定規模以上となった地方卸売市場の開設者等が直接その本来の業務の用に供する一定の家屋及び償却資産を追加したうえ、その適用期限を2年延長する。
2 農業協同組合、農業協同組合連合会又は農林中央金庫の現物出資により設立される株式会社又は有限会社が当該現物出資に伴い取得する不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を3年延長する。
3 国の行政機関の作成した計画に基づく政府の補助を受けて取得する農林漁業経営の近代化又は合理化のための共同利用施設に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
4 農業振興地域の整備に関する法律の規定による市町村長の勧告等によって取得する農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
5 農林漁業団体が取得する発電所又は変電所の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
6 農林漁業団体が発電所、変電所又は送電施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
7 農業協同組合連合会が農業協同組合からの信用事業の全部譲渡又は漁業協同組合連合会が漁業協同組合若しくは水産加工業協同組合からの信用事業の全部譲渡に伴い取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
8 農林中央金庫が特定農水産業協同組合等からの信用事業の一部譲渡又は全部譲渡に伴い取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
9 農地保有合理化法人が長期貸付農地保有合理化事業により取得する農地等に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
10 農地保有合理化法人が担い手農業者確保事業により取得する農地等に係る不動産取得税の納税義務の免除措置等について、納税義務の免除措置等の期間を5年延長する特例措置の適用期限を2年延長する。
11 特定農産加工業経営改善臨時措置法に規定する承認計画に基づき特定農産加工業者等が事業の用に供する一定の施設に対する事業所税の課税標準の特例措置について、課税標準を3分の1控除(現行2分の1控除)としたうえ、その適用期限を2年延長する。

九環境対策
(国税)
1 エネルギー需給構造改革推進投資促進税制について、対象設備を見直したうえ、その適用期限を2年延長する。
2 公害防止用設備の特別償却制度について、次のとおり見直しを行う。
(1)一般公害防止用設備について、対象設備から産業廃棄物処理用設備のうち鋳物廃砂処理装置を除外したうえ、適用期限を1年又は2年延長する。
(2)家畜排せつ物処理・保管用施設について、対象者を家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律の規定による指導及び助言を受けていないこと等の要件を満たす者としたうえ、その適用期限を平成18 年3月31 日まで延長する。
(3)脱特定物質対応型設備について、次のとおり見直したうえ、その適用期限を2年延長する。
@ 冷凍冷蔵関連装置のうち冷凍陳列棚の品温要件を零下15 度から8度に引き上げる。
A 洗浄装置、ドライクリーニング装置並びに冷凍冷蔵関連装置のうちバス用冷房装置、トラック用冷凍装置及びコンテナ用冷凍装置(内航又は外航用のものに限る。)を除外する。
3 再商品化設備等の特別償却制度について、特定家庭用機器廃棄物再生処理装置、アルミニウム再生地金製造設備並びに再生紙製造設備のうち洗浄装置、脱水装置及び叩解装置を除外するとともに、食品循環資源再生利用設備につき基準取得価額要件(取得価額の75%相当額)を設けたうえ、その適用期限を2年延長する。
4 金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限を2年延長する。
5 特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金制度の適用期限を2年延長する。
(地方税)
[グリーン化税制]
1 自動車税について、排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車は税率を軽減し、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化」)を、税収中立を前提に、以下のように講ずる。
(1)環境負荷の小さい自動車
平成16 年度及び平成17 年度に新車新規登録された以下の自動車について、当該登録の翌年度に以下の特例措置を講ずる。
@ 平成17 年自動車排出ガス基準値より75%以上排出ガス性能の良い自動車で燃費基準値より5%以上燃費性能の良い自動車並びに電気自動車、天然ガス自動車及びメタノール自動車について、税率を概ね100 分の50 軽減する。
A 平成17 年自動車排出ガス基準値より75%以上排出ガス性能の良い自動車で燃費基準を満たすものについて、税率を概ね100 分の25 軽減する。
B 平成17 年自動車排出ガス基準値より50%以上排出ガス性能の良い自動車で燃費基準値より5%以上燃費性能の良い自動車について、税率を概ね100 分の25 軽減する。
(2)環境負荷の大きい自動車
平成16 年度及び平成17 年度に下記の年限を超えている自動車(電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、一般乗合用バス及び被けん引車を除く。) について、その翌年度から以下の特例措置を講ずる。
@ ディーゼル車で新車新規登録から11 年を経過したものについて、税率を概ね100 分の10 重課する。
A ガソリン車又はLPG車で新車新規登録から13 年を経過したものについて、税率を概ね100 分の10 重課する。
2 燃費基準を満たす自動車に係る自動車取得税の課税標準の特例措置について、以下のとおり重点化したうえ、2年延長する。
(1)燃費基準値より5%以上燃費性能の良い自動車で、平成17 年自動車排出ガス基準値より75%以上排出ガス性能の良い自動車について、取得価額から30 万円を控除する。
(2)燃費基準値より5%以上燃費性能の良い自動車で、平成17 年自動車排出ガス基準値より50%以上排出ガス性能の良い自動車について、取得価額から20 万円を控除する。
(3)燃費基準を満たす自動車で、平成17 年自動車排出ガス基準値より75%以上排出ガス性能の良い自動車について、取得価額から20 万円を控除する。
3 平成17 年自動車排出ガス規制に適合した自動車(ディーゼル車に限る。)について、当該自動車の取得が平成16 年4月1日から平成17 年9月30 日までの間に行われたときは以下のとおり特例措置を講ずる。
(1)平成17 年自動車排出ガス規制に適合した自動車(ディーゼル車に限る。)のうち、乗用車を除く自動車について、自動車取得税の税率から100 分の2控除する。
(2)平成17 年自動車排出ガス規制に適合した自動車(ディーゼル車に限る。)のうち、乗用車について、自動車取得税の税率から100 分の1控除する。
4 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法が適用される地域内において、窒素酸化物又は粒子状物質の排出基準に適合しない一定の自動車について永久抹消登録を受けた者又は一時抹消登録を受けた自動車について解体の届出をした者が、新たに窒素酸化物及び粒子状物質の排出基準に適合し、かつ、最新の自動車排出ガス規制に適合した自動車を取得した場合の自動車取得税の税率の特例措置について、取得した場合に特例の適用対象となる自動車の範囲を見直したうえ、平成17 年自動車排出ガス規制に適合した自動車(乗用車を除く。)を加える。
さらに、平成17 年自動車排出ガス規制に適合した自動車のうちディーゼル車(乗用車を除く。)については、自動車取得税の税率から、平成16 年4月1日から平成17 年9月30 日までに取得した場合に限り、100 分の2.1 控除する。
[環境対策]
1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する広域的処理に係る環境大臣の認定を受けた者が専ら廃棄物の処理の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置(4分の3控除)を2年間に限り講ずる。
2 廃棄物再生処理用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から廃プラスチック類油化装置、一般廃棄物たい肥化設備、一般廃棄物燃料化設備、廃木材破砕・再生処理装置のうち専ら木材・木製品製造業を営む者が設置するもの以外のもの、古紙他用途利用製品製造装置のうちパルプモールドを製造するもの及びガラスくず窯業原料利用装置のうちガラスびんを製造するものを除外し、廃木材破砕・再生処理装置、廃木材乾燥熱圧装置及び古紙他用途利用製品製造装置の課税標準を最初の3年間価格の4分の3(現行3分の2)としたうえ、対象に建設汚泥再生処理装置を追加するとともに、その適用期限を2年延長する。
3 公害防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次のような見直しを行ったうえ、その適用期限を2年延長する。
(1)対象から鋳物廃砂再生処理施設及び一般粉じん処理施設を除外する。
(2)指定物質の排出抑制施設については課税標準を価格の3分の1(現行6分の1)とする。
(3)窒素酸化物の発生抑制のための燃焼改善設備については課税標準を価格の2分の1(現行3分の1)とする。
(4)湖沼水質保全特別措置法の指定施設に係る汚水処理施設については課税標準を価格の3分の2(現行3分の1)とする。
4 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律に規定する家畜排せつ物の処理又は保管の用に供する施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象を一定の規模以上の施設としたうえ、その適用期限を2年延長する。


十その他の政策税制
(国税)
1 増加試験研究費等の税額控除制度について、対象となる試験研究費の範囲から中小企業経営革新支援法に係る措置(沖縄振興特別措置法に係る部分を除く。)を除外する。
2 中小企業等基盤強化税制について、飲食店業を営む法人の対象設備の見直しを行う。
3 電線類地中化設備の特別償却制度について、対象設備を見直したうえ、その適用期限を2年延長する。
4 航空機の特別償却制度について、最大離陸重量が140 トン未満の航空機を除外するとともに、特別償却率を8%から5%に引き下げたうえ、その適用期限を2年延長する。
5 特定中核的民間施設等の特別償却制度について、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律に係る措置の建物等の特別償却率を8%から7%に引き下げる。
6 特定余暇利用施設の特別償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
7 商業施設等の特別償却制度について、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の認定特定事業者に係る措置を除外したうえ、その適用期限を2年延長する。
8 特定集積地区における輸入関連事業用資産の特別償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
9 農村地域工業等導入地区における工業用機械等の特別償却制度は、所要の経過措置を講じたうえ、適用期限の到来をもって廃止する。
10 特定地域における工業用機械等の特別償却制度における奄美群島に係る措置について、対象事業に農林水産物又は農林水産物の加工品を店舗において販売する事業を加えるとともに、対象事業からソフトウエア業を除外したうえ、その適用期限を2年延長する。
11 公共交通機関に係る障害者対応設備等の特別償却制度について、タクシーに係る基準取得価額を取得価額の25%相当額から20%相当額に引き下げたうえ、その適用期限を2年延長する。
12 特定再開発建築物等の割増償却制度における雨水貯留・利用浸透施設に係る措置について、特定都市河川浸水被害対策法に基づき指定された特定都市河川流域における対象施設からその設置を義務付けられた施設を除外したうえ、特定都市河川流域における対象施設の貯水容量の最低限度を200 立方メートルから100 立方メートルに引き下げる。
13 倉庫用建物等の割増償却制度について、対象となる倉庫の機能要件の見直しを行うとともに、割増償却率を12%から10%に引き下げたうえ、その適用期限を2年延長する。
14 鉱工業技術研究組合等に対する支出金の特別償却制度について、対象となる負担金の範囲から中小企業経営革新支援法の組合等又は特定組合等(沖縄振興特別措置法の特定組合等を除く。)に対する負担金を除外する。
15 海外投資等損失準備金制度について、資源開発事業法人が行うことができる資源開発事業等から飼料用穀物の開発・採取事業等を、資源探鉱事業法人が行うことができる事業から木材に係る育苗等の事業を除外したうえ、その適用期限を2年延長する。
16 特定都市鉄道整備準備金制度について、累積限度額を工事費の額の2分の1相当額から5分の2相当額に引き下げたうえ、平成17 年9月30 日までに認定された特定都市鉄道整備事業計画に定められた特定都市鉄道工事につき適用期限を延長する。
17 ガス熱量変更準備金制度について、対象事業者から除外する大規模事業者の範囲をガスメーターの取付数100 万個超から50 万個超に引き下げたうえ、その適用期限を2年延長する。
18 保険会社等の異常危険準備金制度について、次のとおり見直しを行う。
(1)対象となる共済に地震災害を保障する火災共済を加える。
(2)火災保険等及び火災共済に係る積立率の特例の適用期限を3年延長する。
19 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度の適用期限を3年延長する。
20 漁業協同組合等の留保所得の特別控除制度について、対象法人から出資総額1億円超の法人を除外する。
21 鉱工業技術研究組合等の所得計算の特例について、対象となる組合の範囲から中小企業経営革新支援法の組合等又は特定組合等(沖縄振興特別措置法の特定組合等を除く。)を除外する。
22 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例について、次のとおり見直しを行う。
(1)対象となる負担金に米穀安定供給確保支援機構が行う集荷円滑化対策業務に係る負担金を加える。
(2)対象となる負担金から高度な技術を開発し又は利用する工業の開発に資するための業務に係る負担金を除外する。
23 産業活力再生特別措置法、輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法及び中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法に係る欠損金の繰越期間の特例を廃止する。
24 銀行持株会社等の受取配当等の益金不算入等の特例について、対象となる銀行持株会社等と発行金融機関等との関係を見直したうえ、その適用期限を2年延長する。
25 受取配当等の益金不算入制度について、損害保険会社の積立勘定(その運用財産が株式等でないものに限る。)から支払われる利子を負債利子控除の対象から除外する措置を5年間の租税特別措置として創設する。
26 不動産投資法人が特定目的会社の特定資産を取得するためその特定目的会社が発行する優先出資証券のすべてを取得した場合には、一定の要件の下、その優先出資証券について、不動産投資法人の支払配当の損金算入要件である他の法人の発行済株式又は出資の総数の50%以上を有していないこととの要件を適用しないこととするとともに、その取得した優先出資証券に係る利益の配当について不動産投資法人で課税する。
27 国際船舶の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、所有権の保存登記及び抵当権の設定登記の軽減税率を1,000 分の1.5 から1,000分の2に引き上げたうえ、その適用期限を2年延長する。
28 鉄道事業者が取得した特定の鉄道施設に係る土地等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を5年延長する。
29 産業活力再生特別措置法の認定事業再構築計画等に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、その適用対象に、預金保険法の第一号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定に基づく預金保険機構による金融機関の株式の引受けに伴い、当該金融機関が資本の増加の登記を受ける場合を加える。
30 輸入石油化学製品製造用揮発油等に係る石油石炭税の免税措置について、対象範囲につき輸入石油化学製品製造用灯油及び軽油を加える等の見直しを行ったうえ、その適用期限を2年延長する。
31 輸入農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税措置の適用期限を2年延長する。
32 国産石油化学製品製造用揮発油に係る石油石炭税の還付措置について、対象範
囲に国産石油化学製品製造用灯油及び軽油を加えたうえ、その適用期限を2年延長する。
33 国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の還付措置の適用期限を2年延長する。
34 コマーシャル・ペーパーに係る印紙税の税率等の特例措置の適用期限を1年延長する。
(地方税)
1 株式会社産業再生機構に係る法人事業税について、資本等の金額を銀行法に規定する銀行の最低資本金の額(20 億円)とみなす資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
2 預金保険法に規定する協定銀行に係る法人事業税について、資本等の金額を銀行法に規定する銀行の最低資本金の額(20 億円)とみなす資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
3 預金保険法に規定する承継銀行に係る法人事業税について、資本等の金額を銀行法に規定する銀行の最低資本金の額(20 億円)とみなす資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
4 銀行等保有株式取得機構に係る法人事業税について、資本等の金額を証券取引法に規定する高度の金融商品等を取り扱う証券会社の最低資本金の額(10 億円)とみなす資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
5 旧資産流動化法に規定するSPC(特定目的会社)に係る法人事業税について、資産流動化法に規定するSPCと同様の課税方式とする。
6 無償減資等を行った法人に係る法人事業税について、平成13 年4月1日以後に行った当該無償減資等の金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を2年間に限り講ずる。
7 北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社に係る法人事業税について、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律に規定する資本準備金に係る商法の特例を適用した金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
8 関西国際空港株式会社及び関西国際空港用地造成株式会社に係る法人事業税について、資本等の金額の6分の5に相当する金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を、中部国際空港株式会社に係る法人事業税について、資本等の金額の3分の2に相当する金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
9 大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法に規定する特定鉄道事業者に係る法人事業税について、資本等の金額の3分の2に相当する金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
10 株式会社苫東、新むつ小川原株式会社及び石狩開発株式会社に係る法人事業税について、資本等の金額に総資産のうちに占める販売用土地の帳簿価額の割合を乗じて得た金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
11 関西文化学術研究都市建設促進法により一を限り指定される法人(株式会社けいはんな)に係る法人事業税について、資本等の金額の2分の1に相当する金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
12 東京湾横断道路株式会社に係る法人事業税について、資本等の金額に総資産のうちに占める東京湾横断道路の建設に係る未収金の帳簿価額の割合を乗じて得た金額を資本等の金額から控除する資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
13 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する国立大学法人の校地内の校舎の用に供する家屋に係る不動産取得税について、当該家屋の価格の2分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を2年間に限り講ずる。
14 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する国立大学法人の校地内の校舎の用に供する家屋及び償却資産について、固定資産税及び都市計画税の課税標準を価格の2分の1とする措置を2年間に限り講ずる。
15 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく選定事業者が港湾法に規定する無利子貸付けを受けて選定事業により整備する特定用途港湾施設のうち輸出入に係るコンテナ貨物の荷さばきを行うための固定的な設備で公共の用に供するものに係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
16 移転補助を受け土砂災害特別警戒区域から移転する者が従前の不動産に代わるものとして区域外に取得する不動産(住宅の用に供するものに限る。)に係る不動
産取得税について、当該不動産の価格の5分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を2年間に限り講ずる。
17 全国市町村職員共済組合連合会が市町村職員共済組合又は都市職員共済組合からの長期給付事業の移管に伴い承継する不動産に係る不動産取得税の非課税措置を講ずる。
18 電子計算機を管理する者が、外部から通信ネットワークを介して流通する情報により電気通信回線に接続された電子計算機に障害が発生することを防止するために取得する一定の電気通信設備に係る固定資産税の課税標準を最初の5年間価格の6分の5とする措置を2年間に限り講ずる。
19 特定都市河川浸水被害対策法に基づき都道府県知事等の許可を要する雨水浸透阻害行為に伴い設置される一定の雨水貯留浸透施設について、固定資産税の課税標準を価格の2分の1とする措置を2年間に限り講ずる。
20 第三セクター等が既設の地下駅の火災対策のために政府の補助を受けて取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準を最初の5年間価格の3分の2とする措置を2年間に限り講ずる。
21 2005 年日本国際博覧会(愛・地球博)の開催に伴い、国又は地方公共団体が(財)2005 年日本国際博覧会協会に対して無償で貸し付ける固定資産で会場内において当該博覧会の用に供するものについて、市町村交付金の交付対象から除外する。
22 独立行政法人都市再生機構が一定の業務の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に公共施設の敷地の整備に係る業務の用に供する土地を追加したうえ、その他の業務の用に供する土地に係る不動産取得税について、当該土地の価格の2分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を2年間に限り講ずる。
23 鉄軌道事業者が政府の補助を受けて取得した一定の地域鉄道の保安度の向上のための設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、安全性の確保のために特に緊急に整備が必要な一定の設備に限り、課税標準を最初の5年間価格の4分の1(現行2分の1)とする措置を講ずる。
24 国内路線に就航する航空機に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、130t 未満の航空機の課税標準を最初の3年間価格の2分の1(現行3分の2)としたうえ、その適用期限を2年延長する。
25 救急医療用機器に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から頭蓋内圧モニタ及び緊急生化学検査装置を除外したうえ、保育器(新生児集中治療管理室において用いられる閉鎖式のものに限る。)を追加するとともに、その適用期限を2年延長する。
26 羽田空港の再拡張事業に関する特別措置法(仮称)に基づき整備される一定の
空港の用に供する固定資産について市町村交付金の算定標準額を最初の10 年間価格の4分の1(現行2分の1)とする措置を講ずる。
27 整備新幹線の開業に伴い旅客鉄道株式会社より譲渡を受けた並行在来線の鉄道施設の用に供する一定の不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を5年延長する。
28 整備新幹線の開業に伴い旅客鉄道株式会社より譲渡を受けた並行在来線の鉄道施設の用に供する一定の固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
29 民間都市開発推進機構が取得する土地取得譲渡業務の用に供する土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長する。
30 河川法に規定する高規格堤防の整備に係る事業のために使用された土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者が当該土地の上に取得する代替家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
31 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律に規定する特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施する改良工事により取得する一定の家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
32 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律に規定する特定事業計画に基づき鉄軌道事業者等が既設の駅において実施する改良工事により取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
33 軽自動車検査協会が軽自動車の検査事務の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
34 小笠原諸島振興開発特別措置法の改正に伴い、小笠原諸島へ帰島する者が取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
35 第三セクターが政府の補助を受けて取得し、日本貨物鉄道株式会社が借り受ける鉄道貨物輸送の効率化のための線路設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
36 鉄軌道事業者が取得する新造車両で高齢者、身体障害者等の利用の円滑化に資する一定の構造を有する車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
37 外国貿易用コンテナに係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
38 外貿埠頭公社が取得し又は所有する一定のコンテナ埠頭に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
39 と畜場において設置される牛海綿状脳症(BSE)対策実施のための一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
40 特別土地保有税の徴収猶予の根拠となっている非課税措置について、その適用期限の延長等所要の措置を講ずる。
41 国の行政機関の作成した計画に基づく政府の補助を受けて取得するバスに係る自動車取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
42 専ら公衆の利用を目的として電気通信回線設備を設置して電気通信事業を営む者のうち移動電話事業者が事業の用に供する一定の施設に対する事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
43 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、対象から車両、機械又は器具の検査又は修繕の用に供する不動産を除外する。
44 土地改良法の規定により取得する埋立地又は干拓地に係る不動産取得税の非課税措置について、恒久措置から2年間の措置とする。
45 独立行政法人空港周辺整備機構が航空機の騒音によりその機能が害されるおそれの少ない施設の用に供する土地で公用又は公共の用以外のものに係る不動産取得税の課税標準の特例措置について価格から控除する額を2分の1(現行3分の2)としたうえ、その適用期限を2年延長する。
46 民法第34 条の法人が国の機関等との共同研究施設の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、対象から国の機関又は一定の特定独立行政法人との共同研究施設の用に供する家屋を除外するとともに、対象に国立大学法人又は大学共同利用機関法人との共同研究施設の用に供する家屋(事務所等を除く。)を追加する。
47 民法第34 条の法人が国の機関等との共同研究施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から国の機関又は一定の特定独立行政法人との共同研究施設の用に供する家屋及び償却資産を除外するとともに、対象に国立大学法人又は大学共同利用機関法人との共同研究施設の用に供する家屋及び償却資産(事務所等を除く。)を追加する。
48 日本貨物鉄道株式会社が取得する新たに製造された機関車又はコンテナ貨車で、大量牽引、大量積載又は高速走行が可能なものに係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から代替車両のうち粘着係数が既存車両に係る粘着係数を超えるものを除外したうえ、その適用期限を2年延長する。
49 鉄軌道事業者が取得する新造車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から信託会社から賃借する車両を除外する。
50 農業協同組合等が所有し、有線放送電話業務の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じたうえで、その課税標準を価格の2分の1(現行6分の1)とする。
51 農業協同組合等が取得する農林漁業者の共同利用に供する機械及び装置に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象となる機械及び装置の取得価額要件を、1台又は1基330 万円以上(現行290 万円以上)に引き上げる。
52 地震防災応急対策の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象地域から東海地震対策に係る一定の地域を除外したうえ、その適用期限を2年延長する。
53 介護保険事業支援計画に基づき整備が必要な地域において開設される介護老人保健施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の5年間価格の8分の7(現行6分の5)としたうえ、その適用期限を2年延長する。
54 輸入拡大に対応する物流施設及び流通システム効率化を促進する物流施設に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、輸入拡大に対応する物流施設を流通効率化に資するものに限定したうえ、保税蔵置場及び港湾上屋に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準を最初の5年間価格の6分の5(現行4分の3)とするとともに、その適用期限を2年延長する。
55 火薬類取締法、高圧ガス保安法、ガス事業法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の規定による許可等を受けた者又は石油コンビナート等災害防止法に規定する特定事業者が公共の危害防止のために設置する障壁等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象からガス事業法による許可を受けた者が設置する障壁を除外し、課税標準を価格の5分の3(現行2分の1)としたうえ、その適用期限を2年延長する。
56 バイオテクノロジーの試験研究用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から密閉型バイオリアクター試験装置を除外したうえ、その適用期限を2年延長する。
57 電線類の地中化のための新規設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、上空にある電線類に代えて電線類を道路の地下に埋設するために新設したものに係る課税標準を最初の5年間価格の10 分の9(現行8分の7)としたうえ、その適用期限を2年延長する。
58 水力発電施設に設けられる魚道の用に供する償却資産に係る固定資産税の非課税措置を所要の経過措置を講じたうえで廃止し、新たに課税標準を価格の3分の2とする特例措置を2年間に限り講ずる。
59 新たな営業路線の開業のために敷設された鉄道に係る線路設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じたうえで、対象から軌道の中心間隔の拡張をするために敷設した線路設備等及び線路の増設をするために敷設した車庫構築物を除外する。
60 青函トンネル及び本州四国連絡橋の鉄道施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から本州四国連絡橋に係る車庫、工場及び倉庫を除外する。
61 車庫の新増設に係る線路設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じたうえで、対象から車庫構築物を除外する。
62 鉄軌道事業者に係る変電所の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じたうえで、その課税標準を最初の5年間価格の5分の3、その後5年間価格の4分の3(現行最初の5年間2分の1、その後5年間4分の3)とする。
63 鉄軌道事業者がその本来の事業の用に供する施設に対する事業所税の非課税措置について、対象から発電施設を除外する。
64 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律に規定する食品循環資源の再生利用の用に供する施設に対する事業所税の課税標準の特例措置について、対象から食品循環資源肥料化設備を除外する。
65 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法に規定する特定施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、対象から電気通信研究開発促進施設、電気通信高度化基盤施設、国際会議場施設及び衛星通信・高度情報化建築物を除外し、課税標準を3年間4分の1控除(現行5年間3分の1控除)とするとともに、その適用期限を2年延長する。
66 総合保養地域整備法に規定する特定民間施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、対象からバスケットボール場、バレーボール場、陸上競技場、スキー場、弓場、釣り場及び図書館を除外し、課税標準を3分の1控除(現行2分の1控除)としたうえ、適用期間を基本構想の承認の日から18 年(現行16 年)とするとともに、その変更同意の期限を平成18 年3月31 日まで延長する。
67 大阪湾臨海地域開発整備法に規定する開発地区において整備される中核的施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、課税標準を3分の1控除(現行2分の1控除)とするとともに、対象となる施設の取得価額要件を、一の構成施設について3億円超(現行2億5,000 万円超)、一の中核的施設について13 億円超(現行12 億円超)に引き上げたうえ、その変更同意の期限を2年延長する。
68 地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律に規定する教養文化施設等に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、対象から図書館、バスケットボール場、バレーボール場、陸上競技場及びスキー場を除外し、課税標準を3分の1控除(現行2分の1控除)としたうえ、適用期間を基本計画承認の日から13 年(現行11 年)とするとともに、その変更同意の期限を2年延長する。
69 自己の居住の用に供しない新築特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200 u限度)相当額の減額)について、住宅新築から土地取得までの経過年数要件を2年(本則1年)以内に緩和する特例措置を廃止する。
70 高圧ガス保安協会が調査研究の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止する。
71 不動産特定共同事業により匿名組合が取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止する。
72 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律に基づき、国立病院・療養所の移譲等を受ける者が当該移譲等により取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止する。
73 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律に基づき、国立病院・療養所の移譲等を受ける者が当該移譲等により取得する土地及び家屋に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を所要の経過措置を講じたうえで廃止する。
74 アクセス管理者が通信ネットワークにおいて不正アクセス行為を防御するために取得する一定の電気通信設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置を所要の経過措置を講じたうえで廃止する。
75 食品流通構造改善促進法に規定する認定計画に従って事業協同組合等が取得する共同利用に供する機械及び装置に係る固定資産税の課税標準の特例措置を所要の経過措置を講じたうえで廃止する。
76 補助を受けて雪崩、落石等による災害防止のために敷設した鉄道設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置を所要の経過措置を講じたうえで廃止する。
77 平成15 年自動車排出ガス規制に適合した自動車の取得に係る自動車取得税の税率の特例措置を廃止する。
78 証券取引所(株式会社であるものを除く。)、商品取引所又は金融先物取引所(株式会社であるものを除く。)がその本来の事業の用に供する施設に対する事業所税の非課税措置を廃止する。
79 産業廃棄物の処理に係る特定周辺整備地区において整備される特定施設に対する資産割に係る事業所税の非課税措置を廃止する。
80 中小企業者が環境事業団から譲渡を受けた集団設置建物に対する資産割に係る事業所税の特例措置を所要の経過措置を講じたうえで廃止する。

十一その他
(国税)
1 寄付金控除等の対象となる特定公益増進法人及び相続財産を贈与した場合の相続税の非課税制度の対象となる法人の範囲に次の業務を行う地方独立行政法人を加えるとともに、公立大学法人に対する寄附金及び相続財産の贈与については国立大学法人と同様の扱いとする。
(1)試験研究を行うこと。
(2)病院事業を経営すること。
(3)社会福祉事業を経営すること。
(4)介護老人保健施設の設置及び管理を行うこと。
2 国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税制度の適用対象となる地方独立行政法人(上記1に掲げる業務を行うものに限るものとし、公立大学法人を含む。)に対する財産の贈与又は遺贈(「贈与等」という。)については、国税庁長官の承認の要件のうち、当該贈与等が公益の増進に著しく寄与すること及び当該贈与等により贈与者又は遺贈者の所得税等を不当に減少させる結果とならないことを不要とする。
3 私立学校への寄附を促進し、教育・研究活動の活性化を図る観点から、私立学校に関する指定寄附金制度について、日本私立学校振興・共済事業団による審査手続等の思い切った簡素化を進め、審査は、原則として、寄附金が学校教育に関連のない収益事業に充てられないこと、寄附者がその寄附により特別の利益を受けないことの確認にとどめることとする。
4 交通用具使用者の通勤手当について、通勤距離が片道45 q以上の者の1月当たりの非課税限度額を次のように引き上げる。

(現行)
(改正案)
片道35 q以上
20,900 円(ただし、その運賃相当額が20,900 円超の場合は運賃相当額(100,000 円を限度))
片道35 q以上45 q未満
20,900 円(ただし、その運賃相当額が20,900 円超の場合は運賃相当額(100,000 円を限度))
片道45q以上
24,500 円(ただし、その運賃相当額が24,500 円超の場合は運賃相当額(100,000 円を限度))

(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後に受けるべき通勤手当について適用する。
5 所得税法等の規定による本人確認の際に提示する確認書類の範囲に、一定の住民基本台帳カード等を追加する。
(注)上記の改正は、平成16 年4月1日以後の告知又は告知書の提出の際に提示する確認書類について適用する。
6 社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用対象となる社会保険診療の範囲に、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく医療を加えるとともに、同法に基づく医療を消費税が非課税とされる療養、医療等の範囲に加える。
7 公益法人等の収益事業に係る課税について、米穀安定供給確保支援機構が行う集荷円滑化対策業務及び債務保証業務を収益事業の範囲から除外するとともに、医療保健業の範囲の整備を行う。
8 りんご樹の耐用年数(現行27 年)について、わい化りんご樹については20 年、その他のりんご樹については29 年とする。
9 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で環境適応型小型航空機用エンジン研究開発事業等に係るものを加える。
10 連結納税制度における投資簿価修正について、その修正事由から連結グループ内の適格合併等を除外する。
11 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を2年延長する。
12 欠損金の繰戻し還付の不適用制度の適用期限を2年延長する。
13 国有農地等の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置を廃止する。
14 NTT−A型の無利子貸付けを受けて取得した特定の港湾施設の用に供する土
地の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置を廃止する。
15 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
16 入国者が輸入する紙巻たばこに係るたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
17 信託業法の改正により、外国法人が国内で信託業務を営むことが認められること等に伴い、次の措置を講ずる。
(1)外国法人である信託会社が受託する一定の信託が国内において支払を受ける一定の利子等又は配当等については、内国法人である信託会社が受託する場合と同様に、所得税の源泉徴収を行わない。
(2)特定信託の受託者である外国法人に対しては、特定信託の受託者である内国法人と同様に、その特定信託の各計算期間の所得について、法人税を課す。
(3)信託受益権の譲渡対価の受領者の告知・調書提出制度の整備を行う。
(4)信託会社の営業の免許に加え、新たに整備される次の登録等に対する登録免許税について、次のとおり整備を行う。
@ (外国)信託会社の信託業の免許15 万円
A 管理型(外国)信託会社及び特定大学技術移転事業承認事業者の登録15万円
B 信託契約代理店及び信託受益権販売業者の登録9万円
(5)その他所要の税制上の措置を講ずる。
(関税)
税関における水際取締りの強化及び輸入通関手続の一層の迅速化に資する観点から、関税額の審査について輸入後の調査に重点を移すため、輸入者が保存すべき帳簿書類の種類の明確化等を図るとともに、延滞税の税額の軽減措置を講ずる。
(地方税)
1 個人住民税所得割について、所得の金額が35 万円に本人、控除対象配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額(控除対象配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に35 万円(現行36 万円)を加えた金額)以下の者を非課税とする。
また、個人住民税均等割の非課税基準を、35 万円に本人、控除対象配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額(控除対象配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に22 万円(現行24 万円)を加えた金額)とする。
2 医療法人等が行う心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の規定に基づく医療について、事業税の課税標準の算定方法上特例措置を設ける。
3 法人事業税の付加価値割の課税標準の算定について、棚卸資産等の取得価額に算入する給与等の金額を法人税の損金の額に算入する事業年度ではなく、支出する事業年度の課税標準に含めることとする。
4 都道府県が条例による法人事業税の課税標準の特例を用いる場合には、外形標準課税の対象となる法人の課税標準との均衡を図るよう規定を整備する。
5 狩猟者登録税及び入猟税について、次の措置を講ずる。
(1)両税を統合し、新たな目的税である狩猟税(仮称)を創設する。
(2)狩猟者登録制度の改正に伴い、第一種銃猟免許登録を受けた者が空気銃を使用する場合には、空気銃に係る狩猟税(仮称)を課さないこととする。
6 軽油引取税に係る脱税対策強化等のため、次の措置を講ずる。
(1)脱税に関する罪の罰則の引上げ、混和等の承認を受ける義務等に違反して製造された軽油の譲受け等に関する罪の創設、法人に対する実効性のある取締りを可能とする罰則の導入等、罰則の強化を図る。
(2)混和等の承認を受ける義務等の違反があった場合において、納税義務者の住所及び居所が明らかでない等の事情があるときは、当該納税義務者の委託を受けて軽油を製造した者等は、当該納税義務者と連帯して軽油引取税に係る地方団体の徴収金を納付する義務を負うものとする。
(3)免税軽油使用者証の取消制度の創設等、免税軽油使用者証に係る規定の整備を行う。
(4)その他納税環境の整備のための措置等を講ずる。
7 家屋の所有者以外の者が取り付けた附帯設備に対して課する固定資産税については、当該附帯設備を償却資産とし、取り付けた者を納税義務者とする等の規定の整備を行う。
8 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律において、固定資産課税台帳記載事項証明書の交付の請求の受付及び引渡しの事務を郵便局で取り扱わせることができるようにする措置を講ずる。
9 市町村たばこ税道府県交付金(仮称)の創設
(1)納入された市町村たばこ税が課税限度額を超える場合には、その超える額に相当する金額を、翌年度、市町村から道府県に対して交付する。
(2)市町村たばこ税に係る課税限度額は、昼間流入人口を含む成人人口一人一日当たりのたばこ消費本数の3倍に相当する額として定める。
10 新設型の地方独立行政法人のうち公立大学法人について、非課税措置等の所要の措置を講ずる。
11 道路関係四公団改革に伴い税制上の所要の措置を講ずる。

第四 検討事項
1 わが国金融・証券市場を活力があり、透明性、公平性、効率性の高い市場とし、個人の株式投資を促進するため、金融商品間の中立性、課税の簡素化の観点から金融資産性所得の一体化に向けた取組を進めていく。その際、国債の大量発行下における個人保有の拡大策について、金融を取り巻く状況等も踏まえつつ、引き続き検討する。また、利用者の利便にも配慮した納税者番号制度の具体化に向けて検討を進める。
2 複利型の預貯金商品に係る課税繰延べ問題については、超低金利の状況が続いていること等を考慮し、本年も見直しを行わないが、公平・中立・簡素といった課税原則、金利情勢等を踏まえ、引き続き検討する。
3 生損保控除については、医療、介護など高齢化社会における社会保障政策を踏まえた新たな商品開発の進展との関係、地震災害に対する国民的な備えが重要であるとの見地、制度創設の目的が達成されているとの指摘等を踏まえ、早急に制度のあり方の抜本的な見直しを行う。
4 金融機関の不良債権問題の解決は、わが国経済の再生のために重要な課題である。金融機関の不良債権処理に係る税制上の対応については、金融機関の自己資本に関する金融行政上の対応や関連する企業会計制度の検討とあわせ、納税者間の公平、税制度としての執行可能性を前提に、金融機関や財政に及ぼす影響等を踏まえ、検討する。
5 公益法人制度については、現在、政府において、平成17 年度末までに法制上の措置等を講ずることを目指してその抜本的な見直しが検討されているところであり、新たな制度の骨格が明らかになった段階で、それに対応した税制上の措置について見直しを検討する。
6 上記5の見直しにおいて、理容師・美容師の試験事業等については、他の類似する国家資格に関する事業を国から委託されている公益法人に対する課税の取扱いと同様とする。
7 NPO法人の行う民間非営利活動の役割が今後ますます高まることが期待されていることを踏まえ、その実態を見極めながら、活動の透明性の確保にも留意しつつ、認定要件のあり方について引き続き検討する。
8 事業の将来性、後継者の確保、相続人間における遺産分割、相続税への懸念など、日本経済を支えるべき中小企業者等の事業承継に関しては様々な課題が存在しており、これらの課題を解決することは経済活性化の観点からも重要である。
このため、事業承継に係る税制面からの今後の対応については、15 年度税制改正において措置した相続時精算課税制度の導入や税率の軽減簡素化の効果を見極めつつ、現行の相続制度やこれを前提とした相続税制全体のあり方、相続税評価の適正化、個人・法人の課税のバランスなどを含めて幅広く総合的に検討する。
9 民間の資金や人材、技術等を効率的に用い、公共事業に代わって公的インフラの整備・有効活用を促進するとともに、財政負担の縮減を図り、かつ景気対策にも資するPFI事業に関しては、各税の性質に応じて、税負担の公平性の確保等に留意しつつ、事業の形態、進展等を踏まえ、税制上の必要な措置のあり方について検討を進める。
10 温暖化対策に関する税制については、他の経済的手法とともに、地球温暖化対策推進大綱の評価、見直しにも考慮しながら、国民経済産業全般に与える影響等を十分考慮し、国民的議論を踏まえて、総合的に検討する。
11 酒販免許制度はこれを堅持し、未成年者の飲酒防止等の重要性、酒類業の健全な発達の観点を踏まえ、免許の基準について幅広い観点から検討する。
12 個人住民税均等割の標準税率を適正な水準に見直す方向で検討を進める。
13 現在、電気供給業、ガス供給業、生命保険業及び損害保険業の4業種については、収入金額による外形標準課税が行われている。今後、これらの法人の地方税体系全体における位置付けや個々の地方公共団体の税収に与える影響等も考慮しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資本等の金額による外形標準課税を組み入れていくことを検討する。